Twitterで「冬月先生ガタイ良すぎじゃね?」という呟きを見てから思いついた、純度120%の胡乱文章です。
お読みになられる際はそれにご注意して読み進めてください(迫真

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第1話

『きっと誰かが思いついてそうな手垢のついたネタ』

 

轟音、爆音。

場所は第三新東京市、ここは今、未曽有の戦場と化していた。

その爆心地を闊歩するは黒白の異形――――第三使徒・サキエル。

通常兵器を意に介さず、極めつけのN2爆弾ですら通じなかった、人類という種そのものへの敵対存在。

それに抗うための力――汎用人型決戦兵器・エヴァンゲリオンが立ち向かう最初の難関。

 

 

その、筈であった。

 

 

「あれが使徒か…」

「一つ試してみるか。諸葛亮孔明のいう通り、使徒が本当に人類の敵なのかどうかをな」

 

正規軍すら撤退した無人の都市。

その只中の崩れかけた、ビルの屋上にただ一人、使徒の眼前に立ちふさがるは、なんということであろうか……ただの人間である。見たところは。

右目を機械式のモノクルで黒スーツの男。彼こそは誰が知ろう、世界中で暗躍する秘密結社BF団の最高幹部『十傑集』が一人、衝撃のアルベルト。

生身でなお埒外の戦闘能力を有する彼らにとって、使徒ですらただの障害でしかないのだろうか。

恐れすら感じさせない不敵な笑みで使徒を睨みつけている。

そして、いざ戦いのとき。

両の手に満ち満ちる生体エネルギー、それを放出することで機動兵器すら粉砕する衝撃波として操る、それが彼の『衝撃』の二つ名の由来。

秒も立たずに放出されるそれは、小手調べとして使徒に叩きつけられる……そのはずであった。

 

「む!?」

 

が、そんな荒唐無稽は起こらなかった。

早送りのアニメーションの如く、空を駆けてその場を飛びのくアルベルト。

先程までいた場所には、何かが突き刺さっていた。

コンクリートの地面を抉り、突き立つそれは見間違えでなければ、『将棋の駒』であった。

木製のそれが、コンクリートを穿つ。小さくともただ事ならざる仕業。

それを成した射手を見定めるべく、アルベルトが喝破を飛ばす。

 

「何者だ、姿を見せぃ!」

 

使徒に飛ばす筈だった衝撃波が、射点に向けて放出される。

そこにあった、同じく崩れかけのビルを粉砕すると同時、そこから飛び移る人影。

 

「やれやれ、手荒なことだ」

 

猛禽を思わせる『動』の気配を待とうアルベルトとは真逆。

風に揺れ、けれど折れぬ『静』の雰囲気を纏う白髪の老体。

そのような男が、音もなく先程までアルベルトがいた場所に佇んでいる。

その男を、アルベルトは知っていた。

使徒に立ち向かうために結成された組織、「NERV」

そこの副指令である、確か名前は……

 

「冬月コウゾウ、だったか」

「ほう、こちらのことは知っているのか。ならば話は早い、どうかここは手を引いてはくれんかね?」

「貴様らの奥の手、エヴァシリーズだったか……、それを投入するためにか?」

「成程、BF団の情報収集能力はさすがというべきなのだろうな。或いはそちらの軍師も何らかの絵図を描いている、と見るべきか」

「ふん、そこまでそちらに教えてやる義理はないとも」

 

加えていた葉巻を吐き捨て、アルベルトの両手が冬月を照準に捉える。

使徒に向けられるはずだった衝撃波……、それを人間一人に使おうというのか。

それを発射したならば、人間一人など容易く粉みじんと化すだろう。

 

「老骨があまり無理をするものではないぞ? 冷や水の代わりに一発、熱いのをくれてやろうぞ!」

 

同時、吹き荒れる紅い津波が冬月目掛けて放たれる

進路上の何物をも粉砕しつつ迫るそれは老体を飲み込み……

 

「悪いがこちらも、進めるべきことがあるのだよ」

 

なんと、しかし冬月は無事だった。

見れば、まるで彼のいた部分だけ衝撃波が避けたかのように、不自然にそこだけ破壊痕が見当たらない。

その不自然さの絡繰りを見抜くべく、若しくは平然と凌がれた怒りか。

 

「小癪な真似をしたようだが……!」

 

二撃、三撃とつるべ打ちに衝撃が乱舞する。

粉塵が舞い上がり、一時視界が塞がれ、それが晴れた頃には……

だがしかし、しかして冬月は五体満足のままである。

流石にアルベルトも、その光景には怒りよりも謎の解明を優先する。どうやって凌いだのか、と。

 

「これでも昔は教鞭を取っていてな。――――ひとつ、授業とさせてもらおう」

 

だが、それをつまびらかにするべく、口を開いたのは冬月の方である。

 

「君の能力について凡そは、こちらも調べさせてもらったとも」

「生体エネルギーを衝撃として操り、放出する技を得意とするということもな」

 

まるで、教壇に経っているかのように、訥々と説明を重ねる

 

「衝撃とはつまるところ振動。波だ」

「波というのは振動。つまりは揺れて伝わるモノである」

「……と、仮定するならばだ。例えば君も雨の時、水たまりにいくつもの水滴が落ちて波紋を描くところを見たことはあるだろう?」

「他の波紋と重なり、打ち消し合い、或いは飲み込まれ」

「波というのは伝えるものだ、干渉するものであるが故に干渉『される』事は避けられない」

「相補性、とでもいうべきか」

 

そういいきり、大きく両手の指を広げる。

そこに奇術めいて挟まれる将棋の駒。

弾丸の如く装填されたそれを目にし、アルベルトも絡繰りを見抜く。

その駒を指弾にて撃ち出し……

 

「衝撃の位相を見抜き、そこに干渉して逸らした、だと……!?」

「これでも学級の徒だったころもあってね、効率を求めるのは性分なのだよ」

「はっ、小賢しい……、だが、その賢しらが貴様の武器というわけか!」

「そうだ、と言ったら?」

「その賢しら、粉砕してくれようぞ!」

「いいだろう、来たまえ。一手教授しようとも」

「抜かせぃ!」

 

口舌でのやり取りは切って捨てられ、戦いは再開する。

アルベルトは衝撃波を乱舞させ、対する冬月はその波の合間を縫って駒を飛ばし、その暴虐をすり抜ける。

それは絶え間なく続き、使徒との戦闘で壊れかけの街が、それ以上に崩壊していく。

その最中、壊れた表層の偽装を弾き飛ばして……

 

「なんと!?」

「……やれやれ、間に合いはしたか」

 

驚愕するアルベルトと、安堵の息を漏らす冬月。

二者の視線の先に現れたのは紫の巨人――エヴァンゲリオン初号機。

 

「……っ! そうか貴様!」

「こちらにも描いている絵図があってな、要は、それが滞りなく進めばそれでよいのだよ。――――アドリブを入れるにはまだ早すぎるのでな」

「クハハハッ! まんまと一杯食わされたということか」

 

呵々大笑するアルベルト。やがて彼は踵を返し、冬月に背中を見せる。

 

「おや、もう帰るのかね?」

「ふん、いい様にあしらわれてその上、往生際悪く粘るほど面の皮を厚くした覚えはないのでな」

「それなら、私はこのまま見送るとしよう。願わくば再び相まみえるのは勘弁願いたいのだよ」

「言いおるわ、この借りはいつか払う……!」

 

そういいきって、アルベルトが衝撃波を噴射して空に上がる。

 

「覚えておくがいい、貴様らネルフがいかなる絵図を描こうとも、最後に描かれるは我らBF団のシナリオだということをな」

 

それだけを言い残し、戦端を開いた初号機と使徒を背景にアルベルトは飛び去った。

 

「やれやれ、厄介な男に目を付けられたものだな」

 

それを見送り、冬月もまた職務に戻るために踵を返す。

そして、初号機が咆哮する夜天の中、二人の男の邂逅は幕切れとなったのだった。

この後、二人が再び相まみえるかどうかは、死海文書が記すシナリオにのみ、記載されているのかもしれない。




冬月先生の戦い方考えた時に
「将棋の駒を弾いて戦う」は我ながら阿呆極まってると思います(断言

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