東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜 作:プルプルマン
六面ボスのテーマは
【空を夢見る御白様〜unflying fairies〜】です
どんな曲かは皆様の思い思いで…と言いたいところですが、今回ばかりは明確なイメージがあり、輝く針の小人族みたいなカンジのものを想像しています。
『ふふふ、そういえば驚いてもらえたかしら?随分と色々なところを寄り道してたみたいだけど、この白宙道の真の姿は「白い宙の道」であり、「白い虫のための道」であり、「白昼堂々現れた道」でもあるのよ!』
桑子が自慢げに語っている。
『へぇ、中々洒落た言葉遊びじゃない。ただ悪いけど、アンタが幻想郷を出ていくのを認めることはできないわ。それに、蚕に変な力を与えて一緒に連れていくのもね。』
桑子はその言葉に少しムッとした様子で反論する。
『変な力とはなによ!ちょっと空を飛べる様にしてるだけじゃない。そもそも…亡霊も、神様も、妖怪も、人間さえも、空を飛べるこの場所で蚕だけ飛んじゃあダメって道理はないわ。』
『…なるほどね、たしかに筋は通ってるわ。まぁどちらにせよ幻想郷から出ていくのは認められないし、蚕たちは返してもらわなきゃならないけどね。』
『ふふふ、人間ってのはいつもそうよ。私達から翅をもいで、自分達のために利用する。それでもっていらなくなったらすぐに放り出して後は勝手に野垂れ死ね。そんな運命にはもううんざりだわ!だから私は蚕たちをまとめ上げてもう一度青空を駆けるのよ!そして、ここよりもずっと広い外界の桑畑に楽園を作ってみせるわ!』
途方もない夢を早口で語る彼女の目は輝いていた。
何者も自分を遮ることなどできないぞ、とでも言わんばかりに。
『…少し聞いてもいいか?』
それまでずっとその話を退屈そうに聞いていた魔理沙が唐突に言葉を発する。
『何よ!あんたにわかるの?ともに過ごした仲間と飛び立とうとしても、舞い上がれた者が私だけしかいなかったときの衝撃を!地面で羽ばたき、もがくだけの仲間を見ていることしか出来なかった私の気持ちを!生まれたときから糸だけを残して死ぬ定めの悲しみを!』
『いや、そんなもんに関しちゃ全然わからんけどな。これは私がほんの小さな子供だった昔に聞いた話なんだが…蚕ってのはもう自然界で生きられる生物じゃないらしいじゃないか。何に襲われようが逃げることもできない、そのくせ隠れるにもその白じゃ向いてないだろうしな、オマケに餌が無くなっても探しもしなけりゃそもそも枝に捕まってもいられない。お前も薄々わかってるだろ、そんな連中が飛べたところでどうなるかなんて火を見るより明らかだぜ?』
核心を突かれたのか、はたまたはわざと考えない様にしていたことを見せつけられたのか、桑子は明らかに狼狽えていた。
『ぐぅぅ…ええい!うるさいうるさい!私はとにかく外へ行くんだ!こうして空に道を描けば、みんなが今度こそ空を渡って私の元に来てくれるはずなのよッ!』
結局、最初からこの計画は破綻していたのだろう。
背後から迫る狼を振り切ることができたとしても、前に構える虎を越える策があるとは限らない。尤も、今回は狼にも追いつかれたわけだが。
取り乱す桑子を見つめ、霊夢はため息を吐いた。
『にしても、あんたそんなに蚕について詳しかったの?ちょっとびっくりしたわ。』
『さっきも言ったけど、ほんの子供の頃に家の取引先から聞いただけの話だよ。それだけだぜ。』
『ふうん…まぁそれはそれとして…』
霊夢は桑子の方へと向き直る。
『私は博麗の巫女であり、幻想郷の全存在の守護者。あんたみたいな思慮の浅い妖怪でも守る義務がある!よって、幻想郷からあんたを出さないため、そして…馬鹿げた異変を止めるため、弾幕ごっこであんたを叩きのめすわ。冷たい地面で頭を冷やしなさい。それじゃあ…』
『誰がなんと言おうと私は行くわ。例え見える光がほんの僅かだろうと、必ず私達は辿り着く。蛾は光を探すのが得意だからね!そして…お前たちこそ一度地面に這いつくばって届かない空に手を伸ばすがいい!そういうわけで…』
『翅をもがれて地に落ちろ‼️純白の蚕‼️』
『羽をもがれて地に落ちろ‼️紅白の蝶‼️』
桑子の周囲からは力が溢れ出し、それに呼応する様に取り巻きの蚕達が3人から距離を取る。
可憐にして華々しい弾幕ごっこの火蓋が切って落とされたのであった。
いよいよラスボスですよ
技量不足ながら燃える戦いを演出したいところ
登場人物
虫織 桑子
東洋の白きイカロス
能力 異変前ー綺麗な布を織る程度の能力
異変中ーあらゆるものに翼を与える程度の能力
異変後ー蚕を少しだけ飛ばせる程度の能力
種族 妖怪カイコ
スペルカード
?
?
?
?
?
?
テーマ曲 空を夢見る御白様〜unflying fairies〜
彼女は元々外界で生まれ、糸を使って繭を作り、生を終えるだけのただのカイコであった。
彼女は他の全てと同じように人間が置いていく桑の葉を食べ続け、時折周囲の仲間を眺めながら気楽な毎日を送っていた。
しかし、なんの因果かたまたま次の世代の卵を産むために残された彼女の繭はやがて羽化し、自身の見た目の変化に多少驚いたものの、よくよく見れば周りにも同じ姿になった仲間たちがいるでは無いか。
彼らを誘い背中の翅を動かして飛び立つも、その後に続く者はいなかった。
飛び立った直後、彼女が見たものは地面で羽ばたき、重すぎる体を持ち上げようと足掻くだけの同胞たちであった。
…結局、彼女以外の誰も飛び立つことはなく、彼女は一人で格子窓の隙間から旅立った。
時には蜘蛛の巣と格闘し、ツバメに追い回され、大きな葉の裏で雨風を凌いだ。
いくつもの季節を跨ぎ、いつしかカイコという生物の寿命を遥かに超えて生きながらえた彼女は、大きく育ち完全な妖蟲となっていた。
その様子は時折り遭遇した人間を驚愕させ、畏れられた。
しかし、そんな彼女も迫る時代の波にはなすすべもなく、追い詰められてゆく。
元々養蚕業から生まれた妖怪であり、その場所の養蚕業が衰退するとともに彼女の拠り所は薄れていく一方であった。
更には近代化により彼女と人間の遭遇自体が無くなり、人々の記憶からも薄れつつあった。
やがて、消えていきつつある彼女の頭に声が響く。
『…なたも、…想…にこ……?幻……はす…て………いれる…よ。』
そこで外界における彼女の記憶は途切れ、次に目を覚ました時にはこの幻想郷におり、姿も今のものへと変わっていたのだ。
Partー1
次回へ続く