(旧)アリナレコード〜光と闇の小夜曲〜 作:選ばれざるオタクⅡ
ジュワワワワワワワワ
私が思うに―――別に唐揚げだろうと天ぷらだろうと何でもいいのだが―――『揚げている音』というものはこの世で一番食欲を刺激する音なのでは無いだろうか
しかも、それが自分の頼んだトンカツだと言うのならばなおさらだろう。
確かにほむ
いや、そもそものトンカツ自体が美味くなければトンカツ茶漬けも美味くは無いだろう
元々は冷めきったカツを美味しくいただく方法だったと言われるトンカツ茶漬けも、その元のトンカツが美味しくなければならない。
そんな、とりとめもないような事を目の前でトンカツを揚げているほむ
ふと視線を横にズラスすと、むら
ところが、隣席から漂ってくるアルコールの匂いと、その背後からの賑やかという言葉ではちょっと済ませられないレベルの喧騒が、私の
どうやら、今日も他のほむら達は絶好調のようだ。
「大喜利対決!」「こんな早乙女先生は嫌だ」
「え、え〜と……学生時代にホストクラブにハマって
「失恋した次の日は職員室に酒を持ち込む事が黙認されている」
……何の脈絡もなく始まる大喜利対決に
「えー…今回お話させていただきますは、そう!泣く子も笑い、大人も涙する。それはそれは小さく愉快な天邪鬼のお話……」
今ではすっかり馴染んだ巴亭マミ楽の新
「グフォアッ……」
「な、ななななな……しょ、しょんな…」
「マズイ!二次災害が!」
「おーい!!誰か代わりのチョコレートパフェ大至急持ってこーい!!
博士がぐずりだしたぞー!!」
無差別に振るわれるイタズラほむらのハバネロ爆撃
そこから生じる二次災害三次災害
「「「「「「かはーッ!!」」」」」」
そして、ビール一口で吐き出す酒の弱さ
なら、どうして飲むのよ……というのは禁句だ。
正直私も最初は思ったが、今では立派に
吐かなきゃやってられない。
お通しの冷奴、それも最後の一切れを口に放り込み、ジョッキを傾けて……
「かはーッ!」◀1P
うげぇ……この頭がぐっちゃぐちゃになる感覚がどうにもやめられない。*1
さて、このカオスな空気を感じると、ようやく帰ってきたという感じがする。
もはや実家よりもココで過ごした時間が長いのだから仕方無いのかもしれないけれど……
ここは時空の狭間に存在する酒処《あけみ屋》
時空を超えて戦うほむら達が束の間の休息を楽しむ酒場であり、皆の家だ。
二階には
なんやかんや色々あったけれども、私、『暁美たむら』こと暁美ほむらは、今日も今日とてこの店で
ワイワイとバカ騒ぎしている別世界のほむら達を肴にビールを呑み、たまに巻き込まれるこの毎日はまさに平和そのものと言っていいだろう。
ガラッ
「ぬわぁぁああん!!疲れたもぉぉぉぉぉん!!!ほむ姉〜やけ酒の準備よろしく〜」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
しかし、そんな平和がたった一人の『暁美ほむら』の来客によって踏みにじられる光景も、またあけみ屋の日常である。
………え?いや、コレ本当に
なんか、明らかに纏っている魔力量がハンパないし、別に敵対していないというのに体中が彼女に逆らう事を拒否しているけれど……同じ暁美ほむらなんだろう。顔はおんなじだし。
しかも私の
そんな謎の強キャラから発せられたのが、語録だったのだがどうすれば良いのだろう?
温度差で風邪を引きそうだ。
「はぇ…?あ、先輩!?うそ……いつまで経っても帰ってこないからうまくいったのかとばかり思ってたのだけれど…」
「う〜ん……今回はワルプル軍団討伐までは行けたんだけど……ま〜た人間とかいう種族に邪魔されたのよねぇ……」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
いや、待て待て待て待て……色々ツッコミ所が多すぎてマズイ。
まず”先輩”ってなんだ?
あのほむ姉の先輩って一体どういう……
しかもワルプル討伐って……そもそも軍団って何よ?あんな化け物が複数で出てくるとでも言うの!?
訳がわからない。
が、
何の因果か私はやたらとおかしな時間軸に飛ばされることが多い。
そこで培われたスルー技術はこの状況を右から左へ流していく。
どうせ説明を求めてもロクな答えが帰ってこない事はわかっているんだ。
流される方が最終的にうまくいく。
クッ……でも凄い気になるわね……!!
「あ、チーほむ様だ。おかえり〜」
「なに入り口で突っ立ってるんですか。いつもの特等席は開けてますよ。」
「全く、13年もどこに行ってたの……」
「お〜皆ただいま〜。見ない間に随分と成長したなぁ……それにちらほらと新入りもいるか。
大先輩のお帰りだぞ〜!!」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
「「「「「「わーっしょい!!わーっしょい!!」」」」」」
いや、なんかめっちゃ歓迎されてるし。えぇ……皆あの魔力見て怖くないの?
あ、いや大丈夫だわ。私と同じような反応の子も何人かいるわ。
大体が
「おー、最長老サマじゃねーか!あそぼーぜ!!」
と、そんな事を言いながら魔力の暴風雨とでも言うべき存在に
正直、今この瞬間だけはアンタを勇者だと思うわ……
方向性は間違っているけど
「残念ながら思考回路がボーボボ相当のチミに待ってるのはアイアンクローの刑だけよ」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
「ふんぎゃぁあああ!!」
とか思ってたら次の瞬間、イタズラほむらは蹴り足を掴まれてそのまま反対側へと叩きつけられ……見るも無惨な姿になって伸びていた。
そこに容赦なくアイアンクローを実行する様はまごうことなくバトル漫画の悪役。
でも普段うざったいイタズラほむらがズタズタにされているのはちょっとスッキリした。
それにしても
やっぱり魔力量考えても同じ暁美ほむらとは思えない。
あと、年齢はタブーなのか…
「……で、何アレ?」◀1P
彼女が席に座った事で一通りの騒動が落ち着き、イタズラほむらの
「あぁ…そういえばこの前帰ってきた時はたむらは居なかったもんな。
ま、色々肩書はあるけど、一番わかりやすいのは『チーほむ様』だな。」
「チーほむ様?」◀1P
ふむ……確かに喧騒に耳を傾ければそう呼んでいるのが大半ね。
しかし一体なんなんだそれは…チーかまと同じ感じかしら?
「チーほむ様は、ほむ姉むら姉と並ぶこの「あけみ屋」創立者メンバーでありながら
今でもまどかを救う旅を諦めず最前線で戦い続けている奇人……っつーか鬼神だな。
周回回数は余裕で万を超えている最古参で、頭脳も戦闘技術も全てがトップレベルだ。
並レベルのワルプルギス程度なら無傷で数十匹ブチ転がせる戦闘力を持ってる。
更にやべぇのは、何千年も生きてる事で半ば『神霊』の領域に片足突っ込んでて、
魔法少女でありながらほとんど神様みたいな存在になりかけてるって所だな。
本人の話によると気分で魔法少女にも神にもなれるとかなんだとか……
そんなチートみたいな性能してる事から、誰が呼んだか『チートほむら様』略して『チーほむ様』なんて言われだしてね。
本人が否定しなかったからそのまま定着したんだ。」
「チーかまじゃないのね…」◀1P
正直情報過多で頭がおかしくなっている所にオコジョの杏子がやってきた。
カウンター席に飛び乗って口に加えた個包装のチーかまを私の空っぽの皿に落とす。
『喰うかい?』って事か……頂いておこう。
もぞもぞとチーかまを頬張りながら向こうの様子を眺めていると
「師匠ぉーー!!!」
普段は絶対に出さない叫び声を出しながら博士が抱きついている所だった。
ほーん……そのチーほむ様ってのは博士の師匠なのねぇ
「おーよしよし……しばらく留守にしちゃったけど寂しくなかったかしら?」
「むん!最近は一人でお風呂にも入れるようになったの!
今はまだ無理だけど……この調子でいつかは絶対に科学だけで師匠を超えて見せるの!
だから一人でも大丈夫なの!」
「そう、それは頼もしいわね。でも、そう簡単に超えられるほど、私の『魔術と科学の融合』は甘くないわよ?」
「望む所なの!」
うん、かわいい
正直かなりほっこりした。
やっぱり博士はあけみ屋メンバーの癒やしだわ。
おでんの大根が甘く感じる。
しばらくチーほむ様が博士のほっぺをむにゅむにゅしてるのを眺めていたら、箸が皿底をつつく感触が伝わってくる。どうやらおでんが無くなったらしい。
が、ほむ
少しはしたないが、そんな事を気にする連中はこの店にはいないので遠慮なく皿から煮汁を直飲みして…
「へぇ……アナタが『たむら』ね。
話は聞いてるわ。なんでもワルプルギスを正拳突きで倒したのにまどかに時間遡行させられたとか……」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
「ひゅいッ!!」◀1P
唐突に、背後から声がかけられた。
それだけで、まるでソウルジェムにナイフを突きつけられているかの如き恐怖が全身を駆け巡る。
と、いうかそのせいで煮汁が服にこぼれた。
まぁこの店の機能のおかげですぐに綺麗になるんだけれども。
そんな現実逃避を軽くはさみながらも、冷や汗が滝のように流しながら壊れた機械のようにギギギギ…と後ろを振り返る。
「や、はじめまして」
そこにいたのは予想外の……いや、ある意味予想通りかもしれないが……
「あ、ありのまま…今起こったことを話すわ。
私は、博士とチーほむ様のやり取りを眺めていたら
いつの間にか
何を言っているのかわからないと思うけれど、私も何をされたかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった。
『超スピード』だとか、『催眠術』だとか
そんなチャチなもんじゃあ断じて無い!
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったわ……」◀1P
「はい、ポルナレフ構文ご苦労さま。かぼちゃの煮つけいる?」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
「……よりにもよってかぼちゃの煮つけ?ま、まぁイタダキマス……」◀1P
「そう硬くならなくていいのに……」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
そう言って可愛らしく口を膨れさせて不満アピールをするチーほむ様。
いや出来るかぁぁあ!!と、声を大にして叫ばせてもらいたい。
ただでさえ力量差で勝手に身体が縮み上がるせいで、今渡されたかぼちゃの味もわからないのだ。
ついさっき会ったばかりだが、アナタはもう少し自分の放つ威圧感という物を理解した方が良い。
逃げ場を求めてもう一方の隣に顔を向けると、
そこには食べ終わったラーメンと箸だけが転がっていた。
「……あの野郎、逃げやがったわね」◀1P
後でイタズラほむらに報復依頼してやる。
はぁぁ……
内心でかなり大きめのため息を吐いて、ヤツへの怒りを落ち着けると当然の疑問が湧いてくる。
なんでここにチーほむ様が二人にいるのよ?
念の為博士の方を確認するとさっきと変わらずチーほむ様にほっぺをもにゅもにゅされてる。
そのまま視線を横にスライドさせるとチーほむ様がさも当たり前のようにカウンター席で串カツを食べている。
さっきのは別にネタでもなくて本当に頭ポルナレフ状態になった。わけがわからないわ……
「あぁ、本体はあっち。私はしがない分体よ。
ホラ、十六夜咲夜っているでしょう?
彼女の非想天則での分身と同じ原理のようなシステムでね
1秒先の自分、2秒先の自分、
そういった『今の自分』とは別人の自分を観測、召喚して無理やり存在を固定化させているの。
でも、同じ存在は同じ世界に存在する事は出来ないから、本体とは別の意思をもたせる事で別人カウントさせてるワケね。
いわば同じ能力と記憶を持った別人の作成と言った所かしら……
わかりにくかったら
「いや、ナチュラルの心読むのやめてもらえると嬉しいのだけれど……」◀1P
やめてくれ。当たり前のように新情報流してくるのはやめてくれ。
もう内心グロッキーなんです。
というか、心の中読めるんならコレ届いてますよね?
「さ〜あ?なんの事かしら?」◀蟋九∪繧翫?縺サ繧?繧
あくまでシラを切るらしい。
「はぁ……」◀1P
また厄介な人に目を付けられたなぁ……と思う事で、なんとか心を落ち着けて平常心に戻す。
少し落ち着いてきたのかかぼちゃの味がわかるようになった。あま、うま。
嫌な事は全部頭から追い出せば、もうそこには私と料理しか存在しないのだ。
ドンッという音で我に帰ると、チーほむ様(分体)のカウンターには串が数本転がった皿と空になったビールジョッキが現れていた。さっきのはジョッキをテーブルに勢いよく置いた音だったらしい。この短期間で呑んだのか……
「じゃ、他の新入りに挨拶してくるわ」
そう言うとチーほむ様(分体)は席を立つ。
「そう。」
返事をした時には、もうチーほむ様の姿は無かった。
うーん……一体、何がしたかったのかしら?
本当に挨拶だけだったりして……
「まさか……ね」
あれほどの力を持ってるのにも関わらず、わざわざ分体を用意してすることが挨拶だけだなんて、ちょっと考えられない。
未だに博士をむにゅむにゅしながら周りのテンションが高いほむら達に囲まれているチーほむ様の本体を眺めながら、私は新しいビールを呷った。
「かはーーッ!!」
ふと、気がついた時には、もうどこからも威圧感は感じなくなっていた。
「たむら………今日あけみ屋にいる中でもトップクラスの因果律の持ち主
なのだけれども、戦闘力は控えめ……
にもかかわらずまどかの説得に一役買った……
おおかた、ギャグ漫画の主人公。といった所かしら」
屋根の上で月を見上げながら、お猪口から日本酒を喉に注ぐ。
うん、おいしい。
大多数のほむらは酒に弱すぎる為、このような楽しみ方は出来ないが
なかなかどうして、自分で作った酒というものは美味いものだ。
次の時間軸に行くまでまだ時間あるし、あのアレルギーみたいな酒の弱さを治す薬でも作ってみますかねぇ……
「どう思う?まどか」
屋根の上には私しかいないけれど……そこにいる筈の彼女に向けて問を投げる。
「…………?
まどか?」
だが、いつまでたってもその答えは帰ってこなかった。
「………きっと、誰か迎えに行ってて忙しいとか、その辺りでしょ」
だから、この
そうに違いない。
用意していたもうひとつのお猪口には、ヒビが入っていた。
暁美ほむら(たむら)
・皆ご存知「魔法少女ほむら☆たむら〜平行世界がいつも並行であるとは限らないのだ。」の主人公
・勿論本名は「暁美ほむら」だが、皆から「たむら」と呼ばれる運命を背負っている。
・
・最も弱いランクのワルプルを正拳突きで倒した事があるが、戦闘力自体はそんなに強くない。
・アルまど様説得(最終回)から数年単位で時が経っている
チーほむ様
・我らがアナザーストーリーの主人公
・初対面の皆がビビってたのに、他の皆は普通だったのは
実はわざと指向性を持たせて魔力を放っていたから。
反射して帰ってきた魔力や、反応を分析する事で初対面でもだいたいどんなほむらかがわかる。
・今回のたむらは割と気に入ったので接触してみた
・たむらがアルまど様を説得した時は別の時間軸で頑張ってた。
帰ってきたら当たり前のようにアルまど様が居たからビックリなんてモンじゃあない大騒ぎ
最終的に落ち着いたチーほむ様がとった行動は、あけみ屋周辺のリゾート開発だった。(まどかの為の努力の方向性がこんななのは他のほむらと変わらない)
かつてはぐにゃぐにゃしたよくわからない空と大地が広がっていた時空の狭間は、今現在あけみ屋の周囲だけマトモな空間になっている。
・賢明な読者の皆さんは既に気づいていると思うが、この世界のあけみ屋で吐瀉物や溢した料理等が消えてなくなるのはコイツの仕業
自動的に吐瀉物や汚れを感知して消滅させる魔法陣があけみ屋の敷地を覆うように埋まっている
・ほむら族の中で唯一、アルコールに耐性を持っている。
・「しかし、呼びかけに答えられない程忙しいなんて珍しいわね…」
アルティメットまどか
・皆さんご存知アルまど様
アニメ時空のまどかさん
円環の理
・たむらに説得されてからは割とあけみ屋に入り浸る用になった
・現在、とある時間軸の
??????
・「この時を待っていた」