落ちこぼれと言われ続けた僕は彼女達に何の夢を見るか。 作:べるぬい
「うっ…お腹が空いた…助けてくれ…」
「えぇ…」
今僕はトレーニングを終わらせた皆を先に帰らせ、使った道具などをまとめ、いざ帰ろうしていた途中、何かウマ娘が倒れていた。
え?なんでこんなとこにいんの?
「あ、あの…大丈夫ですか?」
「お腹…空いた…」
「えーっと……カロリーメイトとかならあるよ…?」
トレーニング中に食べるかもと持ってきておいたゼリーやカロリーメイトを渡す。
流石にカロリーメイトは口の中の水分がやばいほど取られるから誰も食べなかった。チョイスミスったな。
「あ、ありがとう…助かる」
「うん。全部あげるよ」
しかしこのウマ娘。随分とボロい靴を履いてるんだな。ジャージは…トレセン学園の娘かな?
てかこの娘はどこから来たんだ?この辺はメジロ家の別荘ぐらいしか無かったはずだけど。
「うぅ…足りない…」
「…え!?もう食べ終わったの!?」
アサマさんには申し訳無いけど、この娘を連れてこう。ここで見捨てるなんて僕には出来ないよ。
「ごめん。持ち上げるよ」
おんぶが1番安定すると思うんだけど、生憎背中にはトレーニングに使った道具たちを詰め込んだリュックがあるので、仕方なくお姫様抱っこになる。
「すまない…」
「いやいや気にしないで。困った時はお互い様だよ」
そう言って僕はちょっとかけ足で別荘へと向かった。
◇◇◇
この子の食いっぷりやばくない?メジロ家の別荘にある食糧底が尽きるんじゃないか…?え?大丈夫ですか…?
ほら、マックイーンなんて顔が引きつっちゃってるんだけど。
「ふぅ…ご馳走様」
「なんなんですの!?なんなんですの!?」
「まぁまぁマックイーン。落ち着いてよ」
この大食いウマ娘。どうやら最近笠松の方から転入してきたオグリキャップ、と言うウマ娘だそうだ。
先ほど帰ってきたメジロライアン、メジロドーベルと一緒にやって来たらしい。
「トレーナーさん!私達も明日からトレーニングに参加していいですか?」
「ん?あぁ全然いいよ!人が増えた方がみんなも良いだろうし」
「やったー!ドーベルにも伝えてきますね」
ライアンは実に楽しそうな顔をして部屋から出ていく。オグリキャップは腹が減ったなとか呟いてる。本当に言ってるの?
「あぁそうだ。貴方はトレーナーだったか」
「そうだよ。
「オグリキャップだ。先程助けてくれたこと、感謝する」
「気にしないで。オグリキャップもトレーニングに参加するの?」
「良いのか?」
「全然いいよ」
「ありがとう。明日から参加させてもらおう」
オグリキャップ。彼女の走りは素晴らしいと聞く。地方の学園からスカウトされて転入してきたのだ。相当なレベルに違いない。
彼女から何か参考になるものがあればいいなと思う。
◇◇◇
カポーン。とどこからか音が鳴る。僕は今絶賛めちゃくちゃに広いお風呂に入っている。てかこれ温泉ってレベルでしょ。広すぎる。
「あぁぁぁ〜…」
あまりの広さに自然と身体も伸び、普段の仕事に疲れた社畜のおっさんのような声を出してしまう。気持ちがいい。
さて、今後の課題はトレーニングもそうだけど、アサマさんとゴールドシップの仲を取り持つこと。二人が普通に話し合えばいいと思うんだけどなぁ。それが出来たら苦労しない、か。
ガラッ…と扉の開く音がする。誰か入ってきたのかな。
…誰か入ってきたのかな!?
「よー!トレぴっぴちゃん!背中流してやんよ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
絶叫した。
◇◇◇
危うくのぼせるかと思った。何食わぬ顔して乱入してきたゴールドシップ。バスタオルの下はトレーニングで使っていた競泳水着を着ていたので、僕がセクハラとか色々な罪で捕まる恐れは低くなった。
だから普通に背中を流し合った。全くビックリさせてくれるよ。
「トレぴっぴちゃ〜ん。何か今日ずっと悩んでる顔してんな!どしたん?話聞こか?」
「んぁ…えっと…ね」
ゴールドシップのことについて悩んでるなんて言っていいものなんだろうか。いや、ダメだろ。ダメダメ。
「何でもないよ。トレーニングをどうしようかなと思って。1週間しかないからね」
「うげぇ…お手柔らかに頼むぜ…」
「トライアスロンでもする?」
「…マックちゃんのシャー芯全部ハリガネムシに変えないといけねぇからもう行くわ!」
「あ……逃げやがったな」
どうしたもんかな。多分ゴールドシップはアサマさんの部屋に行くこと自体嫌がりそうだし、アサマさんに呼び出されるってのも抵抗がありそうだもんな。
どこか自然に話せるような環境を作ろう。うん。僕に出来るのきっとこれぐらいだ。あとはトレーニングに集中だ!
よーし!明日からまた頑張るぞー!
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