堕天使達との対峙後、一行はIS学園に戻り、千冬に事の経緯を報告した。
千冬「ギリシャでの調査に続きご苦労だった。これからどうなるか皆目見当もつかないが、皆無事で何よりだな。」
一同「はい。」
千冬「・・・・・。」
その返事はどこか空元気とも見られる。
千冬「幸い明日は日曜日だ。今日のところはゆっくり休んで、月曜日からの授業に備えるように。」
報告の後、取り敢えず食堂に行き皆で食事をするも、その間会話は一切なく、
他の生徒達もその妙な雰囲気を気にしていた。
専用機一同「・・・・・・。」
谷本「織斑君達会話ないね・・・。」
鷹月「現場で何かあったのかな?」
のほほん「みんな一緒なのに寂しそうだよ〜。」
楯無・虚・山田先生「・・・・・。」
ただゆっくりと時間が過ぎ、皆それぞれ寮に戻る。
Sideシャルロット・ラウラ
ラウラはベッドに横になり、どこか上の空だ。
シャルロットは気を紛らすためか、ずっと本を読んでいる。
ラウラ「なあ、シャルロット。」
声をかけられシャルロットは本を閉じる。
シャルロット「一夏が何を考えてるか気になるんだよね?」
ラウラ「それもそうだが、一夏の友であるエクトルとアルゴスの事もな。」
シャルロット「天使や堕天使に会ってからあの2人様子が変わってるよね。」
ラウラ「一夏がその事で頭を悩ませているとしたら、私はどうすればいいんだろうか?」
シャルロット「・・・・そうだよね。正直僕にもわからないよ。でも、今まで一夏は僕達も入れて、色んな人の心をよくしてきたし、ここはただ一夏を信じるしかないと思う。」
ラウラ「そうだな。シャルロットに話ができてよかった。」
シャルロット「今日はもう寝よう。おやすみラウラ。」
Side箒・鷹月
箒「・・・・・。」
箒は邪念を取り払わんと言うばかりに、部屋で木刀を振っていた。
鷹月「篠ノ之さん、篠ノ之さん。」
箒「(・・・・・一夏。)」
鷹月「篠ノ之さんってば!」
箒「はっ?」
鷹月「どうしたの? さっきから思い詰めてるようだけど。」
箒「いや、大丈夫だ。ちょっと考え事をしててな。」
鷹月「そう。まあ大方織斑君の事だと思うけど。あんまり1人で抱え込まないようにね。私にも何かできるかな?」
箒「ありがとう、だが大丈夫だ。寝れば少しは紛れる。」
鷹月「ふふっ、そうね。」
Sideセシリア
セシリア「(一夏さんはおそらくエクトルさんとアルゴスさんの事で悩まれてますわ。でもどうしたらいいのか私には・・・・。)」
セシリアは気持ちを落ち着かせるべく、1人でハーブティーを飲んでいた。
ルームメイト「セシリア、まだ起きてたの?」
セシリア「すみません、起こしてしまいました?」
ルームメイト「別にいいわよ。その様子だと、少なくとも恋の悩みじゃないみたいね。」
セシリア「いえ、その・・・。」
ルームメイト「夕食で全く会話がなかったのもそれが原因なんでしょ?」
セシリア「・・・はい。」
ルームメイト「小耳に挟んだんだけど、ベレン君とイリアディス君の様子がおかしいって?」
セシリア「ええ、2人とも一夏さんのお友達でありますし、心配ですの。」
ルームメイト「そうよね、すぐに答えが出るときばっかじゃないもんね。心配なのはわかるけど、もう遅いし、取り敢えず寝ようよ。ちょっとでも元気取り戻さなきゃね。」
セシリア「はい、おやすみなさいまし。」
Side鈴・簪
鈴「ねえ、簪。」
簪「何?」
鈴「あたし達が今してる事って、このまま続けて大丈夫なのかしら?」
簪「女尊男卑を変えていく事だよね。」
鈴「こんな事言っちゃ悪いけど、あの囚人達はあたし達がそれを始めた事で殺されたような気がって感じちゃうのよ。」
簪「それは違うと思うよ。少なくとも一夏は自分なりにこの世界をよくしていこうとしてるし。」
鈴「それはそうだけど、あの2人がね・・・。」
簪「エクトルとアルゴスだよね?」
鈴「うん。一夏はホント人がよすぎるところがあるから、あの2人について悩んでる事は間違いないわ。」
簪「多分答えが出しづらいんだと思う。」
鈴「ま、考えてもしょうがないわ。寝よ寝よ。」
簪「うん。そういえば鈴はビリーが好きなんだよね?」
鈴「ア、アンタ、知ってたの!?」
簪「丸わかりだよ。他のみんなも気づいてるし。でもビリーの鈍感ぶりは尋常じゃないよね。」
鈴「そーなのよ、聞いてくれる!?」
鈴と簪は、少しでも忘れようと互いに他愛のない話をする。
一方、男子達は・・・・
Side弾・レオ・ビリー
弾「なあ、ビリー。」
ビリー「・・・・。」
ビリーはベッドに横になり、漫画を読んでいた。
レオ「おいビリー、漫画読んでないで話聞けよ。」
ビリー「るせえな。じゃあてめえのその手に持ってるのは何だよ。」
弾「ん?」
見ると、レオの手には日本のグラビアアイドルの写真集が。
レオ「あ、いや。」
弾「やっぱお前らも悩んでるんだな。」
ビリー「エクトルとアルゴスがあれじゃあな。」
レオ「一夏は誰より友達思いで、リーダーだしな。」
弾「そういやあいつら、まだ帰ってこないな。」
ビリー「こないだの件で何か話してんだろ。」
レオ「そうだな、先に寝るか。」
レオ達は先に就寝する。
Side一夏・エクトル・アルゴス
一夏は眠れないらしく、1人で屋上に来て夜空を見上げていた。
一夏「・・・・・。(あの夢で見た事は避けられない運命なのか?)」
そのとき、後ろから声がした。
エクトル「一夏、起きていたんだね。少しいいかな?」
一夏「エクトル。」
一夏は複雑な表情でエクトルの方を見る。
エクトル「一夏、僕は君の女尊男卑革新の実現には、君や織斑先生のような絶対なる導きをもつ者が必要だと思う。大天使にまで認められている君なら、きっと神にもなれる。
僕と一緒に、天使達に協力しないか?」
一夏「・・・すまない。急な話で、まだ心の整理が。グリモヴァールの事も気になるし。答えはそれから考えさせてくれ。」
エクトル「そうか、君がそう言うなら待とう。じゃあお先に。」
エクトルは校舎へと戻っていった。
しばらくして、アルゴスが来た。
アルゴス「一夏、少し、話さないか?」
一夏「・・・・ああ。」
アルゴス「プロサナトリスの住人を見たとき思ったんだが、
自分の人生を全部導きに委ねる生き方は正直虚しいと俺は思う。
堕天使のやり口は荒っぽいけどよ、奴らにも一理あると思うんだ。」
一夏「・・・・・。」
アルゴス「俺は、女尊男卑もそうだが、多くの人間を不自由させる
支配を終わらせて、すべての人間に自由を与えられるような世界を支配したい。世界を変えるためにも、一夏、お前が必要なんだ。
俺と一緒に、ルシフェルの所へ行かないか?」
一夏「・・・・すまないアルゴス。エクトルにも言ったんだが、俺はまだ答えが出せないんだ。だが、今後のためにもグリモヴァールには行こうと思ってる。天使や堕天使の真意を知った上で答えを出したい。」
アルゴス「そうか、そりゃあそうだよな。世界に関わることなんだから。返事はいつでもいいぜ、じゃあ部屋に戻るか。」
一夏「ああ。」
グリモヴァールの調査実行を取り敢えず行うことに決めた一夏だが、
拭い去れない不安はまだ続いていた。
千冬「・・・・・一夏。」
千冬は、一夏がこれまでにない大きな悩みを抱えているのを見て
心配そうにしていた。