ネロ「・・・・。」
ネロはアスタロトの元へ戻る途中、一夏の言葉を思い返していた。
思えば今まで自分の意思で決めたことなどないに等しい。
アスタロトの理想に何の疑いもなく、命ずるがままにアスタロトの息子として、また、
アスタロトにとって最大の兵器として育ってきた事に、今更ながら疑問に思えた。
また、何故か一夏を抹殺する事に関して、そうしなければならない理由がわからなかった。
一夏はISに選ばれし者であり、女尊男卑のこの時代においても屈することなく活き活きとしている。
そして何より、創造主クラストをその身に宿している事から、世界を変えるために利用する価値は
十分にあると、ネロは考えていた。
だがアスタロトは、自分の意にそぐわない者はすべて消し去るつもりでいる。
それが本当に平和に繋がるのか。
ネロ「・・・とにかく今は母様に従うべきだろう。」
ネロはアスタロトの研究所に戻った。
ネロ「只今戻りました。」
アスタロト「ネロ、一夏相手に専用機の力を十分に発揮できていたわ。」
ネロ「ありがとうございます。」
アスタロト「今日はもう休んだらいいわ。」
ネロ「はい。」
ネロは自室へと戻る。
その後、アスタロトはカイムとエキドナを呼び出す。
アスタロト「ネロなんだけど、一つ気になることがあるの。あの子は一夏との戦いを楽しんでいるように見えたわ。」
エキドナ「カイム、どういう事か説明したら?」
カイム「・・・はい、ネロ様の肉体は、基本的に織斑一夏のDNAを基盤としていますが故、潜在意識的なもので
何かと一夏に同調してしまうのではないかと。」
カイムは言いにくそうに憶測を語った。
アスタロト「・・・なくはないわね。」
エキドナ「いかがいたしましょう?」
アスタロト「・・・取り敢えずは様子見ね。事によっては再教育を施すのも手だわ。
ひとまず一夏達との戦いは一時休戦にしましょう、向こうも戦力を大きく削られてるけど、一夏、エクトル、アルゴスが残っているし、それに、あのブリュンヒルデやジル・マイヤーズといった強者もいるし。」
カイム「では、こちらも戦力の増強に専念いたしましょう。」
アスタロト「カイム、他のクローンの管理はどうかしら?」
カイム「今の所問題はありません、向こうがもたついている間に数多くの強力なクローンを作りましょう。」
一時休戦とはなったが、IS学園側からしてみれば、到底見過ごせない状況にある。
Side一夏
ネロとの戦闘後、一夏、エクトル、アルゴスはIS学園に戻った。
千冬「無事だったか、織斑!」
一夏「大丈夫ですよ、ネロとの勝負はつきませんでしたけど。」
エクトル「ネロ、彼の強さは間違いなく一夏と対等です。」
アルゴス「どうも奴はアスタロト以上に一夏に対して思い入れがあるようです。」
千冬「そうか。」
一夏「・・・・・。」
エクトル「それより、他のみんなの専用機は治りそうですか?」
千冬「束のもとに届いてはいるが、今回は束でも時間がかかるようだ。」
山田先生「VTウィルスは前代未聞のものですから。」
アルゴス「じゃあ、あいつら暫くの間丸腰って事っすか?」
山田先生「いえ、暴走を免れた訓練機を代わりに使いますよ。」
千冬「そういうわけで、お前達には申し訳ないが、暫くはあいつらの護衛をお前達に任せる。」
一夏・エクトル・アルゴス「はいっ!!!」
三人は教室へと戻る。すると、
箒「一夏、無事だったか!」
セシリア・シャルロット・ラウラ「一夏(さん)!!」
一夏「おう、心配かけたな。」
谷本「もう、1人で行くなんて無茶だよ織斑君。」
鷹月「またすごい敵と戦ったんだよね?」
のほほん「おりむー、心配したよぅ〜。」
教室に入るなり一夏は取り囲まれた。
一夏「はははっ、悪い悪い。」
レオ「相変わらず無茶するよなあ。」
ビリー「しかしまあ、状況が状況だけに、仕方ないんだよな。」
弾「三人とも悪いな、専用機直したらまた戦力として頑張らせてもらうからよ。」
一夏・エクトル・アルゴス「ああ。」
Side束
束「は〜、これは本当に嫌になるね〜、でも箒ちゃんの紅椿もあるし、ちゃっちゃとやっちゃわなきゃ。」
束はVTウィルスに感染した専用機の修復を行っていた。性格上、気に入らないことや興味のない事に関わる事を極度に嫌う。
だが、千冬の頼みであり、妹の機体が被害にあっているとなれば仕方がない。
Sideネロ
ネロ「・・・・。」
ネロは自室に戻っても、一夏の事が頭から離れなかった。
ネロ「・・・俺は母様のためだけに生きる身であると教わった。それだけが俺の生きがいだと思っていた。
だが、俺自身の目標とは・・・一体何なのだろう?この男性蔑視の世の中であれほど生き生きとしている男は
これまで見た事がない。奴も母様同様、この世界を変えていこうとはしているが、それならなぜ母様は一夏を敵視しているのだろう?俺は母様の命ずる通りやつと一戦を交えてみたが、奴が憎いわけでもないのに何故戦うのだろう?」
考えれば考える程わからなくなるネロであった。
そして、時は過ぎ・・・
Side千冬
千冬「束、機体の修理はどうなった?」
束「今日の午後には届けられるよー!」
千冬「そうか、それならいい。問題はVTウィルスとやらの事だが。」
束「大丈夫!それに対抗するシステムも作っちゃったから!」
千冬「フッ、たまにはまともな事をするな。」
束「『たまに』ってのはないんじゃないかな〜?」
後日、修復した専用機が各々のもとに届けられた。