東方白宙道〜Hundreds of Millions Wax PTERA〜   作:プルプルマン

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最近またポケットモンスターHGを最初からやりました
やるたびに思う、なんだこの神ゲー


決着ゥゥゥ‼️

もはや、お互いに語ることなど何も無かった。

必要なことも不必要なことももう言葉で語らったし、何より幻想郷の標準言語の弾幕が雄弁に伝えてくれた。

故に少女達は最後まで弾幕で語り合うのだ。

 

「ダークネスミルキーウェイ」

 

竪琴の放つ光と妖力は最高潮に達し、もはや玉虫色に輝くそれは直視すれば網膜を焼きかねない。

琴姫の前方に巨大な二重の魔法陣が出現し、瞬きひとつすることさえ許されない速度で無数の黒い星弾を連射し始める。

純白の天の川を染める黒い濁流はあっという間に地平の彼方まで駆け抜け、もう一本の大河を空へと横たわらせた。

霊夢と魔理沙はもはや目配せの必要すらなくシンクロするように横へと飛び自ら濁流へと呑まれる道を選びとった。

 

 

 

毎朝整えるリボンでまとめたおさげが少し流れに掠り、髪の毛の焼ける嫌な匂いが一瞬鼻を突く。

ショートウェーブを連続して放ち、反撃するも高密度の星弾が壁の役割をも同時に果たし、琴姫の元へ行くことはない。

不意に左側から眼前に迫った弾を箒で受け止め、乙女の細腕には酷なほどの重さを持ったそれをなんとか後方に受け流す。

無茶な負荷を受けた箒は悲鳴を上げて今にも折れそうで、これ以上の魔力行使に耐えられるとはとてもではないが思えない。

魔理沙は相棒に敬意を示し首を僅かに垂れると、握りしめた右手を緩めて箒に促す。

ひび割れ、焼け焦げた相棒は静かに彼女の手から滑り落ち、清すぎる流れの中に飛び込んでゆくのだった。

別れの感傷に浸る間もなく、交差する赤い羽弾をバリエーションに加えた弾幕がより激しさを増して獰猛に襲いくる。

肩口や顔の横に熱を感じながら弾幕の中を飛び、彼女らしくマジックミサイルの残弾を全て撃ち込むという大火力の行使での突破を試みる魔理沙だったが、激しい爆発の末にもうもうと残る煙の中から飛び出してきた黒い星形の影によって自らのパワー負けを知った。

目前に迫る弾を見つつ、相棒への後ろめたさを残しながらも撃墜される覚悟を決めた魔理沙だったがー

 

 

 

ああ、ただでさえ結構ダメージを受けてきた袖がまた焦げた。

このままではアイデンティティを全て吹き飛ばされ博麗の巫女Aとでも呼ぶべき姿にされてしまうかもしれない。

そんなことは許さないし許されない。

幻想郷でまで自分を無くした者はどこへいく?

答えは「どこにも行けない」だ、万一にもそんなことにならないように霊夢は深呼吸して気持ちを一新し大幣を振るう、振るう、振るう…

その度に甘くない速度と重さを持っているはずの星形弾は真横に吹き飛ばされ、他の弾を巻き込んで小規模な爆発を起こす。

単純な弾幕に意味はないことは琴姫も承知なのか気付けば黒い濁流の中で飛び跳ねながらこちらを狙うものがある。

これがそこいらの小川なら自分は小魚にすら舐められているのか…と少し悲しむやら怒るやらすればそれで済むが、この流れは弾幕だ。

つまるところそれは小魚などでなく、黄色の音符弾だった。

また意思でも持たせたのか、霊夢の動きに合わせて少し挙動を変えるそれは彼女の集中を絶妙にかき乱し、確実に肝を冷やすような場面を増やしていた。

肘に掠ったー擦りむいたかも、踝に掠ったー靴の色が剥げた、額を掠めたーちょっぴり前髪が焼けたかも

直撃は避けているもののどうしても危険なグレイズは増えてしまう、しかしこれ以上の損害は防がなければ神社の家計に響いてくるのは火どころか太陽を見るより明らかだ。

(服はまたあの店主に払うことのないツケで仕立ててもらうし、擦りむきぐらいならほっとけば治るので特に薬代とかもいらないので実はそんなに損害でもない。)

手持ちの針はもう使い尽くしたし、お札とアミュレットもあと数枚、と中々のピンチだ。

と言うわけで今頼りになるのは陰陽玉だけなのだがどう使ったものか。

しばし熟考、その後霊夢はここで勝負を確実に決めるため伝家の宝刀たるあの術を使うことに決めたのだった。

宝刀は抜かぬが華という文言こそあれど、いざ肝心な時に手入れ不足やらなにやらで抜けませんでしたでは話にならない。

もちろん、霊夢の宝刀は研ぎ澄まされていた。

 

「夢想転生」

 

 

 

 

突如、魔理沙の目前に迫っていた星弾だ割り込んできた半透明の人影に蹴り飛ばされ消失する。

大いに驚いた魔理沙だったが、流石の理解力で状況を察し右手には八卦炉、左手には残ったマジックボムを持ち体勢を整える。

一方、霊夢と魔理沙にもう後がないことを察し全力を振るっていた琴姫は突如出現した大量の大型陰陽玉に思わず怯み、顔の前に翳した腕のあいだから一瞬途切れた弾幕の向こうがチラリと見えた。

そこにいたのは並び立つ二人の主人公。

数々の異変を解決し、恐るべき黒幕との真剣勝負に興じて、弾幕を愛し弾幕に魅入られた幻想郷の守護者達の姿だった。

 

琴姫からの弾幕がほんのりと緩まったことを察知した魔理沙は霊夢に最後のマジックボムを手渡し、目で合図を送る。

霊夢は無言で頷くとまたしてもカラフルな陰陽玉を四方八方に放ち手招きで琴姫を挑発してみせた。

飛び交う黒のタイダルウェイブと五色の陰陽玉が視界にちらつく中、魔理沙は手中のミニ八卦炉にいつものスペルカード以上の、今回の異変に限っては最高のエネルギーを収束しようとしていた。

ただ、流石にこれほどまでの膨大なエネルギーともなるといくら大火力の専門家と自称する彼女でも扱いが難しいようで、手を伸ばして霊夢とやりあう琴姫を射程に捉えたは良いものの体全体がすでに震えて安定しない。

この1発を外すようなことがあればたちまち戦況が逆転しかねないことは重々承知だが、このままリスクを抱えて撃ってしまっても良いものなのだろうか?

エネルギーのチャージが終わり、今にもはち切れそうな八卦炉が仕上がったその時、背後から風を切って何かがこちらに高速で向かってくる音がする。

その存在を確認しようとして後ろを振り向いた魔理沙は、飛来したものの正体に気づくとニヤリと笑みをこぼした。

『それじゃあ、もう少しだけ世話になるぜ。相棒‼️』

 

こちらは天性の勘によって魔理沙の準備完了を感じ取った霊夢、最後の一撃をより完璧なものにするため、急激に琴姫に接近して近接戦闘を仕掛けた。

思わぬタイミングで接近し、大幣を振り下ろしてきた霊夢に対して琴姫はなんとか背中の翼を前方に突き出して受け止めるが、霊夢のインファイトは止まらない。

鎌首をもたげて揺れる蛇のように読めない動きで繰り出される一閃の連続は竪琴の力を借りても防ぎ切ることは出来ず、なされるままに交代していく。

まさに体が勝手に動きの最適解を選びとり、この世の全てをも超越しうるという夢想転生の強みが最大限に発揮されていた。

しかし、神器にも匹敵するような技を遊びの中で延々と使うことなどできるはずもない。

あくまで弾幕ごっこは可憐で美しくなければならないのだ。

霊夢の体に急激に色が還り、急に打ち込まれた際の手応えが軽くなったことから琴姫にも何が起こったか伝わってしまったようだ。

千載一遇の好機を逃すまいと反射的に近距離からの弾幕で攻撃を仕掛けようとする彼女であったが、経験の差というものが牙を向いたのだろうか?

頭脳戦という面で霊夢が一枚上手だった。

霊夢の左手からポロリと宙に舞う三角錐の塊。

それは先程魔理沙が手渡していたマジックボムであり、霊夢は夢想転生が切れるタイミングであえて相手の油断を誘い完全な意識外からの攻撃を仕掛けたのだ。

投げ出され、すぐに膨張し破裂するマジックボムの衝撃を至近距離でまともに受けてしまう琴姫だったが、それでも竪琴の防御を崩すことはできなかった。

残りの札で作った結界に入り爆発を防いだ霊夢だったが、その顔は不意打ちの失敗にも関わらず微笑んでいる。

なぜなら、本命は眼下で強烈な光を放つ魔理沙なのだから。

 

魔砲「ファイナルスパーク」

 

膨大なエネルギーが八卦炉の発射口で一瞬球状になった後、目にも止まらぬ速度で琴姫に向けて黒い濁流を遡ってゆく。

通常なら使用者が反作用で即座にどこかへと吹き飛んでいても何らおかしくないほどの威力を誇っている魔理沙の奥の手だが、その無茶苦茶な反動はもはや彼女の身体の一部と言えるまでに使い込まれた箒が全て受け止め、支えていた。

あまりのエネルギーに本能が警鐘を鳴らしたのか琴姫は全ての弾幕を魔理沙へと向け、なんとか迫り来る破壊を押し返そうと試みる。

どちらも競り合い、押し合い、衝突の余波だけで幻想郷を吹き抜ける一陣の風が発生するほどの接戦だったが、軍配は魔理沙へと上がった。

黒い逆流とともに迫り上がってくる魔砲に呑まれた琴姫はしばらくの間こそ竪琴の力で堪えていたようだが、程なくして何かが砕け散るような音とともに彼女の最後のスペルカードは打ち破られ、同時に夜空を舞台とした弾幕ごっこも終わりを告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ん……あたた…私はどうなった?』

琴姫が目を開けると、そこは天の川の中にある比較的平坦な岩の上だった。

どれぐらいの時間気を失っていたのかはわからないが、東の空がだんだん白くなりつつあるところをみるとそれなりに長い時間硬い岩の上で寝る羽目になったらしいことは窺えた。

『どーりで身体も痛いわけだわ。寝違えてないでしょーね…』

まだ家に湿布とか置いてあったっけなどと考えていると、聞き慣れた友人の声が耳に届いた。

『よかったー、消されて無かったかー。』

ふわりとそばに降り立つ八代 浮舟、性根が腐っている琴姫のほぼ唯一の友人だ。

『なんかようなの?裏切り者〜どうせあんたが情報吐いたんでしょ?』

『酷い言い草だわ。せっかくコトが心配で心配で博麗神社から命からがら脱走してきてやったのに。(見張りの萃香が勝手に寝落ちしただけ)』

『ホント…いつも通りよく回る口だこと、フネってホントにあの物静かな蛤?』

『もちろんよ。ちょっと長生きしただけのね。ところで、あれはほっといて大丈夫なの?』

徐に浮舟が背後を指差して問う。

『へ?』

琴姫が彼女の指さす方向を振り返ると、そこには青色の鱗と黄金に光る角と毛並みを持った獣が雲に乗って佇んでいる。

獣が一声あげるといつのまにか琴姫の手には書簡が握られており獣自身は跡形もなく消え失せていた。

『ヤバい……圧倒的にヤバいわ…もうダメだぁ…』

書簡の中身を読んですらいないのにこの世の終わりのような顔になっている琴姫に浮舟は正直ちょっと引いていた。

『と…とりあえず読んでみたら?もしかしたら昇給とか特別手当かもだし。』

その言葉で琴姫は渋々中の書を取り出して広げてみることにしたようだ。

して、中にあった文書はというと、全てを載せるには忍びないので、要件と一文目のみを掲載させていただこう。

 

 呼出状

監査役から其方が紡役の業務にて不正を用いんとしたことが報告された。

 

もちろんこれを読んだ琴姫がショックで再び川の中に転げ落ちたのはいうまでもない。

春のまどろみが残る日の出とともに天の川は薄れ、青に移ろう空へと溶けるように消えてゆく。

幻想郷の朝には鳥達の囀りが響き渡っていた。




ここまで読んでいただいた方へ私は言いたい
ありがとう‼️
自分の書いたものが誰かに見られることがこんなにも嬉しいとは夢にも思いませんでした
また次があればよろしくお願いします!

登場人物


ああ……ずっと側に居てくれたのか…

八代 浮舟
誰も覚えてなさそう
琴姫とは「コト」「フネ」と呼び合う仲

雲に乗った獣
天帝の遣いとして地上にやってきたは良いものの、なんか妖精は凶暴化してるし、高レベルな弾幕ごっこの真っ最中だしで結構疲れている。

井上 琴姫
スペルカード
一翼「バードストライク」
二翼「鵲の渡せる橋」
三翼「鴆の毒羽根」
死翼「クロス・ザ・ステュクス」
五翼「鵲のエクリプス」
六翼「ダイナミックソアリング」
七月七日「814羽の鵲」
「クルメグレイザー」
「バーズトライアングル」
「ダークネスミルキーウェイ」







もうちっとだけ続くんじゃ
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