連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「先に、確認をしておくか......」
アスクレピオスは、トレーニングルームに向かう途中に小型タブレットを使い通信を取った。恐らく、音声くらいは届くだろう。
『もしもし、こちらロビンフットでえす』
「アスクレピオスだ。そこにジャック・ザ・リッパーがいるか?」
「......いるぞ、アサシン・パライソの立てこもりやネロ・クラウディウスの占拠の放送を聞いて飛んできた。話しかけるのも厳しいくらいに警戒態勢を取っているぞ」
「少し、今回の一連の騒動に違和感があってな。事情を聴いておこうと思ったんだ」
『......聞こえたか、ジャック?』
『......いいよ。何が聞きたいの』
「まず、ブーディカがパラケルススの部屋で見つけた告発文についてだ。ここには、ネロが夜にロビンフットの部屋へ強制相部屋システムを秘密裏に作動させると書かれてあった。事前に対策をしておいたとはいえ、システムは作動した上にネロの協力者アサシン・パライソの協力とかもあり彼の部屋は一大事となった。そんな中、ジャックはいち早くロビンフットの部屋へ駆けつけたようだが、事前に知っていたのか?」
『......その紙を錬金術師さんの部屋の前に置いたのはわたしたち。だけど、それは料理長さんから夕ご飯を貰った後に部屋の前で見つけたものなの。けど、わたしたちが直接渡しても信じて貰えないと思ったから自然と見つけて貰えるように錬金術師さんの部屋の前に置いたわ』
「......アサシン・パライソとは同じアサシン同士で多少は縁があったと思うのだが、何か話したか?」
『......わたしたちの義賊さんに対する想いについて、相談に乗ってくれたわ。レイシフトの提案もしてくれたんだけど、今思えば上手い事あの女と義賊さんを二人っきりにする為に行った罠だったかも......』
ジャックの淡々としつつ感情の籠った事情説明は、非常に助かる。真実と共に、経緯も垣間見えるからだ。
「じゃあ、最後にもう一つ。アサシン・パライソは、恐らくネロ・クラウディウスと頻りに接触していたと思うのだが、それ以外で接触頻度が高かった人物はいるか?」
『いるよ。その目的は分かってないけど』
「誰なんだ?」
『あなたの奥さんである、料理長さんよ』
その時、彼の脳内の神経回路が一気に稼働してショート寸前になりかけた。
「何を話していたか、分かるか?」
『いいえ、分からないわ。けど、その時の忍びさんが凄く笑っていた事は覚えてる。けど、料理長さんの表情は険しかったわ。何か、昔の事を抉り取られているような感じだった......』
「......そうか、とりあえず今聞きたい事は以上だ。協力感謝する。そっちには彼女たちの暴動の被害は及ばないと思うから、少しゆっくりしていてくれ」
タブレットの通信を切ったアスクレピオスは、そのままトレーニングルームへと歩いて行った。ショートはしなかった脳の回路を、次に備えて回しながら......
「......お疲れさん。こっから先は、お医者様に任せていいんですかね?」
「良いと思う。少しくらい、ここに居て何もしなくても事件は終わりそうだからね」
ロビンフットの質問に対し、ジャックはそう答えた。そのまま、彼の胸元へ寄り掛かる。
「......結局、義賊さんはどっちをお嫁さんにするか決めた? あの女とは結構前から腐れ縁らしいけど、これを機に縁を切って新しい家族と過ごさない?」
「......もう少しだけ、時間が欲しい。あいつが静かになるのを見届けてから、結論を出す」
「じゃあ、お医者さんのタブレットと音声を繋げるようにするね。彼なら、納得してくれると思うし」
パッパカとタブレットを操作する暗殺者。その間も、体は義賊に預け切っている。そんな彼女の髪を、ロビンは優しく撫でていた。
「......名前のない者同士、気楽と言えば気楽なのかもしれませんねえ」
この言葉は、彼の一つの区切りとなったかもしれない。何かを踏み出すきっかけの言葉だったから。
予約投稿が上手く行ったのか、予約ツイートがきちんと作動したのか、不安ですね。
里見レイ
遠坂凛(EXTRAのリンも含む)の概念礼装の中で一番好きな物は?
-
コードキャスト
-
ガンド
-
フォーマルクラフト
-
月の海の生徒会
-
戦友