五反田食堂を後にし、一夏は篠ノ之道場へと向かう。篠ノ之道場は、全国的に有名な名門道場であり、日本一クラスの選手を数多く育て上げてきた。篠ノ之箒も、中学時代には全国大会で優勝を果たした程の実力者である。
ちなみにここは、一夏の実家の町から少し離れた所にある。
一夏「ここが篠ノ之道場か、やっぱ雰囲気あるな。なんか緊張してきたぜ。」
門前に立ち、まさに武者震いする一夏である。深呼吸して、
一夏「ごめん下さい。」
「はい。」
門が開き、原作メンバーの一人、篠ノ之箒が出てきた。
箒「い、一夏⁉︎」
一夏「はじめまして、織斑一夏です。」
箒「あ、ああ。私は篠ノ之箒。お前の幼なじみだ。私の事は箒でいい。」
一夏「…箒、姉さんから聞いてるとは思うけど。」
箒「…その、記憶喪失と聞いたが、本当なのか?」
一夏「ああ、間違いない。」
箒「そうか。(ここにいるのは以前の一夏とは別人なんだな。)」
話を聞き、落胆する箒。それを見た一夏は不意に彼女の手を取る。
箒「っ⁉︎」
一夏「こんな事を言っても駄目かもしれないけど、元気を出してくれ、箒。」
箒「一夏…(記憶を失ってもこの優しさは変わらないな。)」
箒「そう言えば、千冬さんを千冬姉と呼んでいたが、今は普通に姉さんと呼ぶのか。」
一夏「ああ、姉さんはすげえ美人だから軽い呼び方じゃ駄目だと思ってな。」
箒「そうなのか。(今の一夏は千冬さんみたいな女性がタイプなのか。これは難儀だな。)」
一夏「ん、どうかしたか?」
箒「あっ、いや、何でもない。それより、稽古をしてみないか?以前のお前は剣道をしていたからな。」
一夏「そうだな、せっかくだからやってみよう。今後の役に立つかもしれないし。」
道場に入り、以前の一夏が着ていた道着に着替える。ちなみにこれは、一夏が入院中の間、箒が大切に保管していた。
一通り箒に剣道を教えてもらい、軽く手合わせした後、箒は以前の一夏について色々教えてくれた。
箒と知り合ったのは小学生時代で、クラスの男子から不当な扱いを受けていたところを一夏がかばってくれたのがきっかけだという。それ以来一夏とはたまに剣道で手合わせするようになったという。もともとは一夏の実家のある地域に住んでいたが、中学に入る前に引っ越してしまい、今日までまったく会えなかったという。
一夏「にしても、箒は剣道に相当思い入れがあるな。手合わせして負けたから尚更だ。」
箒「いや、なかなかいい勝負だった。」
一夏「じゃあそろそろ帰るぜ。姉さんに夕飯作らなきゃならないし。」
箒「そうか、ではまた会おう。(記憶を失っても相変わらず甲斐甲斐しいな。)」
篠ノ之道場を後にし、一夏は自宅へと戻っていった。