東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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寒いわ北海道


幸福と障害

ウズメは通常の弾幕を放ちながら霊夢たちと一定の距離をとっている。

もう、先程までの一対のレーザーを単純にぶん回すだけの弾幕ではなく、レーザーでこちらの動ける範囲を制限しながら大弾を当てようとしてきている。

しかしながら、2人は特に苦戦したり慌てたりすることも無く、ウズメの弾幕を避け、反撃してくる。

ウズメも反撃の弾幕を回避しながら、またしても距離をとる。

次のスペルカードには距離が不可欠だ、何としてもあの2人を遠ざけておきたいところである。

霊夢と魔理沙もかなりの弾幕ごっこをこなしてきている。

だから、ウズメが不自然に距離をとっていることにも薄々気づいていた。

『なあ、どう思う?』

『主語を言いなさい。主語を。』

『あいつだよ!何で私たちと距離をとってるんだ?お互いに弾幕が当たりにくくなるだけじゃないのか?』

『さあ…こうすればその理由がわかると思うわ。勘だけど。』

そういうと、霊夢は徐にウズメの方へ向けて、急降下する隼のように一直線に飛んでいく。

これには当然魔理沙とウズメも驚いた。

特に、ウズメは霊夢が自分の企みを見抜いたのではないかと勘違いして、少し予定より早いがスペルカードを宣言することに決めたのだった。

 

障符「余所者立ち入りを禁ず』

 

スペルカードが宣言された瞬間、ウズメの周囲にほぼ見えない仕切りが作られる。

そして、霊夢がその仕切りを超えることはできなかった。

むしろ、強い斥力を受けて吹き飛ばされてしまう。

『おいおい、大丈夫か?』

『心配する程のもんでも無いわよ。』

『そんなら別に良いけどな。しかし、こりゃどう言うことだ?何もしてないのに体が後ろに動いてるじゃないか。』

『まぁ多分、あいつから私たちを引き離そうとする力よ。力だけなら大したことは無いわ。』

『そうだな、本当に警戒すべきなのは……きたぜ!』

霊夢と魔理沙はすぐさま横に飛び退く。

一瞬遅れて、先程まで2人がいた所を背後から飛んできた中弾が通り過ぎて行く。

そう、真に厄介なのは斥力そのものではなく、組み合わせられた背後から来る弾幕なのだ。

『さて、こういう時は力ずくで突破するに限るな!』

魔理沙がそんなことを言いつつ大量の星弾を放つ。

だが、霊夢は違和感を感じていた。

『何でウズメは避ける素振りも見せないのかしら?』

攻撃の手を止め、考えている内に霊夢は正解に辿り着く。ほぼ勘で。

『魔理沙!上へ飛びなさい‼︎』

霊夢の剣幕に思わず魔理沙は上へ飛び上がる。

次の瞬間、魔理沙が放ったままの星弾の流れがそのまま魔理沙がいた所を埋め尽くすのだった。

『おぉ〜すまんな霊夢。助かったぜ。』

『どうやらあの障壁に触れれば、こっちの弾は跳ね返されるみたいね。』

『くっくっく、気づいたところでどうにもなるまい!』

『ホントにどうにもならんぜ。攻撃ができないんじゃあなぁ…』

『いや、まさかこれは……』

霊夢は気づいたようだ。

そう、これは耐久スペルであるということに。

『魔理沙!これ時間が来るまで避け切るタイプのアレよ。』

『そうか、タマによくあるアレだな!』

そう、アレである。

2人は未だ止むことのない斥力と、後ろから襲いかかる弾幕の相性抜群スペルを二手に分かれて躱していく。

しかし、ここは妖怪の山の麓。

人里や博麗神社周辺にある林よりも鬱蒼と茂った木々が樹海を作りあげている。

その木々の間や、絡み合った枝の隙間からいきなり飛び出してくる弾幕を完全に避け切ることは中々に難しいものだ。

耳元でカリカリ音がする。

俗に言う、グレイズである。

このままではいつかワンミスで被弾してしまうかもしれない。

残り10秒

ここからが長いのだ。

著者自身の経験から言っても、耐久スペルの10秒はほぼ永遠である。

ウズメもここで残機をもぎ取っておこうと言わんばかりに弾幕の激しさを増していく。

当然、霊夢と魔理沙も今日1番の集中をこの10秒に捧げる。

そして…

美しき永遠の10秒が過ぎた。

『すごいなぁ、結構な悪路だと思ったんだけどなぁ。踏破されちゃったか〜。』

『そうよ、だからあんたは祠にでも帰って、異変解決の記事が載った天狗の新聞でも待っておけば良いのよ。』

『楽しみにしてな、この私が一面を飾るからな。』

『なるほど〜、キミらの実力はよ〜くわかった!じゃあ、最後にもうひと勝負していきな!』

『何でよ⁉︎』

『ここが幻想郷だからじゃないか?』

魔理沙の答えはときに限りなく本質を突く。

不本意ながら納得した霊夢もお札を構え、最後のエキシビションマッチに赴くのだった。

2人と1人が向かい合い、ウズメは最後のスペルカードを宣言した。

 

幸符「希望の一里塚」

 

ウズメが短いレーザーを大量に放つと同時に、4秒刻みでさっきより若干小さめではあるが、巨岩が落ちてくる。

霊夢と魔理沙はすぐに対応し、弾幕を撃ち込む。

岩を割り、レーザーと相殺し、ウズメの動きを制限する。

『こういう時にこそ、弾幕はパワーだぜ‼︎』

お馴染みの台詞を叫び、魔理沙が箒の上で立ち上がりスペルカードを宣言する。

 

魔符「スターダストレヴァリエ」

 

魔理沙から目も眩むような数と明るさの星弾が放たれ、真横にいた霊夢も全力で回避する。

ウズメは、迫り来る星の海を眺めて、どこに行けば新聞の定期購読申し込みができるのだろうか、などとどこかズレた事を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐぬぬ〜負けた〜。』

『じゃ、言ってた通り火達磨にしてやるぜ。』

『この神殺し〜ゴッドイータ〜』

『くっくっく、特別にじっくりウェルダンコースでな‼︎』

『2人とも、楽しそうなところ悪いけどちょっと良いかしら?』

そう言いつつ、やたらニコニコした霊夢が魔理沙とウズメの前に降りてくる。

魔理沙は命の危険を本能的に感じとる。

恐らく、原因は不明だが霊夢の服の裾がちょっぴり焦げついていることと関係がありそうだ。

もちろん、魔理沙が霊夢の横でぶっ放したスペルカードが原因なのだが、そのことに気づけるほど魔理沙は細かい事を考えていない。

同時にウズメも火達磨か、鬼巫女か、の究極の選択を迫られていた。

霊夢を前にした2人の心は、今この瞬間だけ一つになり、せーので逃走を謀る。

『人間逃げるが勝ちだぜ〜!』

『道祖神も同じく〜!』

『あらあら、逃がさないわよ。』

そう言うと、霊夢はとてもいい笑顔を崩さないまま亜空穴の中に飛び込んだのであった。




耐久スペル二つとかになってくると、もう実質永夜異変

登場人物

塞神 ウズメ
スペルカード
道符「茨の道」
塞符「黄泉比良坂の巨岩」
障符「余所者立ち入りを禁ず」
幸符「希望の一里塚」
そのほかの設定は前々回をご参照ください
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