闇の風来坊 黒鎮守府へ   作:干梅

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優しさは力

ヘビクラ「さてと 戦艦の分はこれで全部か。次は...空母...寮か あー空母は結構な数いるな。」

そうぼやきながらヘビクラは空母寮へと近づいていった。 だがその瞬間

バァン!バァン!

 

突如発砲されたが、ジャグラーは蛇心剣で跳ね返した...かに見えたが、一弾だけヘビクラの顔を掠めかけた。

 

ヘビクラ「ふっ なかなかいい腕じゃないかお嬢さん。さっきのあいつよりもいい腕だ。」

 

??「くっ...撃ち損ねたか...」

 

発砲した主は、装甲空母 大鳳だった。

 

ヘビクラ「おいおい、派手な歓迎だなぁ 一応俺 ここの新しい提督になったんだぜ。」

大鳳「新しい...提督...? あいつはもういないの...?」

ヘビクラ「あぁ そうだ。」

大鳳「あの男がいなくなった よかった...これでみんなは...」

ヘビクラ「な? 安心だろ?」

ヘビクラがそう言った瞬間、大鳳は安堵の表情を崩し、ヘビクラへとボウガンの銃口を向ける。

大鳳「ふ、ふざけないで!あなたも...いえ人間はどうせ誰が来てもあいつと同じように私達を...」

それに対してヘビクラは蛇心剣を鞘にしまい、両手を上げ、何もしない意志を見せる。

ヘビクラ「おいおい 困るなぁそうやられちゃぁ」

 

??「大鳳さん。もうやめて差し上げて。」

大鳳「赤城さん...」

赤城「提督 私の同胞が申し訳ありませんでした。お怪我はありませんでしたか?」

ヘビクラ「助かったぜ。ありがとなお嬢さん」

赤城「あっ 自己紹介まだでしたね。私は航空母艦 赤城と申します。」

ヘビクラ「そうか 俺もまだ名乗ってなかったか。今日付でここの提督になった ヘビクラ ショウタだ よろしく。」

大鳳「わ、私は装甲空母 大鳳です 提督、さっきは申し訳ありませんでした...」

ヘビクラ「おう、よろしくな。」

ヘビクラ「あっ そうだ 本来の目的を忘れるところだった 」

ヘビクラは大きな包みを赤城に手渡した。

赤城「提督、これは...」

ヘビクラ「あぁ、鳳翔が作ってくれたおにぎりだ。ぜひここのみんなで食ってくれ。」

大鳳「え...いいんですか?私達が...」

ヘビクラ「腹が減ったら何も出来ないだろ。どんどん食え。」

赤城「ジュルリ... あっすみません!私としたことが...」

大鳳「赤城さん...みんなに配る前に全部食べちゃダメですよ...」

赤城「すみません提督 本当にありがとうございます!」

ヘビクラ「礼なら鳳翔に言ってくれ。俺は他の寮にこれを配りに行くからな」

その言葉に大鳳が反応した。

大鳳「行かれるんですか...?」

ヘビクラ「なんだ 不都合か?」

赤城は大鳳と顔を見合わせて言った。

赤城「いえ...他の寮なんですが...その 前の提督は私達空母や戦艦の方たちには最低限のケガの治療などはあったんです。」

大鳳「しかし...他の重巡の子達や駆逐、軽巡の子達は艦隊の捨て駒にされて入渠も受けられず...沈んだ子達は数多く...」

大鳳は今にも泣きそうな顔で言った。

ヘビクラは心の中で「思った通り いや 思った以上か。」と呟いた。

そしてヘビクラは気づく。

ヘビクラ「まさかケガしたやつってのは今も」

赤城「ええ、今でもずっと...」

ヘビクラ「そのケガはどこで治せる」

大鳳「私達のケガは普段 入渠ドッグという所で治せます。人で言う 入浴のようなものです。」

ヘビクラ「だったらそこに...」

赤城「それが...前提督が入渠ドッグをずっと放置していたせいで入渠が今できる状態ではなく...」

ヘビクラ「くっ...入渠ドッグはどこにある」

大鳳「あそこの戦艦寮を曲がったすぐの所にあります。 あっ ちょっと どこへ?」

ヘビクラは、入渠ドッグの方へと走り出していった。

赤城「あの人が...提督ですか。」

大鳳「ようやく...ようやく会えましたね...あんな優しい人に」

赤城「ええ、加賀さんもきっと喜んでるわ。」

そう言って赤城は同じ航空母艦 加賀が以前持っていた御守りを握りしめた。そう、加賀は戦艦山城と同じく、前提督の無茶な進撃により 轟沈してしまっていたのだ。

 

入渠ドッグ

ガラガラガラ

 

ヘビクラは入渠ドッグのドアを開いた。 そこには、悪臭漂う 朽ちた銭湯のような施設だった。

ヘビクラ「チッ 予想通りか。 しっかし 銭湯がこんなんじゃガイの野郎ならきっと失神しちまうな。」

そしてヘビクラは、近くにあったブラシを手に取り、近くに投げ捨てられていた洗剤をブラシに塗った。

ヘビクラ「お まだ使える」

 

1時間後

 

ヘビクラは一心不乱に入渠ドッグの浴槽を磨き続けたが、汚れは全く落ちる気配がない。

ヘビクラ「あー疲れた...」

そしてその様子を 影から何人...いや 何体かが見ていた。そこへ

大淀「て、提督!?な、何やってるんですか!?」

ヘビクラ「お、手伝ってくれんのか 大淀 今な ここの風呂掃除してたんだがしつこすぎんだろ この汚れはよ」

大淀「いえ...提督がいつまで経っても戻らないものですから... 分かりました 私も手伝います!」

こうして 大淀とヘビクラは2人がかりで風呂掃除を始めた。しかし2人がかりでも汚れは全く落ちない。

ヘビクラ「なぁ大淀、いつもこの風呂って誰がやってんだ?」

大淀「ええ、前までは 妖精さん という不思議な存在がここのお風呂やその他もろもろの整備をしていたんですが 前提督が悪行を尽くすようになってから その姿を隠すようになってしまって...」その時

ヘビクラ「おい、そこにいる奴ら、出てきていいぞ。」

大淀「えっ? って 妖精さん!?!?」

妖精さん達「ヨビマシター?」「コノヒト、スゴイイッショウケンメイ!」「ダカラ、ワタシタチモ!」「キュウカハオワリダ!」

大淀「妖精さん達...」

ヘビクラ「なるほどねぇ...こいつらが...」

そして、みるみるうちに妖精さん達は壊れた施設を直していく。」

そして30分後には、入渠ドッグは完全に修復され、使用可能な状態まで回復した。

大淀「こんな...事が...」

 

ヘビクラ「よし、じゃあ大淀 ケガの少ない戦艦や空母の人達に声をかけてきてくれ。そして損傷の激しい駆逐 軽巡 重巡の特にこの3種を重点的に入渠させろ。そして大淀 鳳翔さんにお願いして全員分の食料を準備してくれるよう頼んでおいてくれ。それが終わったら大淀も入渠の誘導にあたってくれ。そして手が空いた戦艦や空母から順に入渠している人達の着替えを用意してくれ。 俺がいちゃあ出来ねぇだろ。」

大淀「了解です!ヘビクラ提督!」

ヘビクラは、ストレイジの隊長を勤めていた時のようなリーダーシップを発揮し、大淀に指示をした。そして

大淀「鳳翔さんへの協力依頼 完了しました。料理はカレーでいいですよね。」

ヘビクラ「あぁ、カレーでいい。よし、じゃあ大淀も入渠誘導へ行ってくれ。俺は鳳翔のとこへ行く。」

ヘビクラは鳳翔がいる食堂へ向かう途中に、入渠へと向かう駆逐艦や軽巡の子達の姿が見えた。...それは目を覆うばかりの凄惨な光景であった。

血だらけで仲間に引っ張られながら入渠ドッグへ向かうもの達が、数多くいるのだ。

ヘビクラ「ジーッとしててもドーにもならない...か。」

そう呟きながら、ケガしている艦娘達のところへと足を運ぶ。重症の艦娘達は、金剛ら戦艦が運んでいるが、人手が足りない。

ヘビクラ「おい!大丈夫か!」

吹雪「お、お願いします!どうか白雪ちゃんを!この間 出撃で盾にされて以来、ずっと入渠していないんです!」

ヘビクラ「おう、分かった!すぐに連れてく!」

そう言って特型駆逐艦 白雪を抱きかかえて、入渠ドッグへと走った。

その途中白雪は目を覚ました。

白雪「お、お願いです提督!私が、ちゃんと出撃しますから!どうか...みんなには手を出さないで!」

ヘビクラ「落ち着け!俺はあの提督じゃない。今は俺がここの提督だ。」

白雪「そ...そう...なのね...」

ヘビクラ「あぁ、安心しろ 今すぐドッグへ行くからな。」

白雪は安心したのか再び目を閉じた。

こうして こういう事を他に何回か繰り返し、ようやく全ての艦が入渠ドッグで入渠することができた。

ヘビクラ「さてと...次は...」

と呟き、食堂の方へと走っていった。鳳翔達の食堂を手伝うために。




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