あれから半年経った。
俺はその間、えーりんと薬の材料を取りに行ったり
たまに壁の傍に来る妖怪の撃退をしていた。
俺はこの街での生活に慣れてきていた。
わからないこともあったりしたが、そこの問題は時間とえーりんが解決してくれた。
ある日のこと。
「ねー奏音ー?」
「なんだ?」
「防衛軍に入ってみない?」
防衛軍とは、この街を壁の外から進撃してくる妖怪から守る部隊であると聞いていた。
「なんで俺が?」
「だって強いじゃない。前に私を守りながらでも多くの妖怪を一人で倒してたし。」
「あの時は逃げておくべきだったかな・・・面倒くさい。」
「それに・・・・・」
「それに?」
一拍おいてからえーりんは嫌そうな顔をして口を開いた。
「まだ私の手伝いをしてるけど、このままじゃあなたニートよ?」
「な、ナンダッテー!」
そういえば仕事らしい仕事をしてないことに今更気づいた。
えーりんの警護といっても毎日あるわけじゃない。
確かにこれは仕事を少しでも多くした方がいいかもしれない・・・・。
「だけどさ。防衛軍以外にも仕事はあるだろ?」
「あなたに防衛以外に何ができるっていうの?商売とか場所が無いわよ?」
「うっ・・・」
俺は料理など、仕事になる特技は持っているのだが残念ながらその特技を生かせる場所はない。
「しょうがないか・・・ほかにやることもないし。」
「引き受けてくれるのね!もう手続きはしてあるからいってらっしゃい!」
「俺がその仕事を受ける前提だったのかよ・・・」
そんなこんなで防衛軍に入りました まる
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「今日からこの部隊に配属しました。神城奏音です。よろしくお願いします。」
うっわー周りの人たち怖い人ばっかりだぁ・・・
もうあの人とか絶対悪い人じゃん・・・目つき悪いっ
ここでかなり長い時間を過ごさなきゃいけないのか・・・
「じゃぁ早速だが見回りに行くぞー」
「イェッサー!!」
まじで慣れるか心配になってきた・・・
そうして、俺たちは街の外にある森までやってきた。
「ここには妖怪のリーダー的存在がいるらしい!心してかかるように!」
いきなり初任務でこんな重要な仕事が・・・
俺という新米がいるのになぁ。まあえーりんが何か言ったのかもしれないが。
しばらくすると、隊員の一人が何かに気づいた。
「あの洞穴が怪しいです!行ってみましょう!」
あ、あの洞窟は・・・・
「・・・・俺が作ったやつじゃん・・・・」
そう、それは俺が作った住む場所への入り口がある洞窟であった。
あまり妖怪が来ると面倒なのであそこはあまり見つけられない設定をしてあったのに・・・
「まぁ見つかっちゃったものは仕方がないか。」
「何をぶつぶつ言っている?怖気づいたのか?」
「い、いえ!ちょっと考え事をしていただけです!」
「まぁ良い。この任務に支障がないようにしとけよ。」
「はい。」
さぁどうしようか。一応ついていくことにしよう。
・・・入口消せば問題ないな。なんで気づかなかったし。
先頭のやつが洞窟に入っていった。
「あいつは十分に力もあるし並みの妖怪じゃぁやられないからな。」
そうなのか、少し安心した。
しばらく経って、洞窟の中から隊員が出てきた。
「何もいませんでしたっ!」
「そうか。ご苦労だった。」
そりゃそうだろうな。今の今まで誰も来ないようなところだったし。
「もうすこしここら辺を当たってみよう。さっきの洞窟に住んでいた可能性もある。」
住んでいたの俺ですけどねー。と口に出かかったが、なんとか出さないようにする。
そして俺たちは更に奥へと進んでいく。
「うーん。何もいないな。日が悪かったか。」
まぁ割と近くにいるんだけどね。
俺は霊力とか使って周りに何がいるかがわかっている。
流石にあの機械を出すとまずいと思ったから霊力で代用した。
そして現在。俺はかなりの量の霊力を放出して妖怪を近づけないようにしている。
大体このぐらいの量を出せば他のものも気づくのだが
俺はほかの隊員の服に「霊力を感じない」という効果を付けたので問題ない。
「よし。じゃぁ帰るぞ。」
「えぇっ。もう帰るんですか!?」
ほかの隊員らがざわつく。
まぁ、出てからそんなに時間は経っていない。
それにいつも日が落ちるまで外にいたからだろう。
「何を言っている。ここにいたって時間の無駄だろう。帰って訓練していた方がいい。」
「ですが・・・」
「帰ろう。帰ればまた来られるから・・・・」
んん?何か聞いたことがあるセリフだぞ??
まぁいいか。
俺は締りの悪い初任務を終え、拠点へ戻った。
こんな感じで大丈夫なのだろうか・・・?
とりあえずここに馴染むところからだ。
出来れば積極的にほかの隊員と話したいところだ。
前の門番のおっちゃんみたいな人がいればなぁ・・・
そううまくいくはずもなく、俺はほかの隊員と話すことなく一日を終え・・・
「るわけないだろうがーーっ!!」
俺はまだやることが・・・というよりやっておきたいことがあった。
今、先ほど来たあの洞窟の近くに来ていた。
あの時近くにいた妖怪を探しに来たのであった。
「おーい妖怪さんやーい」
子供が動物を呼ぶときのようにといっても実際どうなのかは知らないがまぁ大体で。
「うーん。もうどこかに行っちゃったのかなぁ・・・」
もう何時間か経ってしまったし流石にいないかな・・・
妖怪は大体夜行性らしいからもう遠くへ移動してしまったのかもしれない。
「レーダーにも反応ないしな・・・やっぱりどこかに行ったのか。」
ここにいても何も起きもしないので帰ることにした。
明日また探すとしよう。
そして俺は眠りについたのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チュンチュンと、外で鳥の鳴き声が聞こえてくる。
瞼を開けると眩しい光が目に入り込んでくる。
防衛軍の朝は早い。学校よりは早くないがそれでも夜型になった自分にはちょっと早い気がする。
ゆっくりと体を起こし伸びをする。
「うーん。もうちょっと早く寝ればよかったかな・・・」
「おい。もう時間だぞ。さっさと支度して来いよー。」
「わかってるって。今から向かう。」
防衛軍の一人が言いに来た。やっぱりもっと早く寝ないときついなぁ・・・
訓練をするときの服装に着替えて俺は外に出て行った。
「では、これから訓練を始めるっ!」
「イェッサー!!」
隊員はそれぞれに訓練を始めた。
筋トレをする者、剣の素振りをする者、他の隊員と模擬試合をする者。
皆が様々な訓練をしている。
「どうしようかな・・・」
まだ来たばっかりで何を訓練したらいいかわからない。
もう転生してくる前にある程度の訓練は積んだのだが。
「おい奏音!試合しねぇか?」
そこに声をかけてきたのは隊長だった。
「隊長・・・俺なんかと試合したい人なんているんですか?」
「あぁ、一応お前の身体能力も見ないとな。そこから何かアドバイスもできるはずだ。」
「そうですね。アドバイスをもらえるのはありがたいです。お願いします。」
「よし!じゃぁ闘技場に移動するぞ!」
闘技場。という言葉が聞こえた瞬間、周りの隊員が一斉にこっちを見た。
やっぱりこれぐらいの人数で一斉に見られてると怖いというか恥ずかしいというか・・・
ちょっと焦っている俺を無視して他の隊員は隊長に寄ってくる。
「試合ですか!?」
「あぁ、こいつと例の
おぉー、と歓声が上がる。
そして俺にも声がかかる。
「頑張れよ!」
「俺もお前の実力が気になっていたんだ!」
「死なないようにな・・・」
おい、ちょっと最後待て。何、死ぬの?
というか相手ロリコンって何?
「隊長、死なないようにってどういうことっすか。」
「あぁ、闘技場ではここでの模擬試合みたいに手加減は無しの全力勝負だ。」
oh...まじか。
「まぁ心配するな。今まで闘技場で死んだなんて事は少ししか聞かない。」
いるんじゃないですか。やーだー。
「ほら、さっさといくぞ。」
「イェッサー・・・」
隊長に引きずられながら俺は闘技場へと向かった・・・
失踪なんてしませんって!