王女セシリアの婿をめぐる闘技場での大会に飛び入り参加した一夏は、あっさりと男衆を叩きのめし、王子との勝負に挑むことになった。
国王「勇者一夏よ、これからお前には4王子それぞれとの一騎打ちを行ってもらう。見事全ての王子を倒したならば、セシリアとの結婚を許そう。だが、4王子の誰か一人にでも勝利できなければ、全て無に帰す。よいな?」
一夏「それはつまり、引き分けすら許されないという事ですか?」
国王「ふむ、その通りだ。お主なかなか鋭いな。」
国王は一夏のキレ者ぶりに多少なりとも感心する。
国王「では大臣に立会人をつとめてもらう。」
大臣「仰せのままに。では、4王子との決闘だが、一夏はそれぞれの王子が得意とする勝負に望んでもらう。王子はそれぞれ卓越した強みがございますからな。」
一夏「なるほどね。で、コイツらはそれぞれ何が得意なんだ?」
王子1「俺は剣術だ!」
王子2「私は知恵だ。」
王子3「僕は馬術だね。」
王子4「自分は、芸当です。」
一夏「ふむふむ、なんとなくイメージは湧いたな。」
Sideギャラリー
ビリー「一夏のやつ、いつになく余裕だな。」
簪「セシリアの心は既に一夏に向いてるしね。」
ラウラ「うーむ、一人目くらいなら私が戦ってもよい気がするが。」
箒「確かに、武力はどうにかできても、それ以外は自信がないぞ。」
アルゴス「だが、一夏は基本的にステータスバランスが取れてるしな。」
弾「案外あっさり終わるんじゃねえの?」
鈴「けど油断はできないわね。」
そんな話をしていると、観客の中から女性のひそひそ声が。
「ねえ、あの一夏って子、カッコよくない?」
「素敵な勇者様だわ!」
「それに、あの子のお友達の男の子もいい男ね♡」
「あの子達が王子になってくれないかしら?」
どうやら女性陣はほぼ全員一夏側の味方のようだ。
レオ「ま、一夏はイケてて当然だが、俺たちもあの王子たちよりイケてるのは間違いねえな。」キラーン
レベッカ「レオがそう言うと、なんか逆に説得力あるわね。」
Side一夏
大臣「では、まずはどなたから行きますか?」
第4王子「自分が行きます!兄弟の手を煩わせるまでもないでしょう!」
大臣「では、こちらで技を競っていただきます。」
そこにはジャグリングのボールが用意されていた。
また、大臣は何やら精霊のようなものを呼び出した。
大臣「この玉を使った曲芸を披露し、どちらが優れているかを、この芸事の妖精が審査し、評価が高い者が勝者です!」
一夏「なるほどね。」
第4王子「よし、自分から行かせてもらおう!」
第4王子はすぐさまボールを手に取り、高速での両手ジャグリングを披露する。
鈴「速っ!あの個数であれはなかなかできないわよ!」
さらに王子は体を180度翻し、後ろ向きでジャグリングする。
第4王子「どうだ!」
第4王子の出番はこれで終了。
箒「あの男、なかなか器用だぞ。」
エクトル「思ったより手強いね。」
大臣「では一夏よ、そなたの出番だ。」
一夏「ようし、そらっ。」
一夏はボールを手に取り、すぐに投げ上げる。そして、
一夏「ホイホイっと」
何と、一夏はすべてのボールを左手一つでジャグリングし始めた。
弾「マジかよ。」
簪「どこで覚えたの?」
観客は息を呑む。
更に一夏はボールを全て高く投げ上げ、
一夏「そおらっ、これでキメるぜ!」
右手に持っていた剣の刃の先端に、落ちてきたボールを乗せる。しかも縦一直線に重なった。
国王「何と!このような芸当は見たことがない!」
セシリア「素敵ですわ!」
第4王子「ぐ、武器まで使うだと!?」
そして、芸事の精霊の審判が下る。
精霊は一夏のそばに近づき、褒め称えた。
大臣「技の勝負、勝者は一夏!」
一夏「よし、まず一人!」
第4王子「ま、負けた、こんな馬鹿な。」ガクッ
シャルロット「すっごーい!サーカスみたいだよ!」
ラウラ「こんな特技があったとは!」
鈴「圧倒されたわね。」
第四王子に勝利した一夏。
大臣「続いて、第二の勝負だが、」
第3王子「僕が相手だ!」
第3王子と馬術の勝負をする事に。
大臣「馬術の勝負は、乗馬による一騎討ちである!」
一夏「なるほどね、意外とシンプルだな。」
第3王子「余裕でいられるのも今のうちだぞ。」
馬に乗って長い棒を持ち、お互いを攻撃しあい(ただし、馬への攻撃は不可)、最終的に相手を落馬させた方が勝ちとなる。
一夏と第3王子はそれぞれ自分によく懐く馬を選び、定位置につく。
セシリア「一夏さん、お馬がとてもよくお似合いです♡」
箒「一夏、何ともサマになっているものだ♡」
ビリー「一夏、気を付けて行けよ!!(棒を使うなら俺が行きたいけどな。)」
シャルロット「頑張って一夏!!」
ラウラ「自分の馬を信じろ一夏!!」
仲間の声援を受け、一夏はみんなに手を振る。
大臣「それでは、始め!!」
鐘の音でスタートを切り、一夏と第3王子の戦いが始まった。
第3王子「君がどこまでやれるか知らないが、経験の差を思い知らせてあげよう。」
第3王子はナルシー全開で話すが、
一夏「さて、少しの間よろしくな。」
馬「ブルルッ。」
一夏は第3王子ガン無視で自分の馬と会話をしていた。
初めて乗るにも関わらず、懐かれている。
ちなみに色は清純な白である。
ビリー「だっはは!スルーされてやがるぜ!」
鈴「これ恥ずかしいわよね。」
第3王子「くっ、どこまで愚弄するのだ!」
第3王子はカッカする。
大臣「それでは、始め!」
戦いが今始まる。
第3王子「イヤッ!」
一夏「行くぜ!」
互いに間合いを詰め、攻撃を仕掛ける。
第3王子「そらっ!」
第3王子は棒で速い連続突きを繰り出す。
一夏「おおっと。」
一夏は体の前で棒を回転させながら弾いていく。ビリーとの模擬戦が生きているようだ。
簪「一夏、普段使わない武器なのによく対応できるね。」
エクトル「彼は戦いにおいて天賦の才能があるからね。」
国王「ふむ、なかなかやるな。」
セシリア「流石は一夏さんですわ!」
一夏は剣の要領で第3王子に攻撃を仕掛けるが、
第3王子「甘いな。」
上、左右、斜めと振るも、全て受け止められる。
互いに一進一退を繰り返し、互いに距離をあける。
第3王子「そろそろ決着をつけるぞ!」
第3王子は遠くから一気に一夏のもとへ走る。
一夏「上等だ!来い!」
一夏も一直線に走る。
お互いに一突きで仕留める姿勢に入り、距離が詰まったところで第3王子は攻撃した。その瞬間、
馬「ヒヒーン!」
第3王子「何っ!?」
なんと、一夏は寸前で馬に前足を高くあげさせ、第3王子の突きをかわしたのだ。
不意を突かれた第3王子の上体が崩れる。
一夏「おりゃあっ!」
一夏は棒を上から思いっきり振り下ろし、第3王子の頭部に渾身の一撃を与えた。
その瞬間、第3王子は完全にノックアウトされ、馬から転げ落ちた。
大臣「この勝負、一夏の勝利!」
一夏「イエーイ!」
馬「ヒヒーン!」
一夏と馬は声高らかに勝利の雄叫びをあげる。
鈴「最後は結構強引に行ったわね。」
エクトル「一夏は思い切った戦法を取れる方だからな。」
ビリー「くそー、棒を使うんだったら俺もやってみたかったぜ。」
レベッカ「あら、ビリーも馬に乗りたかったの?」
国王「ふむう、なかなかやるものだな。」
セシリア「はい、一夏さんは武術に天性の才能がおありですもの。」
大臣「まさかここまでとは。ウホン!では第2王子との知恵の勝負にまいろう!召喚士が呼びし精霊の問いに、見事正解した者が勝利となる。」
大臣に呼ばれた召喚士は、魔法陣を描き、知恵の精霊を召喚する。
その見た目はエジプトのスフィンクスを彷彿とさせる。
精霊は一夏と第2王子の目を見ながら話す。
「我は知を司りし聖獣なり。我が問に答えんとする人の子らよ、どちらが優れし知恵の持ち主であるか。」
第2王子「私は世界を統べるべくあらゆる知識を学んできたのだ!どこの馬の骨ともわからぬ者の頭などたかが知れている。」
箒「むっ、一夏を侮辱するとは!」
弾「落ち着けって箒。」
レオ「おうおう、大層な自信家だねえ。」
簪「一夏は柔軟な思考ができるからきっと対抗できるよ。」
一夏「さて、どんな問題が出るかな。」
これまでとは違い少し緊張する一夏。
聖獣「その者達は遥か彼方に在りて、対をなすものなり。一人は不滅の力をもって恵みを与える者、もう一人は時に姿形をかえ、偽りの力を持つ者。それらの名を答えよ。」
第2王子「むっ、意外と難しいな。」
一夏「これは、少し頭をひねるかもな。」
アルゴス「これは、いわゆるなぞなぞクイズってやつか。」
シャルロット「対をなすって事は、二人一組かな。」
ラウラ「うーむ、対をなすものは以外と多くあるからな。」
本音「ほえー、よくわかんないよ〜。」
数分考えた末、お互いに答えが決まった。
第2王子が先に答える。
聖獣「では答えてみよ。」
第2王子「決まった、答えは『神』と『悪魔』だ。」
聖獣「何故に?」
第2王子「神は信仰において永久不滅のものであり、我らに恵み、加護をもたらす!悪魔は多くの姿があり、人を欺くものだからだ!」
聖獣「・・・・・愚か者、そのような答えではない!」
第2王子「くっ、違うのか!」
続いて一夏の番、
聖獣「さあ、答えてみよ。」
一夏「これ以上ない回答があるぜ!答えは、『太陽』と『月』だ!」
ギャラリー一同「?」
一夏「太陽も月も宇宙にあって、俺たちからは遠く離れている。太陽は朝、月は夜。これが対をなすと言われる理由だ。太陽は常に光輝いていて、自然が育つのに必要だ。
月は日によって満月だったり、三日月だったりするし、光は月そのものではなく太陽のもの。これが欺きを意味する!」
一夏は確信を持った目で聖獣の目を見る。
聖獣「・・・・・見事なり。」
大臣「正解!勝者は一夏!」
一夏「良かったぜー!なんとか正解した!」
第2王子「なん、だ、と。知恵で誰にも負けたことのない私が・・・・・。」
エクトル「流石だ!ちゃんと納得のいく理由まで付けて答えてるよ!」
ビリー「すげえな、俺全然わからなかったぜ!」
箒「なるほど、そういう事か。」
レオ「しかし王子の方はトンチンカンだったな。」
シャルロット「何ていうか、デタラメだったよね。」
第2王子にまで勝利した一夏。残るは第1王子のみ。
果たして決着は・・・・・・。