塵閣下になりました   作:あーぷ

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未来志向カッコ願望

 

 

 前方にいる三人の中で、初っ端のインパクトから最初に脱したのは外相殿だった。というか、表面上彼にはほとんど影響が無かったように見える。先だってのやり取りのおかげで彼だけ事前情報が多く、こっちがソラリス側の要人だというのはある程度予想の範疇だったんだろう。

 

 しかし、彼は形式上女王を立てる必要があるのか、こちらを見据えたまま、口を開く様子を見せなかった。

 

 間もなくゼファー女王も驚きから立ち戻った。僅かに見開いた目つきが元に戻り、どこか眠たそうにも見える超然とした表情が整う。彼女の発する凛とした気配が。俺のやらかした不作法を払拭し、会談の場にたちまち泰然とした雰囲気が戻ってくる。

 

 お綺麗な口元から、子供らしい高めの声が、似つかわしくない威厳とともに紡がれた。

 

「……その身の証は?」

 

 なお、カーン殿がリカバリーしたのは一番最後だ。たぶん背後の儀仗兵ズと大差なかったんじゃなかろうか? 単なる年齢順であり、それに加えて役職と経験の多寡が物を言っただけなんだろうが、目の前の三人で見た目が一等イカツい人間が最後まで身構えっぱなしだったのはわりと見ていて面白かった。

 

 いやまぁ、ンなこと笑ってる場合じゃないんだが。

 

 

 

 

 

 

 ……残念ながら、この場で分かりやすく示せる紋所なんかの手持ちはありませんが。物証であればまぁ、それなりに。

 

 例えば、絵描きラカンの乗機たるヴェルトールが、この私の手によって動かすことができている、というのはどうでしょう。ご存知かと思いますが、人造神たるギア・バーラーは、それぞれが己が乗り手を選ぶ明白な意志を持っており、本来、相応しき者にしか乗りこなすことができません。

 

 しかし私にはその制限は通じない。天帝の血筋とは、すなわち数多の伝承の祖となる神の血脈。父なるカインがそうであるように、この私もまた、あらゆるギア・バーラーを等しく乗りこなすことができるのですよ。

 

「ほう……」

 

 加えて、いわゆる過去視、ないし未来予知めいた天啓を得ることも能う。それもまた、祖なる者としての権能のひとつでしてね。そのおかげで、私はあなた方の為人を、大まかながらも事前に識ることができているというわけです。

 

 もっとも……こちらについてはそこまで好き放題に扱えはしませんし、そもそもがエーテル能力によって『今現在得られる情報から仮想的に演算する』形式かと目されますので、百発百中とは程遠いシロモノでもあるのですけれど。

 

 

 

「……なるほど。根も葉もない話、というわけではないようですね。敵国ソラリスが主、天帝カインの有り様には、私たちも細を穿つまでを知り抜くものではありません。しかしあの機体、ヴェルトールについては既に調べが付いています。確かに、あれは、かつて私たちの戦友たる男の、駆っていた機体に違いない」

 

 未だあの者を戦友と呼ばれるのですね、陛下? いえ、ここは第三公女殿下と引き続きお呼びするべきか?

 

「お好きになさい。あなたが地上人の特使たるを本分とするのか、それともソラリスの皇族として振る舞うのか。それは我らには預かり知らぬこと」

 

 左様ですか。では、陛下。地上のファティマ王家が、貴国との友好を望んでいるのは事実です。彼らはソラリスの介入により現在苦境に立たされており、対抗勢力としてシェバトの力添えを欲している。

 

 下界における正当な力関係を無視した外部からの横車に対して、別の向きから横槍を突き入れるのは順当な選択かと考えます。貴国としても、この度の協定を実戦力を伴う介入の緒とし、地上に対する直接的な影響力を拡張できるメリットは少なくないはず。是非ともお受けいただければと思います。

 

 私としましても、このつながりは大いに後押ししたいところなのですよ。他ならぬソラリス打倒のために。

 

「祖国の打倒を望むと?」

 

 そういうことになりますね。とはいえ……一切合財を滅ぼすと言われたら、そのときには異論の一つも唱えさせていただくつもりですが。あの国がやらかしていることがロクでもないのは周知のことだ。けれど、国民尽くがその罪を背負い、連座させられるほどのものとは思わない。

 

 もともと、あの国はガゼルですら抑圧された被支配者層にすぎないのですよ。歪みの表出は外界だけに留まらず、身の内側にもひどく及んでいる。となれば、取り除くべきはその歪みの大本。そうは思われませんか?

 

 現状では皮算用にはなりますが、責を負わさるるべきは諸々の実行犯と指導者層。後者に当たってはガゼル法院と、それからカレルレンあたりが本丸かと考えています。……ああ、貴女にとっては、彼もまた戦友の一人だそうですね。しかし、私の考えでも、あの男がやってきたことはいくらなんでも目に余る。

 

「……」

 

 先ほど、私の予知は精度が今一つだと言いました。500年前ともなると殊更不明瞭ですので、そのあたりを鮮明にするために、想い出話をお聞かせいただきたい気持ちは大いにあります。興味本位にしても、実益の面を考えても。

 

 ですがそこまでズケズケと踏み込むには時期尚早かと思います。それに、見るべきは今このときであって、過去ではない。

 

 未来志向の話をしましょう、陛下。ソラリス・ゲブラーによって、イグニスにおける支配能力につき、後退を余儀なくされているものの。現ファティマには粒ぞろいの戦力が揃っています。

 

 二隻のユグドラシル級を中核とした、貴国のギア部隊にも引けを取らぬ中隊級の機械化戦力。そして、ファティマの至宝たるギア・バーラー、El.アンドヴァリ。

 

 ここに貴国のバックアップを加え入れれば。ソラリスの戦力を地上から一掃することも、けして夢物語ではありません。

 

 もちろん、この私自身も一将校として戦列に加わらせていただく。これでもあなた方の宿敵たるラカン《グラーフ》を、搦め手の下とはいえ、退けられるくらいの腕前はありますのでね。総じて失望させるようなことは無かろうと自負しておりますよ。

 

 

 

 イグニスにおける長年の戦乱は、そもそもがソラリスによって仕組まれたものです。作為の手を取り除き、繰り手の存在を光の下に晒さば、人々の矛先がそちらに向かうは必定。

 

 最大大陸の世論はなかなかバカにはできません。そうなれば見通しは一挙に変わる。

 

 これまで地上世界は防戦一方を強いられてきました。百年、二百年、それ以上に渡って。余りにも長過ぎる逆風だった。しかし今、その流れを反転させ、戦力を結集し、理不尽な支配にあらがう反乱の狼煙を上げることができる。

 

 この度の両国の結びつきをきっかけとして、それが成し得る。私はそう、確信しているものです。

 

 

 

「フッ……ずいぶんと、大言壮語をされますね。確かに、特使殿の言われることが尽く真実であれば、そうした未来図も、絵空事ではなくなるのかもしれません。誠に夢のある話、と言えましょう。無論、実現性については大いに議論の余地がありましょうが」

 

 と、女王陛下はヴェールの向こうで口元を歪めた、ように見えた。

 

「しかし、そこまで先を見据えるのであらば。あなたが求むる行く先というものが気にかかる。ソラリスに掣肘を加え、しかしかの国を滅ぼすつもりはないのだと言われる。斯様な者が求めるのが、果たして後釜に座ることであろうというのは、思い過ごしではありますまい。天帝カイン倒れし後に来たるのが、ラメセス一世による理不尽たる差配でないと、誰が断言できましょう? 権力を倒すことに血道をあげる者は、また自らが力に溺れて良く人を苦しめるもの」

 

 ええ。当然そうした懸念はあるでしょう。厄介なことに、私には単なる武力だけでなく、権力の礎として用いること能う、絶対命令権《地位的な特質》をも備わっている。

 

 簒奪を試みる動機もある。天帝の世継ぎとは言うものの、しょせん私は、カイン身罷りしに備え置かれたスペアに過ぎない。実情として、ガゼル一般市民に対して私の存在というのは、ほとんど周知されてもおりませんのでね。せいぜいが、突如行方をくらませた主席の将校見習い、といったところでしょう。

 

 天帝としての素質を持ちながら、オリジナルが存在するが故に、私はうとまれ、日陰者とされる。分かたれた力を消し去れば、すべては我が手のうち。

 

 永の刻を生き続けるカイン《あの男》に対し。諸々の不満から良からぬ企てを目論むというのは、まったくもって、ありふれた話だと言えましょう。

 

「……ふむ」

 

 だけど、そのあたりの危うさを担保する術を持ちあわせてはおりません。むろん、私にも野心というものはありますが(いや無ェけど)、それをこの場で云々しても、どうにもならないかと思います。今はただ、愚直に、事実関係を提示するのみとさせていただく。

 

 現時点で、我々と貴国との間には、共通の利害に基づいた関係性の構築が可能であると考える。私個人が信を置けぬはやむを得ぬこと。ソラリスに無視できぬ痛撃を与え、人々の独立を勝ち得た後に。今一度、どういった形で天下国家を料理するかを考えればよい。

 

 とりあえずはそうした割り切りで居ようじゃありませんか、お互いに。あるいは、各々が。

 

 

 

 

 

 

 ……ここのところをさらに突っ込んでこられた場合に、お出しする題目については一応準備済みではあった。

 

 ソラリスが行ってきた各種非人道的な行為を突っついてもいいし、全世界規模の経済支配による非効率性を指摘してもいいだろう。

 

 いっそのこと、ソラリスの真なる目的、デウスの復活についてもある程度情報を開陳し、連中の目指すところが、そもそもこの星に生きる人々という健全な土台から掛け離れていることを示してみるのもアリかもしれない。

 

 アニマの器、天空の楽園マハノン、そしてゾハル。シェバトの人々が「創生の伝承」として認識しているエピソード各種。そういったものも、しょせんはデウスの下にあらゆるすべてを集約するための、導線として流布された「仕掛け」にすぎないんだ、という。

 

 

 

 古代兵器の再建。そのためにすべてが仕組まれている。色々と状況証拠は多いものの、なかなかぶっ飛んだ話ではあって、ご納得いただくのはひどく骨の折れる作業だろうとは思う。

 

 それでも、いつかは彼らに伝えなくてはならないことではあるし。何より今このとき、俺という異物を押し込むにあたって、そうしたケレン味溢れるご説明が効果的なのは自明だった。

 

 

 

 ……まぁ、そもそもソレくらいしか手の打ちようがないという説もあるんだが。

 

 とにかく現状ヴェルトール以外に物証がねえんだよ、物証が。

 

 両国家の関係性につき、シェバトにアヴェが完全に従属してしまうようなケースはなるべく塞いでおく必要がある。しかし、人員、影響力ともに雀の涙の王党派では事前準備するにも限界があって、こっちの手札の貧弱さは、正直なところまったく目を覆わんばかりだ。

 

 結局、俺が俺自身を交渉カードにして無理押ししている始末である。ラメセス一世とかちゃんちゃらおかしいが、これでも無い無い尽くしから捻り出した苦肉の策なのだった。

 

 

 

 さあ、どう来るゼファー女王。こっちは引き続きペラペラ喋くる用意は出来ているぞ。……あんまやりたかないけど。

 

 

 

 

 

 

「そう、ですか。……そうですね、つまらぬことを尋ねました。お忘れいただきたい」

 

 ところが、女王陛下はあっさり引いてくれた。マジかい。有り難いけど肩透かし。

 

「特使殿。貴方のあやふやさはリスクではありましょう。ですが、永きに渡るソラリスとの千日手に、一石を投じることが出来るのならば。手を伸ばすだけの価値は在ると見ます。未来志向、たいへん結構。その点については我々も異存はありませぬ」

 

 それでは、前向きにご検討いただけると。

 

「ええ。互いに不利益とはならぬはず。あくまで親書にて提示された条件に基づいてのこと、細部については今後詰めていく必要がありましょうが。シェバトは、ファティマ王家との嘗ての間柄を取り戻すであろうと。ファティマの現継承者に、そうお伝えいただきたい」

 

 陛下の言、確とお預りいたします。正式な手続きに先立ちまして、私の口から直接本人に伝えるとしましょう。バルトロメイ殿下に。

 

 そうですね、彼が諸手を挙げて喜ぶかは微妙なところですが、とりあえず面白がりはすると思います。仲良くしてあげてください。ちょっと考えなしなところはありますが、本質を見抜けるだけの聡さは十分に備えているし、それに、悪い子ではないので。

 

「個人的な友誼はむろん望むところです」

 

 ありがとうございます。嘗ての両国間の空気が舞い戻ってくるのは素敵な話だ。

 

 数多の柵を乗り越えて、これからのシェバト、ファティマ、両王家の先行きに友好と平安あれ。

 

 ああ、それと。これは陛下に直接了承をいただくべきことかと思いますので、先走りかもしれませんがこの場でひとつお願いしておきたいのですが。

 

「なにか?」

 

 この国にもギア・バーラーが一機あるでしょう。El.レグルス。前述のとおり、私になら扱えますから、帰りの足としてアレを頂戴したいのですよ。ヴェルトールと交換という形でお願いできませんか?

 

 ゆくゆくは我々の共同戦線下において、アヴェ側の戦力としての実戦投入を見込みます。つまりは浮いた資源の有効活用といったところ。

 

 まぁ、あのギアのビジュアルは男の俺には似合わないだろうというのはありますが。元の持ち主が持ち主ですしね。ですがそのあたりについては、謹んで目を背けることと致しまして。

 

 

 

 

 

 

 

 ……ありゃ?

 

 ゼファー女王の表情が一瞬、停まった。人の顔が停まった、てのは変な表現だが、しかしそれ以外に言いようがない。まるで映像のストップモーションのように、彼女の表情が動くのを忘れ、良く手綱を握られた感情の写し鏡としての役割を喪失していた。ほんの僅かの間だけ。

 

 

 

 うーん。なにか地雷を踏んじまったか? 察するところ、どうも初っ端の名乗りのときよりも、よっぽど彼女を動揺させてしまった感がある。

 

 原作でヒュウガが「どうせ誰も使えないんだから貰っちまえ」みたいなことを言っていたから、いくらギア・バーラーといえども、シェバト側にとってそこまで大したウェイトは無かろうという判断だったんだが。

 

 500年前にソフィアと同調したギア・バーラー、El.レグルス。彼女が特攻死してからこの方、一切動かしようのないまま倉庫で埃を被っていたはず。

 

 データ取りなんかもとっくに終わっているだろうし。向こうさんが使える見込みがあり、出力で上回るヴェルトールを差し出せば、パワーバランス的にも交渉テーブルに問題なく乗ってくるくらいのシロモノだと思っていたのが、アテが外れた格好だった。

 

 

 

 ちなみに、隣の外相殿にもなにかを察したような雰囲気がある。カーン殿の方は特に変わったところはないように見える。

 

 つまり、500年前の当事者だけが感じ取れる何かが有った、のか?

 

 

 

 ……いやまぁ、単に武官と外交官の差が出ているだけって可能性もあるか。

 

 ぶっちゃけ、カーン殿からは終始居心地が悪そうな感じが漂っている。俺という正体不明の危険人物に対応するためにあちこち引っ張り回されているものの、彼にとっては概ね畑違いの仕事なわけで、ここに至るまでいまいちリアクションが拙く見えるのも仕方のない面があるんだろう。

 

 ゲーム中の会談の場においても、ワイズマン《彼》は部屋の外に突っ立ったまま、話には直接噛んで来なかったはずだしな。

 

 そのあたり同情の念を憶えつつ、一方であんまりこの人を判断材料としてアテにすべきではないかなあ、という気もするのだった。

 

 

 

 

 

 

「……少し、疲れました」

 

 と、ゼファー女王はしばし両目を閉じ、それからあてどもなく虚空を見つめた、かに見えた。

 

 彼女自身が微かに身じろぎすることで、ヴェールの角度がいくらか変わり。その内側をはっきり見通すのはかなり難しくなっている。

 

「外相。この者との交渉は貴方に任せます。大筋は今ここで告げたとおりですが、戦力の引き渡しを含め、諸条部は貴方の裁量にて差配なさい。くれぐれも丁重に。軍部との折衝も後回しでよい」

 

「御意。……特使殿、お聞きになった通りです。この場は一旦お下がりいただきたい。後ほど、王城の会議室にて、わたくしどもと再度ご会談いただけますかな。ギアの件を含め、条約締結に向けての草案作りと参りましょう」

 

 承知致しました。それでは後は然るべき場所にて。

 

 陛下、ひいては第三皇女殿下。この度にはお時間をお取りいただけたことに感謝を申し上げる。今後のご健勝を心よりお祈り致します。

 

 

 

 ……んー? まだ実務に話を持っていくには早いような気がするが、このタイミングでもう下に丸投げか。表面を上滑りするよりも具体的なところを詰めたいこっちとしては、ありがたいっちゃありがたい展開ではある。

 

 しかし、今後の両国関係のキモにあたる部分を捌くにあたって、元老院の一人にフリーハンドを与えるってのは構わないんだろうか? ここでのやり取りはせいぜい旗色を確かめあったという程度でしかない。この後を投げっぱなしてしまうと、たぶんまるっきり手綱が握れんぞ。

 

 原作中の表面的な印象とは異なり。どうやらシェバトの権力構造において、女王(と三賢者)の扱いというのは意外と軽いようだ。そして元老院は500年前同様、未だにしっかり幅を利かせている?

 

 意思決定機関としての元老院。その上に立つ女王陛下はあくまで象徴であり、名目上の安全弁にすぎない? 過去の大戦犯に対する扱いとしては釈然としないものがある。とはいえそのあたりを過度に追求してしまうと、シェバトのコア層を根こそぎすることになりかねず、国家運営に生じる支障が殊の外大きかった?

 

 結果としてナァナァのまま、今でも彼らに実権が残り続けている、というあたりか?

 

 

 

 ……どうだかね。まぁ、いずれにせよ向こう側の内幕はまだまだ捉え難い気配がある。結論づけるのは勇み足だろう。

 

 レグルスの件も気にかかるが、この場は言われたとおりに大人しく引っ込むことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 もういちどユーゲント式で一礼し、女王の間から退出した。

 

 俺自身の動作は引き続き自然体を保つ。格式ばった部分を意図的に削ぎ落とし、ちょっとしたフォーマルな催しにでも参じたかのように振る舞ってある。

 

 友好国の特使であると同時に敵国の皇太子(自称)でもあるわけで、ある程度は傲岸不遜でないといけない。当初から既定路線の行動ではあるんだが……シンドいっすわ、これ。

 

 人間、ヘタに周りから浮かないようにするっていうのは本能的な部分に関わってくる。無駄に目立ったら狩られて死ぬのは長らく自然界の掟だった。それに逆らってる時点で間違いなくストレス源なのに、意図的にやっているせいで、沈みそうになる身体を必死にバタつかせる疲労感も加わる。

 

 ダブルパンチで倍率ドン。そりゃメンタルに来るわなっていうか。

 

 正直、こんなもん、ヘーコラへりくだってるほうがよっぽどお気楽だよ実際のところ……。

 

 

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