「・・・うぐう。」
「た、助け・・。」
「な、何なんだ・・お前・・・。」
そこには、死屍累々が広がっていた。砂浜に倒れている人々、その誰もが怪我を負い、死人も多数見受けられる。
「なんだ、襲って来たからそれなりに強いのかと思っていたけど。そこまで、警戒する必要もなかったにゃ。」
そんな、凄惨な現場に響く気の抜けた声。まさしく、この惨状を引き起こした猫。もとい、キメラアント。ネフェルピトーのものであった。
「それはそれとして、人間初めて見たにゃ。」
ピトーは産まれて初めて、人間を見た。産まれてこの方、島に住む原生生物しか見たことがなかったがそれを見た瞬間人間であると彼女の謎の知識が言っているのだ。ピトーも不思議に思ったがすぐ考えるのをやめた。このまま、生きて行くのにあまり関係ないのと考えてもあまり楽しくなかったからである。
「それに、戦っている時に感じた不思議な感じはにゃんだったんだろう。」
ピトーは思い出す、この人間達が自分に襲い掛かってきて戦った時の事を。人間たちの持っている武器を躱し、自分の爪で彼らの体を切り裂き駆け回っていた時に自身の体から目に見えない力が溢れ出したような感覚。筋肉のそれとはまるで違う、それそのものが力であるような。不可視のエネルギー。
「今も、感じる。」
そう呟き、彼女は砂浜を後にした。
「うーん、なかなか難しいにゃ。」
廃墟、多少苔むしているその建物はその最奥に隠されている財宝を守るために。大昔、何者かに建てられたが。今は、この島の生態系の頂点に君臨しているキメラアントの都合に良い巣になっていた。
今、廃墟の整えた自室で、彼女は目を瞑り。先程から感じているエネルギーをより感じようと四苦八苦していた。自分の好きなように操れるような気がしてやってみたが、成果は芳しくない。今は、自身の周りに纏わせるのが精一杯である。しかし、だからと言って。諦める気はさらさら無かった、この島で長い間生きて来て久方ぶりの未知。先程の人間も興味がない訳でもないがこの謎のエネルギーの方が、面白い。
マリンフォード、海軍本部と呼ばれる要塞であり「絶対的正義」の名の下に多くの海賊たちから世界政府加盟国の民衆を守ってきた海軍の要所である。
「おーい。入るぞ!センゴク!なんじゃ、用とは。」
「きたか、ガープ。」
勢いよく扉が開けられる。そこから現れたのは、肩幅の大きい身長は2mを超えるような大男であった。それに応えるのは、部屋の奥に置いてある大きなデスクに腰掛け、大量の書類と睨めっこをして、頭にカモメを乗せた帽子をかぶっている。これまた肩幅の広い、大男であった。
「今日も仕事をサボっているお前に任務だ。」
「くか〜、は!で、なんじゃって。」
「寝るな!バカもん!いいか、よく聞け。新世界に潜伏している諜報部員から、報告が上がってきた。」
「新世界〜、てことは。ビックマムか、それともカイドウか」
「違う、今奴らと事を起こしている暇は無い。お前も分かっているだろ。」
「ま〜の〜、ロジャーが死んでからというのも、どこもかしこも海賊じゃもんな〜。」
海賊王ゴール・D・ロジャーが処刑されてからというもの、彼が死ぬ直前に言い残した言葉のせいで海賊の被害は増加の一途を辿っていた。
「呑気なこと言ってる場合か!まいい。今は、お前の任務だ。この海図に載っとる島に行ってこい。」
「なんじゃ〜この島、孤島じゃの。」
「ただの孤島ではないぞ、財宝と大量の海楼石が埋蔵されているらしい。問題はそれ目当てに、多くの海賊がその島に向かっていることだ。ガープ、貴様にはこの島に向かっている海賊どもを逮捕もしくは討伐してきてくれ。」
「おう!任せておれ!ブワッハハハ!」
あれから数年の月日が流れた、ピトーは例の謎のエネルギーをオーラと名づけ弄り回していた。最初は体の周りに纏うだけだったが、圧縮したり引き伸ばしたりしてオーラへの理解を深めていた。それで分かったのは、自分は本気を出せば島全体にオーラを広げられその範囲内にいる生物の動きを察知できることや、拳などにオーラを纏わせてん殴ると破壊力が上がることオーラを圧縮したり激しく動かしてやるともっと破壊力が上がることなど。知れば知るほど、面白いことばかりであった。そして、オーラで出来ることの総称を『念』と呼ぶようになった。しかし、もっと大きい発見もあった。それは、この島で生活していて何度か襲撃してきた海賊を弄っていた時のこと。
「も、もう・・ころ゛じてく・・れ・・。」
(はー、もう死んじゃった。もっと遊びたかったなー・・。)
ピトーの中で物足りないという思いが増えていく。実は今ピトーに死体を弄られている海賊、懸賞金3億ベリーを超えるかなり戦える人間だったりする。ピトーが今まで戦ってきた人間の中でも、1番強いと言っても過言では無かった。その戦いはピトーに、今まで感じたことの無い快楽と愉悦、興奮をもたらした。
(また、戦いたい・・・、遊びたい遊びたい戦いたい戦いたい)
頭の中が、欲望に支配されていく。どうすればま戦える?また来るのを待つか、いや。いつ来るのかもわからない、僕は今やりたい。どうすれば?治せばいい!
その瞬間、ピトーを中心に渦巻いていたオーラが一点に集まり出し形を成し始めた、口を縫い合わせどこか優しい目をしている歪な人形がピトーの真上に発現した。そして、腕が引き千切れ肋骨が砕かれ内臓もいくつか潰れている海賊の死体を治療し始めたのである。ピトーはこのことに狂喜乱舞したが、いざ治療が終わって出来上がったのは綺麗な海賊の死体であった。当然、ピトーは落胆した。しかし、突然自分の『念』に発現した奇怪な人形に興味を持たないはずが無く。その日から、『人形修理者』と名付けた人形を弄り調べる日々が始まった。『人形修理者』で治した海賊に外のことを聞いたり、また戦ったり。『人形修理者』で直した死体を腐らないように防腐処理できることにも気が付いたりした。そんな中、カモメを模した旗を掲げた船団が島に近づいていた。
まさかこんなにも早く感想が来るとは思いませんでしたが、大変嬉しく思います。
また感想ください。