ぼっち『死者のストンプ』 作:ゆずぽん
皆さん静粛に!
えー、簡潔ではありますが、時代背景なんぞをご説明。
この冒険は、1920年代のアメリカ、禁酒法の時代を想定している。かのビリー・サンデーはこう語った。『今夜、午前零時を回れば、新しい国が生まれます。明晰な考えと、好ましいマナーの時代が始まるのです。刑務所や少年院は空っぽになり、工場へ姿を変えます。男性たちはみなまっすぐ歩き、女性たちはみな微笑み、子供たちはみな笑い声をあげるのでしょう。地獄への門は、永遠に閉ざされるのです』
しかし、そうはならなかった。『speak easy』という
また、空間演出の手段としてジャズが好まれ、同時期にレコーディング技術が完成を迎えた。レコードは音楽そのものを広く知らしめた。音楽の複製と大量生産を可能にし、手に取りやすい価格を実現したからだ(それ以前の録音は、ひとつひとつ歌手が直に吹き込んだものだった)。ジャズと禁酒法は、切っても切れない間柄、というわけだ。
もちろん、時代の寵児、ルイ・アームストロングの誕生も忘れてはならない。
物語の冒頭は、『ブルーヘブン・ボールルーム』という酒場から始まる。探索者はこのもぐり酒場にいる。それが常連か、今回限りなのかはわからないが。
本作のキーパーソンであるリロイ・ターナーは、その酒場の黒人のジャズマンだ。
彼は酒臭く、遅刻の常習犯であり、卑屈で、そのせいか職を得ては失うことを繰り返しており、愛する人をなくしている。
物語は、彼が特殊なトランペットを授かったことから動き出す。吹けば死者が蘇る、とびっきりのトランペットを!
……さてさて、それではご開演といこう。エキストラは二人。正義感溢れる女性警官と、地元マフィアとねんごろな開業医だ。彼らは古い知己で、浅からぬ因縁があるが、それはおいおい。古き良きシナリオに傷をつけるようで気が滅入るが、まぁレコードとはそういうものだ。傷が
……。
………。
…………。
……えー(咳払い)。それでは、再生を開始する。