一夏は海へと落下した後、何とかみんなで救出してラボ内の医務室に戻った。
箒「一夏・・・すまない、私が不甲斐ないばかりに。」
全身包帯の一夏を見ながら箒はそう呟く。
千冬「とにかく、今は一夏の意識が戻るまで待機しろ。」
全員医務室の外に出る。
一同「・・・・・・。」
医務室の外は沈黙のみが続いている。
エクトル「これから、どうしようか?」
鈴「どうするも何も、あいつが治るまで待つしかないじゃない。」
シャルロット「それはそうだけど。」
アルゴス「かといって、このまま何もしないでいるのもな。」
セシリア「さっきから箒さんはあの調子ですし。」
箒の方を見ると、箒はずっと窓の外を見ていた。
箒「(私は、一夏守れなかった。もう、私にはどうすることもできない。)」
ラウラ「・・・・私はもう一度奴に挑もうと思う。」
セシリア「ラウラさん、本気なのですか?」
シャルロット「ラウラ、気持ちはわかるけど無謀だよ!」
ラウラ「このまま奴を放っておけば、被害がさらに広がるだけだ。」
鈴「それもそうね、あたしは賛成よ。」
鈴は元々じっとできない性格ゆえに、ラウラに同調する。
エクトル「だけど、一夏無しで銀の福音を倒すのは難しいんじゃ。」
アルゴス「難しい=不可能じゃねえだろ。俺もラウラに賛成だ。」
躊躇いを見せたセシリア、シャルロットは考えこんだが、
シャルロット「わかったよ、とりあえずやってみよう。」
セシリア「バラバラになるよりはいいですし。」
箒「私は、戦えない。」
一同「!?」
箒はどこか怯えているようだ。
鈴「箒、怖いのはあたしたちも一緒よ。」
セシリア「皆さんで力を合わせれば」
箒「さっきも力を合わせただろう!その結果がこれだ‼︎」
箒は大きな涙声で吠えた。
シャルロット「箒、その、」
箒「す、すまない。」
アルゴス「箒、お前この状況で逃げる気か?そんなんだから一夏があんな目にあったんじゃねえのか?」
不意にアルゴスは箒にきつい言葉をぶつける。
箒「っ!?」
鈴「アルゴス、アンタちょっと言い過ぎよ!」
エクトル「そうだよ!!」
ラウラ「一理あるな、箒は己の力を信じきれなかったように思える。」
セシリア「ラウラさん!!」
ラウラ「とにかく私はもう行く。一緒に戦いたい奴だけ来るんだ。」
ラウラ行こうとすると、
箒「待て!私も行く!」
シャルロット「箒?」
箒「ラウラの言う通りだ。私も一緒に行こう!これこそ一夏のためになることだ。」
エクトル「よかった。これで何とかやれそうだね。」
アルゴス「箒、さっきは悪かったな。」
箒「いや、一夏はアルゴスやエクトルにとって、大事な友人なのだからな。」
鈴「ふう、まったく。一夏がいないだけでここまでチームワークが乱れるんだもの。」
シャルロット「しっかりしなきゃね。」
セシリア「それを考えれば一夏さんは凄いですわね。」
皆改めて、一夏のリーダーシップに敬意を表する。
ラウラ「それじゃ、リベンジといこう。」
「ああ(はい)(うん)‼︎」
一同はとにかく一夏が来るまで場をもたせることにした。
一方、一夏は今も死線を彷徨っていた。ほんの僅かに意識があるものの、殆ど昏睡状態である。
一夏「・・・・ここは。」
一夏はなぜか、見渡す限り青い空と雲の広がる空間にいた。足元は透明な水である。
声「人の子よ。」
一夏「またこの声だ。」
声「あなたは、力を欲しますか?」
一夏「力?」
一夏は訳も分からずただ周囲を見渡しながら歩く。ふと、目の前に人影が現れた。
一夏「!お前は!」
「よう。」
そこにいたのは、そう、本来の一夏であった。
原作一夏「俺の体で代わりに俺の人生を歩んでるみたいだな。」
一夏「お、おう。まさか今更体を返せとか言うんじゃないだろうな?」
原作一夏「そうしたいがそれは無理なんだ。あの事件で俺は本来死ぬことになっていたんだから。」
一夏「そうか、何だか悪い事してるな。」
原作一夏「千冬姉は元気か?箒や鈴に弾は?」
一夏「元気にしてるぜ。一応記憶喪失ってことにしてる。いくら何でもこの状況を信じろって言うわけにはな。」
原作一夏「そうか、よかった。ありがとう。俺はもう生きられないけど、最後にお前の力となりたい。」
原作一夏はそう言うと、全身を強く光らせ、一夏の肉体にその光を入れ込んでいった。
一夏「この力は・・・・・。」
原作一夏の魂が、一夏の生命に強大なパワーを与えていく。
原作一夏「信じてるぜ、もう1人の俺。俺の分まで生き抜いてくれよ。」
それを最後に原作一夏は目の前から姿を消した。
一夏「・・・・・・さようなら、本来の織斑一夏。」
一夏「!?」ガバッ
気がつくと一夏は医務室のベッドで起き上がった。
束「あっ、ダメだよいっくん!まだ寝てなきゃ!」
一夏「束さん、あれから銀の福音はどうなった!?あれからどれくらい時間が経ったんだ!?」
束「今は他のみんなが2戦目に入ってるところだよ。」
一夏「あいつら、無茶しやがって!」
一夏は飛び起きて、急いで着替える。
束「いっくん!」
一夏「こんな時に寝てられるかよ‼︎」
一夏はすぐさま白式を展開してみんなのもとへと向かった。