東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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蛤だったり鯉だったり蛇だったり…意外と龍への道は多いものですね。
まぁ大抵は何百年もかかるらしいので私は退屈で死んでしまいそうですが…


浮舟再び現る

直前の弾幕ごっこからさほど間も置かずに再び霊夢と魔理沙の前に立ちはだかった浮舟に対して、霊夢が呆れた顔で問いかける。

『あんた…さっき負けたばっかりなんだから、大人しくしてりゃいいのに…一応聞いておくけど、何をしに来たのかしら?』

『勿論、あなた方の進行を遅らせるためですよ。それが今回の私の役目ですし、何よりせめて後一枚はスペルカードを使わせなければ格好がつきません。』

ふと疑問が頭に浮かんだ魔理沙が尋ねる。

『そういやおまえ、さっき「正真正銘、最後のスペルカード」とか言ってなかったか?スペルカードなしでやるってことか?』

『ええ、確かに言いましたね。「手持ちの分は」最後だと。ですが、また新しいものをとってきたので何も問題はありませんね。』

『なんというか…狡いやつだな。私が言うのもアレだが。』

『お褒めに預かり光栄の限りです。』

『じゃあ今度はそんなエセ叙述トリックじみた事も言えないほど徹底的に撃ち落としてやるぜ。行くぞ!霊夢!』

『はいはい、なんでこうなるかなぁ…』

かくして、本日3度目となる浮舟との弾幕ごっこが幕を開けたのであった。

不意を突くかのように、いきなり浮舟の周囲から今日だけで腐るほど見たような鱗弾がばら撒かれた。

しかし、霊夢と魔理沙はこれを楽々と躱し、痛烈な反撃を的確に叩き込む。

『それだけ似たような弾幕を散々見せられたら、妖精だって癖を見抜けるぜ。出直してきやがれってやつだ。』

『…なるほど、では、こんなものはどうです?』

 

蜃気楼「エスケープウォーター」

 

スペルカードの宣言とともに浮舟か前に突き出した両手ににエネルギーが収束し、直後に膨大な物量の青い中弾が霊夢と魔理沙のいる方向に向かって鉄砲水のように襲いかかってくる。

『こりゃあ嬉しく無いサプライズだぜ。』

『ええ、こんなスペルカードを隠し持っているなんてね…でm』

霊夢がなにかを言い終わる前に、魔理沙は既に遠くで飛び回り弾幕と格闘していた。

『はぁ…なんでこう、どいつもこいつも人の話を聞かないの…』

呆れ果てる霊夢の姿が弾幕の中にに飲み込まれるように消えた。

 

一方、魔理沙はというと、弾幕の濁流の中を高速で掻い潜り、なんとか脱出を試みていた。

『さて、どこから攻めるかな…何故か避ければ避けるほど嫌な場所に弾が来るし、かといって逆に浮舟のやつを撃ち落としてやろうとしても大量の弾に阻まれてほとんど届かないしなぁ。』

時折隙間を見つけて星弾を撃ち込むも、次の中弾がすぐに穴を埋めて相殺していく。

これではとてもではないが勝負は動かない。

まどろっこしい展開にやきもきしながら浮舟の周囲を周回していると、突然弾幕の中から飛び出てきた手に襟首を掴まれて危うく箒から転げ落ちそうになる。

『ぐわっ!な、なんだ?』

『なんだじゃないわよ、人の話をいい加減最後まで聞きなさいよ。』

その手の正体は霊夢であった。

『おお、霊夢。そういやずっといなかったな、どこ行ってたんだ?いや、それより弾幕が来てるからさ、ちょっと離せって…』

時すでに遅し。

もう弾幕は2人の眼前に迫り、光の壁のように聳えていた。

その瞬間被弾を覚悟し、直撃するぐらいならいっそ霊夢を盾にしようと背中に回り込み、衝撃に備えた魔理沙であったが、いくら待てども一向に弾幕がぶつかって来る気配が無い。

不思議に思ってそっと顔を覗かせてみると、なんと浮舟の弾幕は2人の直前で綺麗に二手に分かれて背後に流れていくではないか。

『どうなってんだ?おかしなことになってるって騒ぎじゃないぜ。』

『簡単なことよ、この弾幕にははなっから当てる気なんてないのよ。ただ私達を疲れさせて時間を稼ぐための作戦ってところかしら?』

『なるほどな、だから焦って動けば動くほど余計に避けにくくなったって訳か。よく考えるもんだ。』

『ええ、よっぽど先へ進んでほしく無いみたいね。それはそうと、あんた今私のこと盾にしようと…』

『さ、さあ霊夢!次の攻撃に備えようぜ!』

若干うわずった声で誤魔化そうとする魔理沙に対して、霊夢は今回ばかりは見逃すことにした。

『後でしばく案件がまた増えたわね。どうしてやろうかしら…』

訂正、全く見逃されていなかったようだ。合掌

その頃、一箇所から移動しなくなった2人を見て、浮舟も弾幕のタネが割れたことに気がついた。

体力を奪えないのであればこれ以上ダラダラと続ける意味も無し。

なんなら手痛い反撃を貰い、そのまま決着、満身創痍、ということもあるかもしれない。

早々に見切りをつけて現在のスペルカードを切り上げ、また別のスペルカードを宣言する。

 

蛟符「蛤の登竜門」

 

突然数を減らし散っていく中弾に異変を感じた霊夢と魔理沙が周囲を確認すると、先程まではカケラも見当たらなかった鱗弾が降り注いでいるようだ。

加えて、それらの鱗弾はわかりやすく垂直に落ちてくるものもあれば、浮舟の周囲で軌道を捻じ曲げられて雑多な方向へ飛び散るものもあった。

その様は例えるなら、浮舟自身が大瀑布を登って行くかのようでもあり、正しく登竜門と言えるようなスペルカードであった。

『これで仕留められなければあなた方の勝ちですよ!最後の幻想弾幕《ファタ・モルガーナ》を見て行きなさい!』

『言われなくとも、最後の1秒まで幻想に揺られてやるぜ。性悪魚介ヤロー!』

たったの20秒間で無造作にばら撒かれる弾幕、それは焦りや限界、泥臭さの拭えないものであったが、確かに美しく、幻想的なものだった。

やがて、眼下にある一反木綿よりも遥かに永いたった20秒が過ぎ去り、浮舟のスペルカードは全て破られ、その瞬間、通して三度に渡る浮舟との弾幕ごっこの決着が着き、軍配は霊夢と魔理沙に挙げられた。

『さあ、先を急ぎましょ。幸いに道は外れてないみたいだし。』

『ああ、そうだな。あいつなら戦闘中に全く違う場所に誘き出すぐらいのことはやってきそうなもんだけどな…』

2人は何のトラップも無くアッサリと浮舟が負けたことに一抹の不信感を覚えつつも、すでに太陽は天頂に差し掛かっており、このままでは夜までもつれ込むかもしれない、ということもあって兎に角前進することに決めたのであった。




夏だ!炎天下!死の足音が聞こえる!
いくら北海道とはいえエアコン無いってきついモンですね。

登場人物

八代 浮舟
スペルカード
幻覚「幻想郷の海」
貝符「閉じゆく弾幕の世界」
蜃気楼「出処不明の怪火」
蜃気楼「海上の超弩級ヴィマナ」
燕符「海より生じ海に帰す」
蜃気楼「エスケープウォーター」
蛟符「蛤の登竜門」
その他の設定などは以前の話をご参照ください
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