【ホロラバ】√:AlterNative最速クリア目指す 作:鈴北岳
オリキャラとモブの会話が多くなったので初投稿です(白目
楽だからね、仕方ないね……
またその3まで伸びそう……
ところで白い狐さんは清楚らしいですね(婉曲表現
そうして、その記録を思い出す。
手を尽くせど叶わぬ日々。
すり抜けることすらない。
靄すら掴めぬ虚ろな年月。
──手を汚すのは、時間の問題だった。
/
アウトローが少女に吊るされていた。
「ごめんなさい、は?」
「……」
場所はウェスタ郊外。
スラムを挟んだ外様。
アウトローの楽園。
そこで、アウトローの一人は地獄を見た。
「ご、ごめんなさい……」
「よし」
少女はアウトローを地面に叩きつけ気絶させた。
総勢十名。
その全員が今、少女の足元に転がっている。
「さて」
少女──レイラはキャスケット帽を被りなおす。
長い金髪は全てそこに収めた。
白い背中が目に眩しい。
視線を動かす。
その先には物陰からこちらを伺う複数の瞳。
スラム街に住む子供たちだ。
レイラは優しく微笑んだ。
「いらっしゃい。綺麗なお姉さんがご馳走してあげる」
チェーンを使い、アウトローの懐から財布を抜き出す。
子供たちは躊躇いながらも物陰から姿を現す。
レイラは財布から二枚お札を抜き取る。
一枚は自分の懐に、もう一枚は子供たちに。
誰だってお金は欲しい。
「いい? 誰かに訊かれたら綺麗なお姉さんが恵んでくれた、と言ってね」
目線を合わせる必要は無かった。
同程度、あるいは少し高い身長の少年。
少年は少し困ったように。
「あんた、お姉さんには見えないけどな。……けどまあ、ありがとう、助かる」
レイラの微笑みが固まった。
そして表情が抜け落ちる。
やべ、と少年は思った。
「少し待ってね」
言って。
レイラはアウトローからロングコートを剥ぎ取る。
臭いに顔をしかめながらもそれを羽織り。
前を閉じ、チェーンを浮かせシルエットを整え。
靴を脱いで、「飛行」を使った。
そして少年の頭一つ分上に浮いた。
「これでどうかしら?」
喜色満面に少年に問う。
さも腰を屈めたように目線を合わせて。
「……ああ、綺麗なお姉さんだな」
「そうでしょうそうでしょう」
満足したレイラはすぐさまコートを脱ぎ捨てた。
男の顔にかかる。
苦し気なうめき声が聞こえた。
「ところで君、物騒な武器屋を知らない?」
「知らない。俺らの縄張りには無いよ。……悪いな」
「いいえ、何も。それより、他の人にこの無防備な方達のことを知らせなさい」
「もうしてるよ」
「凄いね」
赤信号は皆で渡れば怖くない。
アウトロー達も殺されないだけマシだ。
既に来ていた複数名の浮浪者が男達にたかる。
金目のものを少しばかり拝借しながら、慣れた手つきで介抱していた。
その内の一人がレイラに会釈する。
レイラは軽く手を振ってその場を後にした。
道を曲がり声をかける。
「それで、貴方はご存じかしら?」
「ああ」
曲がり角に男がいた。
目元を仮面で覆った男。
額から僅かに伸びる角。
薄汚れたスーツを着ている。
「だが、その前に賛辞を。君の戦術眼は素晴らしい」
「見ていたの? 助けずに」
「ああ。珍しくない上に、クソほど下らんからな」
「危なければ助けてくれた?」
「有り金と気分次第だ。その服は高級品ではないだろうし、あの辺りの連中に殺すほどの度胸は無い」
つまり、誰も助けない。
命だけは危険が無い。
見ぬ振りをしても良心は痛まない。
この一帯において尊厳は無いのだ。
「ふうん。大昔と変わらないのね」
千年前と変わらない。
久しぶりだ。
レイラはとことこと鬼についていく。
「がっかりしたか」
「少しだけ。けれど、懐かしいわ」
「懐かしいときたか。俺は煩わしいよ」
鬼はレイラの横を歩いている。
口元が嫌悪に歪んでいた。
「古い鏡を見ているようで反吐が出る」
「優しい鬼なのね」
「まさか。でなくばここに入り浸らんよ」
「では言葉を変えます。共感性が高いのね。その上で潔癖。私はそういう人は好きよ」
「……君と話していると落ち着かないな」
「貴方、好意が苦手なのよ。きっと常に罪悪感があるのでしょう」
「何だ、そういう男が好みなのか」
「まさか。私がそうだからよ」
鬼は足を止める。
止めて、レイラを見た。
「ここへは何のために?」
「爆発させたい奴……えっと、リア充? がいるの。そのための爆弾が欲しい」
「笑えん冗談だ。……ネタは型を作れ。表情や雰囲気も含めてな」
「……難しいわね。個人的にはウケると思うのだけど」
「それは君のキャラ次第だ。俺は笑えん」
「……難しいわね」
「……いくつかパターンは作っておけ。武術の型のようにな」
「武術家なの?」
「鬼だからな。嗜みはある」
楽しいぞ、と鬼は言う。
それだけ言って、鬼は一軒の建物に入る。
目的地に着いたらしい。
「困りごとがあれば言え。できることはする」
「優しいのね」
「連れてきた義務だ。恩義を感じるなら揉め事は避けろ」
鬼はそう言ってレイラから離れた。
レイラは店を一通り見た。
剣、槍、弓、銃。
個人が所有可能な武装を取り扱っている。
ただし、その規格は合法ではないようだった。
具体的には違法な術式が刻まれている。
主に毒や腐食。
期待できそうだった。
「店主さん。ここでは爆弾は取り扱ってないのかしら」
「……何だい嬢ちゃん。その顔で物騒な」
「これでも成人よ。二十歳は過ぎてる」
「はいはい」
店主はそう言って新聞に目を落とす。
レイラから視線を切る。
お前の話は聞かない、と雄弁に示す。
「──吹き飛ばしたい奴がいるの」
酷く。
酷く、醒めた声が響く。
突然、暗闇に放り出されたような。
洞に響くような声だった。
「……何だい、嬢ちゃん。その顔で物騒な」
「私のお話、聴いてくれる?」
「ああ、聴くよ。聴いてやる。嬢ちゃんの声は耳に良い。特に夏に聴きたいな」
店主は疲れた顔で新聞を置く。
「で、本当は何が欲しいんだ? 品ぞろえは見たんだろう。ここには手榴弾と小型地雷だけだ」
机の上にメモを置き、文字を記す。
「『万里の鎖』。後は魔導書や、危険な技術書」
「……お前さん、傭兵かい? いや、質問は無しだ。聴きたくない」
追加で店主はメモに記す。
そしてレイラに渡した。
「ここら辺が嬢ちゃんに合うだろうよ。しかし、『万里の鎖』とは珍しいな」
レイラはメモを鎖で受け取った。
店主は得心して頷き。
「知らん」
「あら。少しもったいぶった癖に」
「商人だからな。まあ、それはうちも売り物として欲しいところだ。探してやる。時々来な」
「商売上手ね。ありがとう」
言って、レイラは店を出ようとする。
「待て、お嬢さん。店主、会計だ」
「あいよ。……ふん、また壊したか」
「壊された」
「はいはい。ま、今後ともご贔屓に」
「ああ。貴方の目は確かだからな。贔屓にさせてもらう」
どうも。
店主はそう言って鬼とレイラを見送る。
店を出たところで鬼はレイラに一つの包みを渡した。
「何かしら?」
「ワイヤーだ。万里の代わりになる」
包みを開けてモノを見る。
束ねられた極細ワイヤー。
武器にもなるように加工されている。
触れる指の皮がうっかり裂けそうだ。
「……これも義務?」
「いや、投資だ。鎖、糸使いは珍しい。俺も多少は使えるが、君のように魔法を使ってのものじゃない」
「貴方に返るものは無いよ?」
「あったから渡している。で、俺としてはもう少し投資したい。興味があるのなら、鎖術の基礎を教えよう」
「……自分で少し扱えるようになってからお願いする。教材に心当たりがあるの。それを試してから」
「なるほど。それは良い心掛けだ。また会えるとは限らんが」
「会えたら運命と思うことにするわ。その時は師匠と呼びましょう」
「良い冗談だ。君の出来が良ければその呼び名を許可しよう」
「厳しい人」
「鬼だからな」
鬼にしては優しいわ。
レイラは言って、鬼と別れた。
一度振り返り、雑踏に消える鬼の背を見る。
良い人だった。改めて思う。
キャスケット帽を深く被り直す。
認識阻害のイヤーカフはある。
けれど注意は必要だ。
そんな完璧な魔法はない。
口調にも気を払うべきだ。
メモは暗記した。
今日の内は思いだせる。
「集音」を使用する。
途端に生じる音の濁流。
頭痛に顔をしかめながら目的の書店へ。
調整しながら本を探す。
……役に立ちそうなものは見つからない。
本を探す内に「集音」に慣れてきた。
環境音は無視して会話を拾「鎖の悪魔ペロペロ」「ラミィたんのHなお胸はぁはぁ」「余のCサイコー!」
「集音」を切る。
足早に移動する。
振り返り、先程までいた場所近くの看板を確認。
オトナの書籍のお店だった。
「早くない……?」
あやめはわかる。
だが前者二人が意味不明だった。
腕をさすり足早に去る。
パブに行こう。
お酒を出しているところが良い。
「集音」をかけ直す。
窓と入り口を覗く。
いくつか巡り傭兵たちの多いパブへ入る。
カウンターに座りスマホを触る。
「いらっしゃい。お嬢さん。ミルクかな?」
「カルーア一つ」
「当店自慢のサンドイッチはどうだい?」
「ではそれも」
毎度有り。
店主は言って、まず水を渡した。
ほどなくしてサンドイッチ、カルーアミルクを置く。
口を湿らせサンドイッチをぱくつく。
ツナのものだ。ピクルスも。
程よい酸味が美味しい。
酔わぬよう気を付け食事をする。
スマホを触りながら。
時折視線を上げ、店内の置物を見る振りもして。
「エルフの森近郊に兵器を買い付けている奴がいる」
そんな折だ。
その言葉が聞こえてきたのは。
サンドイッチを平らげ、カルーアミルクを飲み干す。
会計を済ませる。
声の主を記憶する。
中肉中背の人族の男。
一人になったところで声をかける。
「エルフの森の話が聞きたいわ」
「お、耳が早いねぇ! お姉──」
くるりと素早く振り返る。
そしてピタリと止まった。
「なんだ、お姉さんじゃねえのか。子供はここに来るもんじゃないぜ」
「子供じゃないわ。お酒だって飲めるもの。それに子供ならもっと声が高いのではなくて?」
「見てくれの話だよ。畜生。声は良いのにもったいねえ。そら、ミルクやるから帰りな」
「お金が欲しいの」
「春でも売れよ」
「そこら辺のやつに?」
ずい、とレイラは身を乗り出す。
「私ね。腕に自信があるの」
「胸はねーのにか」
「もう。スケベな人」
胸元を腕で隠して見せる。
男はしっかりとレイラを見ていた。
「私、傭兵やってるんだけどね、ほら、最近平和じゃない」
「火種ならそこら中にあるぜ」
「火中の栗を拾う気は無いわ。貴方もそうでしょう?」
声を潜める。
「ね。誰からのお願いを聴いているの?」
森近郊の真偽はどうあれ。
未だ、種族間の緊張は抜けきっていない。
百年、千年を生きる者が少なくない社会。
二千年前の
この噂はその傷跡を刺激する。
さあっと。
男の顔から血の気が引く。
レイラの言葉で事の重大性に気が付いた。
そんな演技をした。
「お、俺は、そんな」
気は無かった。
そう言おうとする男の口を押し留める。
レイラは唇に指を立てて。
「冗談よ」
冗談、と。
「冗談よね」
男に繰り返した。
貴方の話は冗談。
そうとも取れるようにレイラは言う。
「詳しい話が聞きたいわ。貴方がその冗談を思いついた理由。とても刺激的だもの」
教えて。と。
レイラは静かな興奮を前面に押して男に詰め寄った。
柔らかく男の手を握る。
「……わかった。ああ、ただ二人きりだ。二人きりで話そう。──とびっきりのネタなんだ。話すなら君だけが良い」
男は会計を済ませ、パブの店主に個室を尋ねる。
店主はレイラを見てやや驚く。
しかしすぐに穏やかな笑顔で個室の鍵を渡した。
男はレイラの腰に腕を回す。
「あら」
「レディなんだろう?」
「子供じゃなくて?」
「君は聡明で素晴らしいレディだ。なら、エスコートの一つもないなんて失礼だろう?」
「まあ、ありがとう」
回される腕をそのままにレイラは男についていく。
パブの階段を上る。
「おいこら待てや。人のツレ連れてこうとしてんじゃねえ」
上ろうとしたところで。
ぐい、と。
レイラは腕を乱暴に引っ張られた。
聞き覚えのある女性の声にレイラはそのまま流れに任せた。
ぽすん、と女性に抱き留められる。
「おい姉ちゃん。そりゃねえだろ。っつか知り合いか?」
前半は女性に、後半はレイラに男は言う。
「ツレだっつってんだろ。てめえな、性懲りもなく男引っ掛けてんじゃねえ。てめえの尊敬するリーダーにチクるぞ」
その言葉にレイラは女性の正体を悟る。
似た顔、似た声、似た姿。
何よりも支給されたイヤーカフがその正体を雄弁に語る。
その女性は美しかった。
黒い髪、白い肌、深紅の瞳。
黒い衣装が女性の魅力を際立たせる。
男を見る。
その特徴を言語化し記憶する。
写真が撮れないのは痛いが、声は録音した。
問題無く思いだせるだろう。
潮時だ。
「知り合いよ、チームのメンバー。……残念だわ、貴方とは仲良くなれると思うのに」
「マジかよ。おい、姉ちゃん。年下っぽいのに嫉妬するなんて絵面がきついぜ」
「私が年上よ」
「マジか! そりゃあ傑作だ! 姉ちゃん、どうやら勝ってるのは見た目だけ──」
「──うるさい」
女性は煽る男の口に指を突き付けた。
指に紫炎が灯る。
妖術の炎だ。
「失せろ」
女性の脅迫に男は口を引きつらせた。
「おっかねえな。ちょっと話をするだけだよ。姉ちゃんから彼女を取る気なんて更々ねえ。……なあ、君からも妹分に何か言えないか」
「ごめんなさいね、シスコンなの。お互いに」
姉扱いされたレイラは蕩けた顔になっていた。
口調もだいぶ蕩けていた。
「こりゃ世知辛え。男女の友情は難しいねえ。ま、家族分は大事にするのが筋か。苦労するな」
「ふふふ。でもこれがとっっても嬉しいのよね。ありがとう」
「仲睦まじいことで。ま、相談にゃ乗るさ。また来てくれよ、聡明なレディ」
「ええ、またね」
レイラは女性に引きずられるようにその場を後にした。
女性はレイラの手を握り、パブから離れる。
五分ほど無言で歩き通した。
周囲に人は見えない。
「すいません、ご迷惑をおかけしました」
「──まっっったくだ……! っつーかお前はあれか、えっちか!? えっちだなお前えぇ……!」
「
女性──黒上フブキ。
頬を赤くした彼女は、思いっきりレイラの頬をぐにぐにした。
柔らかかった。
(レイラを
止めました。
何で不二子ちゃんみたいになるの(白目
今更ですが、感想を書いてくださった方、評価を下さった方、ありがとうございました。
案の定評価おry
こうした時にすぐ感謝が出てこない辺り
読み返して前書き後書き見苦しかったので、近々消します。
(恋愛処女と悩みました)