レクトラートの屋上には、セイリオスを身に纏ったアルゴスが立っていた。
一夏「・・・・待たせたな、アルゴス。」
アルゴス「一夏、やはりお前も、自分の信念を貫き通す事を選んだようだな。
悪魔共から聞いたぜ、神の代行者を倒したんだってな。んで、今度は冥王に挑む気か?」
一夏「・・・・・ああ。そうする事で再び世界のバランスを戻す。」
アルゴス「よせよ一夏、秩序やバランスは崩されるためにあるようなもんだ。人間の本能の化身である悪魔を統べる冥王に、お前が勝てるわけがない。
創造主とやらがどれ程のものか知らねえが、俺はお前にだけは死んでもらいたくないんだ!」
一夏「死ぬ気はさらさらねえよ。だが、俺はお前を止めなければならない!!」
一夏は身構えた。
アルゴス「・・・・何を言ってもムダってことか。残念だな、友であるお前に、この力をふるう事になるとは!!」
一夏「・・・・アルゴス!!」
アルゴスは突然頭を抱え出した。
アルゴス「はっ、がっ、ぐああああぁぁぁぁ!!」
アルゴスの逆立てた髪は完全なオールバックになり、二本の長い角が頭に伸び、肌は灰色になる。
碧眼だった彼の虹彩は、凍り付くようなく白銀となった。
そして、背中からは6枚の禍々しい銀の翼が生えた。
「・・・・我は、冥王ルシフェウス!!完全なる自由と支配を拒む愚かな人の子よ。
創造主クラストとともに砕け散るがよい!!」
一夏「来い!」
一夏はルシフェウスに斬りかかる。イグニッションブーストで間合いを詰めるも、
ルシフェウスは素早く拳を突き出し、一夏に叩き込む。
その後、連続でキックを連発する。
一夏「ぐはっ!!」
一夏は強烈な拳と蹴りを喰らい、口から血が流れ出た。
胸からは焼けるような痛みが走る。
一夏「(こりゃ肋骨何本かいったかもな。)」
ルシフェウス「どうした、それで終わりか?」
一夏「うるさい!零落白夜光!!」
零落白夜光を放つが、命中した瞬間、そのまま自分に跳ね返ってきた。
一夏「ぐわっ!!」
ルシフェウス「愚かな。冥王の鎧を、ただの人の子の武器で砕けるとでも思っていたのか!?」
一夏「なら、白影剣!!」
白影剣を放つが、ルシフェウスの鎧を貫くことはできなかった。
一夏「畜生!!どうすれば!?」
ルシフェウス「ならば今度は我が行くぞ!!」
ルシフェウスは再び間合いを詰め、一夏を拳や蹴りでなぶり殺しにする。
一夏「ぐふっ!!ゴフッ!!」
ルシフェウス「とどめだ!!」
ルシフェウスは両腕から禍々しいエネルギーの波動を放つ。
一夏「白鋼で受け止めるぜ!!」
波動を受け止めた瞬間、白鋼は砕け散った。
そして、それと共に一夏の左腕が千切れて吹き飛んだ。
一夏「うああああっ!腕がっ、腕があああぁぁぁぁっ!!」
片腕を失い、一夏はそのまま地面に叩きつけられた。
Side専用機一同
千冬「このままでは埒があかない。専用機持ちは全員織斑の所に向かえ!!」
箒「先生、ですが、」
弾「救助の方は」
千冬「ここは私たちに任せろ、早く行け!!」
セシリア「・・・・わかりましたわ!」
シャルロット「行ってきます!」
ラウラ「クラリッサ、ここを頼むぞ!!」
クラリッサ「はい、隊長!!」
一行は一夏とアルゴスの元へ急ぐ。
Side一夏
一夏「くっそおおぉーっ!!」
片腕でもなんとか応戦する一夏。しかし、今度は
アルゴス「どうした創造主よ、もう終わりか?」
一夏「・・・・終わるのは、俺が死ぬ時だ!!」
効かないとわかっていながら、一夏はなおも雪片弐型で斬りまくる。
アルゴス「今一度汝に問う。神の代行者の秩序・導きを拒み、且つ我の理想たる支配・自由も望まない。
それでは汝は一体何を望んでいるのだ?」
血だるまになりながらも、一夏は答える。
一夏「ゴフッ・・・確かに、俺たち人間は生きる目的や方向を見失いがちだ。それに、何を信条とするかも違う。だが、どれほどの違いや隔たりがあっても、人はこの地球で共に生きてきたんだ!!例えどんなに過酷でも、俺は人間の善を、そして、友情を信じる!!故に、お前からアルゴスを救い出す!!」
ルシフェウス「愚かな、もはや貴様の力では我は倒れん!!アルゴスはとうに我との契約により死したのだ!!」
声「そいつはどうかな?」
一夏「!?」
見ると、そこには一夏が信じる仲間たちがいた。
ビリー「一夏、俺たちが来たからにはもう安心だぜ!!」
鈴「待ってて、今行くから!!」
ラウラ「ここは私たちに任せろ!!」
ビリー、鈴、ラウラは一夏の前に出る。
レオ「これが、アルゴスの手にした力なのか!?」
簪「これが、冥王・・・。」
弾「さっき俺らは神の代行者にも勝てたんだぜ!今更ビビったりしねえよ!!」
箒「一夏、お前の信念、しかと見せてもらったぞ!!」
セシリア「一夏さん、ああなんてひどい怪我を!!一先ず手当しなくては!!」
シャルロット「僕らがなんとかルシフェウスを止めるから!!」
一夏は箒の元へ行き、箒の絢爛舞踏で白式を回復させる。
その間、他の者はルシフェウスを多方向から攻撃する。
一夏「皆、まって、ろ、ガフッ!!」
箒「一夏、あまり喋らないほうがいいぞ!」
一夏「ほう、き・・・俺の、左腕を取ってくれ。」
箒「!?」
箒は落ちている一夏の左腕を見て驚愕する。
箒「一夏、お前、まだ戦う気なのか!?」
一夏「大丈夫だ、あれには、エクトルに託されたものがある。だから、取ってくれ。」
箒「・・・・わかった。」
箒は千切れた一夏の左腕を一夏のところに持っていく。すると、
箒「!?」
突然、一夏の左腕が光り輝き、同時に一夏の胴体に元どおりくっついた。
そして、左腕から全体にかけて、白式に黄金の筋が入り、零落白夜光の砲身にボウガンのようなものが付いた。
一夏「これは、ケイローンが俺に力を!?」
一夏は途端に力を取り戻し、ルシフェウスの元に行く。
ビリー「ぐはあっ!!」
セシリア「ビリーさん!!」
弾「ゲホッ!!」
鈴「弾!!」
ビリー、弾が瞬く間にルシフェウスの蹴りの餌食になる。
簪「やっぱり、一夏じゃないと倒せないのかも。」
レオ「おい、あれ見ろよ!」
シャルロット「一夏!?」
一夏が戦闘に舞い戻ってきた。その左腕には、ケイローンの力の込められた弓と一体化した砲身が。
一夏「ルシフェウス、これでアルゴスの中に巣食う貴様を貫いてやる!!」
一夏は雪片弐型をまっすぐ投げ、そこに零落白夜光を放つ。
それは、エクトルのアルテミスの大きな矢の形となって、凄まじい勢いでルシフェウスの胸に突き刺さった。
ルシフェウス「ぐぬっ、こ、これは!?」
ルシフェウスは身悶えする。
ルシフェウス「さすがは創造主と神の代行者の力、だがもう遅い。アルゴスは既に死した!!」
ラウラ「いいや、アルゴスは死んでいない!!」
鈴「あたし達がアルゴスを信じる限りね!!」
ルシフェウス「ほざけ、こうなれば貴様らだけでも始末してくれるわ!!」
弾「来るぞ!!」
シャルロット「アルゴス、僕たちの声が聞こえたら返事をして!!」
ルシフェウス「黙れ、これで終わ・・・・あ、がっ!?」
ルシフェウスは突如動きを止める。
レオ「奴の様子が変だぞ!?」
簪「見て、あいつの顔が!!」
ルシフェウスの顔の半分に亀裂が入り、崩れてきている。
ルシフェウス「うご、おご、うあああぁぁぁっ!!」
ルシフェウスは顔を押さえながら悶える。
ルシフェウス「何故だ!?貴様は我との契約によって死を遂げたはず!!何故まだ生きている!?」
ルシフェウスの顔を押さえた手が、無理やり引っ張られるかのように離れる。
押さえていた顔の部分は完全に崩れ、崩れたその中には・・・・
箒「!?、あの顔は!?」
一夏「アルゴス!!」
ルシフェウスの崩れた顔の部分から、本来のアルゴスの顔の一部が露出している。
アルゴス「一夏、それにお前ら、早く俺を抹殺しろ!!」
ルシフェウス「だ、黙れ、貴様は引っ込んでいろ。」
アルゴス「俺は何をしていたんだ、一夏、俺はお前と同じように、今の女尊男卑の世を変えていこうと、それを執念に生きていた。俺はいつも、人に認めてもらうには絶対なる力が必要と考えていた。だから俺は冥王の支配の力を・・・。」
一夏「アルゴス・・・・・。」
アルゴス「でも、それは間違っていた。俺は支配欲で自己を見失い、守るべきものを捨てていた!
大切なお前らとの友情、絆、そして、共に日々を過ごした思い出を!!」
ルシフェウス「黙れというのが聞こえぬのか!?」
アルゴス「皆、俺に構わずルシフェウスを殺せ!!」
一夏「皆、今がチャンスだ!!全員でルシフェウスを抑えろ!」
一同「了解!!」
弾、ラウラがそれぞれの武器でルシフェウスの足元をがんじがらめにする。
ルシフェウス「やめろ、くるなああぁぁ!!」
箒、簪がルシフェウスの両腕を抑え、ビリー、鈴がルシフェウスの左右の翼を捉える。
ルシフェウス「離せ、離さぬか!!」
セシリアとシャルロットがガラ空きになった腹部と背中を狙撃する。
ルシフェウス「うごおおぉぉぉ!!」
ルシフェウスの身体の半分近くが崩れ、アルゴスの肉体が出る。
一夏「アルゴス、捕まれ!!」
アルゴス「ああ!!」
アルゴスはルシフェウスから抜け出した右腕を一夏の方に伸ばし、一夏はそれをつかみ、ルシフェウスとアルゴスを引きちぎらんと言わんばかりに引っ張っていく。
ルシフェウス「まさか、死した契約者が再び我から肉体を取り戻すとは!!」
アルゴスはルシフェウスから完全に抜け出すと、すぐさまセイリオスを展開する。
一夏「アルゴス、決めろ!!お前自身の光で冥王を撃ち砕け!!」
アルゴス「ああ、いくぜ!テロス・フラス!!」
アルゴスの凄まじい波動が、ルシフェウスを飲み込む。
ルシフェウス「ぐおぉぉぉ!!・・・またしても我は堕天するか、だが忘れるな!!例え創造主がいようとも、人は同じ過ちを、歴史を繰り返す。
その時が来れば、再び我が降臨することを!!!」
ルシフェウスは老朽化した建物のように崩れ去っていった。