IS Brotherhood   作:magnumheat

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第十一層 part 5

ネロ「・・・・・ん、ここは?」

 

致命傷を負って意識を失ったネロは、どこかわからぬ世界にいた。

このとき、自身の姿はISスーツを着ただけの状態だった。

 

 

ネロの目の前にあるのは、ヨーロッパの一般家屋に近い一軒家だ。

草花の色めく庭では、見知らぬ人々がいる。

 

庭を走っているのは、幼き少年。父親らしき男と遊んでいるようだ。

 

その光景を、微笑みながら窓際から眺めているのは母親のようだが・・・・・・。

 

ネロ「・・・・あの母親は、はっ!!」

 

ネロは目を疑った。そこにいたのは、ネロの生みの親であるアスタロト、もといベアトリクス・グルーバーだった。

 

ネロ「これは、どういう事だ!?」

 

 

ベアトリクス「あなた、ネロ、そろそろお食事にしましょう。」

 

ダニエル「おお、そうだな。ネロ、ママが呼んでるぞ!」

 

※ネロと区別をつけるため、少年には「少年ネロ」と名付けておきます。

 

少年ネロ「はーい!」

 

少年ネロはトテトテと走る。

 

ダニエル「おいおい転ぶなよ。」

 

 

 

ネロ「・・・・・。」

 

ネロはその光景を、心ここにあらずという感じで只々見つめていた。

 

 

「ネロ。」

 

ネロ「!?」

 

目の前に何やら人影が出現する。その者はローブに身を包んでおり、フードを被った顔は口がやっと見える程度だ。体格からして男だろう。

 

 

ネロ「何者だ、貴様。何故俺や母様、いや、アスタロトを知っている?」

 

 

ネロが問いかけると、男はゆっくりとフードから顔を見せる。

その顔は先程見た幼子達の父親だ。

 

ネロ「!?」

 

「私はダニエル・グルーバー。お前の父親、いや、正確にはお前のオリジナルの父親だ。」

 

ダニエルは少しやつれた表情ながらもどこか穏やかな印象だ。

 

ネロ「あの少年が、本来のネロという人間として生まれるべきだったという事か。」

 

ネロは納得しながらも、どこか寂しい気持ちになり複雑だった。

 

 

ネロ「俺もリリスも、兵器ではなく人間として生まれていたならば、愛する家族になれた。だが俺は、この幸福の犠牲によって生まれた。」

 

 

「自分を責める必要などない。お前が生まれた事は決して無意味ではない。私にとっても、ベアトリクスにとっても。」

 

 

ネロ「・・・・俺は、生きるべきなのか?それとも今ここで死すべきなのか?」

 

ダニエル「それはお前次第だ。死を受け入れるもよし、死に抗うもよし。 最も、今から起こる事を目の当たりにした上で、だがな。」

 

 

ネロ「!!!!」

 

ネロはダニエルの指差す方を見る。そこにはネロ・インテグルムと瀕死のネロが、そして一夏達の姿が。

 

 

リリス「兄様!行かないで!!」

 

エキドナ「ネロ様!あの者達のもとへ行く必要はありません!」

 

ネロ「リリス!!」

 

ダニエルのそばにリリスの姿が、そして・・・・

 

 

アスタロト「ネロ、やっと私達家族が揃ったのよ!」

 

ネロ「・・・・・・。」

 

アスタロトもといベアトリクス・グルーバーの姿もそこにあった。だが、ネロはその名を口にはできず、母と暮せば良いと言う事もできないでいる。何せ自らの手で最期を遂げさせたのだから。

 

 

ダニエル「私達の魂はアスモデウスの力によって、冥府で共に暮らしている。」

 

 

リリス「兄様お願い、帰ってきて下さい!」

 

アスタロト「そうすればこの戦いともお別れできるわ。」

 

ネロ「・・・・・。」

 

ネロは深く考え込んだ。

この戦いに死をもって終止符を打ち、一夏を信じて後のことを託すか。

それとも死に抗い、一夏と共に生きていくのか。

 

 

ダニエル「答えは決まったか?」

 

ネロ「俺は、家族と共に生きたい。」

 

アスタロト「ネロ!!」

 

リリス「兄様!」

 

アスタロトとリリスは歓喜の表情を見せる。だが、

 

ネロ「但し、一夏と共に現世を生き抜いてからだ!!」

 

ダニエル「・・・・・なるほど。」

 

アスタロト「ネロ!あなた、まだ一夏を信じるの!?」

 

リリス「そんな、どうして!?」

 

ネロ「案ずるな。クローンといえど俺も人間だ。寿命は必ず来るだろう。それに、俺の完成型とのたまうネロ・インテグルムとの決着もある。アスモデウスもこの俺が必ず葬り去る!」

 

ダニエル「アスモデウスを倒せば冥府の私達も散り散りになってしまうぞ。」

 

ネロ「聞こえなかったか?俺は、家族と共に『生きたい』と言った。冥府は死者の世界だ。それに、アスモデウスが俺の求める温もりを与えられる筈がない。

そんな虚しい世界より、こんな俺を家族兄弟同然に受け入れた一夏とともに生き抜く事を、俺は選ぶ!!!!」

 

 

ダニエル「・・・・・それがお前にとって最善ならば、それもよかろう。」

 

アスタロト「あなた!!」

 

リリス「父様!!」

 

ダニエル「いいだろう、再びこの世で生きていくがいい。」

 

そう言うとダニエルは強い光を放ち、アスタロト、リリスと共に消え去る。

 

そして、ネロの意識が再び肉体に戻り・・・・・、

 

 

Side現世

 

 

ネロ「・・・・・ん。」

 

ネロは再び目を覚ました。

 

 

ネロ・インテグルム「馬鹿な!?この傷で意識を取り戻しただと!!」

 

一夏「・・・・ネロ、お前意識が!!」

 

ギャラリー一同「!!!!」

 

 

Side簪

 

簪「本音、起きて!!」

 

虚「本音!」

 

 

本音「う〜ん、あれ、ネ、ネロロン!?」

 

 

レオ「気がついたみたいだな!」

 

弾「本音!ネロは無事だぜ!」

 

 

本音「ほ、ホントだ!よかったーわぁーん!!!」

 

本音はあまりの嬉しさに号泣する。

 

Sideネロ

 

 

ネロ「待たせたな!そらっ!!」

 

ネロは壁キックと同時にイグニッションブーストでネロ・インテグルムに体当たりをする。

 

 

ネロ・インテグルム「ぐあっ、貴様!!」

 

ネロ・インテグルムはネロの体に刺さっていたヘル・ジュディシウムを引き抜く。

 

ネロ「ぐうっ、どうせならこれも抜け、気の利かない奴だ!」

 

ネロは痛みに顔を歪めながら体に刺さっていたヘル・グラディウムを抜いた。

 

ネロ「さて、本番といくか!!」

 

ネロは6枚の黒い翼を羽ばたかせ、肉体の治癒と力の供給を始める。

 

 

千冬「グルーバーの体が再生していくぞ!」

 

クラスト「これは、白騎士と同じ回復能力だ。」

 

アスモデウス「ネロ、貴様、我の力で家族に会わせたのだぞ!!」

 

ネロ「ああ、確かに見た。だが所詮は幻のようなものだ。俺が求めるのは確かな温もりだ。一夏達こそが、今の俺にとってかけがえのない家族だ!!」

 

 

ギャラリー一同「ネロ(さん)!!」

 

一同はネロの言葉に心打たれる。

 

 

ネロ・インテグルム「ただの下等な人間たちと共に生きるか。ならば永遠の眠りにつかせてやろう!貴様を殺し、俺こそがネロである事をわからせてやる!」

 

ネロ「上等、勝者が本物だと言うことで決着をつけてやるぜ!」

 

 

再び戦いが始まった。果たして勝者は・・・・・。

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