大淀「へ、へ、へ、へ、ヘビクラさんが提督にぃぃ!?噂では提督に正式に着任するには最低でも2年はかかると言われてるのに...そ、そんなトントン拍子でいいんですかっ!?」
ヘビクラ「あぁ、そういう事らしい。」
大淀「そういう事らしいって...そんな軽々と...」
とその時、部屋のノックが鳴った
コンコン
鳳翔「失礼します。あら?ヘビクラさんに大淀さん。ここで何を?」
部屋に入ってきたのは鳳翔だった。ジャグラーと最初に出会った、少し小柄だが、優しい空気を纏った艦娘。
ヘビクラ「鳳翔さんか。そうだ、話しておくことがあったんだ。俺、ここの提督に着任したんだ。」
それを聞いた鳳翔は、先程の大淀とほぼ同じ反応で驚いた。
ヘビクラ「ところで鳳翔さん。それは?」
鳳翔は何やら随分と重そうな袋を持っていた。
鳳翔「あ、いえ ちょっと艦娘の皆さんにちょっとしたお料理を作っていたんです。と言っても簡単なおにぎりだけですけど...それにヘビクラさん、貴方が提督に着任されたのなら私達に敬語は結構ですよ」と微笑んだ。
鳳翔「あっ、すみません!ヘビクラ提督のも今からお作りいたしますね」と言いかけたとき
ヘビクラ「いや、俺のは後でいい。それより艦娘...だっけ?その人達が優先だ。あーそうだ。せっかくだから俺が持ってってやるよ。そうだ大淀、ちょっと手伝ってくれよ。」
と大淀の方へ向き直ると、
大淀「....フガッ!?」
大淀はおにぎりをひとつ取って先に食べていた。
大淀「す、すすすすすすすみません!わ、私とした事がっ!何日も食べて無かったものですから!」
それを聞いたヘビクラは少し笑うと、
ヘビクラ「気にすんな、遠慮せず食え。まぁいいや、艦娘達との交流も必要だ。俺が全部持ってく。」
鳳翔「すみません提督、そこまでしていただいて...あっ そうだ 鎮守府は広いですから、是非これを持って行って下さい。」
と鳳翔は鎮守府の地図を差し出した。そこには、軽巡寮、駆逐寮、空母寮...などと、様々な寮が並んでいた。
ヘビクラ「なるほど こりゃぁ地図がないと半日は迷うぞ。鳳翔、ありがとな。」
そう言ってヘビクラは地図を持って部屋から出ていった。
戦艦寮前
ヘビクラ「ハッ、随分とデケー割には静かなとこだな。」
金剛型室前
ヘビクラ ノックする
ヘビクラ「おーい、誰かいるか? 応答はなし...か。」
ヘビクラ「女の部屋に入るのは気が引けるが...」
とヘビクラは呟いた後に、部屋の扉を開けた。
そこに居たのは、巫女のような個性的な格好をした女性達4人だった。彼女たちは、紅茶を飲んでいるようだった。
すると、4人のうち1番奥に座っていた茶髪の女性が土下座をしに来た。
金剛「も、申し訳ありません!て、提督様に隠れて嗜好品を...責任は私が負いますからどうか妹達には手を...!」
比叡「お、お姉様の責任ではありません!そもそもこれは私が言い出したことで...」
榛名「い、いえ!これは私がそもそも...」
霧島「お、お姉様方!こ、これは私が...!」
後ろで座っていた女性達も土下座する体勢になり、皆が皆を庇いあっていた。姉妹なのだろう。
ジャグラーは心の中で「おいおい、こういう事は趣味じゃないんだがな。」と呟いた ふと机の上に置かれた紅茶を見る。アッサムティーだった。ジャグラーは少しニヤリとした。
ヘビクラ「おお、アッサムティーか。お嬢さん方、なかなかいい趣味してるな。まぁ安心しろ。別に責任なんか取らせない。そもそもなんで紅茶なんか規制してんのかねぇ。あ、そうそう。俺、ここの提督に着任したヘビクラっつうもんだ。以後よろしく。」
金剛はヘビクラの方を見つめている。
ヘビクラ「どした?」
金剛「ついに...」
ヘビクラ「ついに?」
金剛「ついに見つけマシタッッッッッ!!貴方こそ間違いなく私の求めていたテートクデスッッッッッ!!バーニングラァァァァァブッッッ!」
急に金剛に抱きつかれたヘビクラは困惑する。
ヘビクラ「あ、いや、お、おい。」
金剛「ヘビクラテートクゥゥゥッッ!! 私とバーニングラァァァァァブ するネ!」
それを見た妹の比叡が
「ひ、ヒエエエエエエエエエエエエエエエ!ふ、プラチナです!お、お姉様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
霧島「比叡お姉様、それを言うなら不埒です。」
金剛はなんとか比叡と霧島と榛名の3人がかりで引き離した。
榛名「いつ以来かしら、お姉様達があれほど生き生きとしてる姿を見るのは。」と、3番艦の榛名は呟き、少し目に涙を浮かべた。
ヘビクラ「ふぃー、死ぬかと思った...初っ端からよぉ... あ?どした なんで泣いてんだ?」
榛名「い、いえ...貴方のような素敵な提督が着任して下さって...榛名...嬉しいです。」
ヘビクラ「そうか ありがとな」 ヘビクラはそれだけ言うと榛名に対して笑みを返した。
榛名「(ヘビクラ提督...カッコイイです....お姉様には申し訳ありませんが...榛名も...全力で提督を狙います...)」
ヘビクラ「あぁ、忘れてた。これだ。鳳翔が作ってくれたおにぎりだ。お前ら全員食え。」
金剛「テートク...ありがとネ! 後でバーニングラァァァァァブも忘れちゃNOなんだからネ!」
ヘビクラ「礼なら鳳翔に言え。じゃな」
と一旦ヘビクラは部屋から出ていった。
ヘビクラ「次は...は?次で終わり?やれやれ...人数少ない割に随分デケー建物だな。まいいや。次は...戦艦 扶桑 山城か。ん?何だ...何か小さく書いてあるな...?山城さんは前提督による無茶な進撃により轟沈... なるほど.轟沈ってやつはいわゆる...死ってやつね (ジャグラーの脳裏に ミコットの死の場面がビジョンとして蘇る)随分と嫌な記憶もあるもんだな。死って奴には」
ヘビクラ ノックする
扶桑「はい… あら...?貴方は...?」
ヘビクラ「あぁ失礼、俺はこの鎮守府に新しく着任した ヘビクラっていうもんだ。」
扶桑「新しい提督?あの男はいないのね...? 山城...」
ヘビクラ「あぁ、心中察する。俺も昔 ある人を救えたはずなのに救えなかった事がある。そして全てを離しちまった。」
扶桑「ありがとう...ございます...優しいのですね...提督は...」
ヘビクラ「一応これ、鳳翔が作ってくれたやつだ。是非食ってくれ。」
扶桑「おにぎり...ですか...? 提督...ここまでして下さるなんて...」
ヘビクラ「礼なら鳳翔にだ。じゃな。」
扶桑「ありがとうございます。また伝えておきます。」
扶桑「山城...ごめんね...もう少し早ければ...」
ヘビクラ...ジャグラーは心に何かつかえる感覚を覚えつつ、次の寮である、空母寮へと足を運んだ。