【ホロラバ】√:AlterNative最速クリア目指す   作:鈴北岳

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 オリキャラとモブの会話が多くなったので初投稿です(白目
 楽だからね、仕方ないね……
 またその3まで伸びそう……

 ところで白い狐さんは清楚らしいですね(婉曲表現





5.突撃うry(表) レイラの長い一日 その1

 

 

 そうして、その記録を思い出す。

 

 手を尽くせど叶わぬ日々。

 

 すり抜けることすらない。

 

 靄すら掴めぬ虚ろな年月。

 

 ──手を汚すのは、時間の問題だった。

 

 

 

 

 アウトローが少女に吊るされていた。

 

「ごめんなさい、は?」

 

「……」

 

 場所はウェスタ郊外。

 スラムを挟んだ外様。

 アウトローの楽園。

 

 そこで、アウトローの一人は地獄を見た。

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「よし」

 

 少女はアウトローを地面に叩きつけ気絶させた。

 総勢十名。

 その全員が今、少女の足元に転がっている。

 

「さて」

 

 少女──レイラはキャスケット帽を被りなおす。

 長い金髪は全てそこに収めた。

 白い背中が目に眩しい。

 

 視線を動かす。

 その先には物陰からこちらを伺う複数の瞳。

 スラム街に住む子供たちだ。

 

 レイラは優しく微笑んだ。

 

「いらっしゃい。綺麗なお姉さんがご馳走してあげる」

 

 チェーンを使い、アウトローの懐から財布を抜き出す。

 子供たちは躊躇いながらも物陰から姿を現す。

 

 レイラは財布から二枚お札を抜き取る。

 一枚は自分の懐に、もう一枚は子供たちに。

 誰だってお金は欲しい。

 

「いい? 誰かに訊かれたら綺麗なお姉さんが恵んでくれた、と言ってね」

 

 目線を合わせる必要は無かった。

 同程度、あるいは少し高い身長の少年。

 少年は少し困ったように。

 

「あんた、お姉さんには見えないけどな。……けどまあ、ありがとう、助かる」

 

 レイラの微笑みが固まった。

 そして表情が抜け落ちる。

 

 やべ、と少年は思った。

 

「少し待ってね」

 

 言って。

 レイラはアウトローからロングコートを剥ぎ取る。

 

 臭いに顔をしかめながらもそれを羽織り。

 前を閉じ、チェーンを浮かせシルエットを整え。

 靴を脱いで、「飛行」を使った。

 

 そして少年の頭一つ分上に浮いた。

 

「これでどうかしら?」

 

 喜色満面に少年に問う。

 さも腰を屈めたように目線を合わせて。

 

「……ああ、綺麗なお姉さんだな」

 

「そうでしょうそうでしょう」

 

 満足したレイラはすぐさまコートを脱ぎ捨てた。

 男の顔にかかる。

 苦し気なうめき声が聞こえた。

 

「ところで君、物騒な武器屋を知らない?」

 

「知らない。俺らの縄張りには無いよ。……悪いな」

 

「いいえ、何も。それより、他の人にこの無防備な方達のことを知らせなさい」

 

「もうしてるよ」

 

「凄いね」

 

 赤信号は皆で渡れば怖くない。

 アウトロー達も殺されないだけマシだ。

 

 既に来ていた複数名の浮浪者が男達にたかる。

 金目のものを少しばかり拝借しながら、慣れた手つきで介抱していた。

 

 その内の一人がレイラに会釈する。

 レイラは軽く手を振ってその場を後にした。

 

 道を曲がり声をかける。

 

「それで、貴方はご存じかしら?」

 

「ああ」

 

 曲がり角に男がいた。

 目元を仮面で覆った男。

 額から僅かに伸びる角。

 薄汚れたスーツを着ている。

 

「だが、その前に賛辞を。君の戦術眼は素晴らしい」

 

「見ていたの? 助けずに」

 

「ああ。珍しくない上に、クソほど下らんからな」

 

「危なければ助けてくれた?」

 

「有り金と気分次第だ。その服は高級品ではないだろうし、あの辺りの連中に殺すほどの度胸は無い」

 

 つまり、誰も助けない。

 命だけは危険が無い。

 見ぬ振りをしても良心は痛まない。

 この一帯において尊厳は無いのだ。

 

「ふうん。大昔と変わらないのね」

 

 千年前と変わらない。

 久しぶりだ。

 

 レイラはとことこと鬼についていく。

 

「がっかりしたか」

 

「少しだけ。けれど、懐かしいわ」

 

「懐かしいときたか。俺は煩わしいよ」

 

 鬼はレイラの横を歩いている。

 口元が嫌悪に歪んでいた。

 

「古い鏡を見ているようで反吐が出る」

 

「優しい鬼なのね」

 

「まさか。でなくばここに入り浸らんよ」

 

「では言葉を変えます。共感性が高いのね。その上で潔癖。私はそういう人は好きよ」

 

「……君と話していると落ち着かないな」

 

「貴方、好意が苦手なのよ。きっと常に罪悪感があるのでしょう」

 

「何だ、そういう男が好みなのか」

 

「まさか。私がそうだからよ」

 

 鬼は足を止める。

 止めて、レイラを見た。

 

「ここへは何のために?」

 

「爆発させたい奴……えっと、リア充? がいるの。そのための爆弾が欲しい」

 

「笑えん冗談だ。……ネタは型を作れ。表情や雰囲気も含めてな」

 

「……難しいわね。個人的にはウケると思うのだけど」

 

「それは君のキャラ次第だ。俺は笑えん」

 

「……難しいわね」

 

「……いくつかパターンは作っておけ。武術の型のようにな」

 

「武術家なの?」

 

「鬼だからな。嗜みはある」

 

 楽しいぞ、と鬼は言う。

 それだけ言って、鬼は一軒の建物に入る。

 目的地に着いたらしい。

 

「困りごとがあれば言え。できることはする」

 

「優しいのね」

 

「連れてきた義務だ。恩義を感じるなら揉め事は避けろ」

 

 鬼はそう言ってレイラから離れた。

 レイラは店を一通り見た。

 剣、槍、弓、銃。

 個人が所有可能な武装を取り扱っている。

 ただし、その規格は合法ではないようだった。

 具体的には違法な術式が刻まれている。

 主に毒や腐食。

 期待できそうだった。

 

「店主さん。ここでは爆弾は取り扱ってないのかしら」

 

「……何だい嬢ちゃん。その顔で物騒な」

 

「これでも成人よ。二十歳は過ぎてる」

 

「はいはい」

 

 店主はそう言って新聞に目を落とす。

 レイラから視線を切る。

 お前の話は聞かない、と雄弁に示す。

 

「──吹き飛ばしたい奴がいるの」

 

 酷く。

 酷く、醒めた声が響く。

 

 突然、暗闇に放り出されたような。

 洞に響くような声だった。

 

「……何だい、嬢ちゃん。その顔で物騒な」

 

「私のお話、聴いてくれる?」

 

「ああ、聴くよ。聴いてやる。嬢ちゃんの声は耳に良い。特に夏に聴きたいな」

 

 店主は疲れた顔で新聞を置く。

 

「で、本当は何が欲しいんだ? 品ぞろえは見たんだろう。ここには手榴弾と小型地雷だけだ」

 

 机の上にメモを置き、文字を記す。

 

「『万里の鎖』。後は魔導書や、危険な技術書」

 

「……お前さん、傭兵かい? いや、質問は無しだ。聴きたくない」

 

 追加で店主はメモに記す。

 そしてレイラに渡した。

 

「ここら辺が嬢ちゃんに合うだろうよ。しかし、『万里の鎖』とは珍しいな」

 

 レイラはメモを鎖で受け取った。

 店主は得心して頷き。

 

「知らん」

 

「あら。少しもったいぶった癖に」

 

「商人だからな。まあ、それはうちも売り物として欲しいところだ。探してやる。時々来な」

 

「商売上手ね。ありがとう」

 

 言って、レイラは店を出ようとする。

 

「待て、お嬢さん。店主、会計だ」

 

「あいよ。……ふん、また壊したか」

 

「壊された」

 

「はいはい。ま、今後ともご贔屓に」

 

「ああ。貴方の目は確かだからな。贔屓にさせてもらう」

 

 どうも。

 店主はそう言って鬼とレイラを見送る。

 

 店を出たところで鬼はレイラに一つの包みを渡した。

 

「何かしら?」

 

「ワイヤーだ。万里の代わりになる」

 

 包みを開けてモノを見る。

 束ねられた極細ワイヤー。

 武器にもなるように加工されている。

 触れる指の皮がうっかり裂けそうだ。

 

「……これも義務?」

 

「いや、投資だ。鎖、糸使いは珍しい。俺も多少は使えるが、君のように魔法を使ってのものじゃない」

 

「貴方に返るものは無いよ?」

 

「あったから渡している。で、俺としてはもう少し投資したい。興味があるのなら、鎖術の基礎を教えよう」

 

「……自分で少し扱えるようになってからお願いする。教材に心当たりがあるの。それを試してから」

 

「なるほど。それは良い心掛けだ。また会えるとは限らんが」

 

「会えたら運命と思うことにするわ。その時は師匠と呼びましょう」

 

「良い冗談だ。君の出来が良ければその呼び名を許可しよう」

 

「厳しい人」

 

「鬼だからな」

 

 鬼にしては優しいわ。

 レイラは言って、鬼と別れた。

 

 一度振り返り、雑踏に消える鬼の背を見る。

 良い人だった。改めて思う。

 

 キャスケット帽を深く被り直す。

 認識阻害のイヤーカフはある。

 けれど注意は必要だ。

 そんな完璧な魔法はない。

 口調にも気を払うべきだ。

 

 メモは暗記した。

 今日の内は思いだせる。

 

 「集音」を使用する。

 途端に生じる音の濁流。

 

 頭痛に顔をしかめながら目的の書店へ。

 調整しながら本を探す。

 ……役に立ちそうなものは見つからない。

 

 本を探す内に「集音」に慣れてきた。

 環境音は無視して会話を拾「鎖の悪魔ペロペロ」「ラミィたんのHなお胸はぁはぁ」「余のCサイコー!」

 

 「集音」を切る。

 足早に移動する。

 振り返り、先程までいた場所近くの看板を確認。

 オトナの書籍のお店だった。

 

「早くない……?」

 

 あやめはわかる。

 だが前者二人が意味不明だった。

 

 腕をさすり足早に去る。

 パブに行こう。

 お酒を出しているところが良い。

 

 「集音」をかけ直す。

 窓と入り口を覗く。

 いくつか巡り傭兵たちの多いパブへ入る。

 

 カウンターに座りスマホを触る。

 

「いらっしゃい。お嬢さん。ミルクかな?」

 

「カルーア一つ」

 

「当店自慢のサンドイッチはどうだい?」

 

「ではそれも」

 

 毎度有り。

 店主は言って、まず水を渡した。

 ほどなくしてサンドイッチ、カルーアミルクを置く。

 

 口を湿らせサンドイッチをぱくつく。

 ツナのものだ。ピクルスも。

 程よい酸味が美味しい。

 

 酔わぬよう気を付け食事をする。

 スマホを触りながら。

 時折視線を上げ、店内の置物を見る振りもして。

 

「エルフの森近郊に兵器を買い付けている奴がいる」

 

 そんな折だ。

 その言葉が聞こえてきたのは。

 サンドイッチを平らげ、カルーアミルクを飲み干す。

 会計を済ませる。

 

 声の主を記憶する。

 中肉中背の人族の男。

 

 一人になったところで声をかける。

 

「エルフの森の話が聞きたいわ」

 

「お、耳が早いねぇ! お姉──」

 

 くるりと素早く振り返る。

 そしてピタリと止まった。

 

「なんだ、お姉さんじゃねえのか。子供はここに来るもんじゃないぜ」

 

「子供じゃないわ。お酒だって飲めるもの。それに子供ならもっと声が高いのではなくて?」

 

「見てくれの話だよ。畜生。声は良いのにもったいねえ。そら、ミルクやるから帰りな」

 

「お金が欲しいの」

 

「春でも売れよ」

 

「そこら辺のやつに?」

 

 ずい、とレイラは身を乗り出す。

 

「私ね。腕に自信があるの」

 

「胸はねーのにか」

 

「もう。スケベな人」

 

 胸元を腕で隠して見せる。

 男はしっかりとレイラを見ていた。

 

「私、傭兵やってるんだけどね、ほら、最近平和じゃない」

 

「火種ならそこら中にあるぜ」

 

「火中の栗を拾う気は無いわ。貴方もそうでしょう?」

 

 声を潜める。

 

「ね。誰からのお願いを聴いているの?」

 

 森近郊の真偽はどうあれ。

 未だ、種族間の緊張は抜けきっていない。

 百年、千年を生きる者が少なくない社会。

 二千年前の三千世界大戦(世界の融合による混乱)の傷跡は残っている。

 

 この噂はその傷跡を刺激する。

 

 さあっと。

 男の顔から血の気が引く。

 レイラの言葉で事の重大性に気が付いた。

 そんな演技をした。

 

「お、俺は、そんな」

 

 気は無かった。

 そう言おうとする男の口を押し留める。

 レイラは唇に指を立てて。

 

「冗談よ」

 

 冗談、と。

 

「冗談よね」

 

 男に繰り返した。

 

 貴方の話は冗談。

 そうとも取れるようにレイラは言う。

 

「詳しい話が聞きたいわ。貴方がその冗談を思いついた理由。とても刺激的だもの」

 

 教えて。と。

 レイラは静かな興奮を前面に押して男に詰め寄った。

 柔らかく男の手を握る。

 

「……わかった。ああ、ただ二人きりだ。二人きりで話そう。──とびっきりのネタなんだ。話すなら君だけが良い」

 

 男は会計を済ませ、パブの店主に個室を尋ねる。

 店主はレイラを見てやや驚く。

 しかしすぐに穏やかな笑顔で個室の鍵を渡した。

 

 男はレイラの腰に腕を回す。

 

「あら」

 

「レディなんだろう?」

 

「子供じゃなくて?」

 

「君は聡明で素晴らしいレディだ。なら、エスコートの一つもないなんて失礼だろう?」

 

「まあ、ありがとう」

 

 回される腕をそのままにレイラは男についていく。

 パブの階段を上る。

 

 

「おいこら待てや。人のツレ連れてこうとしてんじゃねえ」

 

 

 上ろうとしたところで。

 ぐい、と。

 レイラは腕を乱暴に引っ張られた。

 

 聞き覚えのある女性の声にレイラはそのまま流れに任せた。

 ぽすん、と女性に抱き留められる。

 

「おい姉ちゃん。そりゃねえだろ。っつか知り合いか?」

 

 前半は女性に、後半はレイラに男は言う。

 

「ツレだっつってんだろ。てめえな、性懲りもなく男引っ掛けてんじゃねえ。てめえの尊敬するリーダーにチクるぞ」

 

 その言葉にレイラは女性の正体を悟る。

 似た顔、似た声、似た姿。

 何よりも支給されたイヤーカフがその正体を雄弁に語る。

 

 その女性は美しかった。

 黒い髪、白い肌、深紅の瞳。

 黒い衣装が女性の魅力を際立たせる。

 

 男を見る。

 その特徴を言語化し記憶する。

 写真が撮れないのは痛いが、声は録音した。

 問題無く思いだせるだろう。

 

 潮時だ。

 

「知り合いよ、チームのメンバー。……残念だわ、貴方とは仲良くなれると思うのに」

 

「マジかよ。おい、姉ちゃん。年下っぽいのに嫉妬するなんて絵面がきついぜ」

 

「私が年上よ」

 

「マジか! そりゃあ傑作だ! 姉ちゃん、どうやら勝ってるのは見た目だけ──」

 

「──うるさい」

 

 女性は煽る男の口に指を突き付けた。

 指に紫炎が灯る。

 妖術の炎だ。

 

「失せろ」

 

 女性の脅迫に男は口を引きつらせた。

 

「おっかねえな。ちょっと話をするだけだよ。姉ちゃんから彼女を取る気なんて更々ねえ。……なあ、君からも妹分に何か言えないか」

 

「ごめんなさいね、シスコンなの。お互いに」

 

 姉扱いされたレイラは蕩けた顔になっていた。

 口調もだいぶ蕩けていた。

 

「こりゃ世知辛え。男女の友情は難しいねえ。ま、家族分は大事にするのが筋か。苦労するな」

 

「ふふふ。でもこれがとっっても嬉しいのよね。ありがとう」

 

「仲睦まじいことで。ま、相談にゃ乗るさ。また来てくれよ、聡明なレディ」

 

「ええ、またね」

 

 レイラは女性に引きずられるようにその場を後にした。

 女性はレイラの手を握り、パブから離れる。

 

 五分ほど無言で歩き通した。

 周囲に人は見えない。

 

「すいません、ご迷惑をおかけしました」

 

 

「──まっっったくだ……! っつーかお前はあれか、えっちか!? えっちだなお前えぇ……!」

 

 

(いひゃ)い、(いひゃ)いです。()()()()

 

 女性──黒上フブキ。

 白上フブキ(恋愛初心者)の別人格。

 頬を赤くした彼女は、思いっきりレイラの頬をぐにぐにした。

 

 柔らかかった。

 

 







 (レイラをあざとく(幼女らしく)書こうとしましたが)
 止めました。
 何で不二子ちゃんみたいになるの(白目


 今更ですが、感想を書いてくださった方、評価を下さった方、ありがとうございました。
 案の定評価おry
 こうした時にすぐ感謝が出てこない辺りダメ(自意識過剰etc)だなと思いました。
 読み返して前書き後書き見苦しかったので、近々消します。


(恋愛処女と悩みました)
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