モデレーションタワーでは、一夏とネロの一騎討ちが始まった。
一夏の雪片弐型による剣技を、ネロは同じ剣装備「ヘル・グラディウム」で応戦する。
遠距離では白影剣や零落白夜光を放つも、ネロは一夏の白鋼と同じ左腕盾装備「ファルサス」、白影剣に似た「セリスティス」、零落白夜光に似た「アガリアレプト」で打ち消す。
一夏「武器攻撃だけじゃ駄目だな。」
ネロ「フッ、お互いにな。」
似た者同士だけあって実力は互角。
一夏「ならここで切り札を出すぜ!!」
一夏は一撃必殺のアビリティ「零落白夜」を発動。
ネロ「ならばこちらも切り札だ!!」
ネロも白式同様一撃必殺の効果を持つ、サタナキアのアビリティ「ルキフゲ・ロフォカレ」を発動。
雪片弐型の青いエネルギー光刃とヘル・グラディウムの赤いエネルギー光刃が、砕けるような衝撃でぶつかり合うも
効果は互いに相殺し、どちらのシールドエネルギーもそのままである。
一夏「ヘッ、なかなか決まらねえな。」
ネロ「ああ。だが、面白くもある。」
一夏「奇遇だな、俺もそう感じていた所だよ。」
一夏とネロは敵対している筈なのに、お互い心底勝負を楽しむかのような戦いぶりになっている。
しばらくすると、エクトルとアルゴスがやってきた。
エクトル「一夏、大丈夫か!?」
アルゴス「俺達も加勢するぜ!」
一夏「手を出すな!ここは俺1人でやる!」
アルゴス「何言ってんだよ!」
エクトル「仲間を呼んでくるかもしれないぞ!」
ネロ「安心しろ、こう見えて強者とは一対一で勝負する流儀でな。」
エクトル・アルゴス「・・・・。」
エクトルとアルゴスは2人の戦いにただ呆然としていた。
Side千冬
VTウィルスの事態を見かねた千冬は、打開策を見つけるべく、束と連絡をとっていた。
束「なるへそ〜、大変だねえちーちゃん。いつでも束さんの胸に飛び込んできていいからね〜!」
千冬「やかましいわ!それより、VTウィルスに感染した機体の修復を頼む。それと、VTウィルスの解析と対策も早急に頼めるか?」
束「ほーい、了解です〜。」
程なくして、感染した専用機は束のもとに預けられる事になった。
皆待機状態の専用機を外し、千冬に預ける。
ビリー「くそー、これじゃ丸腰同然じゃねえか。」
箒「仕方ないだろう、私達ではどうしようもないのだから。」
シャルロット「それより、今一夏はあのネロって人と戦っているんだよね。」
弾「心配だな。」
鈴「アイツまた1人で行っちゃったもんね。」
セシリア「今は一夏さんの無事をお祈りしますわ。」
レオ「もっと問題なのは、俺達が専用機を取り戻す前にまた襲撃されたらどうするかだよな。」
簪「うん、流石にずっとあの三人に負担がかかるのは気が引けるもん。」
ラウラ「とりあえず今は訓練機を代わりに使うしかないな。」
楯無「VTウィルスの事は、篠ノ之博士に任せましょう。」
Side一夏
戦闘開始から2時間近く経つが、一夏とネロの力は未だに拮抗している。
だが、シールドエネルギーを大分消費しているため、中盤からはお互い剣一本のみで戦っている。
アルゴス「ここまでくると、後はもう根比べだな。」
エクトル「2人とも流石に疲労の色が見えるよ。」
エクトルとアルゴスは息を飲んで見ていた。
ネロ「一夏、貴様にとってISとは何だ?」
斬り合いの中、つばぜり合いになった所でネロは一夏に問いかける。
一夏「・・・クラストにも同じことを聞かれたが、答えはすぐには見つからねえよ!」
ネロ「・・・・成る程。」
一夏「俺もお前に聞きたいことがある。」
ネロ「何だ?」
一夏「大阪で見たクローンのパイロットはみんな人形同然だった。だがお前はクローンでありながら、確固たる意志を持った
普通の人間として生きているように見える。お前は強大な力を持っているが、アスタロトや他のクローンと違って、
眼に輝きが見える。」
ネロ「何が言いたい?」
一夏「・・・本当はお前もわからないんだろ。何故アスタロトの命ずるままに生きるのか。
この世の人類を刷新するために何故犠牲が必要なのか。」
一夏のこの一言にネロは少し動揺した。
ネロ「っ!黙れ!」
気に入らないとばかりにヘル・グラディウムを振りかざす。
Sideアスタロト
アスタロトは、モデレーション・タワーでの一夏とネロの戦闘をモニターで眺めていた。
アスタロト「・・・ネロ、今一瞬戦うことを躊躇したわ。どういう事かしら?」
アスタロトはネロの思わぬ動揺に疑問を抱く。優秀なクローン・パイロットである筈のネロに、
ある種の感情が芽生え始めているように見える。
アスタロト「カイム、ネロに帰還するよう連絡しなさい。」
カイム「かしこまりました。」
Sideネロ
ネロのハンドヘルドコンピュータに カイムからの通信が入る。
ネロ「カイム、今は戦闘中だぞ!」
カイム「ネロ様、アスタロト様がお呼びです。ここは一旦引き上げられた方がよろしいかと。」
ネロ「・・・わかった、すぐに戻る。」
ネロはそう返事をすると、一夏に背を向ける。
一夏「おい待てよ、逃げる気か!?」
ネロ「一夏、勝負は預ける。母様が呼んでいるのでな。」
ネロは変身を解除し、ブーストでその場から離れた。
一夏も変身を解除し、エクトルとアルゴスのもとに降り立つ。
アルゴス「一夏、大丈夫か?」
一夏「少し疲れただけだ。」
エクトル「ネロ、恐るべき力の持ち主だな。」
一夏「ああ、だが何故か奴からはそれほど敵意を感じなかった。」
アルゴス「何言ってんだお前?」
エクトル「彼はアスタロトの息子なんだぞ。」
一夏「わかってる、ただちょっと気になっただけだ。」
三人は急いでIS学園に戻っていった。