連載休止 僕たちのカルデア アスクレピオスと女の病 作:里見レイ
「まったく、何が『効率的な素材獲得の為の対エネミー用透過液』なんだ。第一、溶液同士をかき混ぜて爆発が起こるって一体どんな成分と魔術を施したらあんなギャグ漫画のような展開になるのやら......」
こちらアスクレピオス。一通りの治療と事情聴取を終えて呆れかえっているところだ。とりあえず、持ってきた医療セットを戻すために医務室へと戻る。
「ふう。とりあえずだが、一大事にならなくて良かった。だが、せっかくなら未知の薬品事故による特殊な症状を見てみたかった気もするが......」
ぶつくさと独り言が続くこの医師、個人的に何かしらの不完全燃焼要素があった時の癖だ。まあ、彼の独り言が加速している時はそれに比例して己の研究も加速するという事だが。
「今回の爆発の要因となった薬品の一部はサンプルとして貰った。これをパラケルススから借りたスキャナーで改めて分析。メディアはこのような検証データを記しているが、正直なところ僕はこの周波数は化学要素の多い波長ではなく生命に対してアレルギー反応を起こすかのような物質を含めるからであって......」
メモを取ったり機械にコマンドをポチポチと入力したりと、久々に忙しい作業に励む。彼の医学知識をあらゆる方面から貰ったデータと照合することで、より新しい成果に繋がることは多い。現に、今彼が使っている機械も彼の研究と孔明の魔術知識を統合させた結果の産物である。
「正直、この術式には少々生命の体に対して強引な部分があるのだよなあ。皮膚組織に対しては刺激が強いからここは緩和剤としてこの試薬を......」
彼はひたすら独り言と作業を繰り返した。そして、彼の体感時間と体内時間と稼働時間は徐々にずれが生じ始めてきたのである。
「さてと、おなかがすいたな。もうそろそろ食堂も夕飯の頃合いだろうし、一度休憩とするか」
普段なら、各面々が夕飯を終割らせている頃合い。研究の心地よき疲れをリフレッシュさせるにはちょうど良いのだ。そう、普段なら。
「これは、なかなか大騒ぎになるんじゃないのか?」
「大騒ぎどころではないぞ。下手すればこのカルデアの人事が大幅に変わってしまう。彼が俺たちとの関係性を色々な面で見直す恐れもある。それほどまでに、結婚というものは恐ろしいものなんだぞ。例え、それが弟であっても結婚相手を優先してしまう事態だってあるんだからなあ!」
何やら、いつも以上に騒がしい食堂。そして、その面子の一部はアスクレピオスにとって非常になじみがある。
イアソンとアタランテだ。更に、イアソンはともかくアタランテがここまで焦っているのは珍しい。
「......人事? 結婚? 何やら途轍もなくカルデアには無関係そうな話題だな」
訝しげに二人に近づくアスクレピオス。とりあえず、身近な二人ならすんなり事情を教えてくれるだろう。
「おい、船長。いつになくここが騒がしいようだが、何かあったのか?」
横から軽く肩を叩いた。さて、イアソンの反応は......
「......おい、アスクレピオス。何かではなくお前が騒動の大元だろうが! って言っても、お前の事だ。この騒ぎに関しては知らぬ間に広まったという感じなんだろうなー」
若干声を荒げるも、すぐ苦笑いになるイアソン。これでも共に英雄譚に名を連ねた仲だ。何かしら話題が独り歩きしたと察しているのだ。
「イアソン、一度二人で話をしに来てくれ。このまま彼をここに留めておくのは色々面倒なことになる」
こそっと一言を添えるアタランテ。まだ、他の面々はこの医者が食堂にやって来たことには気が付いていない。
「ああ。という訳だ、一旦俺たちの部屋へ静かーに避難するぞ。色々お前自身も混乱していると思うが、話はその後だ」
「わ、分かった」
イアソンのスムーズ過ぎる事後対応にアスクレピオスはまだ現状把握にまで至れていない。ただ、一つ分かることがある。今からとんでもなく面倒くさいことを聞かされ、それが自身の人間関係を大きく変化させてしまうという事だ。
えー。リアルの忙しさに押し潰されそうになってます。とりあえず、脳内にある程度の構想はあるので時間を見つけ次第更新していきます。
ストーリーも一気に加速する予定ですので、よろしくお願いいたします。
里見レイ
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