(旧)アリナレコード〜光と闇の小夜曲〜 作:選ばれざるオタクⅡ
昼と夜が混じり合う逢魔が時
すっかり散乱した画材道具で汚れている教室は窓から差し込む夕日で紅く染め上げられる
埃っぽく、長い間人の手が入っていないような寂しげな場所であるが、そこには少女が”一人”、キャンバスに向かって黙々と鉛筆を走らせていた
腰まで伸びた緑色の髪は”全体的に色素が薄く、ところどころ完全に色を失っており”、それが得も言えぬ儚さを醸し出している
鉛筆を握る手は”まるで病人のように白く、華奢である”にも関わらず瞬く間に絵の下書きを描き込んでいき、その 絵を見つめる瞳は真剣そのもの
さながら映画のワンシーンのような幻想的な光景だったが、そこに黒い珍客がやってきた
カァーッ
まるで威圧するかのような鴉の態度だが、少女は驚きもしなかった
淡々と、まるで当たり前であるかのように前に消しゴム代わりに使った使用済みの食パンを鴉の目の前に放り投げる
あっという間に築き上げられた食パンの小山に鴉もそれ以上催促せずおとなしく食パンを食べ始めた
それを微笑みながら観察していた少女だったが、ふと、その目が鴉の脚に止まる
見るとピンク色のリボンで何かが脚に括り付けられていた
そのリボンに手を伸ばすも、鴉は無抵抗で、ひたすらに食パンをついばむ事に集中している
少女がリボンを解き終えると同時に食パンを食べ終えた鴉は、少女を一瞥するとその黒き大きな羽根を羽ばたかせて神浜の闇に溶け込んでいく
それを見送った少女の手の中には、リボンと共に黄色い2つの小さな流星のキーホルダーが握られている
ポタリ
水滴の音がして少女は訝しげな視線を部屋中に走らせるが、異常は無かったのか首をかしげ、
その美しい翡翠の瞳から流れ落ちる涙に気づく
一体この涙は何なのか。
何故、流星のキーホルダーを見ただけで溢れ出てきたのか。
今の彼女には、わからない。
その1「アリナ・グレイという少女」
☆★☆★☆★
夕暮れよりも真っ赤に染まった空の下
熱砂のように赤く、紅い砂は見渡す限り広がっており、周囲には謎の特大玩具やオブジェが散乱している。
どこまで進んでも同じような風景の連続であり、遠くに見える城のようなシルエットはいくら進んでも蜃気楼の如く近づいてこない。
そんな明らかにおかしな空間をひた走る少女が一人。
こちらもまた、ジャンルは違えどこの空間と同レベルの奇妙な格好をしていた。
萌葱色に輝く宝石を携えた軍帽は、彼女の腰まで届く白髪交じりの緑髪が汗と共に乱雑に振り回されるのを辛うじて抑え込んでおり、
光さえ飲み込む漆黒の軍服は、大きく胸元が開けられていながらも、上下する胸をなんとか抑え込んでいる。
その背には典型的な魔女の帽子が特徴的な赤髪の少女をおんぶしており、両腕は背の上で気絶している少女を支えている為自由に動かせない。
奇抜なデザインのミニスカートから覗かせるガーターベルトと網タイツ、そしてロングブーツに包まれた脚は、他の少女と比べても頼りないと感じるほどの華奢な肉体だが、人間二人分の重さを支えながら足元の砂を力強く蹴り上げ身体を前へ、前へと進めている。
彼女達の後ろには
『繧ヲ繧ュ繝」繧ュ繝」繧ュ繝」繧ュ繝」譁ー縺励>閧峨□??シ』
背後の化け物の一人が三色団子のような自分の身体を飛ばして彼女を攻撃する。
ワンテンポ遅れながらも、なんとか二人分の重さで横に跳んで避けた彼女だが着地先の足場が悪く転びそうになる。
が、なんとか持ち直すと、そのまま再び駆けだした。
その眼には、少しも諦めの色は見当たらない。
必死に
その名を「アリナ・グレイ」という。
☆★☆★☆★
夏休みも終わり学校も始まって少しずつ忙しくなってきた9月の上旬
今日はいつも以上に蒸し暑くって暑苦しかったカラ、アリナは日が落ちて暗くなるまで部室でアートに取り掛かっていた。
まぁ、たとえ過ごしやすい気温だったとしてもアリナは部室に籠もってたと思うケド
ともかく、部室にいたおかげ(……せい?)で手に入れたのがこの流星のキーホルダーなワケ。
見るだけで(見覚えなんて無いのに)何故か懐かしい気持ちになり、
心が締め付けられて、どうしようもなく、泣き叫びたくなる
そんな不思議なキーホルダー
これは一体何なのか……そんな事を考えている内に下校時刻を告げるチャイムが鳴る。
あんまり遅くまで残っていると
外に出た頃にはもう既に日は落ちかけ、真っ赤に染まっていた空は群青色に支配されている。
「ハァ……」
そんな光景に感化されてか、ため息が溢れる。
アリナらしくない、少しセンチメンタルな気分。(多分さっきのキーホルダーの影響もあるだろうケド)
こんなキモチじゃ真っ直ぐ家に帰る気にもなれなかった。
いつものように学校の駐輪場に停めてあるアリナの
ちなみに、この鍵穴はイグニッションスイッチと言うらしい。
イグニッション……いい響きだヨネ。
ヘルメットを被ったら校門前までは手押しで進めて、敷地外に出ると同時にひらりと愛車にまたがる。
レバーを引いたりペダル蹴ったり、まぁ走り出す前にはなんやかんややることは多いものの、毎日やってるうちに慣れる。
エンジンをかけて、アクセルスロットルを回して、発進
この胸にヘドロのように詰まってるドロドロしたキモチを吹っ飛ばすように法定速度ギリギリでバイクを飛ばす。
寄り道したのは北養区の裏山の中にある小さな展望台。
展望台って言っても、山道の途中にコンクリートでスペース作って、柵とベンチと案内看板が置かれただけのシンプルなモノ。
一応神浜の町並みを一望出来る観光スポットのハズなんだケド………いかんせんアクセスが悪いのと平日の夜という事も相まってアリナ以外には誰も居ない。
そんな廃れた展望台だからこそ、アリナのお気に入りの場所の一つだったりする。
ヘルメットを外してバイクから降りると、夜の山の空気が肺へ入り込んでくる。
柵にもたれかかって、空を見上げる。
新興都市神浜
その名は決して伊達でも何でも無く、
完全に闇に包まれてしまったハズの空は眠らない人々が活動する光によって薄ぼんやりと照らされている。
おかげで星も満足に見れやしない。
『都会は星空の代わりに夜景が綺麗なのだ』とか言うヤツもいるケド、そんなモノよりもアリナはこの前東北の山奥でキャンプした時に見た夜空の方が綺麗だと思うワケ。(残念ながら、アリナのアートのヒントにはなってくれなかったケド……)
「ハァ……」
麓で買ってきたおしるこ(つめた〜い)を傾けながら、今後の事をぼんやりと考えてみる。が、答えは出ない。
ふと、思いついて例のキーホルダーを空にかざしてみた。
街の光を反射して鈍く光るこの流星を見ていると、やはり自分の意思に関係なく涙が出てくる。
そして胸の奥から溢れ出てくるのは激しい罪悪感
一体何に対しての罪悪感なのか……さっぱりわからない。
わからないケド、この胸に重くのしかかってくる感じは「罪悪感」と呼ぶのが一番しっくりくる……気がする。
それと、、後悔?
とにもかくにも、何かが気持ち悪い。
ただでさえスランプから抜け出せなくてイライラしているのに……
スランプ……スランプか。
なにか、引っかかる。…気がするだけかもしれないケド
ダメ元で一度頭の中を整理する為に、この半年間の事を思い出してみたワケ。
確か……始まりはアリナが賞に作品を出した時だったワケ。
アレはアリナが画材道具を全部壊した姿を写真に撮って、それを絵に描いたやつだった。
ま、あの時は会心の出来だったし、金賞を受賞したワケなんだケド…
問題はその時の審査員が後日、わざわざ学校に来てまで伝えてきた言葉だった。
「15を過ぎて、まだ自らのテーマを持たないのならば、世界を変えるつもりが無いのならば、作るのを止めろ」
まぁ、細かい部分
……アリナは未だにこの「テーマ」とやらを見つけられていない。
審査員の言う「テーマ」というモノが一体何を意味するのか、
自分が持つべきテーマとはなんなのか、
今までの自分の作品は何だったのか
この半年間、色んな事を考えて、試して、実験して、探してきた。
初めは海外に行ってみた。
―――特に何も得られなかった。
次は久々に両親のアトリエに入り浸って、訪れてくる色んなジャンルの天才達と積極的に交流した。
―――幼い頃とは全く違う彼らの対応に驚き、それ相応の社交性…?というのが身についた。(らしい。)
その時の天才の内の一人に影響されて、原付の免許を取った。
今の愛車と出会って、北海道から九州まで日本一周なんてのもしてみた。
―――
結果、半年前と比べれば確かに出来る事が増えた。
旅を通して、当時と比べれば遥かに広い視野を得ることも出来た。
過程にあった沢山の経験は、決して他では得ることの出来ない貴重なモノだったと言い切れる。
ケド………
何故か、アリナのココロは
ナニカが、足りない。
ココロの中に、あるハズのナニカが無い。
例えるなら……自らが手塩にかけて創り上げたアートが横から奪われたような感覚。
「テーマ」はおそらくこの空白が関係している。……勘でしか無いケド
だけど、肝心のナニカがわからない。
いくら考えても、結論には至らず、堂々巡り
そして、今は初心に帰る為にひたすらにデッサンの山を積み上げている……って感じカナ?
む、ふと気がついた。
『そういえば、このキーホルダーはココ最近で一番アリナの
だから、試してみた。
キーホルダーをぶら下げている右手を展望台の柵から外へと出す。
そして、手を離す。
当然、そのままキーホルダーは落ちていく。
そうなったら、このキーホルダーは特にアリナにとって必要無いという事。
――しかし、どんなに手を開こうとしても、アリナは手を離せなかった。
念の為左手でもやってみる。が、結果は同じ。
つまり、このキーホルダーはアリナにとって必要だという事。
………
いつもなら、こんなスランプの状況を打開出来るキッカケを見つけたらエキサイトするハズなのに
★☆★☆★☆
帰り道、路地裏で偶然魔女の結界を発見した。
アリナは
ただ単に、テーマを見つけるのに必死で、魔女と戦う余裕なんて無かっただけなんだケド
キーホルダーの事も調べたいし、何より今は身体というよりは精神が疲れている。
いつも通り見て見ぬフリをしてそのまま帰るのが得策の筈だ。
どうせこの街には腐るほど魔法少女がいる。すぐに別の誰かが来るだろう。
でも、何故か今日は見過ごせなかった。
ただ、気分が乗ったカラとか、そういう理由じゃ無い気がする。
そういう軽い感じじゃあ無くて、もっとシリアスな、ナニカを感じた……?気がする?
普通の人なら一笑に付すだろう。
でも、アリナの勘は割と当たる。魔法少女なんてのが存在するんだから、非科学的だなんて否定する事は出来ないハズだヨネ?
結界に近づきながら、アリナは中指に嵌っている指輪をソウルジェムに戻す。
そして、ソウルジェムに魔力を通して、魔力で形成された衣装が身を包む。
アリナの武器である緑色のキューブを取り出して、中の謎の四次元収納スペースに愛車をしまうと、そのまま結界の中に飛び込んだ。
☆★☆★☆★
結界の中はこの世の常識が一切通用しない空間だった。
どこまでも、どこまでも広がっている紅い砂の山
遊具や巨大なシャベルが埋まっていたりするから公園の砂場がモチーフなワケ?
そんな感じで呑気に探索していたら
「縺薙l縺ァ繧ょ眠繧峨>繧?′繧」
「ふゆぅっ!!」
アリナとは違う、もう一人の
茶色の三角帽子にケープやローブのような格好をした魔法少女。
捻じれた杖を振り回しながら魔法で巨大な蔦を生やしてかなりダイナミックに使い魔と戦っている。
かなりのベテランと見た。
幸い魔法少女の方からも、彼女と戦っている使い魔の方からも、見えない位置にアリナはいる。
初めての魔女退治で脚を引っ張っても印象が悪いだけだカラ大人しくココで隠れて様子を伺って、戦いが終わった辺りで出てきて同行を依頼しようカナ。
思えば、アリナが他人の顔色を伺って行動を考えるなんて、半年前には思いもしなかっただろう。
一般人と比べれば一癖も二癖もある天才達と、今度は”高校生”として触れ合ってきた。
それは、幼い頃に経験した彼らとの交流とは全く異なる経験で、ただアリナの要望を押すだけでは上手くいかない事を学ぶ事が出来た。
振り返ってみると当時はアリナも子供だったヨネ。ただの駄々をこねてるガキと何も変わらなかった。
それが許されていたのはアリナが
だから、同じ天才相手には全く通用しなかったワケ。
ハハッ………これじゃフールガールに顔向け出来ないヨネ
…………?フールガールって………誰なワケ?
「ふゆぅぅッ!!!!」
悲鳴と轟音で意識が現実に戻ってくる。
慌てて状況を見てみた所、さっきよりも使い魔の数が数倍…いや、数十倍以上の数まで増えており、例の魔法少女は壁にクレーターを作って満身創痍で倒れている。
アレ?これって、もしかしなくともかなりヤバい状況なワケ……?
いや、そもそも別にアリナには関係が無いワケ
あの魔法少女が勝手に戦ってて、勝手にピンチになってるだけ
そこにアリナが助けに行く必要なんてこれっぽっちも無いワケ
そりゃあ助けられれば好感度はかなり上がるだろうし、治療を終えたらこの結界から出るまで一緒に戦ってくれるだろう。
でも、アリナは今まで戦ったことが無い。いや、恐怖心とかは無いケドさ…
しかしあまりにもリターンに対してリスクが大きすぎる。
だから、ここは見て見ぬフリをして立ち去るのが得策……
「本当に…?」
まただ。
また、胸の奥からナニカを感じる。
それはナニカを叫んでいるような……
わからない。
けど、一つだけハッキリしてる事は
「ここで見捨てたら多分一生後悔するワケ」
もちろん、コレも勘でしかない。
でもアリナは富士の樹海から勘だけで生還を果たしたのだ。
アリナの勘を
★☆★☆★☆
ブォン
ブォォォン
さっき隠れていた場所から数百メートル程離れた場所で、アリナは
いつもどおり、アクセルを吹かす。
その音に数匹の使い魔が気づいてコチラを見てきた。
もう、逃げられない。
けど大丈夫、コイツは砂浜も走った
思い描くのは最速の自分。魔法少女は感情をエネルギーにするらしい。
だから、必要なのはこの子を信じる事。
アリナの愛車なんだから、それすなわちアリナの一部なワケ。
魔女結界だろうが、なんだろうが…
「走れないワケが無いんですケドォッ!!!!」
ブロロロロロロロロロロロロッッッッ
エンジンが設計上絶対に出せないような出力を叩きだし、タイヤは砂場である事を無視したかの挙動で走り出し、あっという間に己のトップスピードを凌駕する。
その速度、驚異の時速120km
どう見ても50ccの原付が出せるスピードでは無い。
夢でも見ているかのようだ。
だが、現実は周りが線に見える速度でアリナを前に進めている。
あっという間に、例の魔法少女が近づいてきた。
それすなわち使い魔の大群も近づいてくるという事ではあるケド……
ふぅぅぅ………覚悟を決めろ、アリナ・グレイ!
自らを鼓舞して、アリナはハンドルから手を離し脚だけでバイクにしがみつきながら、身体を地面スレスレにまで倒した。
そんな事をしたら、普通ならばバランスを崩して即転倒。
だが、転倒しない。
そのままの速度を維持したままバイクは目的地を目指し走り続ける。
いや、そればかりか、操作していないのに勝手にハンドルを切り、スイスイと使いの弾幕の雨の中を切り抜けていく。
そしてその時は来た。
バイクが倒れている魔法少女とすれ違い………
「獲ったどぉぉぉぉ!!!!!」
元の体勢に戻ったアリナの手には、彼女のフードがガッチリと掴まれていた。
ここまで、幸運無くしてはたどり着けない道だった。
こんな無茶な作戦が成功した理由はただ一つ。
アリナがこの子を信じてたカラなワケ。
「って、グナァッ……重っ!?ナニコレ、腕だけで人間大のモノを持ち上げるってこんなに力使うワケ!?」
と、多少グダりつつもなんとか例の魔法少女を救うことに成功した。
………数秒後、使い魔の攻撃が当たり、バイクは大破した。
☆★☆★☆★
「アァッ…!もう!いい加減にして欲しいんですケドぉぉぉ!!!」
アリナは今、さっきの魔法少女を背負って走っている。
すぐ後ろには使い魔の大群
アリナの武器である謎のキューブから出るビームで攻撃してみるも、効いている様子は無し
そして最悪なことに、出口がどこなのかわからない。
八方塞がりのこの状況
まさか一度も戦ったことなかったかから知らなかったケド…
アリナがここまでクソ雑魚だったとは………
さっきから泣きっぱなしでもう顔中ぐっちゃぐちゃだ。
最悪にも程があるワケ。
でも、この涙はクソ雑魚なアリナに対する涙では無いワケ。
「アリナのバイクゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!」
後ろから追いかけてくるコイツらは、あろうことか、アリナの愛車を粉々のスクラップにしてくれやがった。
そりゃあ泣きたくもなるワケ。
あの子は決して30万円ぽっちの価値しか無いワケでは無い。
この半年間、旅先で一緒に苦楽を共にした
それを目の前であんな風に……
「………………ふざけるな」
そんなの当然認められないヨネ
「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなァッ!!」
もう、こうなったらヤケクソだ。
攻撃が効かない?
上等なワケ。
あの子を壊されたこの怒り
煮え滾るこの思いを全力でぶつけてやる。
さぁ、アリナの怒りとアナタ達の防御力、どっちが強いか勝負ってヤツなワケ!
とその前に、全力で背中の魔法少女を放り投げる。(流石に巻き添え喰らったらアリナがここまでした意味が無くなるカラ…)
アリナはそのまま地面を滑ってUターン
使い魔の軍勢に真正面から向かい合う形になる。
胸についているソウルジェムの前にアリナのキューブをかざして念じる。祈る。
この怒りを全て魔力に変換してキューブに注ぎ込むイメージを展開する。
すると、確かにソウルジェムから紅い閃光が迸りキューブへと写った。
それに伴ってキューブが紅黒く輝き出す。
自分の事だからわかる。
今、確かに私の怒りはこのキューブにある。
前に向き直ると、目と鼻の先にまで使い魔が迫っていた。
途端に、時の流れが遅くなる。
アドレナリン…?だかなんだかがドバーって出て遅くなるっているヤツだ。
確か走馬灯とか言った気がする。
間違いない。
今、ここでアリナは死ぬ。
でも、だからって、ミスミスやられるワケが無いワケ。
だからアリナは、
右手でキューブを握り砕いた。
★☆★☆★☆
気がついたら、使い魔は全員消えていた。
それどころか魔女結界の外へと放り出されていた。
「痛っづ……」
助かった。そう思う間もなく全身に激痛が走る。
思考が飛びかける痛み。歯を食いしばりなんとか耐えて現状を観察する。
アリナに医学的知識は無いカラ、怪我をみてもどこがどうなったなんてわからない。
でも、もう手遅れだって事はわかった。
見える範囲しか見れなかったが、少なくとも右腕が跡形も無く消えており、胴体はズタボロ。
溢れ出している血でわかりづらいが、内蔵が見えている気がする。
そもそも失った血の量も相当にマズイ。
コレは、運良くココを救急車が通っても助かる事は無いだろう。
「あ〜あ……これでアリナも
シット……
まだアリナにはやることが残ってる。
テーマが見つかっていない。
もっと色んな作品を創り出したい。
だが、現実は非情だ。
既に身体の感覚が無くなってきた。
視界もどんどん暗くなっていく。
終わりは近い。
……血溜まりの中で星が輝いた。
それはあまりにも眩しくて、温かくて、閉じた瞳が再び開かれる。
そうして見えた最期の景色は、
蒼い人影と、一回り小さな白いイタチだった。
アリナ・グレイ
・我らが主人公
・旧との相違点
①素の性格が原作とあんまり変わらない
②その代わり社交性やらなんやらを獲得
③半年間の記憶が違う
④まさかの原付乗り
・………ハイ。原付は仮面ライダーとゆるキャン△に嵌った作者の趣味になります。
正直、原作への過度な設定追加はあまり好きじゃ無いのですが、どうしてもコレだけはやりたかった。
今後もバンバン活躍させるので許してください。
車種とかは全く知らないので決めてません。
皆さんがそれぞれ自由に想像して下さるとありがたいです。
ですが、もし「コレ、アリナ先輩に似合うんじゃない?」ってのがありましたらTwitterの方か、ボクのメッセージボックスの方へ送ってくださると……今後の描写が増えます。
………ちなみにアリナ先輩は16歳だから原付の免許がとれました。
環いろはでは取れないので、アリナレコードだから出来た事ですね。
あと、アリナ先輩の魔法少女衣装で原付なんて乗ったらとんでもない事になるケド、魔法少女特有のギリギリ見えないっていう例のアレがあるのでセーフ
なお、アニレコ2期でこの鋼の法則が崩れたという情報が入ってきているが、ボクは詳しくないので見えないままです
流星のキーホルダー
・勿論あの人のアレを模したモノ
物語を動かすキーアイテム
ふゆぅ
・旧とは違ってアリナ先輩にベテラン判定された。
でも、やっぱり気絶。
物語の性質上、仕方がないのじゃ。
コラテラル・ダメージというモノ
蒼い人影
・やっぱりこの人に助けてもらわなくちゃね
小さい白イタチ
・例のアイツ