落ちこぼれと言われ続けた僕は彼女達に何の夢を見るか。 作:べるぬい
それでも良ければ。よろしくお願いします。
「おい。落ちこぼれ!ウマ娘達の水分ちゃんと用意しとけって言っただろ!?ったくトロすぎんだよ」
「……すみません」
先輩トレーナーである牧野先輩が怒鳴る。おかしいな。しっかり用意したはずなんだけどなぁ。
「はぁ。これだから落ちこぼれはよぉ。お前、そんなんだからいつまでも自分のチームが持てないんだぜ?ま、今からチーム作ったとこで誰も入らねぇと思うけどな!」
「すみません」
「ま、いくらでも俺が面倒見てやるよ。扱き使うのに丁度いいしな!」
「……」
落ちこぼれ。とは僕、
一体何がいけなかったのかは未だに分からない。
僕はウマ娘とはしっかりコミュニケーションを取り、お互い分かりあって高め合うことが重要だと思ってる。
けど僕の通ってた育成機関は何よりも結果を出すことだけを目標にするようなとこだった。僕とはウマが合わなかったのかもしれない。
ウマ娘だけに。
「ミルクパルフェ!エルグランド!サイレンススズカ!エポナ!モモバミ!ソルトマナー!今日は終わりだ!上がっていいぞ!」
牧野先輩はみなにそう言うと、一足先に校内へと戻ってしまった。
今日は練習で使った物が多いから片付けるの大変だなぁ。
「みんなお疲れ様。後片付けは僕がやるから戻っていいよ。ちゃんと休息取ってね」
「……ありがとうございまーす」
特に感謝の気持ちなんて篭ってない言葉が帰ってくる。ウマ娘でさえこの対応である。僕も自分のチームを持ちたいんだけどなぁ。
今から新しいチームを作ったところで入ってくれるウマ娘はいるんだろうか。それも成績最低落ちこぼれトレーナーの僕のチームに。
「はぁ…」
「あの…手伝いますよ?」
「え?あっ…サイレンススズカさん!いやいやいや!疲れてるでしょ?後片付けは僕に任せてしっかり休んでね!」
「…でもこれらを使ったのは私たちですし…」
「大丈夫大丈夫!ほら僕雑用みたいなとこあるし!ね?サイレンススズカさんはうちのエースだからしっかり休んでね!」
そう言って無理矢理サイレンススズカさんを寮へと帰す。空を見れば赤く燃えてた太陽も沈みかけてる。これは完全に暗くなる前には終わらないなぁ。
◇◇◇
ハードルなどの器具を全て片付け、しっかりと倉庫の鍵を閉める。
後は鍵を職員室に戻せば終わりだ。辺りは真っ暗だ。学園内にある外灯だけが頼りだ。
さて職員室に戻ろうと足を進める。このトレセン学園。生徒数は2000人弱程いる大きな学園だ。中高一貫で、基本的に生徒は栗東寮と美浦寮の二つに大別される寮で生活している。
ちなみにトレーナーという存在は生徒の数に対してあまりにも人数不足である。おかげでトレーナーにも社宅となる寮がある。生徒の寮と向かい合うように建っており、学園にも生徒の寮へにも歩いて数分だ。
そんな大きな学園も流石に下校時間を過ぎれば静かだ。いつもの喧騒が嘘のようである。だから気付いたんだろう。誰かがトラックで芝を踏みしめる音に。
「誰か走っている…?」
職員室へと向けてた足を再度トラック側へと向ける。誰かが走ってるということは把握しているが、少し暗くて見にくい。もう少し近付いてみるか。
「ハッハッハッハッ……まだまだ!」
「…あの子はメジロマックイーンさんか」
先程よりも速度を上げて走っているだろう彼女は真剣な顔をしてトラックを走っていた。
メジロマックイーン。明後日にデビュー戦を控えており、今1番注目されてると言われてるメジロ家のお嬢様だ。
「自主トレーニングか。精が出るなぁ」
デビュー戦。本来なら僕も自分のチームを持って、そこに参加していたのかもしれない。きっとメジロマックイーンさんは良きライバルになってたかもしれない。それとも打倒する目標かもしれない。
「はぁ…。自分のチーム持ってみたいな。……ん?」
ふとメジロマックイーンの走りを見ていて、違和感に気付く。
何だか彼女の走り、力が抜けてるような感覚に陥る。気の所為だろうか。噂では期待のステイヤーと言われてるけど、何だか不安定な気がする。スタミナ切れとか起こしてしまったりしないだろうか。
「いやいや担当でも無いのに何か言うのは違うよな。うん。今日はもう帰ろう」
そう自分に言い聞かせ、僕は今度こそ職員室へと足を進め
読んでくださりありがとうございました!次回をお楽しみに!