落ちこぼれと言われ続けた僕は彼女達に何の夢を見るか。 作:べるぬい
メジロマックイーンさんを保健室に連れてきてから30分程。
廊下の方からバタバタと足音が聞こえてくる。そして勢い良く扉が開かれ、一人のウマ娘が入ってくる。
「マックイーン!!倒れたって本当!!?」
「しーっ!静かに静かに。寝てるから」
「あ、すみません。もしかして貴方はマックイーンのトレーナーさんですか?」
「いや、まだ違うけど近々なる予定のトレーナーさんですね」
「そうですか。あ、私はメジロライアンと言います!よろしくお願いします!それでマックイーンは何で倒れたんでしょうか?」
養護教諭から聞いた診断結果では貧血、とのことで栄養不足が原因と言われた。それをメジロライアンに伝える。
「そうですか…。デビュー戦を前に多分食事制限をしていたのが原因かもしれませんね」
「食事制限?」
「はい。マックイーンは、責任感が強すぎるって言うか、自分で自分を追い込んじゃうんですよね。メジロ家としての役割を果たす為とは言え…」
メジロ家の役割。天皇賞・春を制覇のことかな。起きたらマックイーンに聞いてみようと思う。
「そんなことしなくたって、マックイーンはちゃんと立派にやってるのに」
「心配してるんだね」
「はい。…あっ!もう行かなきゃ!あの、マックイーンのことお願いします!それでは失礼しました!」
礼儀正しいメジロライアンは、そう言い急いで保健室を駆け去っていった。
◇◇◇
「そう…でしたか。トレーニング中に意識を…。大変なご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした!」
「いやいやそんな。むしろ僕がいる時に倒れてくれてよかったよ。もしメジロマックイーンさんが一人の時とかだったら、それこそ大変だったろうし」
「そう…ですよね」
あぁ、多分この子はこうやって自分の悪い所を反省してるんだ。
そして責任感が強く、今以上に自分を追い詰めてしまうんだ。
次こそは。今度こそはって。きっと全部一人で背負い込んじゃうんだな。
「ねぇメジロマックイーンさん」
「はい。なんですの?」
「メジロマックイーンさんには夢はある?」
「夢…ですか?」
「そう。夢。君が目指してる夢」
「……天皇賞を制覇することですわ」
やっぱり。メジロ家と言えば天皇賞のイメージがある。確か先代や先々代も皆天皇賞を優勝していたんだっけ。
それは確かにプレッシャーにもなるけど、憧れの夢にだってなるはずだ。
「ねぇ。その夢さ。僕にも手伝わせてよ。僕のチームに入るんだろ?それなら本音を言って欲しい。あ、やっぱり入らないとかだったら……大丈夫です…」
かっこ悪いなぁ僕。こういうのは意外とゴールドシップの方が向いてるかもしれない。
「僕のチームに所属するなら、マックイーンさんの夢、手伝わせて欲しい。これは本気だよ」
「いいんですの?本気で私の手伝いをするということは、メジロ家の使命を共に背負うということ。トレーナーさんに、その覚悟はありますの?」
とても心配そうな目でこちらを見てくる。逆に何でそんなことを聞いてくるんだろう。当たり前じゃないか。そんなこと。
「当たり前だ。僕はトレーナーだよ?君たちウマ娘のサポートをして、君たちを栄光に輝かせるのが僕の役目だ。って僕は思ってる」
「私と……その、一心同体のような関係になる覚悟も、ですか?」
「うん!…ん?」
一心同体…?いや夢を目指すんだから当たり前か。うん。メジロマックイーンさんのサポートをこれから全力でしていかなきゃ!
よーし頑張るぞー!
「そしたら私は何をすればいいんでしょうか?」
「そうだな。メジロマックイーンさんは」
「あの、メジロマックイーンさんと呼ぶのは長ったらしいので手その、マックイーンで大丈夫ですわよ?」
「あ、そう?じゃあマックイーンさんが倒れた理由なんだけど、栄養不足が原因の貧血なんだって。カロリーは取ってるって言ってたけど……多分それじゃあダメなんだと思う」
カロリーは計算上足りてても、あまりにも量が足りてないんだと思う。多分。
「お前まーだ食事制限とかやってんのか!もしかしてLOVEが止まらねー甘いもんも我慢してんのか?呆れちまう精神力ですわね〜」
「うわっ!!!ビックリした!!ゴールドシップかよ」
「いぇーい!マックちゃんが倒れたって聞いてな!駆け付けてきたぜ!」
「ん?マックイーンさんは甘いものが好きなのか?」
「え?え、えぇ。大好物ですわ!でも、その、私…実はその太りやすい体質でして…体重が増えるとレースに影響も出てきますし…」
なるほど。その為の食事制限か。でもそのせいでスタミナが付かないのなら本末転倒だ。それなら…よし!
「そしたらマックイーンさん!脂肪になりにくい献立メニューを参考にすれば良いんだよ。それなら甘いものも食べれるし、お腹いっぱい食べれると思うんだ!」
「脂肪になりにくい献立…ですか?」
「そう。まぁ基本的にダイエット食品になると思うんだけど、今より満足したご飯が食べれると思うよ」
「そうですか。参考にしてみますわ。その、今日はありがとうございました。明日から是非よろしくお願いします!」
「お?お?マックちゃん加入か?」
「はい。よろしくお願いしますね?ゴールドシップさん」
やったー!これでようやくメンバー2人目だ!あと3人か。先はまだまだ長いけど、順調なスタートを切れてると思う。
ゴールドシップとメジロマックイーンの夢。絶対叶えてみせよう。
「それじゃあマックイーンさん。お大事にね」
「ちゃんと飯食うんだぞ〜!全ての食べ物に感謝してな!あばよっ!」
「ありがとうございます…!」
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