東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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北海道の夏、想定の5000倍ぐらい暑くて草枯れる
私の拙作をお気に入り登録していただいている方がいらっしゃいまして、誠に光栄でございます。
人から認められている、ということを実感するとなんともくすぐったく、恍惚とした気分になってしまうものですね。
これからも拙いなりに精進して参りますので、どうぞよろしくお願いします。


VS八代 浮舟

今までずっと見ていた浮舟の取り繕った表情・口調の裏から、素の妖怪然とした一面が顔を出し、黄色の鱗弾を同心円状に放出する。

『最初からそっちで来てくれてもよかったんだがな!』

すぐさま魔理沙が放った反撃の星弾が浮舟の体を捕らえた…かのように見えたが、撃ち抜かれた浮舟の像はそのまま虚空へと溶けて消えてゆく。

『‼︎…なんだ?さっきのも蜃気楼か?』

虚像が消えた場所に気を取られた魔理沙の隙を突いて、背後の空間から滲み出るように突如出現した浮舟の放つランダムな軌道の鱗弾が未だ気づいていない魔理沙に迫る!

『な…!しまった!』

咄嗟に顔の前で腕を組んで、弾幕を防ごうとする魔理沙だが、その百戦錬磨の経験ゆえに気づいていた。

腕を組んで防御したぐらいでは、確実に手痛い一打を貰ってしまう、と。

背中を冷や汗が伝いインパクトの瞬間を覚悟する。

弾幕の炸裂する音が響き、魔理沙は吹き飛ばされる…はずだったのだが、いつまで経っても腕に衝撃も伝わってこなければ、煽りを受けて吹き飛ばされるわけでもない。

不思議に思った魔理沙が、薄目を開けて前方を確認してみると、そこには4枚のお札が空間にそのまま貼り付けられたように浮かんでおり、お札同士を結ぶラインの内側に黄色い半透明の壁のようなものが張られていた。

まぁ、つまるところ魔理沙は霊夢が直前に張った結界によって窮地を脱することに成功したのだ。

『あら、雑に張った結界だったんだけど上手くいってたのね。』

『悪いな!助かったぜ、霊夢。』

『いや、気にしなくてもいいわよ。後であんたのために使ったお札の代金は徴収させてもらうから。友達価格で相場の10倍ね。』

『そりゃあ困るな。今からでも異変側について霊夢と戦うべきかもしれないぜ。』

『貴方のようないつ爆発するかもわからない危険物なんて、こちらから願い下げですわ。』

永久魔理沙拒絶宣言を唱え、浮舟がスペルカードを宣言する。

 

貝符「閉じゆく弾幕の世界」

 

スペルカードの宣言とともに浮舟本人から激しく弾幕が展開される…といったこともなく、そういった意味では、若干拍子抜け気味であった。

しかし、往々にしてそういう弾幕ほど油断できない物であって、一癖あったりする物なのだ。

霊夢が辺りを見回すと、黄色い中弾が自分に対して垂直な方向に並び、弓形の陣形を取って接近してくることが確認できた。

しかも、逆方向からはその隙間を埋めるように並んだ中弾も迫ってきている。

どうやらニ方向からの弾幕で一対となっているようだ。

そして、当然一対で済むはずもなくニ対、三対と、息つく間もなく次々と襲いくる。

さながら、二枚貝の殻が閉じてゆくように交差する弾幕の隙間をくぐり抜けて、ターゲットをどこまでも追跡するありがたいお札を放った。

お札は蚯蚓のようにくねった軌道で飛び交う弾幕をすり抜けて浮舟のもとへと直行する。

さほど暇も無く浮舟もその存在に気づき、弾幕の嵐の中を上へ、下へ、真後ろへ飛び回り追跡を撒こうとするも、そんじょそこらのホーミング弾幕とは一味違う霊夢のお札はどこまでも追いかけて行く。

しばらくの追いかけっこの後、遂にお札が浮舟を捕らえた瞬間、その姿は消え失せ、追跡する対象を失ったお札たちはまごついて動きを止める。

その一瞬を逃さず、またもや虚空から姿を現した浮舟が鱗弾の連射でお札を掻き消した。

『おい、その手はもう見飽きたぜ。』

頭上からの声と共に星弾の雨が降り注ぐ。

霊夢も浮舟も半分ほど忘れていたが、魔理沙もまた、しっかり回避しながら攻撃のチャンスを窺っていたのだ。

スペルカードが破られ、残留していた弾幕が散っていく。

『覚えておきな。この霧雨 魔理沙に同じ手はあんまり通じないんだぜ。』

しかしながら、まだまだ1枚目である。

すぐさまお互いに体勢を立て直し、またしても浮舟が先手を打つ。

今度の弾幕は先程の鱗弾に加えて、米粒弾のワインダーが霊夢と魔理沙の行動範囲を狭めて追い詰めようと謀っているらしい。

整列した米粒弾に追われながらも魔理沙は次の一手を考こんでいた。

『さて、どうしたもんかな。このまま撃ち合いに持ち込んでも堂々巡りになるのは目に見えてるしなぁ。だったらいっそのことここで使うか?』

魔理沙の手中にはとあるスペルカードが握られており、それを発動するタイミングが肝要であった。

一方、霊夢の方はというと、隙を突こうとしている魔理沙とは対称的に針の弾幕で真っ向勝負を挑みかかっていた。

勝負は白熱しており、霊夢が横方向への宙返りで鱗弾を回避したかと思えば、浮舟も負けじと高速で飛んでくる針を体を翻して回避する。

正に、一進一退の攻防と呼ぶのに相応しい弾幕の応酬を動かしたのは、霊夢側であった。

極少数の針を結界の中へと撃ち込み、別の結界を浮舟の右斜め上に展開する。

こうすることで霊夢の手元にある結界から浮舟の側にある結界へとワームホールのように連結させて、物質やエネルギーをもワープさせることができる、ウズメとの戦い以来の手法だ。

そして、それを見ていた魔理沙も有効な一手をとる方法を閃いた。

『おい、霊夢!ちょっとコレ借りるぜ!』

『あ!ちょっと!いきなり何⁉︎』

魔理沙は答えることもなく霊夢の手元にある結界に飛び込んで、姿を消してしまった。

しばし訪れる静寂。

残された2人は顔を見合わせて唖然としていて、浮舟は自身の側に張られた結界の中から、何かが高速回転しているような音が聞こえてきていることに気づくことが僅かに遅れたのであった。

しかし、その一瞬の遅れは弾幕ごっこという遊びの場では常に命取りになりうる。

おもむろに、魔理沙が自分を軸に箒を振り回して回転しつつ、浮舟の側の結界の中から飛び出し、遅めのスペルカード宣言をかます。

 

星符「ミリ秒パルサー」

 

不意を突かれた浮舟を弾き飛ばし、急ブレーキをかけて、数秒後にようやく停止した魔理沙に霊夢が詰め寄る。

『ちょっと!あんたは勝手に他人の結界使ってなにしてるのよ⁉︎』

『いやまあその、一回やってみたかったんだよ、結界ワープ。でもよ、あいつに一発食らわせたぜ!』

とかなんとか言いながら自分の箒に引っかかった針を外して霊夢に手渡す。

大方、先に結界の中に仕込んで置いたあの針であろう。

『はぁ……あんたって奴は…』

突き出された針を受け取りながら霊夢が呆れて言葉を失っていると、空間の一点に強い力が集まっているのを感じ、素早くそちらを振り向く。

『貴方達…無礼も過ぎるんじゃないですか?私とて本来は我の強い妖怪なんですよ?』

そこには、明らかに腹を立てた顔の浮舟がスペルカードを構えていた。

 

蜃気楼「出処不明の怪火」

 

スペルカードの宣言と共に白く揺らめく炎弾が本当にどこからともなく湧いて出てくる。

前触れも法則性も無く、完全に運任せで出現する場所が決められているようだ。

ポッと小さな音を立てて魔理沙の耳元でも炎弾が前触れも無く出現し、熱を感じ慌てて飛び退く。

『アチチ…不味いな。このままだとその内帽子の中とかにまで火がつきかねないぜ。気をつけろよ霊夢、特にそのでかいリボンの先っちょとかな。』

『ええ、わかってるわよ。魔理沙こそとんがり帽子の先っちょとかに気をつけたほうがいいんじゃない?そんなことより問題は…』

『ああ…』

一見すると、気づくことすら難しい些細なことではあった。

しかし、弾幕ごっこを日常として嗜むからこそ気がついた事、そうでなければ自分の周りにも湧いてくる怪火に気を取られ、冷静さを失くして見逃してしまうであろう事。

それは、あちらこちらにランダムで発生する炎弾の全てが、ごくごくゆっくりではあるが霊夢と魔理沙の方向に向かって、確実にジリジリと追尾してきているという事であった。

それだけなら一見、通常のような高速の弾幕よりもイージーに見えるが、これが意外と中々の曲者である。

しっかりと計画的に頭を使って避けなければ(あるいは、相手に張り付くなりして速攻で体力を削り切るか)、徐々に密度を増していく弾幕に追い詰められ、退路も進路も断たれた後にゆっくり迫ってくる弾幕になす術なく押し潰されることを待つ、というような磔刑じみた辛酸を味わうことにもなりかねない。

尚、魔理沙は言うまでもなく速攻派である。

ゆえに、決断も速く、四の五の言う前に炎弾の間を突っ切って浮舟の方へ向かっていく。

しかし、当人のスペルカードを最もよく知るのは当人である。

当然それが持つ弱点も知り尽くしている(チルノでも難易度上がったら正面安置無くなるし…)。

愚直とも言える軌道で自分に向かって来た魔理沙に対し、青い光沢を持つ中弾が真横から交差する。

中弾の波は魔理沙の進行方向を遮り、箒の先端をカリカリと掠めて飛び交っていく。

『うぉ!今のは結構危なかったな。やるじゃないか。』

『この程度は弾幕ごっこを嗜む者として当然の事です。おま………貴方に易々と看破されるようなスペルカードは使いませんよ。』

『おいおい、今若干素が出かけてたぜ。』

『さて、何のことやら。』

一方、霊夢は炎弾を引きつけ、ある程度まとまったところを陰陽玉を投げつけて消してゆく作戦をとっていた。

だが、当然ながら次から次へと際限なく湧いてくる炎弾にそんなことを繰り返していても時間の無駄でしかないので、ただ単に弾を消すだけでなく、並行して攻めに転ずるタイミングを掴もうと浮舟と魔理沙の戦いを観察している。

浮舟の近くで何度も青い光が煌めくのを見て、魔理沙が頑張ってるな〜なんて考えていたが、霊夢はいつも通り突如閃く、このスペルカードを打ち破るその方法を…!

まず、霊夢は何度もやったように炎弾を誘導し、掻き消す…のではなく今度は結界の中へと誘い込む。

そして、高速で魔理沙に接近し、そばまできて作戦を耳打ちする。

『急にどうしたんだ?霊夢。』

『いい?これから何があっても私とあんたで挟み撃ちの形を崩さないでほしいのだけど、分かった?』

『お…おう。でも何するのかぐらいは教えてくれても…』

魔理沙が何か言っていた気もするが、まぁ必要なことは伝えたし別にいいだろう。

電光石火の速さで挟み撃ちの陣形をとり、攻撃を開始する。

相変わらず何処に現れるか読めない炎弾には注意しなければならないが、それでも体が慣れてきたのか、躱すことも容易になってきた。

後は…機が熟すのを待つのみ。

そんな時、タイミング良く魔理沙がパワーに任せたマジックミサイルの集中砲火を行い、浮舟はそれを二枚貝の殻のようなバリアで防いでいる。

『ここしかない!』

そう考えた霊夢は結界の中に集めた炎弾の塊をもう一度浮舟に向けて打ち出した。

当然、闇雲に打ち出しても動き回る浮舟には中々当たらないどころか、下手をすれば自分を再び追尾対象としてそのまま帰ってくる可能性すらある。

そんなことになれば、お笑いもいいところだ。

しかし、今回は動けない状況の相手、と言うだけでなく追跡対象が魔理沙となり、挟み撃ちの形ゆえに中心にいる浮舟に当たりやすい事、そして大量の炎弾を集めた結果、魔理沙好みであろう超パワーの弾ができた事。

以上の事が整い、浮舟にゆっくりと迫っていく炎弾塊。

当の浮舟はというと、ようやくマジックミサイルの爆煙が晴れ、さぁ今度はこっちの番だと言わんばかりに辺りを確認しようとしていた。

が、何ということでしょう、爆煙が晴れたと思いきや、爆炎が!

反射的にバリアで受け止めるも、炎弾塊が炸裂した時の衝撃は尋常ではなく、マジックミサイルを受け切り耐久力を落としていたバリアはいとも容易く砕かれ、同時にスペルカードも破られたのであった。

凄まじい爆発が起き、その規模は十分離れた場所にいた霊夢が爆風で危うくバランスを崩しそうになるほどだった。

『うぉぉ!とんでもないパワーじゃないか!霊夢もわかってきたらしいな、弾幕はパワーだってことが!』

『わかってたまるか‼︎』

魔理沙は変な勘違いをしているし、浮舟は爆発が大きすぎて見失ったし、意外と悪手を取ってしまったのかもしれない。

まぁ切り札はいつも悪手っていうし、大丈夫…なのか?




今回はいつもより長い分、表現の描写が浅かったり、ガバが多い気がします。
後で要修正ですな。

登場人物

蚯蚓
肥沃な大地の守護者、とも称される偉大な生物である。
なので、雨後にアスファルトの上で干からびているのを見かけても笑わないであげて下さい。

チルノ
正面安置と⑨ネタで、不動の人気を確立した妖精
再来年辺りに第二次妖精大戦争が来ると踏んでおります

八代 浮舟
スペルカード
幻覚「幻想郷の海」
貝符「閉じゆく弾幕の世界」
蜃気楼「出処不明の怪火」


その他の設定などは前回をご参照ください
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