東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜 作:プルプルマン
直撃した霊夢の弾幕で一張羅のツナギを若干焦がしながらも、三雲は立ち込める煙の中で霊夢の不意をつくように炎の弾幕を放つ。
本来であれば煙の中からの奇襲はそれを予測できたとしても手を焼く効果的な戦術の一つではあるが、悲しいかな今回に限っては相手が悪かった。
何しろ、霊夢の直感は神がかっているので多少三雲が煙幕の中から弾幕を展開したとしても、簡単に躱されて全く奇襲にはならないのだ。
むしろ、弾の放たれた位置を瞬時に特定し、大きく振りかぶってニつの陰陽玉を容赦なく投げつける。
確実に奇襲を成功させたと思い込んでいる三雲の目の前に、当然ながら陰陽玉が現れ、高速で突撃してくる。
『この距離で躱したのかい!?』
三雲は肝を氷点下ぐらいに冷やしながらも、なんとか一つ目を回避、二つ目をハンマーを振るって叩き落とし、体制を整える。
『す…少しはできるじゃないか。無礼な侵入者達よ…』
『そうだろ?もっと讃えてくれても構わないぜ?』
『随分と謙虚さが足りない人間だねぇ。』
『ああ、足りないも何も私の百科事典はそこら辺のページが落丁してるからな。』
魔理沙の辞書が不良品だった、という割と納得できそうな衝撃でもない事実が発覚したところで、三雲がスペルカードを宣言する。
金符「サイクロプスの鉄棍棒」
三雲を中心として燃え盛る赤色の炎弾が放射状に打ち出される。
霊夢と魔理沙の目には、先程までとなんら変わらない弾幕のようにも写ったが…?
炎弾を避けながら、ふと魔理沙が三雲の方に目をやると、何やら得物のハンマーを振りかぶって、明らかに不穏な雰囲気を醸し出している。
咄嗟に回避の体制を取り、攻撃に備える。
『まさか直接ぶん殴ってくるんじゃないだろうな…暴力反対だぜ。』
魔理沙の判断は正解であった。
三雲がハンマーを振り下ろすと、その直線上に凄まじい衝撃波が発生し通り抜けていく。
無論、それだけでは芸が無い。
高速で進む衝撃波に触れた炎弾は爆ぜ、拡散し、無数の米粒弾となって散り散りになる。
『随分危ないことをしてくれるじゃないか。弾幕ごっこでそんなパワーは非常識だぜ。』
『異変が起こる度に空が灼けるようなレーザーを使う奴がよく言う。』
三雲は、続けて二回目、三回目と振り下ろし、その度にいくつもの炎弾が爆裂する。
このまま続けていても埒があかない。さて、どうしたものか。
『おい、霊夢。』
『何?』
『私がこいつのスペルカードを打ち破るからちょっとどいててくれ。』
霊夢が離れると同時に魔理沙がスペルカードを宣言する。
彗星「ブレイジングスター」
魔理沙がミニ八卦炉を装着し、吹き出す光とエネルギーに後押しされ回転しながら三雲に向けて飛んでゆく。
三雲が対抗して振り下ろしたハンマーの衝撃波さえも強引に掻き消し、一直線に駆け抜ける。
遂に三雲は半分轢かれる形で弾き飛ばされ、スペルカードは破られた。
魔理沙は辺りに積もり積もった鉄屑…もとい三雲のコレクションを吹き飛ばしながら急ブレーキをかけ、停止する。
『…もう許しては置けないねぇ。二人まとめて溶鉱炉に沈めてやるぞ!』
三雲と同じく蒐集癖を持つ魔理沙にはコレクションを破壊された怒りがよくわかった。
まあ、だからといって同情するわけでもなく、自らの行いを省みるわけでもないが。
「200X年のけんけんぱ」
宣言と同時に三雲は空中を歩くかのように何もない空間を踏み込んだ。
すると、踏み込んだ場所から白色の炎弾がゆっくりと広がってゆくではないか。
『スピードが足りないぜ!スピードがな!』
『いや…そうでもないわよ。』
霊夢の予感通り、これはただ遅いだけの弾幕ではない。
三雲は少しずつ移動しながら踏み込みを繰り返して徐々に2人を弾幕で囲っている。
それでいて、2人の攻撃は移動に専念することで全てを躱している。
追尾機能のある霊夢の攻撃でさえも、着弾する寸前に踏み込むことで炎弾にぶつけて打ち消している。
『こいつならどうだ‼︎』
魔理沙が細めのレーザーで薙ぎ払うもハンマーで危なげなく防御される。
『どうしたもんかなぁ?霊夢?』
レーザーの反動で後退した魔理沙が振り向きつつ話しかけた相手は、もうそこにはいなかった。
三雲がレーザーを防御した直後、霊夢は若干低空を飛んで自ら弾幕の中に飛び込み、身を隠した。
そのことに気づいていない三雲と魔理沙はキョロキョロと辺りを見回し、霊夢を探している。
『あの紅白の方は何処へ行った?』と魔理沙の弾幕を躱しつつ探していた三雲は身体に電流が走ったような感覚とともに突然動きを封じられる。
見れば、足に朱色の文字が描かれたお札が張り付き、動きを拘束しているようだ。
『漸く捕まえたわ。手間のかかる奴ね。』
その言葉を聞き終わらない内にお札が爆裂し、三雲の最後のスペルカードも破られたのだった。
『さあ、私たちは異変の元凶っぽい守矢神社に行くのよ。邪魔しないでくれるかしら?』
『邪魔も何も勝手に侵入したのはお前たちだろう?』
『敗者に発言権なんてものが無いのが歴史の常だぜ。』
『第一、異変について知りたければ、直接関係者に聞けばいいだろうに。』
『それが分からないから一番怪しい場所を狙うのよ。』
『そうなのかい?それなら、明け方ごろにあの一反木綿の方に飛んで行ってる奴が居たんだが、そいつを当たってみなよ。』
『なるほどな。情報提供の礼に何かを借りて行ってやるぜ。』
『溶鉱炉に沈めるぞ‼️』
心機一転し、一反木綿そのものに向かう霊夢と魔理沙。
果たして、三雲の目撃した怪しい奴は、黒幕へと続く道となり得るのであろうか?
3面終わり=体験版終了
今更ながら弾幕の種類を並べておきます。
流石に設定を書かずにいるのも弾幕を想像しづらいので…
大弾 「大江山嵐」などで一杯出てくるリング状に見える弾
中弾 光沢がある大弾よりも一回り小さい弾、「マーキュリポイズン」などの印象があります。
小弾 針妙丸の通常弾幕に多い、砂粒のような弾
米粒弾 その名のとおり米粒のような形の弾、結構色んな人が使ってるイメージ
炎弾 弾幕の周囲に炎のようなエフェクトがついた弾、グレイズしたら火傷しそう
蝶弾 幽々子さまが多用するアレ
鳥弾 マミゾウさんが使う千鳥模様みたいなアレ
音符弾 プリズムリバー三姉妹とかが使うアレ
星弾 星形の弾、我らが魔理沙の十八番
お札弾 長方形のお札のような弾、我らが霊夢の十八番
レーザー へにょったり超速かったりする、予告線があるパターンも多い
燕弾 本作のオリジナル弾で、イメージ的には飛んでいる最中の燕を模した弾だと想像していただければ幸いです
クナイ弾 ラスボスが使いがちな印象があるクナイ型をした弾、ナイフ弾と勢力を二分するという説もある。知らんけど。
随時追加してゆきます
登場人物
果無 三雲
スペルカード
盲符「眇の追尾弾」
鋼符「ダマスカスの妖刀」
金符「サイクロプスの鉄棍棒」
「200X年のけんけんぱ」
そのほかの設定は前々回をご参照ください