IS Brotherhood   作:magnumheat

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アルゴスの試練

アルゴス「ん・・・、ここは?」

 

アルゴスが目を覚ました場所は、どこかのスポーツジムである。

そこでは少年が1人サンドバッグを叩き続けていた。その少年は・・・、

 

アルゴス「これ、俺じゃねえか。」

 

ジムの時計を見ると、2年前の時刻を刻んでいる。つまり、このサンドバッグを叩く過去のアルゴスは14歳である。

 

※ここからは現在の本人と区別するため、「過去アルゴス」の名前で設定しておきます。

 

過去アルゴス「いつか俺は、絶対に親父を超えて見せるぜ!」

 

アルゴス「・・・・懐かしいな、だけど、これが俺の試練とどう関係があるんだ?」

 

首を傾げながらもアルゴスは己の過去の映像を見つめる。

そして時は流れ、とある闘技場にたどり着く。

そこではマーシャルアーツの世界戦が行われていた。

 

 

過去アルゴス「親父!頑張ってくれー!!」

 

アルゴス父「おう、任せておけ!」

 

アルゴス父は意気揚々とリングインする。

激しい激闘の末、見事に勝利を収め、新世界チャンピオンとなった。

しかし、その栄光は・・・・、

 

翌日の新聞でわかった事だが、アルゴス父のあまりの強さに疑問を持った敵側から、ドーピング疑惑を持たれ、検査の結果陽性反応が出た。アルゴス父は全く見に覚えがないと主張するも、連盟側は認めず、アルゴス父は世界タイトルとライセンスを剥奪された。

その後にわかった事だが、アルゴス父の水分補給用のボトルに何者かが禁止薬物を混入させたようだ。

不可抗力とはされたものの、ライセンスを取り戻すには至らなかった。

 

納得のいかない過去アルゴスは連盟に直談判をしに行く。

 

過去アルゴス「おい、どういう事だ!!親父の気持ちも考えねえで!!」

 

連盟メンバー「アルゴス君、今回の件だが、もうこれ以上詮索しないでほしい。」

 

過去アルゴス「はぁ!?ふざけんじゃねえよ!第一薬物混入の犯人は誰なんだよ!?」

 

連盟メンバー「・・・・・。」

 

そのセリフを聞いた途端に連盟メンバーは黙り込む。

 

過去アルゴス「それは、知っているってツラだな。誰なんだ、言え!!親父に代わって俺がそいつをボコボコにしてやる!」

 

連盟メンバー「すまない、だが名前を公開すれば家族に危害を加えると脅されていてね。」

 

過去アルゴス「くっ、だからって、このまま黙って泣き寝入りしろってのかよ!」

 

連盟メンバー「アルゴス君、長い物には巻かれろという事だ。世の中にはどうしようもない場合だってあるのだよ。」

 

過去アルゴス「・・・結局は金と権力がものを言うのかよ。そんな支配を許してたまるかよ!」

 

過去アルゴスは部屋を出た。

 

アルゴス「そうだ、あの事件で親父は自暴自棄になったし、そのせいで両親は離婚した。

俺は親父を見捨てたくないから親父と生きるって決めたんだ。」

 

アルゴスは苦い過去を振り返って、血が流れるほど拳を強く握りしめた。

 

ふとそこに、クラストが出現する。

 

クラスト「アルゴスよ汝はこの事件から、世の中のありとあらゆる支配や権力を憎むようになった。そして、この世の支配の概念そのものを変えんと心に強く抱いたが故に、汝はISを動かせるようになったのだ。」

 

アルゴス「俺の意思が、ISを・・・、って事は、エクトルもそうなのか?」

 

クラスト「うむ、どうやら何時とエクトルは互いに似ているのかも知れぬな。」

 

アルゴス「・・・そうかもしれねえ、一度は完全に敵対したが、俺もあいつも自分なりの正義感を持っていただけで、1番大切なものを見失いかけた。そのせいで一俺は一夏を、みんなを・・・・・。」

 

クラスト「アルゴスよ、堕天使達にその身を捧げ、冥王の力を手にした汝がなすべき事はこれだ。」

 

クラストがそういうと、アルゴスの目の前にもう1人のアルゴスが出現した。

 

アルゴス「・・・成る程、かつての自分に勝てと言うことか。」

 

クラスト「その通り、汝と一夏の大いなる差異は、どれほどの力を得ようとも、人の子であらんとするか否かだ。改めて汝に問う、汝は何者だ?」

 

アルゴス「俺は・・・アルゴス・イリアディス!1人の人間で、一夏、エクトルの友だ!!」

 

クラスト「その心が本物か、奴を倒し我に示せ!!」

 

アルゴスと過去のアルゴスの戦いが始まった。

互いにセイリオスを展開し、間合いを詰める。

 

過去アルゴス「世の中は力ある奴が一つのものを支配してる!政治も、業界も、宗教も!!だから俺は、世の全ての支配をなくし、人間の求めた自由を守る支配をする!!」

 

アルゴス「人間に全てを支配するのは無理だ。全てを支配しようとすれば必ず反発されるぜ。」

 

過去アルゴス「うるせえ!てめえは世の中が憎くはねえのか!?一夏とてISという力を得て女尊男卑となったこの世界を支配しようとしてるじゃねえか!」

 

アルゴス「あいつは自分一人で世界をどうこうしようって思うような奴じゃねえ、あいつはISという男女間の差異を超えて、男女共に愛し合える世界を作ろうとしてんだ!それこそクラストが言ってた「調和」って奴の意味だろ!」

 

過去アルゴス「くだらねえ!調和も導きも戯言だ!俺は力によって強さを示し、証明する事で確かな支配を作るためにルシフェウスとなったのだ!!人間は人知を超えたものに心惹かれ、信じる生き物だから、その人間どもを支配するには、人間を超えた存在になる必要があるんだよ!!」

 

アルゴス「力を得たところで、人々の心を動かさなけりゃ意味ねえよ!かつての俺やエクトルは、力を得ても人の心を動かすまでには至らなかった。だが一夏は違う、一夏は多くの人々と心を繋ぎ、そうして出来た仲間と共に世界を変えようとしている!」

 

過去アルゴス「心の力なんざ無力だぜ!冥王となったこの俺に、そんなものは何の意味もなさないぜ!」

 

アルゴス「ならてめえをぶっ倒して証明してやるぜ!」

 

アルゴスと過去アルゴスは激しく殴り合い、蹴り合う。

手数こそ互角なものの、後半になってアルゴスが過去アルゴスを押していく。

 

過去アルゴス「くそッ、くらえ!テロス・フラス!!」

 

過去アルゴスはセイリオスの必殺アビリティを放出する。

 

アルゴス「うおぉぉぉぉ!!」

 

アルゴスは発射されたエネルギー波動に右拳を思い切り叩きつけた。

すると、アルゴスの右腕がエネルギー波動を吸収した。

 

過去アルゴス「なんだと!?」

 

アルゴス「言っただろ、心の力は凄えってな。今の俺の心には一夏とその仲間の存在がある!」

 

そして、アルゴスは渾身の力と思いを込めたテロス・フラスを過去アルゴスに放った。

 

過去アルゴス「ぐああっ!・・・・ここまで強いとは、これが人の子の力なのか?だが、我の力の前では、無力だ・・・・、あ、ガ、グ!」

 

過去アルゴスの顔に亀裂が走り、機体は粉々に砕け散り、冥王ルシフェウスが現れた。

 

 

ルシフェウス「我をここまで追い込むとは、流石はかつての我の僕。我を使いたくば、我に勝って見せよ!!」

 

アルゴス「行くぜ、一夏やクラストのためにも、てめえは必ず倒す!!」

 

ルシフェウスとアルゴスは激しくぶつかり合う。ルシフェウスが序盤は優勢だったが、徐々に均衡が崩れ、そして遂に・・・・・。

 

アルゴス「この一撃に俺の全てを賭ける!テロス・フラス!!!!」

 

アルゴスは全エネルギーをテロス・フラスの波動発射に注ぎ込み、ルシフェウスの胸を貫いた。

 

ルシフェウス「ぐっ・・・、我の負け・・・か・・・。

いいだろう、貴様に力を与えよう。」

 

ルシフェウスはそう言うと、姿が変わっていった。かつての悍ましい姿から一変し、アルゴスの新たな力となってここに再臨する。

 

アルゴス「そんじゃ、改めて、よろしくなルシフェウス。」

 

ルシフェウス「うむ、我が友アルゴスよ。」

 

アルゴスとルシフェウスは硬い握手をする。

 

クラスト「アルゴス、汝は見事試練を乗り越えた。ルシフェウスよ、アルゴスをよろしく頼む。

 

ルシフェウス「ああ。」

 

 

Side現在

 

アルゴス「ブハッ、ハァ、ハァ、俺、生きてるよな?」

 

アルゴスは六芒星のオブジェの拘束から解放された。

 

エクトル「アルゴス。」

 

横を見ると、エクトルが決まり悪そうに立ちすくんでいた。

 

アルゴス「・・・エクトル。」

 

二人は改めて握手をした。無言ではあるが、その表情にはどこか温かみあふれるものだ。

 

クラスト「エクトル、アルゴス、我が友一夏をどうか頼むぞ。」

 

エクトル・アルゴス「ああ、任せてくれ!!」

 

 

 

 

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