(旧)アリナレコード〜光と闇の小夜曲〜   作:選ばれざるオタクⅡ

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かなりはっちゃけた。後悔はしていない


ほむら編その11『分体達と真理』

☆★☆★☆★

 

 「はふぅ……」 

 

 見渡す限り誰もいない湯船、その縁に腕をのっけたゆまはぐで〜っと脱力していた。

 別にのぼせた訳では無い。

 ついさっきまで生まれてはじめての銭湯で上がったテンションに身を任せこの広い湯船でバチャバチャと遊んでいたのだ。

 さすがに体力と好奇心がイコールで繋がっている小学生とは言え、お疲れモードにもなる。

 

 ぽちゃん……

 

 杏子とほむらも一緒に入っていたのだが、今はサウナの中にいる為ここにはゆま一人だけ。

 ゆまもサウナについていこうとしたが、「ガキにゃまだ早い」と断られてしまった。*1

 

 縁から手を離したゆまは身体を仰向けにして、ゆらゆらとお湯の中を漂う。

 温かいお湯の中は布団の中にくるまっているようで、気持ちいい。

 そもそも湯船なのだからプール程水深は深くないのだが、ゆまの小さい身体には十分な深さだった。

 

  『ひはっ

   ひ…ひぃいたい

   たす…け……』

 

 ふいに、頭の奥から断末魔が聞こえる

 それは数時間前に聞いた母親の最期の声

 見上げていた天井の模様が魔女(化け物)に変わり、血の匂いが鼻を刺す

 

 「ッ!」

 

 慌てて船底に足をつけたゆまは、ブンブン振って幻覚を頭から追い出す。

 

  …で    な ん んん  で

 

 だが、頭の中から魔女(化け物)は出ていってくれない。

 大きく息を吸ってお湯の中に潜る。

 それは幽霊を恐れて布団の中に籠もるような自らの身を守る防御行為だ。

 

  なんで お前だけが生き残った!?

 

 しかし、お湯の中でもあの魔女(化け物)は追ってきた。

 驚きと恐怖でうっかり口の中の空気を出してしまう。

 

 「ぷはぁっ・・・・・・はぁ…はぁ…」

 

 慌ててお湯から飛び出し、息を整える。

 怯えた目であたりを見渡しても、魔女(化け物)はどこにもいない。

 あの魔女は杏子とほむらが倒した筈だ。それはゆまも理解している。

 だが、過去の幻影は簡単にはゆまを離してくれなかった。

 

 バチンッと自らの頬を叩いて湯船から出る。

 

 「ゆまはキョーコやホムラみたいに強くなんかないもん・・・」

 

 びちゃ、びちゃ、と怯えた目のまま、しかし足取りはしっかりとシャワーの方へと向かう。

 シャワーを少し冷ための温度にして熱で火照った顔に直に当てた。

 調整がうまく行かなかったようで、想定よりも冷たい水が出たが構わない。

 むしろこの冷たさが意識を、思考を、ハッキリさせる。

 

これで、よかったんだ。

ゆまは生きてる

お母さんもお父さんも死んだ

キョーコとホムラに会えた

これで良いんだ。

 

 自分に言い聞かせる

 頭の中で反芻させる。

 だが、

 それでも死体は消えてくれない。

 自分にこびりついた血の匂いが落ちることはない。

 

 

 ふと目の前にある鏡に気がついた。

 湯気で曇って何も見えないが、シャワーで流すと向こう側を映し出す。

 現れたのは、こちらを覗いている小さなみすぼらしい傷跡だらけのいらない子。

 

 それが今の自分(千歳ゆま)

 

 否定したい。

 そんな事は無い!と声高に宣言したい。

 悔しさについ唇を噛みしめる。

 

 しかし、それが現実なのだ。

 何も出来ない役立たず

 それが、

 嫌で、

 嫌で、

 

 でも、変える方法もわからなくて。

 

 

 ゴン

 

 

 気がついたら、ゆまは鏡を殴っていた。

 いや、鏡の中の(客観的な)自分を殴っていた。

 が、非力なゆま拳では傷一つついていない。

 鳴った音もとても小さく、耳を澄まさなければ聞こえないほど。

 それがまた、何も出来ない今の自分を表しているように感じられ、そんな自分に怒りが湧き上がる。

 「うぐ……むぐぐぐぐ………」

 放出する場所は見当たらず、涙となって零れ落ちた。

 小学生は感情の歯止めが効かない。

 一度感情が爆発してしまうと自分ではどうしようも出来ない。

 だが、ゆまはこんな事でメソメソ泣いている自分も嫌だった。

 再びシャワーを頭から被るゆま

 冷たくしすぎた水は熱くなった身体を冷ますと同時にその涙も洗い流してごまかしてくれる。

 

 

 

 物理的に頭を冷やしたゆまはふらふらと足を動かしていた。

 目指す先はサウナ室

 そこに今の自分を護ってくれる人達がいる。

 一人だと、どうしても悪いことばかり考えてしまう

 誰か、誰か一緒にいてほしい

 その一心で、サウナ室の扉の前にまで辿り着いた。

 その扉はゆまから見るととても大きく、重厚な雰囲気を漂わせている。

 

 『ガキにゃまだ早い』

 

 キョーコの言葉を思い出す。ここから先はゆまには入れない。

 でも、これ以上一人ぼっちは寂しい。

 だから、せめて二人を近くに感じたくて

 しばらくうろうろした後に窓の存在に気づく

 身長を考えるとすこし高い位置にあるが、ギリギリ見えない事も無い。

 ゆまは背伸びをして窓からサウナ室の中を覗き込んだ。

 

 「――らがアタ―――を欲しいっ―――――――よ?」

 

 二人は並んでベンチに座って何か話している。

 だが、扉が厚いせいでよく聞こえない

 何を話しているのか、気になったゆまは扉の隙間に耳を押し当ててみる

 

 「けど、アンタの力なら一人でもやっていける筈だ。そのグリーフシードだって自分の為に使えば死ぬこた無いだろ。

  そんなにまでしてアタシを求める理由がわからねぇ。それと、ゆまの事も。

  なぁ、アンタ何を急いでるんだ?」

 

 まだ小さいがちゃんと聞こえてきた。

 誰かの声というのは孤独を解消するのに一番手っ取り早い手段だ。

 ゆまの心が少し軽くなる。

 

 「……このままでは、あと半年後にワルプルギスの夜がこの日本を襲う」 

 「ふーん……そう………ハァ!?オイそんなの初耳だぞ。んでそれを先に言わねぇんだ!!」

 

 その言葉と共に取り乱す杏子

 慌てて隙間から耳を離して窓から覗いてみると、杏子がほむらの肩を掴んでがっくんがっくん揺さぶっている。

 それは、少し前まで母親にされていた虐待と似ていて……

 次の瞬間ゆまはドアに手をかけていた。

 入るなと言われた事なんか関係ない。

 

今すぐにキョーコを止めないと

 

 ゆまにとって佐倉杏子とはカッコいい存在だった。

 自分に持っていないモノを全て持っていて、悪い怪物をやっつけるカッコいい魔法少女(ヒーロー)

 魔法少女なんていいものじゃないと言っているが、テレビの中のヒーローがむやみにその力を自慢する事がないのと同じだと思っている。

 出会って数時間しか経っていないが、

 既にゆまにとって佐倉杏子はそういう存在になってしまっていた。

 だから、これ以上ゆまの中の『キョーコ』を守るためにはやめさせないといけない。

それはキョーコじゃない。

キョーコはいじわるしない。

キョーコは理由もなく痛い事はしない。

 佐倉杏子をキョーコとする為には、その行為は到底見過ごせるものでは無い。

 

 だが、実際にゆまがサウナの中に乱入する事は無かった。

 ゆまがドアを持つ手に力を入れようとしたその時、ほむらが杏子の腕を掴み、そのまま捻り上げる。

 その光景に、思わず目を奪われ、奪われた目から鱗が落ちた。

 なんてことは無い。ゆまには反撃する力を持っていなかったが、ほむらはその力を持っていた。

 ただそれだけの違い。

 その違いが、ゆまの生きてきた常識をひっくり返した。

 

そうだよね

ゆまとホムラは違うもんね……

 

 二人が何か言っているが、その内容は覗いている状態では聞き取れない

 そんな事はどうでもよかった。

 ほむらは杏子の膝蹴りも足を使って防ぐ。

 ただただ、ゆまはそのほむらの『力』に見惚れていた。

 しかし次の瞬間、ゆまの顔は驚愕に染まる。

 ほむらは杏子を力ずくで壁に押し付けて拘束した。互いの吐息がかかるほどの超至近距離で数十秒間の膠着。ほむらが離れた後には杏子が真っ赤な顔で息を荒らげていた。

 確かに我々は何が起こっていたかを知っている。

 本人達も実際に起こった事を正しく認識しているだろう。

 だが、その背後から見た場合他人の目にはどのように映るのか?

 

ちょっ……!?ホムラ!?

え、なんで…!?

ホムラとキョーコってそういう関係だったの!?

はわわわわ……え、どうすればいいんだろ!?

コレゆまが邪魔しちゃいけないよね

ん……でも、ちょ…ちょっとだけなら、見ててもいい…かな…?

 

 答えは『ほむらが杏子にキスしてるようにしか見えない』だ

 

 ゆまとて女の子。

 当然人並み程度には恋愛に対する興味もあったし、学校でそういう事をしている現場に遭遇した事もある。

 しかも、一年ほど前に上級生から告白を受けたこともあった。

 ゆま自身は気がついていないが、その低学年相当しかない小さな身体と天真爛漫さは同級生からは『子どもっぽい』と毛嫌いされるものの、

 一部のコアなファン(ロリコンども)からは絶大な人気を誇っていた。 

 (なお、ゆまが返事に困っている間にその上級生は鬼の形相をした他の上級生に連れ去られ、その後その上級生を見た者はいない。)

 

 しかし、興味はありつつもゆまは恋愛についてあまり良い印象を持っていなかった。

  『だって、子どもが生まれたらお父さんとお母さんになっちゃうんだよね』

 ゆまにとって親という存在は自らの両親しか知らない。

  『いつかはゆまも恋をするのかな?』

 そう考えても次に出てくる感想が『お母さんになるの嫌だなぁ』だったのだ。

 だが、この日ゆまはこれまでの自らの誤ちに気がついた。

 

 男×女(ノーマルカプ)では無い、女×女(百合)こそが至高

 『百合厨千歳ゆま』誕生の瞬間である。

 (なお、この時は百合という言葉を知らない)

 

 いつの間にかゆまの中から魔女の幻影は消えていた。

 それと同時に母親に怯える事しか出来なかった『千歳ゆま』も同じく消えた。

 この世界の真理の一つに辿り着いたゆまの心の中はスッキリと澄み渡っており、

 未だ小さいが確かに、一つの炎が燃え上がりだした。

 

 

 

 

 なお、興奮すると鼻血を出す体質になったが、代償としては軽い方であろう。

 

★☆★☆★☆

 

 

 〜3月11日 午前19:00〜

 

 既に日は完全に落ちて夜闇に包まれた頃

 見滝原と風見野の境近くのとある三叉路に建つアパートにほむら達…もとい3号達は来ていた。

 説明するまでもなく、原作でほむらが借りていたアパート

 通称ほむホームである。

 

 ぬわぁぁん!疲れたもぉぉん…(語録順守)

 いやな?確かに弱音吐くなんてアタシらしく無いが、今日ばかりは言わせてくれ。

 クッッッソ疲れたわ!!ただでさえ魔力コンデンサでの戦闘でギリッギリまで神経すり減らすのに、いつもと違うタイミングでインキュベーター(クソダヌキ)が来るし、ごまかす為に一人でハッキングしないといけなかったし、その後銭湯で杏子と裸の付き合いとか……

 馬鹿だろ?アホだろ?仕事量がいつもの5倍はあるんだが?

 今頃本体は織莉子達とのんびりしてるんだろ?もう殺意しか湧いてこないわ

 

 我が家に帰ってこれた事で脳内ではぐだっぐだに弛緩しきっている3号だが、表情には反映されない。

 こういう時は便利な身体だ。

 いつも通りのデフォルト顔でポケットから財布を取り出した3号は、中の鍵に魔力を通す。

 すると、一般的な黄銅の鍵の溝に魔力が流れ淡い光に包まれる。

 その様子を興味深そうに見つめるゆまと隣で買い物袋を重そうに持っている杏子にはほむら(3号)が何をしているのか見当もつかない。

 魔力エンチャをした鍵を鍵穴に入れると、何の変哲もない玄関ドアに淡い光のラインが走っていく。

 曲がり、分岐し、一体何を描いているのかわからないが、なにかしらを描いている。

 数秒も経つとピタリと光が止まり、なんらかの魔法陣が完成した。

 ここまでで既に杏子は深く考える事を諦めている。

 3号が鍵をひねると『ガチャリ』と大きな音が直接脳内に響き、

 光のラインが一際強く発光したと思ったら

 いつの間にか玄関の中に入っていた。

 

 「わぁ〜!すごいすご〜い!!」

 「わっけわかんねぇ……こんなん作る意味が本当にあるのか?」

 「雰囲気作りは大事なんでしょう?」

 

 魔法らしいギミックに興奮するゆま

 考える事を放棄した杏子

 対照的な二人の反応だが、ぐぎゅるるる…と同時にお腹を鳴らす。

 

 「ま、とりあえずちゃっちゃとご飯作るからリビングで待ってなさい」

 「「はーい」」

 

 玄関で靴を脱ぎ、扉をあけるとそこには原作で描写されていたあのリビングルームが広がっている。

 真っ白の壁に謎の絵が飾られふよふよ浮いており、奇妙な形をした振り子の影がガッコンガッコンと揺れていて、中心部にソファやらテーブルやらが並んでいる謎の空間だ。

 しかし、原作と違うのはどこからが壁かわからないこの真っ白な壁にドアがついている事だろうか

 そのドアの先にはごく普通のダイニングキッチンが広がっていたり、

 こたつが置かれた和室があったりと雰囲気の落差が激しい。

 「魔法を使った謎空間なのか一般家庭なのか統一してほしい」とは杏子の談である。

 ゆまは「こんなにおっきなベッド初めて!」だそうだ。お腹が空いてる筈なのに天蓋付きベッドの上でボヨンボヨン跳ねている。

 

 

 と、まぁそんなこんなで二人がほむホームを探検している頃・・・・・・

 

 

 

 

 『炊飯器スイッチON!ヨシ!!コレ時間を止めといた空間に放置しておいて!

 

 『了解、ってオイ!7号!野菜はまだなのか!?そっちも一緒に煮込んでおきたいんだが

 

 『無茶言わないでくださいよ!!ただでさえコッチは魔力使えないってのに……

 

 『うるせえ騒ぐな!集中力が切れる!!こちとら魚捌いとるんじゃ!!テメェらが騒ぐだけで完成品の味が1%損なわれると思いやがれ!

 

 『口より手を動かせ!ってぎゃぅあああああ!!!目が…目がぁぁぁぁああ

 

 『だから揚げ物する時はよそ見するなって……ホラさっさと見せな。魔力使えないと回復も出来ねぇだろ?

 

 『うぅ…すまない3号……手間かけさせちまったな

 

 『やるならせめて部屋出て治療してくれませんか!?ただでさえ狭いキッチンに5人も入ってて包丁振るってるんだから安全性もクソもココには存在しないんですよ!?

 

 

 

 複数の暁美ほむら達がドタバタと料理を作っていた。

 勿論本体は今頃美国家でダラダラしているし、2号は巴家でマミを甘やかしているのでココにはいない。

 ここに住んでいるのは3号の他に、技術班に配属された4,5,6,7号だ。

 普段はこのほむホームの魔改造や、まだこの時間軸に存在しない暁美式便利製品を日夜作っている。

 魔法が使えない彼女達ではあるが仮にも『暁美ほむら』

 かぼちゃをいとも容易く一刀両断し、宙に放った魚を包丁の居合で斬り刻み見事な姿造りを仕上げるその姿はまさにチートそのものだ。

 ちなみに、上記の会話は全てテレパシーで行っており、彼女ら一人一人の個性がわかるのだが、

 現実は同じ姿形をした5人の少女が鬼気迫る顔で一心不乱に料理を作っているのだ。

 しかも一人はしょっちゅう瞬間移動を繰り返している。

 一般人が見たらSUN値チェックが入る光景かもしれない……

 

 数分後・・・

 

 

 「それじゃ、全員集まったし食べるとしましょうか」

 「そうね」

 「お腹すいたわ」

 「杏子とゆまとの出会いを祝して」

 「「「「「かんぱーい」」」」」

 

 「……いや、まずその後ろのやつらの事を説明してくれないか!?」

 「????????????」

 

 

 当たり前のように同席している正体不明の『暁美ほむら×5』を前にして固まる杏子とゆまであった。

 

 

 

 

 

 

*1
実際、日本のサウナは中学生以下は入ることが出来ない施設が多い………のだが、純粋に体力の問題なのでほむらと杏子にとっては何の問題も無い。そして、この銭湯は既にほむらの息がかかっている。店員に怒られることも、余計な客が来ることもない。毎日貸し切り状態のようなものである。





 暁美ほむら(本体)
・あいも変わらず沙々ちゃん達と一緒にグダグダしてる
 明日になったらアダム討伐に出発しますよ!!


 暁美ほむら3号
・無意識の内に純情な少女をコチラ側へと引き込んでしまった。
 が、百合厨である事はこの世界で生きていく上ではかなり必須事項だったりするのでまさにガバの功名


 暁美ほむら4〜7号
・本体から命令されてたった一日でVTOL機を造らされた
 他にも必要な機械類を造るのが仕事
 後に出てくる研究班とは違って設計図通りに造るだけで良いのだが、単純に要求される技術も高いので
 実質かなりのエリート達
 なお、エリートとは言っても肉体労働なので分体シリーズの中では一番汗水垂らして働いている。


 佐倉杏子
・今回ツッコミ以外出番無し!悲しいね!!


 千歳ゆま
・かなり早い段階でトラウマ克服
 百合は世界を救う
 ハッキリわかんだね
・なお、魔法少女にはなる模様
 そこらへんの理由やらも原作とは若干異なる予定


 一部のコアなファン(ロリコンども)
・この学校の一部のコアなファン(ロリコンども)は確かに変態でしかないが、あくまでも遠くから愛でるだけ
 イエスロリータノータッチを地で行く紳士(変態)の集団だった。
 ちなみに彼らはロリコンとは言いつつも、低学年は対象範囲外である。
 あくまでも『年齢にそぐわないロリ容姿』こそが彼らのフェチズムを刺激し、狂わせるのだ。
 その狂気は小学生とは思えない精度であり、現状ゆまがゴミ箱に捨てたモノは全て回収・保存され、腐る心配の無い消耗品などは祭壇に並べられている。
 実は彼らはストーカー行為によって自宅にお邪魔した際にゆまが母親から虐待されている現場を目撃し心を痛めている。
 あの母親の所業が民生委員にバレていたのは、彼らが通報したからなのだ。
 彼らは狂っているが、馬鹿ではない。自分たちに出来ることと出来ない事の区別はつく。発見時に怒りに任せて母親に掴みかかるといった事は無かった。
 愛する人が苦しむ姿を前にして何も出来ない現状に彼らは嘆き、悲しみ、そして怒りの末に覚悟を決めた。
 ある者は一心不乱に身体を鍛え、武道を習い護身術を磨き続けた結果、小学生ながら武器を持った大人を無傷で無力化する事が可能に。
 またある者はハッキング技術を磨き、裏社会と交流を始め徐々にその影響力を伸ばしている。
 そしてある者は小6の夏、突然塾に通いだしたと思ったら、有名私立中学校を受験し主席合格した。本人曰く『この腐った日本を変える(ブッ壊す)為』だとかなんだとか。
 しまいには、独自のルートで実際に活動している暗殺者に弟子入りした者までいる。
 彼らの望みはただ一つ
 「どうか、千歳ゆまが平穏に暮らせますように」

 なお、今回の魔女騒動の一部始終も見られている。
 彼らに気づかなかったのは単純に3号のガバ
 まぁ、そもそも一般人が完全に気配消して監視してるなんて思いつくわけも無いので無理は無い……
 それにしても、この時間軸は何故か逸般人が多いなぁ(作者の性癖)

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