東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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天の川には今も昔もSLがよく似合います。


ついにEXボスが姿を現しますが、心の中で色々と予想していただけたりしたでしょうか?
そのEXボスのテーマ曲は
【ダークネスミルキーウェイ】です。
どんな曲かは皆様の思い思いで


金剛石の河岸

霊夢と魔理沙は声の聞こえてきた方向にゆっくりと顔を向ける。

そこには、流動する道の中心から大きく突き出た黒い岩の上に立つ着物を着た少女の姿があった。

向けられた視線に応えるように彼女はフワリと浮かび上がり、霊夢や魔理沙と同じ目線まで上昇する。

お陰でよく見えるようになったその姿は、七重に重なった裏地の黒い着物を着用し、頭と手首に星をあしらったアクセサリーをつけた至って普通の黒髪の少女と言えるものだった。

ただ一つ、彼女の周囲を漂う似合わない西洋風の琴を除いては。

『貴女達は気付いておられませんか?ここはもう既に命に満ちた緑の地ではない。私が先程まで立っていた岩が全く苔むしていないことがそれを物語っている。』

『そして、今からここでもう一つ貴重な命が失われるってわけ。…あんたが琴姫ね?』

『ええ、確かに私は

井上 琴姫《いのうえのことひめ》、

煌めく河の渡し船です。ですが、先ほどの貴女の発言には間違いがある。今から失われる命は二つ分ですよ。それも、地上から来た穢れ多きものです。』

『ほほう、いやに自信ありげじゃないか。異変を起こすなら相手の戦力ぐらい調べてからやるんだな。』

『そうね、自分で敷いた道を辿らせてわざわざ敵を招き寄せるなんて、何か罠でも用意してるのかと思えば、それも無さそうだし。私達のことをお仲間から聞かなかったのかしら?』

琴姫は不敵な笑みを浮かべる。

『聞いたうえでの余裕だわ。私の手元にあるこの琴…これは本来異郷の神が持つものですが、天蓋に映し出された精巧なる模造品《レプリカ》なら私のようなただの一鵲でも扱うことができるのです。そして、レプリカといえど神の作った宝具、その内に秘めた力はお前たち2人を足しても余りあるもの。全開で使用すれば多少の術を心得た人間程度髪の毛1本残さず消し去るでしょう。』

『くだらないこったな。紛い物をいくら器用に使ったところでオリジナルの足元にも届かないだろうに。少なくとも私はその紛い物《レプリカ》に神の気なんて1つも感じないがな。』

『今回ばかりは魔理沙の言う通りね。それに、たとえその琴がオリジナルだとしても私達のやることには変わりない。異変の黒幕を叩きのめすだけよ。』

一歩も退く様子を見せない霊夢と魔理沙に、琴姫は小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。

『愚かだな、人と人ならざるものの差をわかっていない。そして…お前たちはまだ気づいていないのか?』

不気味な問いかけに2人は困惑する。

何か見落としでもあるというのだろうか?

『お前たちが辿ってきたモノは道などというものではなく、ましてや私が敷いたなんてことはあるはずも無い。それどころか私…ひいては人間、妖怪、いや、大地の全生命が産声を上げるより遥か前より天に横たわっていた尊き銀色の河…天の川だよ。』

『そうなのか?底を歩ける川なんて聞いたこともないぜ?出鱈目じゃないだろうな。』

『そりゃあそうでしょう、天の川を流れる水はこの世で最も澄んだ水。見えもしない、触れもしない、鈍い人間ではほのかに立つ紫色の漣でしか知覚できない清き河よ。さて、お前たちが河を渡るのはどんなとき?逢い引き、義心、理由は数あれど殆どは自ら望んで渡るでしょう。ただ一つ、死出の旅を除いては。自ら死を望む賢者も僅かにはいるにせよ進んで死にたい奴などそうはいないでしょう?』

『私はそういう奴を1人知ってるぜ。賢者かどうかは知らんがな。』

『僅かに、と言ったでしょう?死を望む奴なんて殆どは愚か者なのよ。本来なら六文銭がいると聞くけど…今日は特別にタダで渡らせてあげましょう。」

『大きな御世話よ。魔理沙はともかく私は碁盤を蹴倒してでももっと長生きさせてもらうわ。』

それまでフラフラと漂っていただけであった白い琴が強いオーラを放ち始めた。

それに呼応する様に琴姫の長い髪が広がり、着物の千鳥紋が光り輝くと共に裾がスラリと伸びていく。

その姿は、丁度背後から見ると翼を広げた鵲のように見えただろう。

『人の親切は受け取っておくものだというに…まぁお前たちが拒否したところで結果が変わることは無い。空の魔力に当てられた人間が、身の程を知らずに再び地上へ堕ちるなど、使い古された御伽噺のようなものだが…今一度、お前達に教えてやろう‼️蝋の翼のひ弱さを‼️本当の空の支配者を‼️』

星々の煌めきはもはや目が痛いほど強くなり、夜空に敷かれた道…もとい大河は波の荒さを増しつつあった。




主人公と話してたら徐々に化けの皮が剥がれていく敵キャラ好き。

登場人物

琴姫の琴
ギリシャ神話に登場するオルフェウスさんの琴ですね。
本作の設定では、空に上げられた琴はオリジナルを限りなく正確に映し出した版画のようなものという扱いで、琴姫はその映し出された姿から力を借りているという設定です。

井上 琴姫
(いのうえのことひめ)
銀の河の渡し船
能力 河を道へと変える程度の能力
種族 鵲
スペルカード










テーマ曲 ダークネスミルキーウェイ

今回の異変が始まる前、最初に桑子に話を持ちかけた真の元凶ともいえる人物である。
彼女は一年に一度の七夕の際に水量が増した天の川に橋をかける役割を持つ鵲の内の1人であり、元々の力は大したことのないものであった。
ある日、鵲達を一年の内、残りの364日ブラブラさせておくことを問題視した天の神は彼女達にもう一つの仕事を命じた。
それは、天に住まう尊き人が機織りを行うための糸を集めることである。
かくして、一年の殆どを自堕落に暮らしていた鵲達はそれなりに忙しい日々を送ることになったわけであるが、当然と言うべきか新しい仕事なんてまっぴらごめんという鵲も一定数はおり、彼女もその中の1人であった。
とはいえ、この決定を行ったのは天を統べる神、ストライキなどしようものなら問答無用でお叱りを受けることになるのは目に見えていた。
渋々彼女は毎年ある程度の糸を集め、天に納める生活を繰り返し、いつしか幾つもの年月が流れていた。
そんなある日、偶々幻想郷上空を飛び回っていた彼女は、遥か眼下の森の中で会議モドキをしている3つの人影を発見する。
それは、異変の実行犯である虫織 桑子属する甲鱗同盟の3人であった。
Part-1
次回へ続く
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