【ホロラバ】√:AlterNative最速クリア目指す 作:鈴北岳
AlternativeのフルPVが来ました。
るしあがとても可愛かったです。
夜の植物園と青い蝶の組み合わせ好き。
でもフブキちゃんが刀を使っていたので呻いています。
……多分クロ様は出てこない(出てきてほしいと板挟み)ので、スラアクで通します。
おのれモンハン。
/
その5まで行きそうでとても嫌です。
失踪します。
それは唐突に表れた。
否、跳ね起きた。
先ほどまで倒れ伏していた襲撃者が一斉に立ち上がる。
「うお「ぅ「おお「ううう「ぉ「「ぉお「ううぅぅううぅぅ「「ぉぉぉおおぉぉ「ぉお「「「「おおう!!!1!!11ぅうぅお!!1!!!おぉぅう」」」」おおお!」」」!!!!}」」
頭を貫く不協和音。
正気を削る狂気の声。
外側へ意識を向けていたために反応が遅れた。
「ぅぐっ──!?」
「ポーンズ!? チッ、クソが──!」
レイラが吹き飛ばされる。
すぐさま剣斧を振るい、救助に向かおうとするが。
「────」
背後。
何かが落ちてきた。
極大の悪寒が背筋を貫く。
自然な違和感。
不自然な静謐。
しゃにむに屈み、横へと体を放り出す。
轟音。
直後にいた場所が破砕された。
顔を上げて下手人を収める。
いたのは。
「
顔を潰された何者か。
筋骨隆々とした無貌の大男。
所属を示す刺青が顔に刻まれている。
──かつて。
複数の世界が融合してすぐのこと。
真っ先に悪魔が世界征服に乗り出した。
悪魔は長命のために個体が少ない。
そんな彼らが戦争のために取った手段は加工だ。
敗北者を種々様々な手段で自らの兵力とした。
脅迫。
隷属。
洗脳。
──養殖。
悪魔は長命だった。
十世紀と生きる生命体だ。
一世紀未満の寿命しかない生命体は劣等だ。
対等ではない。
「第三大隊
その刺青には見覚えがある。
極秘情報の一つ。
世界大戦の負の遺産。
──洗脳兵
「当たりか。嫌な時に限って──よォ!!」
レイラを追いかけようとする襲撃者へ跳躍する。
洗脳兵は後回しだ。
まずはレイラを助けなければ。
正気を失う時よりも鋭い攻撃を避け、背を向けている者を剣斧で吹き飛ばす。
レイラを追う者を優先的に倒す。
そしてレイラを追いかけ、守らなければならないが。
「ネ゛っ!!!!」
目前に音もなく無貌が降り立つ。
振るう剣斧は振るわれた大剣に逸らされた。
轟く剣戟。
洗脳兵とは思えぬ体捌きで大剣が振るわれる。
一挙手一投足。
その全てが理論的。
駆け引きある剣術。
それが、剛腕を以て振るわれる。
「チィ」
話が違う。
洗脳兵ができるのは単調な動きのみのはずだ。
記憶を攪拌された洗脳兵の知能は獣未満。
そう、過去の記録には残っていたはずなのに。
「くそったれが」
「
妖力を溜め始める度、洗脳兵の攻撃が苛烈になる。
照準を定めるための時間も要る。
レイラの救出もある以上、負傷するわけにはいかない。
ミイラ取りがミイラになってはならない。
驟雨の如き剣戟をいなし。
レイラを追いかける者を押し留める。
クロの移動が洗脳兵に阻まれる以上、できることはレイラの敵を減らすのみ。
「ネっ、ねッ゛、ネ゛ええエ゛ぇぇえぇ……!!」
「壊れたラジオかよ。図体の割に頭はゴミクズじゃねえか、ええ?」
焦りはしない。
白熱する思考はそのままに。
心は冷徹を保つ。
レイラを見捨てる算段も視野にいれる。
露悪的に視野は広く。
感じるままに複数の道を吟味する。
「は、単調単調。そんなだから簡単にいなされる。オツムが足りてねえよ」
大柄。剣術の経験。
洗脳前の経歴を推測する。
洗脳されたとはいえ。
脳が破壊されたわけではない。
言動にはないが、動きには理性がある。
であれば、無事な記憶があるはず。
何だって良い。
その無事な記憶を引き出せれば解けることもある。
そうした記録が残っている。
この技量ならばプライドは高いはず。
バカにされて怒らない実力者はいない。
それを表に出さなくとも。
何よりも、武術家は悪意に敏感だ。
できることは何でもやる。
わざと大きな音を立て、周囲の廃墟を壊すのもその一つ。
いかなスラム近郊とはいえ、こうも続けば通報の一つもある。はずだ。
フブキに念話を飛ばしたが、ここは遠い。
時間がかかる。
クロ本人はこの程度の相手であれば問題はないが後輩が心配だ。
「一回死んだほうが良いんじゃねえか、テメエ! そうすりゃその残念なオツムも少しはマシになるだろうさ!」
隙を見せた輩から足の骨を砕く。
望ましくない手段だが殺すよりはマシだ。
下手な連携もあってただでさえ手加減がしにくい。
(……こいつらただの洗脳兵じゃねえな)
疑念が確信に変わる。
傀儡兵にありがちな動作の不自然な遅延が無い。
彼らは操られているのではない。
(発展形、独自の研究の成果、ここまでの数を揃えるだけの背景。三千世界大戦の残党、それも高位の悪魔。間違っても第三大隊の威光にあやかった木っ端じゃない)
であれば。
第三大隊隊長──暴虐の悪魔、メルビレイ。
紫電、旱魔、悪食。
その多様な悪行から暴虐の悪魔と呼ばれた。
(あの、メルビレイが近くにいる)
きっと今も見ているだろう。
嫌な気配がある。
とっとと倒してしまいたいが──。
(クオリティ高いぞ、こいつら)
強い。
フブキよりも戦闘に慣れているクロが手古摺る。
生半可な悪意と知恵の結実ではない。
ここで当てて来たのは試験的な運用か。
こうして数が揃っているからには、技術は確立したとみるべきか。
「え゛え゛ぇえぇ゛ぇごぉおお゛ぉ゛ぉおぉおおお!!!!」
喚き声と共に大剣が降る。
その重量と膂力を活かした一撃。
対処は易いがこの一撃は油断ならない。
だがまだ気楽だ。
駆け引きできるとしても、周囲に気を配る程度の余裕はある。
「うっっせェぞ! ノータリン! 躾のなってねえペットか!!」
その大声が気に障る。
舌足らずで鈍間な声。
不協和音。
正気の欠けた狂騒が頭にくる。
けれども太刀筋は冷徹に。
粗雑な言動とは裏腹に洗練された技巧が捌く。
周囲の足止めに徹しながらも、クロは耽々と必殺を狙う。
不意に洗脳兵が口を閉ざす。
しかしなお振るわれる大剣に衰えは無い。
足を砕く隙もない。
すわ、僅かでも正気が戻ったか。
クロは僅かに期待して。
「ねこ」
「狐じゃい!」
明瞭に発せられた一単語に激高した。
なぜその単語が出てきた。今。
/
「あっはっはっ! はっはっはっ!! ハ──はーっはっはっはっはー!!!」
突如大笑した悪魔に鬼は困惑した。
鬼に悪魔の見ているものはわからない。
「よほど良い戦果でもあったか?」
「ふふ。そうさな、ちょっとしたイタズラが成功したよ」
悪魔はその戦果に思考を回す。
条件付けによる洗脳の顕在化は順調。
猿叫、雷声を兼ねた「狂気の呼声」も効果有り。
植え付けた戦闘記録の実行も中々。
まだまだ改善の余地はあるが。
受け答えの実験も成功。
少々設定が甘かったようだが、それはこれから詰めていけば良い。
しかしやはり受け答えは難しい。
AIが無事なロボットが欲しいものだ。
その中身を検分すれば、技術の飛躍が望める。
高性能ロボットの誘拐の算段でも立てようか。
「しかし」
鬼は悪魔の手駒を見る。
「話には洗脳が解けることもあるそうだが、実際あるのか?」
「
悪魔は断言した。
「忘却は記憶を破壊するものではない。忘却とは想起の阻害だ。知覚した情報から連想させないようにするのが忘却だ」
魔法も魔眼もそうした仕組みだ。
悪魔は語る。
「忘却は記憶の繋がりに無意味を挟み込む。たくさんな。そうすることで知覚情報がその無意味に繋がり、事実上、真っ新な状態となる」
「それで思い出せないわけか」
「そう。だが稀に、その無意味をすり抜けることがある。閃きのようなものだ。記憶そのものが無いわけではないため、偶然思い出すこともある」
「だが、やりようはある」
言う鬼の脳裏にあるのは悪魔が使うもう一つの魔法。
記録。幻影。
この悪魔はムダを嫌う。
己の義眼に刻んだ魔法が使われないことなどない。
「そうだ」
嘲笑。
「思い出した記憶を繋げば良い。洗脳時の命令とな。劣等共の記憶の構造は奇しくも悪魔に近い。洗脳時の命令を行うに自然な記録を刷り込めば自ずと行う。無意識に」
先の条件付けと変わらない。
思い出した真実の記憶を鍵に、洗脳時の指令へと繋げる。
正気に戻る記憶の選定に骨が折れるが。
心とやらはまだまだ難しい。
認知心理学もまだまだ途上。
「そう上手くいくものなのか」
「いくとも。オレがその手で何人殺させたと思う?」
「さて。それには興味が無い。だがそこまで言うのならば本当なのだろうな」
悪魔は笑う。
当時のことを思い出しているのだろう。
事実、その瞬間は最高だった。
感動を踏みにじる絶望。
愛とやらの力で正気に戻るも、直後に愛する人を手掛けた戦士の顔など、もう。
擦り切れつつある今でも鮮明に思い出せる。
ああ──あれは最高だった。
破滅には絶望こそが相応しい。
「残念だ。オレの見立てでは君も同類だというのに」
「相違無いとも。だが、私は誰でも良いわけではない」
「ご執心の偶像とやらか」
悪魔は喉の奥で笑う。
「確かに、君はそうだな。オレとはその一点で異なる」
鬼は。
鬼は、悪魔と同じ世界を見ている。
自ら以外を劣等と見る歪んだ認識。
だが、唯一の例外が鬼にはある。
かつて折れた■に報いるために。
「だからこそ迎え入れたのだろう、貴方は」
「少し異なる視点が欲しかったためな。それで、どうする? 点数稼ぎなら今がベストだが」
急げば間に合うぞ。
悪魔は示す。
「有象無象など構うものか」
鬼は言い捨てて。
「死んだらそれまでだ」
この身と同じように。
生きているなら使うまで。
おまけのような命だ。
真面目にやるだけバカらしい。
/
そうして。
その記憶を思い出す。
吹き飛ばされて。
数件もの廃墟を突っ切った。
レイラは崩れ落ちた瓦礫の下敷きだ。
朦朧とした視界の中。
久しく思い出せなかった記憶が蘇る。
悪夢が。
悪魔が去って。
その後。
レイラは乾いた死体の下にいた。
流血は無い。
既に干からびていた。
話に聞いたミイラのよう。
ただ乾いた温もりだけが。
だけを。
レイラは感じていた。
瓦礫を触る。
乾いている。
埃っぽい。
母みたいだ。
手がささくれ立つ。
ねえ
「ねえ」
お母さん
「お母さん」
起きて
「起きて」
──苦しいよ
苦しいの。
独りぼっちはイヤ。
──だから身を寄せた。
「あやめちゃん」
どこ?
どこにいるの──?
「素晴らしい──」
どこにいるの。
私の仇。
敵。
死ねない理由。
「ねえ」
仇は。
「どこにいるの?」
死にたくないでしょう?
惨めに、惨たらしく。
苦しみながら死ぬなんて。
──私はイヤ。
「ネ゛っ」
瓦礫がどかされる。
青空。無貌。刺青。
──逆さに映る人の顔。
……幼い頃。
狩りの罠に捕まって逆さに吊られたことがある。
自分の村のものだ。
その衝撃で気絶して。
苦しさから目覚めて。
飛んで木の枝に乗って事なきを得た。
後に死ぬ危険があると知った。
あの苦しみは末期のものだったのだろう。
朧気にそんな感想を抱いた。
──だから逆さに吊るした。
「ねえ」
怪しい人。
危ない人。
拷問した。
「仇は、どこ?」
腱を切った。
骨を砕いた。
頭を蹴った。
何度も落とした。
うっかり殺してしまったら見せしめにした。
吐いたら始末して吊るして見せしめにした。
付いたあだ名が「ハングドマン」。
「メルビレイ」
罪悪感と嫌悪感から吐いた。
だから普段は思い出さない。
考えない。忘れた。
思い出すのは日記を見てから。
記憶ではなく記録として。
目的の完遂のために思い出す。
その日々は悪夢のようで。
「──暴虐の悪魔は、どこ?」
そうして、その記憶が甦る。
悪夢が記憶となる。
生きてしまっていることを実感した。
おまけのような命。
真面目に生きるだけバカらしい。
いつものように忘れてしまえ。
・「
こじょうきゅうせん。
九尾の狐と狐火をモデルにした妖術。火属性。
それぞれ攻撃力の半分の物理と魔法の混合ダメージを与える。
攻撃対象最大9体。フブキのみ対象は1体。ただし9連撃。
敵対時のクロの代名詞。攻性妖術はこれしか使わない。
マルチロック、時間差射撃、一点集中、任意操作可能、混合ダメージと非常に厄介/便利な技。
オーディションでは剣戟の最中にも挟んでくる。モーションの長い武器の天敵。