連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病   作:里見レイ

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 過去の話は、個人的に凄く大事にしたいです。以前もお話しした気がしますが、やはりストーリーに重厚感と信憑性を持たせないと薄くて気持ち悪く感じてしまいまして。
 
 という訳で、今回も回想が中心です。


それぞれのキッカケ

「......これだけ聞いていると、お前がこんなに暴走している理由は理解出来ないぞ。とても幸せそうに見える」

 

 蛇を操ってネロの剣先を受け流すアスクレピオスは、話を聞いて疑問符を拭き出した。何か事件解決の糸口がありそうだったのだが、今の所は見つからない。

 

「話は、今の部分でようやく半分だ。これからが、より大事な部分になるぞ」

 

 息を乱さぬ足取りをしながら、ネロ・クラウディウスは答える。肩で息をしているアスクレピオスと見比べると、戦況は赤子にも明らかである。

 

「弓兵からアドバイスと励ましを貰った後、余は他の者たちと蜜月な関係を築けるように努力した。しかし......」

 

 

 

「近寄るな! 俺は貴様の酔狂な遊びに付き合う気分になどならん」

 

「......その顔を見ていると、妙な寒気がする。そっとしておいてくれ」

 

「......ローマ!」

 

 時に辛辣で、時に意味不明な言葉を受け続けてしまう。生前・別世界・容姿の因果などが悉く彼女の周りを空っぽにしている。加えて、己が今まで如何に周りを見ていなかったのかを思い知ってしまった。最も多い投げかけられた言葉が「都合のいい時だけ近づいて来るな」である。

 

「クエストに出ていた時は、他の者どもなど余の引き立て役かと思っていた。チームという感じはあまりしなかったし、余の繰り出す演目について来る者はほとんどいなかった。その代償がこれか......」

 

 蹲るネロ。思えば、サーヴァントになって以降自分の周りにいた人々は少なからずネロの我儘やお茶目を許容していた。それは、当たり前ではなかったのだ。

 

「弓兵、どうすればよい? 今更カルデア内で良好な関係など築けそうにないのだ!」

 

「そもそも、この皇帝サマの人への接し方に問題があるのだが......まあ、それは置いておいて」

 

 ポケットから、カルデア研究機関最新作である電子タバコを取り出すロビンフット。煙は出ないが、確かにこれはタバコの味である。

 

「何も、カルデアにいる全員と仲良くする必要なんてありはしませんよ。それに、『フレンドゲート』を通って他のカルデアに行けばここにはいないサーヴァントと仲良くなれる可能性もありますし、妙に固執する必要はないと思いまっせ」

 

「余は、それでいいのか? てっきり、余の性格とかを非難するのかと思ったぞ」

 

「好き嫌いは誰だってあります。大事なのは、自分を好きになってくれる人を如何に多く見つけるかだと思いますよ」

 

 落ち着いたロビンの声に、ネロの声色も徐々に明るさが戻っていく。こんな英雄が一人寂しい思いをしていること事態、このカルデアは異状なのであるが、それは在籍メンバーなどの都合である。

 

「......あの小生意気なランサーや世話焼きの赤いアーチャー、はたまた舞台が好きな目立ちたがり屋など、周りのカルデアにはオタクと気が合いそうなサーヴァントは一杯いますよ。少しだけ、外に手を伸ばしてみれば案外あっさりと解決するもんじゃないですか?」

 

「そうか、余は他のカルデアに行けば友を作れるか......」

 

 ゆっくりと立ち上がるネロ。その目は、微かだが輝きを取り戻していた。

 

「感謝するぞ、緑の弓兵よ。いつも余の隣でささやかな励ましは力になるからな」

 

 そして、そのまま管制室へと歩みを進めていった。皇帝に相応しき足取りで。

 

 

「ふーん、あの皇帝さんってそんな風に悩んでいるのね。私達とはまた違った感じがするわ」

 

「思ったより繊細みたいですよ。別世界のマスターがよく彼女を扱っていた訳ですね」

.

「......義賊さんは、皇帝さんのマスターになるのは嫌?」

 

「扱えませんよ、あんな暴君。せいぜい周りが言う通り『御世話役』が関の山ですな」

 

 管制室の隅、ロビンの膝の上でクエスト終わりの武器手入れを行っているジャック・ザ・リッパー。カルデアに召喚されてからという物、彼女なりに友達を作りつつロビンにも頼っていた。最も、ロビンがジャック以外にも世話をするサーヴァント(茨木童子・ナーサリーライムなど)との友人関係が主ではあるのだが。

 

「じゃあ、旦那様は? 面白くなりそうだけど」

 

「無いですかねえ。だって、お世話役の時より我儘になりそうですから」

 

「そっかー、義賊さんなら良い旦那様になりそうだけど。いっそのこと、わたしたちが貰おうかなあ」

 

 ナイフを軽く回しながら、ジャックはこう言った。

 

「それ、今と変わらないのじゃないかい? 今みたいに吞気に話を聞いたりお手伝いをしたり」

 

 対するロビンは、どうにも呆れ気味。まあ、よくある子供の冗談だろうと思い聞き流す。

 

「......じゃあ義賊さん、もしわたしたちが貴方に今まで以上の事を求めたらどうする?」

 

 鋭い眼光と躍動する小さな体。ロビンは気が付けば、この幼き暗殺者に押し倒されていた。

 

「! 心臓でも、欲しいんですかい?」

 

「うんうん。義賊さんの愛が欲しいんだ」

 

 突き付けたナイフは小さく震え、その言葉に色はない。いつも隣で支えてくれた義賊の全てを欲して、意識すらも置き去りにした行動であった。

 

「わたしたちには、義賊さんが必要。友達でもなく、お世話役でもなく、旦那様として貴方が欲しいの。サーヴァント同士が結婚だなんて、可笑しい事を言っているのは分かってる。だから、せめて恋人になってくれないかな? マスター(おかあさん)もきっと、喜んでくれるから」

 

「......本気か?」

 

「本気。ずっとわたしたちと一緒にいてくれたし、これからももっと近くにいて欲しい。わたしたちも、義賊さんの為なら何だってしてあげたい。命だって構わないよ」

 

「......」

 

「......」

 

 しばしの沈黙。そして、ロビンフットはジャック・ザ・リッパーの顔を撫でながら体を起こす。

 

「......少し、時間をくれないか? 考える時間が欲しい」

 

 その目は、ナンパ男の顔と対極に位置づく。彼は、真剣に考えようとしているのだ。

 

「分かった。じゃあ、わたしたちからの誓いとしてこのナイフをプレゼントするわ。もし、わたしたちとこのカルデアの最期を見るつもりだったら、その時に何か頂戴」

 

 ジャックの態度は、その見た目以上に大人の女性だ。そして、二人の空間も大人そのものだった。

 

「......奴を、他の誰かに奪われる!? それだけは、あってはならない。あってはならないぞ!」

 

 一方、管制室のフレンドゲート付近でこのような言葉が聞こえる。そう、ネロ・クラウディウスその人だった。

 

「出し抜かねば、負けてしまう。より強く愛を吐露せねば取られてしまう。手段を選ぶ暇は、ない......」

 

 策略を巡らせ、半ば脅迫に近い交渉もプランする。それが、皇帝ネロ・クラウディウスの伴侶確保だからと言わんばかりに......




 ここだけの話、ストックとして執筆してから随分経ってしまって内容の詳細を覚えておらず後書き前書きが明後日の方向の可能性があるんですよね。

 リアルの都合とマスターデュエルに嵌ったetcで執筆の時間が少なくなってますが、何とか沢山書いて月2より多く投稿したいですね。

 感想をくださると嬉しいですので、一言でも良いのでお願い致します。

里見レイ

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