東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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秋の空と乙女の心は変わりやすいと言われますが、だからこそ退屈しなくて良いんですわ
まぁ乙女心なんぞ知りませんが


泥中の伏龍

魔理沙のクレバー?な一撃によって2枚目のスペルカードを破られ、やや劣勢となった桑子であったが、それでも余力・気迫ともにまだまだ十分であった。

大きく吹き飛ばされた直後であるにも関わらず、息つく暇もなくまた弾幕を展開する準備に入り、状況の巻き返しを図る。

一方、霊夢と魔理沙は次なる桑子の弾幕に備えてしっかりと体勢を整えていた。

『さっきは助かったわ、ありがとね、魔理沙。』

『礼にゃおよばんぜ。ただ、私が遊びに来た時のために神社に上等な茶と菓子を用意しといてくれれば良いんだ。』

『およんでるじゃないの。しょうがないわねぇ。』

図々しくもキッチリと要求を通そうとする魔理沙に、霊夢は呆れつつもそれを承諾する。

まぁピンチを救われたことは事実であるし、高いお茶を淹れて魔理沙の功労を労ってやるのも悪くないだろう。

だからといって、異変後に魔理沙を退治する決定に変わりはないのだが。

それからさほど間をおかず、再び桑子の周囲に力が集まり、弾幕を形成していく。

そして、彼女の周囲から蛾弾が放射状に射出され、その軌道上からは無数の鱗弾が無造作にばら撒かれた。

交差しながら複雑に飛び回る鱗弾の中に飛び込んだ霊夢と魔理沙は、そのまますぐに桑子を視界に捉え弾幕で応戦する。

対する桑子も簡単にはやられてやらないぞ、と言わんばかりにあの手この手で2人の弾幕に瞬時に対応していく。

霊夢が放った追跡するお札は桑子が放った蛾弾で打ち消され、魔理沙が放った星弾の流れの中を器用に避けて飛び回り、今まで隠していたのか前触れなく高速のナイフ弾を放って反撃を試みてくる。

そんな一進一退の攻防が続いていたが、時が過ぎるに連れ、徐々に徐々に霊夢と魔理沙は桑子を押しこみ始めた。

2vs1という闘いの構図故か、圧倒的な実戦経験の差か、それは定かではないが桑子の持っている強大な力と弾幕を持ってしてもやってきた2人には後手に後手にと回らざるを得なかったのだ。

ゆっくりと真綿で首を絞めるかのように追い詰められていく現状に焦ったか、桑子は魔理沙の放った大きな弾を咄嗟に弾き飛ばそうと無造作に枝を振るった。

力ある者同士の勝負ではその一瞬が命取り、繊細さを欠いていたその最中に生まれた小さな隙を突いて、一枚のお札が鋭く切り込み、桑子の手から枝を弾き飛ばした。

『えっ…』

あまりに突然のことに停止する桑子の思考回路。

視界の隅では霊夢がお札を放った直後の姿勢で止まって見えている。

混乱、焦燥、さまざまなものが渦巻き、桑子の動きが一瞬止まった。

そして、致命的なその一瞬で桑子の元へと到着した魔理沙の弾は無防備になっていた彼女に直撃したのであった。

『よーし、また私たちが一歩リードだな。ナイスアシストだったぜ、霊夢!』

『喜んでもらえたなら何よりですよっと…それよりもちゃんとあいつから目を離すんじゃないわよ。背中の傷は恥よ恥。』

『なんだそりゃ、剣道でも始めたのか?素直じゃない奴め〜まぁそれも一理あるな。』

霊夢と魔理沙は桑子の方へと向き直った。

次の瞬間、未だに漂う煙の中から桑子が飛び出し、霊夢と魔理沙の方へと向かい合ってスペルカードを宣言した。

 

蛹符「スカシ玉繭」

 

スペルカードが発動し、桑子の周囲を警護するかのように道中で自爆特攻を仕掛けてきた蛾の使い魔が円陣を作り上げてゆく。

『おい、あれはもしかして…』

『ええ、放っておいたらどんどん守りを固めてやるぞって感じね…早めにこっちから仕掛けるのが吉かしら?』

『やっぱりか…そうと決まれば、仕掛けるのは私の得意分野だ!』

魔理沙が放った弾幕は、丁度周囲を回る使い魔たちの間を抜け、一直線に桑子本体へと向かっていく。

早くもスペルカードを破ったか⁉︎と、少しだけ期待した魔理沙であったが、世の中そう都合の良いものではなかった。

突き進む弾幕は全て桑子の目の前で何かにぶつかり、あらぬ方へと飛ばされていってしまった。

『なんだぁ⁉︎私の弾幕はそんなフニャフニャした飛び方じゃないぞ!』

『いや…魔理沙、よく見なさいな。あれは結構厄介だわ。』

霊夢に指摘され、よくよく目を凝らして見てみると桑子の周囲には輝く細い糸のようなものが無数に張り巡らされ、それが攻撃を弾き返していたようだ。

『お前達にこの防御網が破れるか‼︎』

桑子が手を振り下ろすと、糸の一部がほつれてレーザーとなり、霊夢と魔理沙に向けて降り注ぐ。

せかせかとそれを回避し、ガードの空いたところへと反撃を撃ち込む魔理沙であったが、すぐに別の糸が穴を埋めまたしても攻撃を弾き返す。

『ぐぬぬ〜あの糸が鬱陶しい。あれさえどうにかできればなぁ、突破しようもあるんだが…』

『う〜ん、やっぱり一番匂うのは周りを飛んでる蛾の使い魔かしら?何もしてこないってのも逆に不気味だし、念のため撃ち落としておきましょうか。』

霊夢がお札を放ち、使い魔を一体破壊すると桑子は目に見えて焦りだし、散開していた使い魔達を急速に集合させた。

『やっぱり、何かしら用途があるものみたいね。』

『じゃあ、もっと狙ってみるか。闇雲に打ちまくるより余程良いみたいだしな。』

そう言っている間にもレーザーの網の目はより細かくなり、最早桑子が光り輝く繭に包まれているとすら思えるほどだった。

にも関わらず、桑子は焦りを見せ使い魔達を操作してはなんとか霊夢と魔理沙の攻撃から逃げるように動かしている。

やはり、使い魔達には何かしらの役割があり、ただの置物でないと思われた。

それに伴ってか、桑子の攻撃にもばらつきが生まれ、戦況は霊夢と魔理沙にとって有利に傾いて行く。

追跡するお札ととにかく数で攻める星弾に追われ使い魔を守るのに必死な様子の桑子を見て、霊夢はここで勝負を決めにいくことを決意する。

密かに魔理沙に向けて目配せで合図し、自分が最も信頼するスペルカードを構える。

 

霊符「夢想封印」

 

スペルカードの宣言と共に、霊夢を中心に円を描く様に色とりどりの弾幕が出現し、そのまま回転を始める。

やがて、それらは一旦停止し、ふわっと外に広がる軌道で桑子へと突撃して行く。

迫り来るそれらに対して、桑子もなんとか弾幕で対抗するも、なすすべもなく押し切られ、使い魔達を全ていとも容易く破壊されてしまった。

そして、同時に彼女を守護していた繭も消え去り、防御がかなり手薄になる。

だが、消えてしまったならばまた纏い直せば良いだけのこと。

幸い、霊夢はスペルカードを使った直後で動きが僅かに鈍い様である。

それならば霊夢が再び動くまでに最低限の防御はできる筈だ。

『おっと観念しな。撃つと動くぜ。』

そう、あくまで霊夢が動くまでには、である。

いつの間にやら、ミニ八卦炉を前に構えた魔理沙が桑子の左手に陣取っていた。

 

恋符「マスタースパーク」

 

八卦炉の内部から光が溢れ、中心へとエネルギーが集まり、外へと飛び出す時が待ち切れないと言うかのようにスパークする。

刹那の後、虹色の凄まじいレーザーが大気を震わせる様に放たれ、一瞬にして無防備な桑子と彼女の弾幕を呑み込んだ。

もしこの場所の真下、あるいは真上からこの闘いを見ている者が居れば、青空を切り裂く虹色のレーザーに白宙道が交差し、不恰好な十字架のように見えていたことだろう。

そして、レーザーの反動で大きく交代した魔理沙が霊夢の元へと飛んでくる。

『いや〜今のは中々いい感じだったな。思いっきり撃てて私もすっきりしたぜ。』

『そりゃあ良かったわね。それより…』

『おまえたちー!』

その声に振り向くと、そこには先程の連続攻撃をまともに受けたにも関わらず、まだまだ元気そうな様子の桑子がいた。

『なんだ、やっぱり虫はしぶといな。いくら退治してもどっからか出てくるんだ。』

『当然よ!伊達に幾億年も過ごしてないわ!』

『いや、魔理沙の生活環境に問題があるだけじゃないかしら…』

『なんだよ、私の家もろくに見たことないやつが言ってもしょーがないぜ?例えアリス辺りに100回話を聞いてようがな。』

『そうだそうだー!もっと虫の凄さを認めろー!』

『あんたら…妙な連帯感醸し出してるんじゃないわよ…それで、あんたはどうする?このまま素直に降参してくれると少なくとも私は幸せなんだけど。』

『ふん、そんな程度じゃ私達の夢が溢れでるのを止めることなんてできないよ!まだまだやってやるわ!』

『おうおう、元気がいいのは良いことだが、お前らと私達の力の差はわかっただろ?やめとけやめとけって。じゃないと、今度はもっと出力上げていくぜ。』

『そんなの全然怖くないわ!私も、ここからは本気で挑むからね。』

『なんだって?さっきまでは本気じゃ無かったってのか?そんな指南書に書いてあるお手本みたいな負け惜しみはみっともないぜ。』

魔理沙の言葉に、桑子は言葉を返さずただ表情に決意をみなぎらせることで答えとした。

そのまま桑子が両手を胸の前で合わせると、明らかに周囲の空の気流が変動し、今までのスペルカードを使用した時よりも巨大なエネルギーが彼女の小柄な体に収束していく。

いつの間にやら、霊夢と魔理沙は無意識のうちに後退していた。

ほんのつい先程まで桑子を圧倒し押していたというのに、今攻守の勢いは完全に逆転していた。

そして、力を高めた桑子は一段と強い閃光を放ち、昼下がりの幻想郷を本来のそれよりも遥かに強く明るく照らしていた。

 

 

 

 

 

閃光から目を庇った霊夢と魔理沙が顔を上げた時、虫織 桑子は依然変わらない位置で、依然変わらない様子で佇んでいた。

ただ一つの点を除いては、という条件付きだが。

彼女の背中には大きな大きな純白に光り輝く蛾の翅が背負われていた。

4枚のそれはどれも非常に大きく、まるで恐ろしげな蛇の頭に見える部分や不安を誘う波線模様を携え、相手を威圧するには十分すぎるほどであった。

勿論、それは物質としてそこにあるわけではなく、彼女の持っている力の一端が具現化したものでしかないのだが、それ即ち同時に彼女の力が過去の異変首謀者たちと同じように場を支配することができるほど膨大なものであることを示していた。

『さあ、やるぞ!空の新参者達よ!今更土が恋しくなっても、二度と降りられる事はないと思え。尤も…そんなに空を飛びたいなら、青を超えた黒い空まで飛ばしてやるわ‼️』

 




ラスボス恒例の謎の背負いものが現れました。
幽々子様の扇子が一番有名だと思われますが、私は聖と神妙丸のが好きですね。

登場人物

アリス
魔法の森に住む七色の魔法使い
最近出番が少なくてあたしゃ悲しいよ
永夜抄の2人1組システム、蘇れ…蘇れ…

虫織 桑子
スペルカード
蚕符「蚕食弾幕」
桑符「マルベリーシューティング』
蛹符「スカシ玉繭」
ここで背負いもの展開
ちなみに、背負いもののイメージとしてはヨナグニサンの翅ですね。
あんなのでも一応蚕(サン)なので。





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