塵閣下になりました   作:あーぷ

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準主役機の出落ち

 

 

 ボロ布と化したターバンマスクを脱ぎ捨て、身体のあちこちに降り積もったガレキを押しのけてから左上を見上げる。

 

 部屋の斜め上から突きこまれていたEl.アンドヴァリ内蔵のチェーンウィップが、さっきまで背にしていた正面モニターの残骸をこそげつつ、蛇の頭のようにズルリと抜けて戻っていくのが見えた。

 

 モニタールームは既に部屋としての機能を喪失している。天井筒抜け、壁は崩落、ついでに施設もほぼ全損。もともとここはギアパドック全体から見ればデータ処理用に設けられた片隅の一室に過ぎなかった。そんなところにギア・バーラーの一撃が容赦なくブチ込まれたわけで、おそらく外から見れば部屋全体が崩れた豆腐のようになっているだろう。

 

 半円形、ハーフドーム状のギアハンガー。そこの直線壁裏からの一撃は、壁と部屋なかをアッサリ貫通し、外の床まで突き抜けて連続した大穴を空けている。

 

 不意打ちは成功。部屋の入口前に突っ立って構えをとっていたグラーフは、先程見事に直撃を食らって扉や壁材もろともすっ飛んでいった。ビンゴってかあ。

 

 

 

 

 

 

 ……もっとも、今のは俺自身が相当にデンジャーだったわけだが。

 

 サイドステップがコンマ数秒遅れ、後数歩ぶん部屋の中央側に寄っていたら。その時点でこっちも巻き込まれてグチャグチャのミンチ肉と化していただろう。

 

 適正搭乗者の思念が乗り切った、ギア・バーラーの狙いすました強攻撃。ガード余裕で擦り傷どまりのガレキの飛礫とは比べ物にならない。こないだのドラゴンすら歯牙にも欠けない威力が出ており、生身のエーテル防護膜なんて掠めるだけで紙細工みたいに引き裂いていたはずだ。

 

 今さらながら冷や汗がダラッダラに溢れてくる。冗談抜きにさっきの瞬間は今の所一等死に近づいた場面だったよーに思う。トラップのエサ役なんてもう金輪際やらねえからな。

 

 

 

 床に落ちてひしゃげている持ち込み式の端末に目をやると、音声機能がかろうじて無事だったらしく、そこからシグルドの声がノイズ混じりで聞こえてきた。

 

『囮ご苦労。いいタイミングだったぞ、カール』

 

 おうおう。とりあえず最初の賭けには勝てたらしい。正直死ぬかと思ったが、命中精度に関しちゃお前さん以上は望めんだろうからなあ。

 

『ここまでお膳立てされてはな。乗り慣れない機体とはいえしくじる訳にはいかん。……しかし聞きしに勝るバケモノだな。生身であれだけ食らって、まだマトモに動けるとは』

 

 ……だなあ。スマンがしばらく足止め頼む。重ねて言うが無茶はするなよ。ギア・バーラー同士とはいえ出力差は歴然だ、今のでどれだけ削れているのかも分からんし、さっさと二人で囲んで打ち合わせどおりにフクロだフクロ。

 

 

 

 そう。入り口側をめちゃくちゃにしながらギアパドック側に向かって猛烈に吹っ飛んだグラーフの身体は、常人どころか超人でもミンチ確定の一発をモロに食らったにも関わらず、しっかり原型を保ったままだった。

 

 錐揉みしつつ床にぶつかり、何度かバウンド。流石に最後は潰れたトマトと化すかと思いきや。

 

 ヤツは全身のバネを使ってかろうじて着地。そのままベクトルを反転させ、立ち尽くしているORヴェルトールに向かって勢いよく飛び込んでいったのだ。

 

 

 

 いつの間にか胸部カバーが開いていたコックピットへ、正規の乗り手がホールインワン。ORヴェルトールは直ちに再駆動を果たし、漆黒の翼が機体後部に展開する。

 

 赤黒い憤怒のオーラを全身に纏い、悠然と浮かび上がるその姿は、腹の立つことにやたらと様になっていた。格好付けやがって。

 

 つーか、高適性の搭乗者がギア・バーラーに乗った状態で奇襲かけてもダメとか一体あの仮面野郎の耐久力はどうなってんだ? あんなもん反則だ、反則。とっととレッドカード一発で退場にしろ。審判は何をやっている、鼻水男をつまみ出せ!

 

 ……誰かつまみ出してくださいホントお願いします。

 

 

 

 

 

 

 先ほどの不意打ちに続いて、二度目の派手な破壊音が周囲に響く。ギア一機が通り抜ける隙間を作るために、もう一発チェーンウィップが振るわれたのだ。もちろん互いのフロアを正規に行き来させるためのシャッターは備え付けられているんだが、今はそんなものをちんたら開けているヒマはない。

 

 叩き崩した壁の残骸を片手で軽く押しのけつつ、El.アンドヴァリがギアパドックに全貌を現す。

 

 それを目にしたORヴェルトールが、驚いたヒトがやるように顎をあげて前首を聳やかせた。

 

 完全に機体と乗り手が同調し、搭乗者の思い描く所作がダイレクトに反映されているのがそれだけで分かる。

 

 原作でエリィは塵閣下の乗ったヴェンデッタを完全体と呼んだ。今のORヴェルトールは、極限まで相手を過小評価しても確実にその域には達しているのだった。もちろん上値は天井知らずでゲンナリすることこの上ない。

 

『これはまた懐かしい機影よ。なるほど、合点がいったぞ。“器”の共鳴を頼りにここを探り当てたのだな!』

 

 なんか、グラーフがオープンチャネルで勘違いを叫んでいるが。アニマの器にはそういう使いみちもあったのか。原作では古文書がどうたらと濁されていた、レンマーツォとシューティア用のアニマの器を所在を割り出した手段はおそらくそれだったんだろう。

 

 手元に器同調済みのバーラーが複数有ったからこそ取れた措置。あんな世界の果てに落着したエルドリッジの一ブロックが、唐突に見つけ出せた理由としてはそれなりの裏付けがあったわけだ。

 

 

 

 まぁさておき。El.アンドヴァリを前に、懐かしさからアレコレ語ってくれるのなら、時間稼ぎもシグルド任せでひとまずは何とかなりそうだった。そのスキにこっちもとっととギアで駆けつけてしまおう。それでもって一気にタコ殴りだ。

 

 ORヴェルトールの外部センサーに引っかからないよう、遮蔽物に身体を隠しつつ。俺は壁に空いた大穴を掻い潜り、隣のフロアに飛び込んだ。

 

 

 

 正体が元宇宙船らしく、俯瞰的にみると遺跡内部は凡そシンメトリーになっている。ぶち破られた壁の反対側も、来た側とほとんど同じ半円状の開けた空間である。

 

 明かりを落としたままなせいでかなり薄暗いが。遺跡内部にギアを運び込む折にEl.アンドヴァリでこじ開けた天井の穴から、ギラつくような砂漠の太陽光が差しているおかげで動き回るのに不便はなかった。

 

 オリンピック選手顔負けの跳躍力でホップステップを繰り返し、最後のジャンプで、フロアの片隅に伏せてあるギア・アーサーへと取り付く。

 

 アヴェ王党派主力ギアの上位機種、『エーンガス』。

 

 騎士団員用の通常機種に原作どおりディルムッドの名前が割り当てられた(ブリガンディアの量産型だった本家とはまったくモノが違うが、カラーリングが赤ベースに白線で統一されているおかげで見た目の印象だけはわりと近かったりする)ため、こっちのネーミングとしては同神話での彼の養父から引用してある。

 

 その外見もその中身も、ゼボイム・ギアの特別仕様機がほぼそのまんまだ。非公式ながらも王家公認機というケッタイな経歴。まぁ、それについてはアンドヴァリを除いた王党派のギア全般に言えることではあるんだが。

 

 機体そのもののポジショニングについても、今とゼボイム時代で何一つ変わらない。いわゆる指揮官機としての扱いを念頭におき、戦況を俯瞰的に把握するための高い情報処理能力が持たされている。

 

 通常の戦闘行動よりも広い範囲をカバーするために、採用されているジェネレータの出力係数は高く。そこから得られる潤沢なエネルギーに堪えられるだけのバッファーを備えた基礎構造は極めて頑丈でもあるわけだ。

 

 相変わらず本稼働には準エレメンツクラス以上が必須というシロモノだが、そのぶん性能は折り紙付きだった。

 

 最近ソラリスで初期型がロールアウトしたばかりのヴィエルジェ・タイプをカタログスペックで上回り、高品質なゼボイム製パーツも相まって、適当な人間が乗れば、同調率低めのギア・バーラーに近い戦闘力が期待できる。

 

 

 

 ……とはいえ、どこまでいっても所詮はギア・アーサーではある。基幹部分での脆弱さは否めず、特に俺が乗ってジェネレータの係数をちょろまかしつつフル稼働すると、原作のヴェルトール・コピーよろしく、一戦こなすごとに即時精密検査コースに行ってしまう。

 

 通常運用でも整備性は悪く。ランニングコストも嵩む。それでいて対期間で見た稼働能率は高くない。っていうか低い。

 

 正直、仕様としてはメカニックからも財務担当からも非難轟々待ったなしな物体なんだが……今回ばかりは、そこらは多目に見てもらおう。

 

 なにせ、ここでグラーフを落とせれば大金星だ。憑依先の状態が悪いおかげで、今のヤツは原作時よりも能力的には劣っているはず。加えてさっきの不意打ちで肉体にはかなりの負荷がかかっているものと見られ、現状そこまで分は悪くない、ような気がしなくもないではない。

 

 今こそ手持ちの賭けどころと言えよう。どこまでいっても偶発的な遭遇で、準備不足な事実には目を瞑る。ヤツをコレとアンドヴァリの二機で挟み撃ちにしてボコり倒せば、撤退に追い込むどころか、勝ちの目だってあるはずだ。

 

 

 

 ……そう思ってたというか。願望混じりで必死にそう思い込もうとしていたんだが。

 

 コックピットに乗り込み、スリープモードを大急ぎで解除し。オプション装備の硬質ブレード片手に、立ち上がらせた機体を、さっきのフロアに向かって突っ込ませようとしたその瞬間。

 

 猛烈な衝撃と金属の破断音が、近場で続けざまに響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 絶句という言葉は、きっとこういうときにこそ使われるべきなんだろう。

 

 ……んなこと考えてる場合じゃねえ。んだが。右手をコントロールスティックから離し、思わずフリーズした頭を抱えてしまう。

 

 正面モニターには残心を取っているヴェルトールと、頭から壁に突っ込んでうつ伏せに倒れたEl.アンドヴァリの姿が映し出されている。

 

 アンドヴァリの状態は明らかにひどいものだった。サブモニター上の僚機ステータスなんか見なくともわかる。半ばから叩き折られた右腕がチェーンウィップと共に床に投げされており、関節構造に反した巨大な負荷を掛けられたせいか、膝部分のアクチュエーターも両足ともに完全にイカレて反対向きにひん曲がっている。

 

 おそらくカウンター気味の一手目で右腕を破壊。続けてホバリング飛行からの足蹴り連打で両足も見事に殺されたものと見られる。そこからダメ押しとばかりに回し蹴りでも食らったらしく、背面のブースターも完全にスクラップと化していた。

 

 三連撃を綺麗に決められ、カンストダメージ×3でHP残量ゼロ。そのまま吹っ飛ばされてノックダウンかよ。勘弁してくれ。

 

 

 

 コックピットに直撃を貰った様子がないのが不幸中の幸い。とはいえ、機体へのダメージは物理的な衝撃となって内部に向かって押し寄せる。あのやられようではパイロットに掛かった負担がえげつないのは火を見るより明らか。

 

 流石に死んではいないとは思うが。グラーフを見ていれば嫌というほど分かるとおり、エーテル感応値と身体の頑丈さは、ある程度以上に比例する。かといって無事でもなさそうだった。さっきからピクリとも反応がないあたり、少なくとも昏倒はしてるんだろう。

 

『夢にまで見た雪辱を、果たさせてくれたことに感謝しよう。ファティマの末よ』

 

 シグルドは決して弱くない。パイロットとしてのセンスはバルトに多少劣っているかもしれないが、そこまで大差はないだろうし、何よりユーゲントの正規教育を受けている上に両目が未だ健在である。

 

 感応値もしっかりエレメンツクラスであり、トータルで見れば18歳時のバルトと同等かやや上回るくらいのはずなのだ。

 

 そして、ゼボイム製パーツを駆使してチューンしたEl.アンドヴァリは原作グラーフ戦時よりも出力が上がっている。相手が格上というのも分かっているから油断があったわけもない。プラス要因だけでマイナスはほぼゼロ。

 

 ……これで即落ち二コマなんてことは、流石に思ってもみなかった。

 

 

 

 しかし、どうやらグラーフにとって、アンドヴァリとサシで再戦するというのが完全に想定内だったこと。その一点だけで、諸々の積み重ねがまるっと吹き飛ばされてしまったらしかった。なんてこったい。そんなもん、分かんねえっつうの。

 

『さて。フィガロの者よ。些か順序を違えてしまったが、先の約束を果たすとしようか。死出の餞に、このヴェルトールの真髄を味わうが良い』

 

 うーむ、これ、詰んでないですか? こっち来ンなよ、ホント。塵をおもちゃにして遊ぶのはやめろやマナー違反だぞ。

 

 

 

 

 

 

 ゼボイム文明入魂の高性能機とはいえ、ORヴェルトールの前では如何せんなんとも頼りない。一応、牽制としてこちら側もブレードを構えてみせるが。ぶっちゃけ無駄なあがきも良いところで、勝てる見込みなんてまるっきり有りもしなかった。

 

 そもそも、ギア・バーラーとギア・アーサーを比較した際の最大の違いは機体構造の頑健さにある。エネルギーの出力だけに絞って見れば、例えば戦艦用の大型ジェネレータやヴェルトール・コピーに搭載された一品のように、モノによってはバーラー内蔵のジェネレータに肉薄、あるいは凌駕するケースもなくはないのだ。

 

 しかし、そうした高出力のスレイブ・ジェネレータに耐えられる機体を一から製造する技術力は、この惑星における文明には過去現在を通して存在しない。

 

 実際、ヴェルトール・コピーはバルタザール翁にセカンドとして改修され、その際にアンドヴァリと同様の構造材に換装されることで初めてイド・モードを継続的に使用することが可能となっている。それまではイドがプッツンして大暴れするたびに、毎回機体をダメにしてメンテ送りになっていた。そうならざるを得ない理由としては、機体を構成する素材レベルでの頑健性が不足していることに拠っていたわけだ。

 

 タイミングを考えると、セカンドに用いられたバーラー式の構造材はメルキオール翁謹製のナノ・アセンブラーで複製されたものと見られる。バーラーを手持ちにしているソラリスやシェバト製の機体に一切採用されていなかったことから、正攻法ではおそらく量産不可能な材質なんだろう。

 

 そうした技術的なボトルネックにより、現時点ではアーサーでバーラーに正面から立ち向かうのは無謀としか言いようがない。例えるなら片方が鉄剣、もう片方が木剣でチャンバラをやるようなもので、一合二合と打ち合ううちに木剣側が叩き折れるのが目に見える。当初の想定でも、グラーフ戦では直撃をもらわないように回避重視で立ち回り、避けようのない部分についてはアンドヴァリに負担させることで、なんとかチクチク削り殺すというのが勝ち筋だった。

 

 言ってしまえば、シグルドを盾にしつつ俺が背後から後頭部をドツき回す作戦だったわけだ。

 

 その作戦要の盾はというと。現在砕けて床に転がっている。

 

 その時点でもうわりとどうしようもない。かるーく小手合わせをするだけで、こっちの機体が基礎構造からイカレて行動不能になってしまう。実際に試してみるまでもなく、そうした結果は分かりきっているのだった。

 

 

 

『さっきの威勢の良さは何処にやったのだね? さあ、来たまえ』

 

 こちらに向き直ったヴェルトールは、両腕を組んで悠然と構えたまま動かない。

 

『儚き生の絵姿を、詳らかにしてみせるが良い。その不格好な機体は、この場には些か不釣り合いではあるがな。それでも今このとき、おまえ達のような者共に巡り合うのも、まさしく因果というものだ。他ならぬこのわたしが、やがて来る真なる滅びのその日まで、おまえという存在在りしことを然と憶えておいてやろう』

 

 懐かしきご先祖に免じて、記念に一発打たせてやろうってか。この野郎完全に遊んでやがる。

 

 なんかもう、言動と行動のあらゆる部分から陰湿さがにじみ出ている気がしてくるぜ。これだから接触者とかいうヤツはよう。まぁ、出会い頭からこっち、色々とやられっぱなしなことからくる被害妄想的な部分もあろうし、憑依先の人格や波動存在の影響を考えるとラカン本人だけを非難するのもフェアじゃないかもしれないが。

 

 しかし努めて客観的に見ても、グラーフがやってきたこと、今後やらかすであろうことがどっちも大概なのは間違いないのだ。

 

 500年前の崩壊の日。エルルの悪夢。そしてラハン。ことさらに善悪を云々するつもりはないが、とりあえずどんな国の法律に基づいても大犯罪者待ったなし。

 

 その上、さっきのが夢にまで見た雪辱戦ってことはだな。コイツ、500年前にアンドヴァリに乗ったロニ・ファティマにしてやられたのを長らく根に持っていて、今に至るまで返り討ちにする脳内シミュレーションに常々余念が無かったってことだよな?

 

 暗い。暗すぎる。マジで勘弁しろよこの野郎。「誰よりも優しい」とかいうソフィア評にしたって、あんなもん母親と恋人のダブル欲目がてんこ盛りになっててあてにならんわ。そりゃロニ・ファティマだって小言のひとつも言いたくも……。

 

 

 

 ……あ。

 

 ふいに思いついた。

 

 それで状況を打開できるかはともかく。とりあえず今のどん詰まり状態を動かせる一手を。

 

 

 

 正直、ほとんどヤケクソみたいなプランの気がせんでもないが。それでもこのまま嬲り殺しにされるくらいなら、一発博打を打ってみたって良いはずだった。

 

 腕力勝負でどうにもならんとくれば、口八丁の出番だろう。やるだけやって損はない。ダメでもともと。細工は流々結果は仕上げを御覧じろってか。

 

 

 

 右手のグリップをほどいてブレードを放り投げ、乗機を一歩前に進めてから直立させた。ヴェルトールが中のグラーフの感情に合わせて怪訝そうに首をかしげる。俺は大きく深呼吸しておいてから、外部スピーカーのスイッチを入れた。

 

 燃え上がれ俺の役者だましい。可能な限り落ち着いた声色を作って、語りかけるように、一言目を告げた。

 

 

 

 ……相変わらず暗いなあ、ラカン。

 

『……!』

 

 

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