メスガキに国乗っ取られたワロスww   作:以下、異世界から一般人がお送りいたします

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奥さん

「メイメイ……?」

「ええ、貴方の妻メイメイですとも」

 

黄金に瞳。灰色の髪。小柄な僕よりも尚小さなメイメイは厚手のローブを下げて此方に歩み寄る。

 

「待て、いや待ってくれ」

 

「何故?私と貴方は夫婦の関係です」

 

「そういうことじゃない。今の君はあの少女に操られているんだ!」

 

予備の剣を向ける勇者。

 

「私は操られてなどいませんよ?」

 

キョトンとする彼女。本当にそうなのだろうかと一瞬信じそうになった勇者だが、彼女が得物である二丁拳銃を当たり前のようにこちらに向けている見て、自身の考えが間違っていなかったことを認識した。

 

「……ああそうだろう。僕もそうだったから君の気持ちも分かる。だから考えて欲しい、どうして僕たちが殺し合わなければならないのか」

 

勇者はメスガキの洗脳下にあった時のことを覚えている。

あの時はオーティスへの好意はそのままに、理由のない使命感に駆られて斬りかかったのだ。

 

「メイメイ、僕たちは殺し合う必要はない」

 

本当はオーティスのように瞬時に拘束出来れば良かったのだけれど、自分とメイメイに力量の差はあまりない。

戦えば自分が勝つ自信はあるが、両者共にかなりの深手を覚悟する必要があった。回復役がいない今、そんなことは避けなければならないと故に勇者は説得を試みる。

 

「あの子は僕たちの関係だけでなく、世界を滅茶苦茶にしようとしている。あんなのに従うなんて間違っているよ!君も言っていたじゃないかオーティスさんほど優れた王様は居ないって」

 

「……ええ。お兄様よりも優れた魔王は存在しません。例えお兄様がそれを望んでいなくとも、お兄様が魔王にならないことを私以外の誰もが許さないでしょう」

 

射線はずらさずに、メイメイは悲しそうに眉を下げて、小さな声で呟く。

 

「私がお兄様よりも早く生まれていれば、戦争などなければ、お兄様はお姉様であれたのに……」

 

「えっ」

 

「そう言えば貴方には教えていませんでしたが、魔族は男と女。どちらでもなれる種族ですが、稀にあるのです。生まれ出た時点でどちらに傾くかは決まっている個体が」

 

うっすらと目尻に水滴を浮かべて、罪を懺悔するようにメイメイは続ける。

 

「小さい頃のお兄様はお花やおままごとを好んでいました。お母様に似て優しいお方だと世話係も言っていました。

私はお兄様のことも『お姉様』と呼んで慕っていましたし、きっとお兄様の中でも男と女のどちらとして繁殖の道を歩むかは決まっていたのだと思います」

 

「ですが、戦争が始まると父様は万が一自らが勇者に敗れた時、意思をついで魔族を導く跡継ぎを必要としました。……魔王の加護は血族の男に受け継がれるなどと、私たち二人はどちらが次代の魔王となるか選択を迫られたのです」

 

「そしてお兄様が女になって私が男になる道があったのにも関わらず、自分が先に生まれたからと迷いなく『お兄様』になられました」

 

オーティスはそれから並々ならぬ努力を重ねて、信頼出来る部下と民草の信頼を勝ち取り、見事魔王へと襲名した。

 

不死王サタンの影響もあったとはいえ、今まで誰もが無し得なかった魔族と人との和平を成立させ、恒久的な平和を築いた彼を誰もが偉大な魔王だと称える。

 

オーティスだってそれは満更でもないと思っているのは横で見ていれば分かるし、今さら女としての自分に未練があるわけでもないのだろう。

しかしメイメイだけは、もし自分が魔王になっていれば本来掴む筈だったオーティスの未来を奪ってしまったのではないかと、魔王として称えられる彼を前に考えてしまう。

それでもこの世界は美しいから、オーティスが『お兄様』になったのは良い事なんだと自分を誤魔化してきた。

 

 

 

……けど、世界は今、滅びかけている。

 

たった一つの異物のせいで。オーティスの今までの努力は全て水の泡と化した。

 

魔界の首都が異物に塗り替えられていく中、メイメイの胸の内で膨れ上がったのはメスガキへの憎悪ではなく、どうせこうなる運命なら、やはり自分が魔王になってオーティスには幸せな思いをして欲しかったという後悔。

 

勇者と結婚して、その幸せを知っているから尚更心苦しかった。

 

 

「それは傲慢だよ。オーティスさんは自分の判断で魔王になったし、今も世界を取り戻そうと足掻いている。

勝手に諦めて、あり得ない未来を妄想するなんて君らしくもない」

 

悲観的に物事を語るメイメイ。きっとこれも彼女の魅力の一つなんだと勇者は受け入れつつ、その在り方を真っ向から否定した。

 

「君は素直な人だ。そして記憶力がいい。だけど何も終わっていない内に過去を嘆くような……そんな()()()()()女に僕は惚れた覚えはないな」

 

オーティスと分断されて二人で四天王全員を相手にした時だって、不死王サタンと相対した時だって、いつもメイメイはその絶望を乗り越えようとしていた。

どうしよもなく弱い僕はそんな彼女に何度勇気づけられたか分からない。

 

メイメイは絶望を知っている。

 

メイメイは諦めない。

 

だって、メイメイは知っているから、絶望の先にある希望は究極に面白いものであるということを。

 

「ふ、ふはははは!!!!やっぱり最高に面白い!

それでこそ私が選んだ男です!!!!」

 

ふとメイメイは壊れたように笑い、黄金の瞳が赤く発光する。これはメスガキに洗脳された者に現れる共通の証だ。

 

「やっと、僕が洗脳から目覚めた理由が分かったよ」

 

勇者は笑う。

洗脳から目覚める条件が精神的ショックによるものならば、メイメイにとって、自分は申し分ない存在だあると。

 

僕が目覚めたのは彼女を助ける為だ。

 

 

「いくよ!」

 

「是非に!!!」

 

光と闇がぶつかり合う。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

「それで、貴方は誰ですか?」

 

地面に倒れる魔王オーティスと不死王サタン、堕ちた魔の神『邪悪魔』を控えるメスガキとの間。

 

「やぁ魔王オーティス、それとも魔王様と呼ぼうか。息災のようで何よりだ」

 

「ぉ……前…は」

 

オーティスの目に映る白い外套。その背に掲げるは五の数字。

 

「生憎、名前は捨てたものでね。

――藍染惣右介と、今は呼んでくれ。

同じチート転生者として、ここは一つ性能を比べ合おうじゃないか」

 

魔王を庇うように立った彼は眼鏡を取って、三日月の笑みを浮かべる。

 

掲示板に導かれた縁はここに紡がれた。




魔王様を見守る会(一同)
「「「いや、お前かよ!」」」


勇者vsメイメイ

藍染vsメスガキ(不死王サタン&堕ちた神邪悪魔)vsダークライ

そして何も知らない伊藤誠
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