東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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4面中ボスでございます
全く関係ない私ごとではありますが、最近水草として知られるホテイ草を栽培しておりますが、あまりの繁殖力で恐れ慄いています。
2株が5株に増えるってどういうことなの…


未知の街 幻想の海

魔理沙がおもむろに背後の上空に向けて30個ほどの星弾を放つ。

弾幕が撃ち込まれた空間の一部が歪み、ちょうど人間1人分ほどの大きさの何者かが迫り来る星弾を回避するために左側の屋台の陰へ飛びのく。

『やっぱり着けてきてたか。お前だろ?この街を作り出し、妖精を招き寄せ、霊夢に束の間の喜びを与えたのは!』

『これは意外ですね。まさか勘の良さに定評のある博麗の巫女ではなく貴方が先に気づいてしまうとは。人は見かけと評判に依らない物ですね。』

何者かが指を鳴らすと霊夢の持っていた串焼きは周囲に霧散し、跡形も無く消失する。

『くっくっくっ、私を見た目と悪い噂で判断するのは愚の骨頂だぜ。後学のためによく覚えておくんだな。紅白巫女のオマケなんてことは言わせないぜ。』

隣でまだ1本目の半分までしか食べていなかった霊夢が、神霊廟にいる邪仙の操るキョンシーの様な顔色になって肩を落としているが、あえて気にせず話を続ける。

『しかし、いくら私の存在に気付いてしまったとしても、あなた方をまだこの街から出すわけにはいきません。此方にもそれなりに計画というものがありますので。』

そう言いつつ屋台の陰から音もなく出てきた敵は濃いもやの様なもので覆われ、人相も容姿もはっきりとは判らない。

『おいおい、この後に及んで顔を隠してもどうにもならないぜ。今からたっぷり退治されるんだからな。』

『いえいえ、今時は例え死ぬ時でさえプライバシーが大事なのですよ。わざわざあなた方に正体を見せる意味もありませんし。』

前触れも無くお札弾が飛び、纏ったもやごと動いた敵(以下もや敵と表記する)がギリギリで回避する。

『お…おい、霊夢?』

『あんたは今、私の希望《ごちそう》を奪った!それだけの理由であんたを退治して封じ込める!覚悟しなさい!』

なんとも私利私欲にまみれた動機の、締まらない戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

当然、最初に仕掛けたのは怒り心頭の霊夢である。

紅白の陰陽玉を大きく振りかぶって、もや敵の中心に向かって渾身の力で投げつける。

直撃すればベスト、そうでなくとも回避に動いた先にお札弾を雨あられと撃ち込めば、かなりの有利を取ることができるだろう。

どうやら、霊夢は怒ってこそいるが冷静さを失ったわけではないらしい。

案の定、上方向へ逃れたもや敵に高速でお札弾を撃ち込む。

しかし、当然相手もただやられるはずも無く、黄色く光る鱗弾をこちらにばら撒いてくる。

お互いの弾幕が交差し、弾同士がぶつかって弾ける音が周囲の建物に反響する。

このまま膠着状態になるかと思われたが…もやがいきなり弾幕を切り上げて後方に回避する。

一瞬遅れで霊夢が最初に放った陰陽玉が、つい1秒前までもや敵がいた場所を駆け抜けていく。

『あれは最初の…何故真横から?』

『単に壁とか街灯とかにぶつかって跳ね返ってきただけよ。あんたが大量の妖精を集めてくれたおかげで狭いとこでの弾幕ごっこにも慣れてきたわ。』

『なるほど…足止めにでもなれば良いと思ったのですが、逆効果でしたか。それならば…』

もや敵が再び鱗弾を放って霊夢と魔理沙を牽制しながらスペルカードを宣言する。

 

幻覚「幻想郷の海」

 

青色の光沢を持つ中弾が湖の波の様に唸った軌道を辿って左右から迫り来る。

霊夢と魔理沙は即座にお互いに別方向へ移動し、予測しづらい動きの中弾を回避しつつお札弾と星弾をばら撒き反撃する。

依然としてもや敵そのものから放たれ続けている鱗弾にも注意しなければならない。

左の耳元を掠めて飛んでいく鱗弾に一瞬だけ目を遣りつつ、霊夢は陰陽玉を6つ四散させる。

それは、さながらピンボールの様に建物の壁にヒビを入れ、屋根瓦を引き剥がし、街灯を曲げ、時には陰陽玉同士でぶつかり、衝撃をスパークさせながら速度を増して跳ね返り続けていく。

いつの間にやら、最初の物も含めて合計で7つの陰陽玉がもや敵の周りを隙なく囲う陣を描く軌道になっており、そのことに気づいたもや敵は急いで脱出を図る。

しかし、それこそが霊夢の狙いであった。

相手が脱出を図る時、必ず弾幕に隙が生じる。その時を待っていたのだ。

『今ッ‼︎』

霊夢が、近くにあった陰陽玉に向けて思いっきりお祓い棒を振り抜いて、もや敵の背中に向けて弾き飛ばす。

もや敵が霊夢の狙いに気付いた時には、すでに回避ができる間合いではなく、そのまま陰陽玉をまともに受けてもや敵のスペルカードは破れた。

 

 

『…この場は私が不利の様ですね。不本意ではありますが、一旦退かせてもらいましょう。』

もや敵はそのまま大通り沿いに逃げ去ってゆく。

『あ!こら!せめて払ったお代ぐらいは返しなさいよ!』

すぐさま霊夢が後を追いかけ、魔理沙も若干呆れながら着いていく。

連なる街灯や提灯の灯りが尾を引いて見えるほどの速度で飛んでいたもや敵が急に方向転換して街の角を曲がり、姿を晦ます。

続いて、霊夢ももや敵以上の速さでその角を曲がり、追跡を継続するつもりだったのだが…

霊夢の後を追った魔理沙も続いてその角を曲がると、目の前には霊夢の背中があり、慌てて急ブレーキをかける。

『おっとっと、なんで急に止まってるんだよ〜危ないじゃないか。』

『…ねぇ、とりあえず目の前の景色を見てちょうだいな。』

魔理沙が霊夢の後ろから顔を出し、変わらない街並みが続くはずの目の前の光景を見てみると…

 

 

 

そこには、大量の水に半ば沈んだ街並みが並び、遥か彼方に空と水を分ける線が見えていた。

それは、まるで生まれも育ちも幻想郷の彼女たちが見たこともない地球の「海」に沈んだ街の様であった。




幻想郷と海を絡めた作品は良作が多いので、それにあやかって私も絡めてみました。
ちょっと短絡的でしょうか…

登場人物

ホテイ草
ツユクサ目ミズアオイ科に分類される多年草であり、鑑賞用としてかなり有名。
えげつない繁殖力で、そこら辺の池なんかに捨てられた暁には水面全てを覆い尽くすほど増えて、緑色の地獄を生み出すことも珍しくないので絶対にやめよう。

もや敵
中ボスです
詳しくは再登場した際にでも

神霊廟にいる邪仙
にゃんにゃん

邪仙の操るキョンシー
霊幻道士面白い
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