最強ノ一振り   作:AG_argentum

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短いのですが、今回は迅対太刀川戦の答え合わせ。

一応独自設定ありです。

そして!お気に入り登録が1500人を突破しました!
登録して下さった皆様、誠にありがとうございます!
まだまだ書きたいことは尽きていないのでゆっくりではありますがお付き合い下さい。
これからもよろしくお願いします!





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問答

 弧月を主武装とする隊員にとって、手を失うことは戦闘能力の喪失を意味する。

 弧月はその兵装上、握るという行為が求められる為だ。

 

 これが弾トリガーをセットしていたり、身体のどこにでも形成できるスコーピオンなら話が違うが、弧月使いとなると、もはや戦う術がない。

 

 地面からの斬撃。

 完全なる不意打ちにより太刀川は手を含める両腕の肘先を喪失した。

 

 この時点で、太刀川に戦う術はもう存在しない。

 

 そう。この時点で太刀川は、もうこの戦場に関与することはできない、とその結論だけは理解できていた。

 

 しかし。

 

「あり、得ねぇ!?」

 

 その結論に至るまでの過程。

 即ち、自らの腕を吹き飛ばした斬撃の正体を理解できずにいる。

 

 目の前に再度降り立った好敵手(ライバル)、迅悠一を太刀川が睨む。

 

 先ほどまで近くに寄っていた狙撃手(スナイパー)の古寺を始末してきたのだろう。

 直ぐ近くから、空を駆けていく光を見て、そう確信した。

 

「迅、さっきのはおまえの風刃の斬撃だった」

 

 地面から太刀川を襲った斬撃は確かに風刃の斬撃だった。

 

 風刃の持つ能力は”遠隔斬撃”。鍔から伸びる光の帯をその残弾とし、物体に斬撃を伝播させ目の届く範囲ならばどこまでも攻撃できる、と太刀川は理解している。

 

 そう、風刃の残弾は鍔から伸びる光の帯で確認ができるのだ。

 

 風刃の起動時から装填されている残弾数は11発。

 

 最初の襲撃で菊地原に1発使い、10本に。

 

 その後、太刀川を相手にして、距離を取る為に1発。

 

 残弾数9発となったところで、太刀川の攻撃を跳ね返すために2発。

 更にその後仕留めに掛かってきた迅は残りの7発を一気に叩き込んできた。

 

 その7発は太刀川自身のシールドと古寺のシールドで完封している。

 

 この時点で風刃の残弾はゼロ。光の帯は消失していた。最早風刃に撃てる斬撃など、存在しないはずなのだ。

 

「おまえの風刃に残弾は無かったはずだ。なのに」

 

 だが、事実として。残弾は存在していた。

 あり得ざる1発を迅は有していた。

 

 わからない。理解ができない。

 遠征による疲労で、エンスト寸前の太刀川の脳では、辿り着けない。

 

「…………風刃は」

 

 太刀川に背を向けた迅が、独り言のように呟く。

 

「確かに斬撃を撃ち尽くすと、再装填(リロード)が必要なのは事実だよ」

 

 手元のある風刃を、じっと見つめる迅。

 師()()()()に向ける感情がどのようなものであるか、その背から太刀川は何も推し量れない。

 

「でもさ」

 

 背を向けたまま迅が、腕を広げ風刃を太刀川に見せつける。

 迅の背中から、嫌が応にも視線が風刃に移る中で、変化は如実に表れた。

 

再装填(リロード)にどれくらい時間がかかるかは、知らないよね」

 

「なっ!?」

 

 ポウッ、と風刃の鍔から光の帯が1本伸びる。

 それから止まることなく、光の帯は増えていき、瞬く間に11本。

 最大数まで装填が完了した。

 

「そういう、ことか」

 

 それを最後まで見た太刀川は、やっと腑に落ちた。

 

「おまえの風刃は、もう既に……」

 

 腑に落ちたそれを。先ほどまで理解できていなかったそれを言語化する。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………」

 

 太刀川の答えに、迅は何も言わない。

 それを太刀川は、正解なのだと受け取った。

 

 太刀川の理解が間違っていたのだ。

 

 風刃の起動時から装填されている残弾数は11発。

 最初の襲撃で菊地原に1発使い、10本に。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()迅は風刃を一度撃ち尽くしている。 

 

 そして始まる再装填(リロード)

 11本まで補充された帯のうち1本をこの場所に仕込んだうえで、迅は太刀川と対峙した。

 

 あとは太刀川も知っての通り。 

 見えている10本を用いて迅は太刀川をこの場まで誘導し、仕込んでいた1本で太刀川の腕を吹き飛ばした。

 

 迅は太刀川相手に、隠し弾を仕込んだ状態で戦ってきたという事だ。

 

「悪いね、太刀川さん。風刃とおれの副作用(サイドエフェクト)は、相性がよすぎるんだ」 

 

 その言葉を最後にして、迅が太刀川から距離を取り始める。

 

「待て、迅!」

 

「…………」

 

 喉が張り裂けそうになるくらいの大声で、太刀川が迅を呼び止める。

 距離を取ろうとしていた迅の脚が、太刀川の一声でピタリと止まった。

 

「なに、太刀川さん? あいにくだけど……」

 

「あれは、誰だ?」

 

「っ!!」

 

 背を向けていたはずの迅が、太刀川のその言葉で振り返る。

 

 迅が立ち止まってくれたことに、良かった、と太刀川は思えた。

 

 この争奪戦は終わったわけではない。迅が太刀川を倒したとはいえ、まだ続いている。

 敗者である太刀川にそれを阻むことはできない。

 

 しかし、それでも聞かなければならなかったのだ。

 

 あの迅が。なぜ、あんな手段をとったのか。

 迅が、選ぶはずない選択肢を選んだ理由は何だったのか。

 

 目覚めるはずのない来栖を使ってまで、この争奪戦を勝つ必要があったのか。

 

 太刀川は、どうしても迅に聞かなければならなかったのだ。

 

 迅はその表情を曇らせる。

 なにかを考え込むような。苦悩をにじませるような。

 

 そんな表情を太刀川に向ける。

 

「………いい、再会にしたかったんだ」

 

 漏らすような小さな声で迅が口にする。

 泣きそうで。けれど、泣くのをこらえるような表情で。

 

 迅は、太刀川に真実を告げる。太刀川を通じて視た未来を。

 

「今この戦場に居る来栖さんは本物だよ。太刀川さんたちが遠征に行った直後に目が覚めた」

 

 残酷な真実だ。それでも迅は、告げなければならない。

 

「でもね、太刀川さん。今の、来栖さんは…………」

 

 真実を伝えた時。太刀川の顔が歪むことが、視えていたとしても。

 

 来栖が記憶喪失であることを。

 

 告げなければ、ならないのだ。












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独自設定について


まず迅がなにやったかって言うと

風刃起動 ①~⑪ 帯が発生 (27話)

菊地原に ① の帯を使用(27話・28話)

遠征隊会議中・迅及び来栖が嵐山隊に合流。その後解散(28話)。


この時点で②~⑪の帯を打ち尽くす。
再装填。❶~⓫の帯が発生。

❶の帯を仕込む。

太刀川が迅と接敵(28話) 
 
迅が太刀川に ❷~⓫の帯を使用。

帯が消失したタイミングで❶の帯を打つ。

てことをやりました。


風刃の再装填の時間が短時間である事。
仕込んだ状態でも長時間キープできることが、本作品での独自設定です。

これ考えた時、風刃まともに使えるのは迅さんしかいないな、って確かに思いました。

なにか不可能な点などありましたら、感想でご指摘ください。

今年度の投稿はこれで最後になります。
皆様、良いお年を!!


(黒トリ争奪戦終わってねぇぞ馬鹿野郎が!!)(ら、来年の3月までには争奪戦終わらします!)
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