東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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はーるのうららのすーうみだーがーわー


不完全変態

荒れ狂う弾の中から生還した霊夢に魔理沙が最高速で近づいて無事を確かめる。

『大丈夫か?目玉とか盗られてないか?いや、なんなら鳥インフルエンザだとかにかかってないか!?』

魔理沙がいつも以上に距離を縮めてくるため、帽子の鍔が顔を直撃しそうで冷や冷やする。

しかも本人は純然たる親切心と友情からくる行動を行なっているということは霊夢にもわかっているため怒って咎めたりしづらいのもダブルパンチで鬱陶しい点だ。

『どうやってアレを潜り抜けたんだよー、教えろよー』

『はいはい、後でいくらでも教えてあげるから前を見なさいよ、前。』

不服そうに琴姫の方へと向き直る魔理沙を尻目に霊夢は先程の弾幕から感じた違和感に考えを巡らせる。

あの弾幕の精密な追尾力と最後の挙動からみるに、アレを構成する一つ一つの弾は間違い無く生命と意思を持って行動していた。

それは魔法の森の笠地蔵が得意とする魔法によく似ているが、彼女の場合はその魔法自体を能力として主張するほど自信を持っているし、実際精度も相当なものだ。

対して琴姫の弾幕は竪琴の力を解放してから明らかに性質が違うものになっており、その事実から感じられるのは湿度の高い熱帯夜のような不快感が尾を引く気味の悪さだった。

『完全に壊した方がいいかもしれないわね。』

霊夢が呟くと同時に琴姫を包むように出現した魔法陣からあらゆる方向に羽弾が放たれ始めた。

軌道を小刻みに揺らしてきてはいるものの、単純なこの弾幕は威嚇であり次なる攻撃への布石といったところだろうか。

魔理沙が一度うっかり弾ぶつかろうとしていたことはあったものの別段トラブルもなく避けきり、お互いに向き合ったところで琴姫は五枚目のスペルカードを宣誓した。

 

五翼「鵲のエクリプス」

 

既に琴姫の周囲に展開されていた魔法陣がやっと調子が出てきたと言わんばかりに拡大し弧を描くように羽弾を生成してゆく。

作られた弾は一呼吸にも満たない程度の間を置いてすぐに殺意を込めて放射状に暴れ出すのであった。

『おっとっと、中々のスピードだがその程度じゃ私を捕まえられないし、ソニックブームも起こせやしないな。』

確かにスピードはある弾幕だが、それまでと比べて捻りがないのもまた事実。

見るからに性根から捻くれてそうな琴姫が使う弾幕としてはシンプル過ぎて逆に何か隠されているようにも感じるのだが気のせいだろうか。

まあ決めつけと思い込みが最もタチが悪いというのは幾度も繰り返し言われてきたことでもあるし、疑ってみたところで敵に聞いて確かめるのもアホらしい。

あれこれ考えるより今やるべきことは弾幕だ。

鋭く切り込んでくる羽弾を躱して魔理沙の箒が夜空に線を引いてゆく。

その軌道から琴姫に向けて降り注ぐ星弾は彼女へのダメージ狙いではなく、攻撃と衛星を兼ねた魔法陣の破壊を目的としたものだ。

羽弾にパワーで勝る星弾は労せず接近を続け魔法陣を粉々に砕いてゆくが、奇妙なことに琴姫は一切の回避や防御を行おうとする素振りを見せず、ただただなすがままにされているのだった。

遠くて見えづらいものの魔理沙も琴姫が大人しく叩きのめされてくれる優等生黒幕とは思っていないらしく、困惑が混じった顔をしていた。

しかし同時に魔理沙は魔法陣の編隊が緩んだ隙を見逃すようなアマチュアバレットフィリアではない、すかさず短くスピーディーなレーザーを放って琴姫の不気味なスペルカードを打ち破ったのだった。

しかし打ち破られたのにも関わらず、琴姫は焦りや悔しさのような感情を表に出さずむしろあの蜃を彷彿とさせるような嫌な笑みさえ浮かべている。

それがより一層不気味に思えたが後からただのブラフでしたなんて言われても腹が立つので今回はこちらから仕掛けてやろうと霊夢が動き出した。

人間離れした弾幕と体術の片鱗を見せながら迫り来る霊夢に対し、琴姫は逃げながら羽弾を波状に放って迎え撃つことにしたようだ。

なんとか高速で飛来する針の軌道に入るまいと方向転換を繰り返してアクロバット的に逃げる琴姫に、「物理的にどうなってんだ?」と疑問を抱かざるを得ない避け方を繰り返す霊夢。

それを眺めつつ魔理沙は今、自分がどう動くのがベストか考えていた。

しばらく…と言ってもほんの1、2秒の間だが観察しているとあることに気づいた。

いつからだろう、琴姫の背負う竪琴を模したオーラに翼の形が足されている。

それに気づいた魔理沙の脳裏に嫌な予感がよぎり思わず口を突いて言葉が出た。

『離れろ!霊夢ッッ!』

 

 

 

一方時をほぼ同じくして霊夢も嫌な気配を感じ大きく動いての回避に移ろうとしていたが、残念ながらギリギリ一手遅れてしまったようだ。

 

六翼「ダイナミックソアリング」

 

琴姫を追い、今にも捕まえることができる位置にいた霊夢は突如放たれた高密度の弾幕を躱し切ることができず、ついに攻撃を受けて眼下に伸びる天の川へと落ちていくのだった。




ルナシューターだってたまにはミスもするよ
だって人間だもの〜

登場人物

鳥インフルエンザ
ヤバい

魔法の森の笠地蔵
結局彼女は成子なのか成美なのか

井上 琴姫
スペルカード
一翼「バードストライク」
二翼「鵲の渡せる橋」
三翼「鴆の毒羽根」
死翼「クロス・ザ・ステュクス」
五翼「鵲のエクリプス」
六翼「ダイナミックソアリング」






しかし虫織 桑子は破れ去り、琴姫の立てた計画は全て天の川の泡と帰した。
おまけに桑子が自分の存在を吐いて仕舞えば並の妖怪より恐ろしい人間に目をつけられてしまう。
失望感やら苛立ちやらで落ち着かない彼女であったが、ふと思い立つ。
何を恐れることがある?自分の手元には竪琴という切り札があるではないか。いっそ異変解決屋共を皆返り討ちにして自身の妖怪としての格をも高めてやろう。
こうして彼女は霊夢と魔理沙を嘲るように異変の再現をし、二人を迎え撃ったのであった。
ちなみに浮舟とは幻想郷ができる以前からの友人という関係であり今回の異変を進める上での潤滑油的な役割も琴姫から彼女に依頼した。
part4
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