落ちこぼれと言われ続けた僕は彼女達に何の夢を見るか。 作:べるぬい
あれからマックイーンは無事に健康になり、力強く速く、持久力のある走りが出来るようになっていた。そしてオープンのレースに出走し、実力と自信を付けていた。
ゴールドシップも色んなレースに出走しては優勝を取りまくっていた。舌をべろべろ出しながら走ってることに気付いた時はビックリした。何はともあれ、二人は好調なスタートをきっている。
そして今日。ついにメジロマックイーンが悲願とする天皇賞・春の日が来た。
「……」
「……あの、さ。レースが終わったら何か食べよう?今日ぐらいは好きな物、食べていいと思うんだけど」
「そうですね。せっかくの京都ですし!……はぁ。緊張ほぐすの下手くそですか?」
「そうかも…」
「んもう!しっかりしてくださいませ!」
不甲斐ないトレーナーでごめん。緊張が凄い。ゴールドシップの時はこんなに緊張しないんだけどなぁ。
「…ふぅ。夢は今私の目の前にあります。あとはそれを掴むだけ。応援、していてくださいね?」
「あぁ。ゴールドシップと応援してるよ。マックイーン」
「えぇ。必ず勝ってまいりますわ!」
◇◇◇
『レースもいよいよ終盤!各ウマ娘が第3コーナーへと差し掛かります!盾の栄誉を手にするのは1番人気、メジロマックイーンか!?はたまた他のウマ娘か!?』
調子は悪くありませんわ。この調子で行ければどんなに楽か。
しかし現実はそう優しくはありませんね!ライアン、やはり貴方が上がってきますか!
『おおっと!!ここでメジロライアンがペースを上げてきた!!前を行くマックイーンとの差が徐々に縮まっていきます!最終コーナー!残り600!後続も次々と差を詰めてきた!メジロマックイーン、ここまでか!!?』
ここまでなはずありませんわ…!勝利に向けてやってきた努力。私を支え応援してきてくれたトレーナーさんに応えなければいけません。
その努力の成果、ここで見せて差し上げますわ!!
『ここでメジロマックイーン、一気にスパートをかけたー!内からライアンも上がってきた!もの凄い末脚で前へ迫る!しかしどうした!?マックイーンとの差が縮まりません!!速い!速い!マックイーン!速すぎる!!』
「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『先頭はメジロマックイーンだ!!メジロマックイーン優勝!!やりましたメジロマックイーン!見事、春の『天皇賞』を制覇しましたーっ!』
◇◇◇
「マックイーン!!おめでとう!!やったな!!」
「うぉうぉぅぉう!このゴールドシップ!感動しちゃったぜー!」
「………」
「マックイーン?」
「マックちゃん?」
「やりましたわー!!!」
「どおわっ!!」
とんでもない勢いでこちらを向いてきたかと思えば、そのままの勢いで、メジロマックイーンが抱きついてきた。やば、倒れる。
「あ痛っ!!」
「天皇賞制覇を成し遂げましたわ!!これでメジロ家に私の盾を飾れますわ!!」
「近い近い近い」
我を忘れるほどの喜び。あのメジロマックイーンがこんなにも喜びを露わにするなんて。想像もつかなかったな。
いや、本来はこれがマックイーンの素なのかも。この勝利へ価値、そしてそれだけのプレッシャーで自分を押さえ込んできたのかもしれない。
「おいマックちゃん離れろ!トレーナーはアタシのもんだ」
そう言うとゴールドシップはマックイーンをむんずと軽々片手で持ち上げる。
「コホン…ごめんあそばせ。でも、それほどの結果なんですもの!」
「うん。本当におめでとう!」
「そして、この結果を出すことが出来たのはトレーナーさんのおかげです。私の為に尽くしていただいて、本当に感謝していますわ」
感謝。感謝するのはこっちの方だ。こんな落ちこぼれの新米に着いてきてくれて、僕には勿体ないぐらいの結果をプレゼントしてくれた。
でもそれを言うのは野暮な気がしたので―――
「僕達チーム【ディーバ】で掴んだ勝利だ」
「ふふっ!これからもたくさん勝利を重ねて差し上げますわ!」
「おっしゃー!ゴルシちゃんも頑張るぜー!見ててくれよな!トレーナー!」
「おう!」
ここまでは良かった。良かったのだが。
「え?チームメンバーが足りてない上での出場をしてたから今までは大目に見るが、次からは出場できない?」
「え?」
「は?」
「いやそれもそうだよ。なんで逆に僕達チームメンバー足りてないのに、天皇賞とか出れてんの?」
「ふっ。このゴルシ様にかかれば偽造なんて容易いもんよ…!」
マックイーンの夢を叶えることばかりに集中していたから、大切なことを忘れていた。まだチームメンバー足りてないじゃん!!あと3人は連れてこないと!
「よし。とりあえず今日からはメンバーを探すことを中心に動くぞ!」
「おー!」
相変わらず前途多難だなぁと思う日々だった。
読んでくださりありがとうございます!
感想や評価よろしくお願いします!