今回は前回に比べ少し少し短めです。
「ぶわっはっは!!いいぞぉ!だが、ここだと少し狭いな。どこか広い場所はないか?」
十中八九目の前の猫のような耳を持っている子供が噂の怪物なのだろうと、ガープは当たりをつけていた。
「ここを真っ直ぐ行ったとこ、少し開けてる所があるそこでやろう。」
「よし!移動じゃ!」
噂の怪物だと思われる謎の子供、あちらにどの様な思惑があるのかわからないが、強者からの闘いの誘い。受けない理由がない。ガープ自身、自分より弱い海賊を倒し捕まえる事に少し飽きが来ており怪物の話を聞いてからというものワクワクが止まらなかった。
深い森を抜け少し開けた原っぱのような所に出た。
「ようし!!どこからでもかかってこい!」
有り余る興奮が抑えられないとばかりに、大声で開戦を宣言するガープ。その身に猛る覇気を少しも隠そうとしない、清々しさと獰猛さが合わさった様な満面の笑み。海軍中将がそんなんで良いのかと、他の海兵と闘いの邪魔にならないように隅に移動していたボガートはそんな事を少し呆れながら思っていたがいつもの事だとすぐに考えるのをやめた。
「へー、何それ!すごいね!!」
ガープが発する覇気を、ピトーは鮮明に感じ取っていた。それも『念』とは違う力だということもすぐに分かった、しかもぶつかる前からこれ程叩きつけて来るものは初めてだ。実はピトー覇気と触れ合うのはこれが初めてではない、たびたび襲撃してくる海賊にも覇気使いは居た。しかしピトーの膨大なオーラと正面からやり合える使い手は流石にいなかった、そのため覇気というものをあまり知らない。ピトーにとってはこれが、初めての覇気使いとの戦闘である。
島の広場、少し開けた原っぱで一人の英雄と一匹の怪物が向き合っていた。それを見守るのは、新世界の海を渡ってきた勇猛な海兵達。場を支配するのは、英雄の我こそが最強と言わんばかりの気迫と怪物の全てを飲み込む様な禍々しい気配。見守っている海兵は二人の放つ覇気とオーラの濁流に呑まれ固唾を飲んで見守っている。左手を地面に添え、もう片方の手を引き絞る。全身の力を抜き、体全体を弛ませるピトー。対して、腕をだらんと下げ、仁王立ちしているガープ。そして、次の瞬間火蓋は切って落とされた。
何が起こったのか。その場にいた海兵はそう思ったことだろう。ピトーのいた所の地面が砕けたかと思うとその瞬間、空が割れた。
(うーん、隙がない。こりゃ、正面を一直線しか無理か。)
ピトーは目の前の相手を倒す為に心身ともに研ぎ澄まされていくのを感じる、始めは興奮で身の震えが止まらなかったが向き合い構えると不思議なほど感覚が研がれていく。今では一欠片の不純も無く、目の前の男を倒す事を考えている。
ピトーの太腿が異様に膨らむ、全力で地を踏み抜き全速力で前進する。右手の引き絞りを開放し、極限まで練り上げ圧縮し強化したオーラをその抜き手に込める。対するガープも応える様に右手を振り上げ、その武装硬化し黒く染まり黒い電気を帯びている拳を正拳突きのように前に突き出した。
次の瞬間、物凄い轟音が島全体に響き渡った。動物達が悲鳴を上げ逃げ出してゆく、鳥達も一斉に飛び立つ。ピトーの抜き手とガープの拳の間で衝撃がぶつかり間隔を作っている。そこを中心に辺り一面に、赤黒い稲妻が走っている。その光景は数秒間続いた、覇気とオーラ二つのエネルギーが臨界点に達し二人は弾かれる様にして原っぱの両端に飛ばされた。
「にゃは!!」
「ぬう!」
そして着地する。ピトーは猛る闘志を必死に抑える、さっきのぶつかりで分かった。このまま感情に流され続けると止まらなくなる。それはきっと、とても心地良いのだろう。溢れ出る戦闘欲求に身を任せ死闘に溺れる、想像するだけでゾクゾクする。しかし、それでは当初の目的を果たせなくなってしまう。運良く生き延びたとしても賞金首間違い無し、いかにピトーでも百人以上いる海兵を一人も逃さず殺し尽くすのは流石に難しいと考えた。それに、この島を出て海軍に入るのも出来なくなってしまう。何年も待ち続け、やっと来たチャンスをいっときの感情に流されてふいにするほど馬鹿ではない。
「ありがと、満足したよ。」
溢れ出る欲求を我慢し、目的の為行動に移す。
「なんじゃ〜、もう終わりか!」
「まだやりたいの。」
「勿論じゃ!こちとら退屈な仕事続きで退屈しとるんじゃ!」
子供の様に、駄々をこねるガープ。
「突然なんだけどさ、僕のお願い聞いてくれない。聞いてくれたら、君の望みも叶うかもよ。」
「なんじゃ、言うてみ。」
「僕を海軍に入れてくれない。」
「なんじゃ!そんなことか!いいぞ!こっちから頼みたかったわい!」
お安い御用だと、言うガープ。案外あっさり達成してしまったピトーは、少々呆けてしまった。
「なんだ、結構簡単に行ったな。」
「よし!続きをするぞ!」
「まあいいか、行くよ!」
そう言って、ピトーはガープに飛びかかった。その場にいた海兵の話では、その日は6度ほど空が割れたらしい。
今回は、戦闘描写で体力を使い切ってしまった。
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