東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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最近激辛を謳う飯屋があるとついつい入ってしまう。
そんなもの食べたら眼輪筋はヒクつきだすし、手足に原因不明の痺れが走って消化管で太陽ができているような熱を感じ、トドメに翌日のトイレで地獄を見ることは分かりきっているというのに。
自分ってアホなんだなぁ


腐り切った仲です

彼女の口から泡が星空に向けて立ち上ってゆく。

水面と触れた感触は無く、水圧や息苦しさを感じることもない。

ただ、ほんの少し視界が紫色の硝子のように輝きながら歪み、漣が起こす微かな水音が耳に届いたことで博麗霊夢はようやく自分が一撃をもらい天の川の穢れなき流れの中へと墜落したことに気づいたのだった。

どうやら自分はまんまと琴姫の策に嵌り、手痛い一撃をもらってしまったらしい。

『これじゃあ魔理沙にも笑われるわね。』そう自嘲気味に呟いた霊夢はふと自分が何もしていないのに川底から離れて浮遊していることに気づく。

『あれ?遂に能力も使ってないのに浮くようになったのかしら?これじゃあ風船巫女みたいな変な渾名が増えるかも…って、あ!』

思えば、ここは一応川だし見えなかろうと水は水なので浮力が生まれるのは当然だった。

一人で勝手に納得し、体を支える浮力に任せてボンヤリと上を見た霊夢の揺らぐ視界に映ったのは、おそらくトップスピードを保ちつつ逃げる魔理沙を上へ下へと大きな波形を描きながら膨大な量の燕弾を放って追い詰めつつある琴姫という絶対絶命の状況だった。

『そう、私を捉えたスペルカードはアレね…確かに見てるだけでも骨のある弾幕だってわかるわね。さてどうしたものか…』

霊夢が思案を始めようとしたその時、魔理沙がずっと叫んでいた言葉を清き水が音より速く伝えてくれた。

『霊夢ッ!大丈夫か!生きてんなら返事してくれッ!』

弾幕ごっこはどこまでいっても少女達のためのお遊びであり本気の殺し合いでは決してない。

だが、危険性だとか負の感情が全く関わらない遊びなど存在しない。

というより、スリルこそが遊びなのだ。

もちろん華々しき弾幕ごっこも例外ではなく、ルールを霊夢が定めて以来ごく稀なことではあるが確実に年に数人ほどは命を落とす者(なお、そのほとんどは遊び半分で弾幕ごっこに手を出した里の人間である)が現れている。

魔理沙が心配するのも当然だろう。

霊夢とて博麗の巫女である前に人間なのだ。

『まったく…なんだかんだアンタとの関係を続けてるのはそういうとこなのよねー、ああほんと煮詰まった腐れ縁だこと。』

小さく笑みを浮かべると、霊夢は天の川の底を蹴った勢いで一気に加速し弾幕の余波で小刻みに紫の波を立てる水面に向かうのだった。

 

 

 

 

話はほんの少し過去へと戻り、魔理沙は苦戦していた。

自分らしからぬ逃げの戦法を選び、打ち倒すべき敵に背を向けることとなっているのも一重に今の琴姫からは隙がうかがえないという一点に尽きるのだ。

一つ前までのスペルカードとは違い大きく動くようになった彼女の攻撃は回避或いは反撃に適したタイミングが掴みづらいうえにこちらからの攻撃は独特なゆったりした動きと高速の移動を繰り返す飛び方によって微妙に狙いをずらされて命中させるのは至難の業だ。

そんな攻防一体のスペルカードに対して攻めあぐねる魔理沙だったが遂に辺りを飛び回り続けていた燕弾と琴姫本体に囲まれて逃げ場を失ってしまう。

『し、しまった!かんっぜんに忘れてたぜ、ちくしょう!』

『あらあら、記憶力勝負で鳥に負けてたら万物の霊長なんて名乗れませんねぇ。さて…それじゃあ.潔く辞世の句でも考えることねぇ!』

回避不能を悟り、魔理沙は目を瞑る。

願わくば打ちどころが悪くありませんように…しかし、敗北を受け入れようとした彼女の覚悟とは裏腹に5秒もの時間が経過しても一向に衝撃が来る様子はない。

奇妙に思い、今更ここで目を開けたらちょっとカッコ悪いなーなんて考えつつ魔理沙が薄目で琴姫が向かってきていた方角を見てみると、そこには朱色をした正方形の結界を作り琴姫の弾幕を防ぐ見慣れた紅白の人影があった。

『うおおー!生きてやがったかこいつめ〜あんまり遅いから帰ったら神社の家財道具を遺品として有効活用してやろうと思ってたところだぜ。』

『おあいにくさま。うちには優秀…な番犬がいるからあんたも私の後を追うことになるわね。おっと、無駄口叩いてるヒマなんてないんだった。それっ!』

霊夢の結界は琴姫に競り勝っただけでなく砕け散った後も複数のアミュレットとなって琴姫を襲い、そのスペルカードごと貫いたのだった。

霊夢の復活で魔理沙も闘志が燃え上がってきたようで、ミニ八卦炉を右手で弄びながら悪人ヅラをしている。

状況は一転し、霊夢と魔理沙が攻勢に出るかと思われたが…

 

七月七日「814羽の鵲」

 

ここで琴姫は二連続のスペルカードという強硬策に打って出たのだ。

多少の消耗を考慮しても闘いの流れを自分の方へと留めておきたかったのだろう。

七番目となるこのスペカは極悪なまでの物量作戦。

琴姫の竪琴がより一層妖しく輝き、視界が覆い尽くされんばかりの燕弾を形成し、その全てを霊夢と魔理沙に向けて放ってくる。

二人は最初の数秒こそ広範囲を巻き込んで破裂するお札や貫通するレーザーで対抗しようとしていたが、量が量ということで早々に弾を掻き消すことを諦め、撹乱しつつの遊撃戦に切り替える。

幻想郷の夜空は街明かりの影響を受けないため、目視可能な星の数はべらぼうに多い。

そんな満天の星空に浮かぶ星々の数と比べても見劣りしない程の燕弾の大群が唸り声のようにも聞こえる重低音を発して霊夢と魔理沙を追い詰めんとしていた。

一塊になった弾幕はスペルカード発動中の五分間、彗星より…いや、大吉を呼ぶ客星よりも明るく幻想郷の夜を照らし出す、それを人間は暫しの見せ物として楽しみ妖怪は明るすぎてやる気を無くした。

地上は気楽なものだが上空にいる当事者三名は皆懸命に闘いを続行していた。

ほんの少しの隙間を縫い、燕弾の翼に相当する部分が鼻先や前髪をかすめてゆこうとも動揺はなくただ回避のみに思考のリソースを割く。

そうしていればいずれは大量の弾幕を扱いきれず綻びが露呈するだろうという考えだ。

五分ほどが過ぎただろうか、神経を常に張り詰めて避ける霊夢や魔理沙、そして膨大な量の弾幕をコントロールし続けている琴姫の額にも玉のような汗が浮かび、三人の疲弊度合いとこの膠着状態の終わりが近いことを告げていた。

その時は突然訪れる。

霊夢を追う塊が列を崩し、ほんの一瞬あらぬ方向へ向かおうとした。

すぐさま軌道は矯正されたためほとんど影響は出なかった…でないはずだった。

隙と言えるかも怪しな一瞬は亜空穴という技を持つ霊夢には十分すぎる時間だ。

一瞬でスペルカードを宣誓し、大量の弾幕を吹き飛ばしたのだった。

 

白宙夢「夢想封印・宙」

 

高級が自由自在に駆け回り固まった燕弾を文字通り烏合の衆のように蹂躙していく。

霊夢の弾幕で全てがまっさらになり、唖然としているのを隠しきれない琴姫の側頭部に魔理沙がひっそりと放った星弾がクリーンヒットし、七番目のスペルカードは終幕となった。

危機を乗り切ったと確信し、一息つくとあることに気がついた。

そういえば、魔理沙が心配してくれたことへの礼をまだ伝えていなかった気がする。

『魔理沙、ありがとね。』

いざ真正面から感謝するというのはいつでも照れくさいもので、はにかんだような表情になってしまう。

ましてや、その相手が魔理沙だと尚更だ。

弾幕の残滓も消えやらぬ中で唐突に向けられた感謝の言葉に魔理沙は困惑し不審がった。

『なあ、やっぱり頭でも打ったんじゃあないのか?もしくは水の中に落ちたからキレイな霊夢に交換されて…』

そこまで言って彼女の言葉は無慈悲なお祓い棒の一閃に遮られた。

『いてっ!なんだよもー』

人がせっかく感謝を素直に示してやっているというのにまっこと失礼なやつである。

『なんでもないわよ。それより、弾幕ごっこはまだまだ続くわよ?』

『ハーフタイムを要求するぜ。』

どうやら相手は魔理沙の要求を聞き入れるつもりは微塵たりともないらしい。

琴姫は無言で次のスペルカードを天に掲げると、あたりの空に多数の魔法陣が出現していく。

前も後ろも右も左も魔法陣に囲まれそうな状況に二人は無意識に背中合わせの体勢をとっていた。

『ほー、まだこれだけ力を残してるとはなぁ。横に浮いてる異郷の神の竪琴だったかは相当な代物らしいじゃないか。私の値打ちものセンサーが反応しまくりだぜ。』

品定めをする魔理沙をよそに出現した魔法陣の数が100を越したころに琴姫がスペルカードを宣誓する。

 

「クルメグレイザー」

 

展開された無数の魔法陣、その全てから燕弾と羽弾に慣れた目ではいつも以上に小さく見える小弾が放たれ、ゆっくりと空間を埋めてゆく。

『これは…固まってるとまずいわ!一旦一人ずつで乗り切るわよ!』

霊夢が弾の多さと隙間の狭さからまとまった行動するのは得策ではないと瞬時に看破し、魔理沙に呼びかける。

返事こそ無かったが、その意図を理解して魔理沙もすぐに単独行動に移った。

とはいえ、もうスペルカードにして8枚目にもつれこんでいる長期戦であり、霊夢と魔理沙が切れる手札も少なくなってきている。

お互いに決着を狙いたい場面だった。

耳元で弾の掠ってゆく音が止まらない。

魔理沙は精密な動きのため箒から降りて飛びながら弾幕を張って抗戦し、霊夢は蝶が舞うように掴みどころのない飛び方で猫さえ通れないような隙間を潜り抜けていく。

しばらくは弾幕同士でぶつかり合っていたが、その爆発の中から魔理沙からの光弾が一つ琴姫を捉えんと小弾の隙間を抜けて登っていた。

そして、遂に命中…するかと思いきや琴姫の直前でバリアのようなものに弾かれあらぬ方向に飛んでいってしまった。

魔理沙は驚いたもののすぐに考え直し、

『そりゃあそうだよな。これだけの弾数だ、うっかりで自分の弾幕に突っ込んだりしたら恥ずかしさで地底に籠りかねないな。』

と、耐久を想定して備えるのだった。

一方の霊夢もその瞬間を目撃しており、即座に相手のスタミナ切れを狙う戦術に切り替える。

ほんの10センチ動き過ぎたりあるいは動かな過ぎたりすればたちまち連続で炸裂するであろう濃密な弾幕の中でそんなことをやるのは勘弁願いたいが、そうなってしまった以上は仕方がない。

緻密な弾幕は時間と共により密度を増し、徐々に袖やリボン或いは帽子の先を焦がしてゆく。

オマケにもはや視界は白が覆い尽くしていた。

時間にして僅か1分。

魔法陣を維持できなくなり、スペルカードの終焉と共に崩壊していく弾幕の中から永遠に等しい1分を生き延びた霊夢と魔理沙が姿を現した。

ちょっぴり焦げ付いてはいたが。




ジョジョ六部のアニメが終わっちゃう〜
徐倫カッコいいからもうなんでもいいや

登場人物

井上 琴姫
スペルカード
一翼「バードストライク」
二翼「鵲の渡せる橋」
三翼「鴆の毒羽根」
死翼「クロス・ザ・ステュクス」
五翼「鵲のエクリプス」
六翼「ダイナミックソアリング」
七月七日「814羽の鵲」
「クルメグレイザー」

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