最強ノ一振り   作:AG_argentum

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最初に言っておく!
黒トリ争奪戦は一応キリの良いとこまで書けた!
よっぽど心変わりしない限り、今年度中に終われるぞ!

ここまで何年かかってるんだ、バカめ(自虐)。


戦いの幕開け

 ここまで深く入り込んだのは初めてだった。

 

 静寂に包まれた警戒区域(ゴーストタウン)

 人の暮らしを示す灯りは消え失せ、わずかに生き残った街路灯と雲から見え隠れする月が地面を照らす。

 

 聞こえてくるのは自分の靴底が鳴らす足音だけ。

 まるで世界には自分しかいないような錯覚を覚える。

 

【どう来栖くん? 何か思い出しそう?】

 

「そう、ですね。思い出せそうな気もします」

 

 来栖のオペレーターとして入っている、今は県外にてスカウト活動をしている林藤ゆりに向け、曖昧な答えを返す。

 思い出せそうな気もするし、それが気のせいであるようにも思えた。

 

 警戒区域を独り歩く。

 

 並び立つ家。

 ここにはどんな思い出があったのだろう。

 住んでいた人はどんな人で、どんな未来を築きたかったのだろう。そしてどんな思いで、この家を捨てたのだろう。

 

 そんな疑問に答えてくれる当人たちが当然いるわけもないか、と呆れながら小さく笑う。

 ここはもう、戦場と化しているのだから。

 

「…………」

 

 何かが心を揺さぶる気がする。引っかかる気がする。

 なにより、この場所は心をざわつかさる。

 

 言語化しきれないソレ。

 気づかないうちに何かを訴えかけてきているような、不思議な感覚。

 

 心のざわつきは少し不快なものだった。

 それでも感じなければならないものだと、義務感を抱かせる。

 

「来たか」

 

 レーダーの中に反応が二つ。中心にいる自分に向かって近づいてきているのが確認できた。

 感傷を止め、思考を戦闘のものへと作り替えていく。

 来栖は二振の弧月を抜き構えた。

 

【来栖くん。念を押すけど足止めに専念してね。今からくる風間くんと歌川くんは連携で倒そうとしてくるはずだから、挟まれないようにも】

 

 ゆりが来栖に念を押す。

 

「わかってます」

 

 迅の予知通りなら、これから来るのは攻撃手(アタッカー)最高峰の風間に、その部隊を支える歌川。

 

 そして来栖が勝てる可能性ははっきり言ってかなり低いとも迅の予知があらかじめ伝えられている。

 

 その理由は主に二つ。

 単純な風間との実力差と、連携という戦法にある。

 

 まず風間の実力に関しては、来栖の師である小南と同等かそれ以上であることがランク成績から物語られている。

 

 今の来栖と小南の平均戦績は三対七。

 小南に負け越す来栖が、風間にのみその勝率を跳ね上がるなんてことは決してない。

 この時点で来栖の勝率はまず五割を確実に切っているといえる。

 

 そしてさらに連携という戦法。

 

 来栖はかなりの数の戦闘訓練をこなしているが、もっぱらシュチュエーションは一対一。多対一、連携に対する訓練をほぼ積んでいない。注意するべきポイントこそ小南や烏丸から教わっているがそれを実践したことはほぼ無いのだ。

 

 詰まるとこの経験不足。ぶっつけ本番で来栖はボーダートップクラスの連携を対処しなければならない。

 

 故に勝率が低い来栖に任された役目は風間らの足止め。

 倒さなくていい。時間を稼ぎ、他からの増援を待つ。

 それこそがこれから幕を上げる戦場においての、来栖の打てる最善手であった。

 

【遠距離からの簡易オペレートだから、普段よりできることは少ないかも。いざって時は私の声よりも自分の判断で動いて】

 

「了解です、ゆりさん」

 

【頑張ってね、来栖くん】

 

 通信が切れ、目の前に敵がついに姿を見せる。

 風間、歌川の二人はスコーピオンを両手に装備しており、戦闘準備を既に終えていた。

 

「おまえは、誰だ?」

 

「…………」

 

 風間の赤眼が来栖を睨みつける。

 かけられた言葉に対し来栖はあくまで無言を貫いた。

 

「迅になにを言われてこの戦いに参加したかは知らんが、来栖(あいつ)がここにいることはありえん。さっさとその化けの皮を剥げ」

 

「…………」

 

 風間と歌川の一挙手一投足を見逃せない。

 攻撃手(アタッカー)にとって両者の距離は既に殺せる間合いだ。

 記憶喪失である現状を誤魔化すためなどではなく、もう耳を貸す余裕。返答する余裕は来栖に存在しない。

 

 戦闘はいつでもその幕を開けれる。

 

 ただ、やけに。

 来栖の知る風間よりも、その声は苛立ちを込めているように感じた。

 

「チッ。あくまでおまえも抵抗を選ぶか。いいだろう、その皮さっさと剥いでやる」

 

 来栖の沈黙を、抵抗の意思と判断した風間はその片足を後ろに引く。

 

 ──戦闘が、始まる。

 

 風間は次の瞬間。引いた足で地面を蹴り、弾けるようにして来栖との距離を詰めた。

 

「っ!」

 

 風間のスコーピオンが凄まじい勢いを伴い来栖の弧月と鎬を削る。

 まるでトラックがぶつかってきたかのような衝撃。

 

 来栖は足に力を込て受け止めようとせず、むしろ意図的に後方に弾き飛ばされた。

 風間の勢いを利用し、宙へと逃げる。

 

 ──早速か! 

 

 弾かれた先の空中で、ここにくると読んでいた歌川が待ち受けている。 

 悪態をついた来栖は迫る歌川への対処を迫られた。

 

 空中という足場が安定しない状況下。踏ん張りは効くはずもない。 

 

 それでも歌川の攻撃は正確無比だった。

 来栖の首、腕、脚と鋭い攻撃が高速で振るわれる。

 それを来栖は弧月と集中シールドで対応した。

 

 もつれるようにして両名が着地する。

 

 今度はこちらの番と、来栖が歌川へと攻撃を仕掛ける。

 いずれも狙うは急所。もしくは後々影響を与える肢体のどこか。

 

 一太刀を振るう毎に歌川の防御の体勢が遅れていく。無理な回避は、その後の防御に影響を及ぼす。

 

 たまらず歌川は後ろに下がり、立て直しを図ろうとした。

 そしてそれは来栖にとってまたとないチャンスだった。

 

「旋空……」

 

 弧月にトリオンを流し込む。

 歌川の後退は苦し紛れだ。この旋空は確実に当たる。

 

 後はそれを振り切れば──! 

 

【来栖くん、横!】

 

「っ!?」

 

「ちっ!」

 

 振り抜く方向を咄嗟に変える。

 いつの間にか距離を詰めてきていた風間に向けて来栖は精度の伴わない、相手の行動を鈍らせるための”旋空”を振るう。

 

 風間はシールドを使うことなく、悠々と回避してみせた。

 後退した歌川も、攻撃を仕掛けてくるそぶりはない。

 

【あっぶな】

 

 心臓が悲鳴を上げている。

 あの一瞬、間違いなく来栖の頭の中から風間の存在は抜け落ちていた。

 ゆりの声がなければそのまま歌川に攻撃を仕掛け、風間は来栖へ致命的なダメージを与えていただろう。

 

【気をつけてって言ったよね。来栖くん】

 

【ハイ、すいません】

 

 多分だけど、通信越しにいるゆりはキレている。

 当然といえば当然だ。あれだけ始まる前に念を押していたのに、早速忘れかけていた。

 

 ──しかし。

 

 今のが、連携。

 セットとしては短いが、それでも脅威は実感できた。

 

 一人の処理に手間取れば、その隙にもう一人が攻めてくる。もしくは一人のミスをもう一人がカバーする。

 連携の狙いはこの二つだろうがそれにしても。

 

 ──なんか、やりづらい。

 

 意識の分散、マルチタスクとでも言うべきなのだろうか。

 もしくは視界の確保。

 

 すべきことは理解できるが、できる気がなんとも湧いてこない。

 

 さっきのミスは一方に気を取られていた来栖の自業自得だが、これから同じミスを繰り返さない為には両名に気を配る。

 一方が何をしようとして、それに呼応するもう一方が何を狙っているのか。

 もしさっきのように一方に向けての()()()過ぎれば、もう一方がおざなりになる。

 

 またこれほどの機動力をもった相手を視界から外したら、間違いなく後手に回らされる。 

 ただでさえの格上相手に、後手に回るなど論外だ。

 

 ──できる気がしないな。

 

 珍しく、弱気になっている気がする。

 

 しかし。

 たとえ経験不足であったとしても。そもそもこういった意識の分散が苦手であったとしても、どうにかしてやるしかない。

 

 それも今は恐らくだが小手調べの段階だろう。

 

 旋空を避けた後、風間は攻撃を仕掛けることができたはずなのにいったん引いたのだから。

 正体が未知である自分を調査するための小手調べ。

 トリガー編成。自分の得手不得手。どのような癖があるか。

 

 それを最低限あちらが知ってからが本番だ。

 無論、下手に手を抜けば小手調べの間にやられるだろうが。

 

「どうにか。踏ん張るしかないな、ここは」

 

 小声で風間らには聞こえないよう自分に檄を飛ばす。

 

 押されっぱなしでは流れがあちらに行きかねない。

 そして何よりあからさまな足止めは向こうに”玉狛へ直行する”という一手を選択させかねない。

 

 二振の弧月にトリオンを流し込む。

 

「旋空弧月」

 

 その選択はさせないと、来栖は伸延させた弧月を打ち込んだ。

 

 

 ======

 

 目下障壁が目の前にいる。

 

 三輪は自分達に立ち塞がった赤の部隊。嵐山隊へと怒りを向けた。

 

「嵐山隊、なぜ玉狛と手を組んだ? なぜ近界民(ネイバー)を庇う!」

 

「さあな、そこら辺は迅にでも聞いてくれ。ただ、迅は意味のない行動はしない男だ」

 

 憎き迅の庇い立てする嵐山は戦場には似つかわしくない笑みを浮かべている。

 それが三輪の神経を逆撫でた。

 

「ふざけるな! ボーダーの責務は近界民(ネイバー)の排除だぞ! それを真っ向から否定しているヤツの行動に意味なんてあるはずがない!」

 

「それは違うぞ三輪」

 

 打って変わって、嵐山の表情が真剣味を帯びる。

 

「ボーダーの責務は市民の平和を護ること。排除はあくまでその手段の一つのはずだ」

 

 嵐山からは信念のようなものさえ見え隠れした。

 

 そして嵐山の言ったことはあながち的外れでもない。

 ボーダーは”界境防衛機関”。

 つまり名前通り受け取るならば、責務の発端は防衛を行うこととも言える。

 

「くっ」

 

 三輪が言葉を詰まらせる。

 嵐山の指摘を否定できる論理を三輪は持ち合わせていなかった。

 しかし。

 責務を否定されたからといって、迅の行動に意味が宿っているかまでは嵐山も否定できていない。

 

「なら迅の行動はどうだ!? 海外にいるはずの来栖さんを使って薄汚く動揺を誘ってるヤツの行動に意味があるとでも!」

 

 滾るマグマのように熱くなった三輪の思考は冷静さを失っていた。

 聞くべき本題とは離れている来栖についてを持ち出しつつ、迅の正当性を問うている。

 

 今度は嵐山が言葉を詰まらせる、はずだった。

 

「確かに迅がどういった意図で来栖さんをここに連れてきているかはおれも知らない。三輪の言う通り、動揺を誘う狙いがあったのかもしれないと否定はできない」

 

 三輪の予想を裏切り、嵐山はむしろ三輪を肯定するような意見すら出す。

 

「だが、さっきも言ったろ。迅は意味のない行動はしない。来栖さんを連れてきたことも何か考えがあるはずだ」

 

「そもそも! あいつは本物なの──」

()るならさっさと始めようぜ」

 

 空気を読まない一言だった。

 水を刺された三輪の言葉に歯止めがかかる。

 

 彼以外が言葉を発していれば仲間である三輪とて激昂しかねなかっただろう。

 三輪は一言で空気を変えた彼の名を呼んだ。

 

「出水?」

 

「あれが本物かどうかなんて関係ない」

 

 両手に展開されるトリオンキューブ。

 口元に弧は無く、平坦。感情を押し殺したようにしながら出水は分かりやすく攻撃体勢に入っていた。

 

 ──両攻撃(フルアタック)の構え! 

 

 チャンスだと判断したのは誰だったか。

 

 これから一秒先、出水の攻撃がまき散らされると予感しながら。

 

 無防備な出水に向け、狙撃が放たれる。

 

 それをあざ笑うかのように出水は展開していたキューブを消し、自身をシールドで囲った。

 ギィン、と甲高い衝突音が出水の頭部付近から鳴り響く。

 

「佐鳥みっけ」

 

 嵐山隊、佐鳥による狙撃。

 それを出水は両攻撃(フルアタック)に見せかけた両防御(フルシールド)で防ぎ切った。

 

「陽介、狙撃手(スナイパー)を片付けろ!」

 

「カバーに入ります!」

 

 居場所のバレた嵐山隊狙撃手(スナイパー)佐鳥を巡り、両陣営が動き出す。

 

 そうしてその場に残されたのは嵐山、時枝。三輪に出水。

 出水が一歩前に出て、わざとらしくまた両攻撃(フルアタック)の体勢に入った。

 

「いくぜ、嵐山さん。早くこっちを片付けて、迅さんに問いただしに行かなきゃなんないからな」

 

 今度こそ。容赦を見せない出水の両攻撃(フルアタック)が戦場を明るく照らした。

 

 ======

 

 風間から太刀川へ下された命令は足止めだった。

 

 奇襲によって縮まった人数差。ノーマルトリガーと(ブラック)トリガーの持つ性能差。この先に待つ玉狛での戦闘。

 消耗を可能な限り避けたいことを考慮しての足止め(命令)は至極真っ当であると言える。

 

 だがそんなこと。この闘争においては簡単に覆ってしまう撓んだ鎖も同然だった。

 

 太刀川慶は迅悠一を仕留めるつもりで剣を交えている。

 そこにはここで自分が倒されることによる戦況の傾きや、後の玉狛での戦闘などへの考慮は一切ない。

 

 ただ、仕留める。

 怒りと高揚に身を委ね。目の前にいるライバル、今はまさに打倒すべきとなった敵を完膚なきまで太刀川は斬り伏せたかった。

 

「どうした迅? 昔よりも圧が落ちてないか!?」

 

「それはきっと気のせいだよ!」

 

 減らず口を叩き合う。

 これもまた幾度となく繰り返した、習慣のようなものだった。

 

 迅と太刀川の関係。それは間違いなく最高のライバルと言えた。

 

 二人の出会いはボーダーの設立当初にまで遡る。

 

 設立当初、ボーダーに攻撃手(アタッカー)用トリガーは”弧月”一種しか存在しなかった。

 必然戦闘は”弧月”のみを用いての勝負。それにおいての太刀川と迅の関係はいつも太刀川が上の力関係だった。

 

 ”弧月”では太刀川に勝てない。

 そう判断した迅が開発したのが軽量性と奇襲性に秀でた”スコーピオン”である。

 

 迅のサイドエフェクトの能力を”弧月”以上に活かす”スコーピオン”を迅が使い始めると、太刀川との勝負はわからなく(五分五分に)なっていった。

 

 来る日も来る日も鎬を削る。

 ある日は負け、ある日は勝ち、ある日は引き分けた。

 

 最高に、楽しかった。

 

 日に日に伸びる自分の実力。負けじと追いつき、時に凌駕するライバル。それを今度は追い越そうと必死になる自分。

 そしていつかは、成長した自分達の刃であの最強を打ち倒したかったのだ。

 

 だがそれはいつまでも続かなかった。

 迅は(ブラック)トリガーを手にし、S級隊員になってしまった。

 

 (ブラック)トリガーはその規格外さゆえにランク戦に参加できない。

 どれだけ迅との対決を切望しようとも、そんな特例は許されなかった。

 

 だが、その特例が今ここで起きている。

 

 夢が、現実に変わった瞬間だ。

 イメージにしか存在しなかった”風刃を持つ迅”が重みを帯びて自分と対峙する。

 

 高揚する。高揚する。高揚する! 

 どこまでも久しぶりに交えたライバルの剣は太刀川を高揚させた。

 

 だが。

 

「迅。なんであんな手を使った?」

 

 鍔迫り合いで互いに体を押し付け合いながら、至近距離の迅へと囁く。

 

 高揚と共にある怒り。

 それを除かなくては太刀川は昔のように純粋な高揚を得れなかった。

 

「あんな手って来栖さんのこと?」

 

「モドキだろ。あの人は今も病院だ。ここにいるはずがない」

 

 今この場には来栖が入院していたことを知る二人のみ。機密事項である事実をためらいもなく口にする。

 

 太刀川からして不可解なのはそんな少し考えればわかる手をわざわざ使ったことだ。

 

「動揺を誘うのが狙いだったのなら、あの時なんで攻めてこなかった?」

 

 更に不可解なのは仮に動揺が狙いだったとして。

 一番その効果が現れるのは動揺した直後のはずだ。動揺は時間経過と共にその効果を落としていく。時間の経過が冷静さを与えるからだ。

 

 効果が最も高い瞬間。今回であれば来栖が現れた瞬間がそれだった。

 なのに、迅は一度身を引いた。

 あの時の太刀川こそ最も無防備な瞬間であったにも関わらず。

 

 だからこそ、迅の考えが読めない。

 なんの意図を持ってこんな策を取ったのかどうか。

 

「色々考えがっ、あるんだよ!」

 

 離れろ、と言わんばかりに迅が風刃を滑らせる。と同時に風刃の放った斬撃が地面から太刀川を襲った。

 

「はっ」

 

 太刀川は笑う。

 苦し紛れの斬撃だった。風刃の帯が消失し、残る数は九本。

 

 避けるために少し迅と距離を開けるがそれでもすぐに詰め直す。

 

「風刃は近づけばただの高性能なブレードだろ」

 

「太刀川さんなりに研究してるじゃん」

 

 風刃の持つ能力は”遠隔斬撃”。

 鍔から伸びる光の帯をその残弾とし、物体に斬撃を伝播させ目の届く範囲ならばどこまでも攻撃できる。

 

 だが、風刃からこの遠隔斬撃を取り除けば要素として残るのは弧月よりも高性能なブレードという事実だけである。

 

 それゆえ太刀川が採った策は遠隔斬撃を撃つ隙すら与えない、純粋な剣での真っ向勝負。

 武器の性能差があろうともこの土俵においては迅より太刀川の方が格上だ。

 

 翠玉の刃が太刀川の一振りを阻む。

 生まれる隙を見逃さず、太刀川は流れるようにもう一撃を叩き込んだ。

 

 更に追い討ちをかけるように放たれる、迅への狙撃。

 

 迅は未来視をもって回避を図るが、それでも()()が遅れた。

 

 古寺の狙撃と太刀川の攻撃が迅の処理能力を上回り、その証拠として風刃を持たない左腕が切り落とされる。

 

 五体満足な太刀川が、左腕が落とされた迅に向け呟いた。

 

「だったらその考え。さっさと言ったほうがいいぜ、迅。じゃないとすぐに終わらせちまうからな」

 

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