東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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なんとなく放置していたら、いつの間にやら七夕も過ぎ去ってしまいました
七夕というものも多少ストーリーに関わることとなるため、もう少し書き進めておきたかった…
反省の証としてまだ見ぬ激辛インスタント麺を漁ってきます


違和感

右、左、下、またしても右、今度は上……なんだ、魔理沙か。

先ほどから次々と現れる妖精をちぎっては投げ、ちぎっては投げしているが、やはり一向に数を減らした様子は無い。

それでも、普段通りのシチュエーションならばこの程度の数など造作もなく、まさしく妖精の手を捻るように蹴散らすことができるのだが、今回ばかりは勝手が違っていた。

どの妖精も複雑な街のあらゆる物陰に隠れて飛び出してくる。

屋根の下、道端に停められた見たことも無いおかしな格好の乗り物(後にマミゾウに聞いてみたところ、木炭式自動車とかいう外の世界でかつて使われていた珍品であったらしい。)、さらにはやたらと達筆な飯屋の看板の裏や、淀んだ裏路地からも出てくる妖精たちの相手をしながら、霊夢は何かに気づいた。

『ここにいる妖精たち…妙ね…』

『どういうことだ?そりゃ妖精にまともなヤツなんてそういないと思うぜ。』

聞こえていたのか、魔理沙が応える。

今度から独り言はもう少し小さく呟こう。

しかし、応えられたからには話さなければ、異変が終わるまで事あるごとに聞いてくるだろう。

そんな大惨事を避けるため、自身の感じた違和感を魔理沙にも話すことにしようとしたのだが……ある1匹の妖精が右手に持っていたモノから漂う香りに霊夢の首が驚いた梟のように動き、話を早々に切り上げ、一目散にそちらに向かっていく。

『あ!おい!せめて結論だけでも聞かせてからいけよ…』

 

 

あの妖精ッ!手に持っているモノはッッまさか…竹串に通され、よく焼かれたジューシーなお肉ッッ‼︎

しかも、包み紙も同時に持っており、イタズラ目的などでかっぱらったものではなく、売り買い・譲渡によって手に入れたことはほぼ間違いは無く、かといって妖精の経済力で購入も考えにくい。

つまり、このお肉はタダ、あるいはそれに近しい金額で入手できるということに違いない。 それは確実に頂かなければならない。

以上のことをざっとコンマ1秒の間に考え、肉を持っている妖精を問い詰めることを決めた。

『ちょっとだけいいかしら?』

まずは有無を言わせない確認。

『な…何?なんか用…ですか?』

剣道の達人のような間の詰め方で近づいてきた霊夢にギョッとしながらも応える妖精。

『いや、大した用事じゃないのだけど…その串焼きはどこで手に入れたのかしら?教えてくれるととても助かるのよ〜』

精一杯の笑顔で問いかける。

『あ…あそこのやたらピカピカした看板のお店です…』

口角こそ上がってはいるものの、あまり笑っているとは言い難い霊夢の目元に怯えながらなんとか赤いネオンサインの輝く店を指差して答える。

『そう、ありがとね。』

そう言い残すと霊夢は忙しなく飛び去っていく。

その後に魔理沙も続き、その場には串焼きを咥えたままポカンとしている妖精のみが残されたのであった。

『おいおい、霊夢。一応聞いておくが、お前 今異変解決中だってこと忘れてないよな?』

『当たり前じゃないの。ただ、お肉を食べるなんて久しぶりなのよね〜楽しみだわ〜』

『お前の神社、またそんなにオケラ状態だったのか?』

『失礼ね。その言い方じゃあまるでうちがオケラ状態になったことがあるみたいじゃないの。ほら、あれよ。ついこの間まで冬だったからそもそも肉があんまり出回って無かったし…それに…』

『? なんだよ。歯切れが悪いな。』

『いや、まあその…最近あったでしょ。畜生界の騒動。あの時に地上を彷徨いてた動物霊の中でも鹿やら鶏やら兎やらのよく肉として出回る奴らばっかりうちに集まってた時期があったのよね… そんでもって何かしらお肉を食べようとすると、揃いも揃って黙って見つめてくるのよ…とてもじゃないけど食べれやしないわ。』

『そりゃあ災難だったな。私の昨日の晩ごはんは兎鍋だったぜ。』

『今もしかして喧嘩売ってる?』

悲惨な霊夢の境遇が分かったところで、件の店に到着する。

『いらっしゃいませ〜〜』

上空の寒さと不釣り合いなほど温もりのある店内に威勢の良い男の声が響く。

『串焼き肉2本いただけるかしら?』

『どの肉にいたしましょう?』

『え〜と、それじゃあ…』

霊夢が嬉々としてお品書きとにらめっこをしている間に、ふと胸騒ぎを覚えた魔理沙は店内を一通り物色していた。

なんだ…確かに何か、違和感がある。見た目には何もおかしな点はない店内の赤提灯、崩れた字で木の札に記された壁のお品書き、唐草模様の椅子が軋む音までも、この世のものではない気がしてくる。

『魔理沙〜!』

霊夢の声に顔を上げると、先ほどまでとは打って変わってホクホク顔で串焼きを持つ霊夢が店の外で待っている。

『おう、悪いな。ボーッとしてたぜ。それで、お目当ての物は手に入ったのか?』

『ええ、ここに確かに2本あるわ。しかも格安よ!相場の半分くらいかしらね。』

『そりゃあよかったな。しかし悪いな〜私の分まで。』

『え?いつ私があんたにあげるなんて言ったの?最初から2本とも自分で食べる用よ。』

『んなッ…良いだろー一本くれても。』

『あんた、今朝のことをもう忘れたの?今串に刺さってる鶏の方がまだ記憶力がいいんじゃない?』

『ぐぬぬ』

魔理沙が食べ物の恨みの恐ろしさを痛感している中、呑気な2人の死角(後方上空)からスペルカードを携えた何者かが静かに忍び寄っていた。

 




次回、4面中ボスの巻

登場人物

木炭式自動車
苦肉の策の権化

オケラ
一文無しの人を揶揄する言葉、あるいはバッタ目ケラ科に分類される昆虫。一般的にミミズの鳴き声と呼ばれているモノは大概このオケラの鳴き声である。

動物霊
東方鬼形獣をプレイしてみてください。それでだいたいわかります。

店員の兄ちゃん
威勢が良くて、声の大きい店員さんがいる店はアタリ率が高い気がする。
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