【ホロラバ】√:AlterNative最速クリア目指す   作:鈴北岳

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AlternativeのフルPVが来ました。
るしあがとても可愛かったです。
夜の植物園と青い蝶の組み合わせ好き。

でもフブキちゃんが刀を使っていたので呻いています。
……多分クロ様は出てこない(出てきてほしいと板挟み)ので、スラアクで通します。
おのれモンハン。



その5まで行きそうでとても嫌です。
失踪します。





5.ry(表) 陰、日向を裂く その3

 

 

 それは唐突に表れた。

 否、跳ね起きた。

 

 先ほどまで倒れ伏していた襲撃者が一斉に立ち上がる。

 

「うお「ぅ「おお「ううう「ぉ「「ぉお「ううぅぅううぅぅ「「ぉぉぉおおぉぉ「ぉお「「「「おおう!!!1!!11ぅうぅお!!1!!!おぉぅう」」」」おおお!」」」!!!!}」」

 

 頭を貫く不協和音。

 正気を削る狂気の声。

 

 外側へ意識を向けていたために反応が遅れた。

 

「ぅぐっ──!?」

 

「ポーンズ!? チッ、クソが──!」

 

 レイラが吹き飛ばされる。

 すぐさま剣斧を振るい、救助に向かおうとするが。

 

「────」

 

 背後。

 何かが落ちてきた。

 

 極大の悪寒が背筋を貫く。

 自然な違和感。

 不自然な静謐。

 

 しゃにむに屈み、横へと体を放り出す。

 轟音。

 直後にいた場所が破砕された。

 

 顔を上げて下手人を収める。

 

 いたのは。

 

悪魔の先兵(・・・・・)

 

 顔を潰された何者か。

 筋骨隆々とした無貌の大男。

 所属を示す刺青が顔に刻まれている。

 

 ──かつて。

 複数の世界が融合してすぐのこと。

 真っ先に悪魔が世界征服に乗り出した。

 悪魔は長命のために個体が少ない。

 そんな彼らが戦争のために取った手段は加工だ。

 

 敗北者を種々様々な手段で自らの兵力とした。

 脅迫。

 隷属。

 洗脳。

 ──養殖。

 

 悪魔は長命だった。

 十世紀と生きる生命体だ。

 一世紀未満の寿命しかない生命体は劣等だ。

 対等ではない。

 

「第三大隊備品(・・)

 

 その刺青には見覚えがある。

 極秘情報の一つ。

 世界大戦の負の遺産。

 

 ──洗脳兵

 

「当たりか。嫌な時に限って──よォ!!」

 

 レイラを追いかけようとする襲撃者へ跳躍する。

 洗脳兵は後回しだ。

 まずはレイラを助けなければ。

 

 正気を失う時よりも鋭い攻撃を避け、背を向けている者を剣斧で吹き飛ばす。

 レイラを追う者を優先的に倒す。

 そしてレイラを追いかけ、守らなければならないが。

 

「ネ゛っ!!!!」

 

 目前に音もなく無貌が降り立つ。

 振るう剣斧は振るわれた大剣に逸らされた。

 轟く剣戟。

 

 洗脳兵とは思えぬ体捌きで大剣が振るわれる。

 一挙手一投足。

 その全てが理論的。

 駆け引きある剣術。

 それが、剛腕を以て振るわれる。

 

「チィ」

 

 話が違う。

 洗脳兵ができるのは単調な動きのみのはずだ。

 記憶を攪拌された洗脳兵の知能は獣未満。

 そう、過去の記録には残っていたはずなのに。

 

「くそったれが」

 

 「狐条玖剡(ナインブレイズ)」は使えない。

 妖力を溜め始める度、洗脳兵の攻撃が苛烈になる。

 照準を定めるための時間も要る。

 レイラの救出もある以上、負傷するわけにはいかない。

 ミイラ取りがミイラになってはならない。

 

 驟雨の如き剣戟をいなし。

 レイラを追いかける者を押し留める。

 

 クロの移動が洗脳兵に阻まれる以上、できることはレイラの敵を減らすのみ。

 

「ネっ、ねッ゛、ネ゛ええエ゛ぇぇえぇ……!!」

 

「壊れたラジオかよ。図体の割に頭はゴミクズじゃねえか、ええ?」

 

 焦りはしない。

 白熱する思考はそのままに。

 心は冷徹を保つ。

 レイラを見捨てる算段も視野にいれる。

 露悪的に視野は広く。

 感じるままに複数の道を吟味する。

 

「は、単調単調。そんなだから簡単にいなされる。オツムが足りてねえよ」

 

 大柄。剣術の経験。

 洗脳前の経歴を推測する。

 

 洗脳されたとはいえ。

 脳が破壊されたわけではない。

 言動にはないが、動きには理性がある。

 であれば、無事な記憶があるはず。

 何だって良い。

 その無事な記憶を引き出せれば解けることもある。

 そうした記録が残っている。

 

 この技量ならばプライドは高いはず。

 バカにされて怒らない実力者はいない。

 それを表に出さなくとも。

 何よりも、武術家は悪意に敏感だ。

 

 できることは何でもやる。

 わざと大きな音を立て、周囲の廃墟を壊すのもその一つ。

 いかなスラム近郊とはいえ、こうも続けば通報の一つもある。はずだ。

 フブキに念話を飛ばしたが、ここは遠い。

 時間がかかる。

 クロ本人はこの程度の相手であれば問題はないが後輩が心配だ。

 

「一回死んだほうが良いんじゃねえか、テメエ! そうすりゃその残念なオツムも少しはマシになるだろうさ!」

 

 隙を見せた輩から足の骨を砕く。

 望ましくない手段だが殺すよりはマシだ。

 下手な連携もあってただでさえ手加減がしにくい。

 

(……こいつらただの洗脳兵じゃねえな)

 

 疑念が確信に変わる。

 傀儡兵にありがちな動作の不自然な遅延が無い。

 彼らは操られているのではない。

 

(発展形、独自の研究の成果、ここまでの数を揃えるだけの背景。三千世界大戦の残党、それも高位の悪魔。間違っても第三大隊の威光にあやかった木っ端じゃない)

 

 であれば。

 

 第三大隊隊長──暴虐の悪魔、メルビレイ。

 紫電、旱魔、悪食。

 その多様な悪行から暴虐の悪魔と呼ばれた。

 

(あの、メルビレイが近くにいる)

 

 きっと今も見ているだろう。

 嫌な気配がある。

 

 とっとと倒してしまいたいが──。

 

(クオリティ高いぞ、こいつら)

 

 強い。

 フブキよりも戦闘に慣れているクロが手古摺る。

 生半可な悪意と知恵の結実ではない。

 

 ここで当てて来たのは試験的な運用か。

 こうして数が揃っているからには、技術は確立したとみるべきか。

 

「え゛え゛ぇえぇ゛ぇごぉおお゛ぉ゛ぉおぉおおお!!!!」

 

 喚き声と共に大剣が降る。

 その重量と膂力を活かした一撃。

 

 対処は易いがこの一撃は油断ならない。

 だがまだ気楽だ。

 駆け引きできるとしても、周囲に気を配る程度の余裕はある。

 

「うっっせェぞ! ノータリン! 躾のなってねえペットか!!」

 

 その大声が気に障る。

 舌足らずで鈍間な声。

 不協和音。

 正気の欠けた狂騒が頭にくる。

 

 けれども太刀筋は冷徹に。

 粗雑な言動とは裏腹に洗練された技巧が捌く。

 周囲の足止めに徹しながらも、クロは耽々と必殺を狙う。

 

 不意に洗脳兵が口を閉ざす。

 しかしなお振るわれる大剣に衰えは無い。

 足を砕く隙もない。

 

 すわ、僅かでも正気が戻ったか。

 クロは僅かに期待して。

 

「ねこ」

 

「狐じゃい!」

 

 明瞭に発せられた一単語に激高した。

 なぜその単語が出てきた。今。

 

 

 

 

「あっはっはっ! はっはっはっ!! ハ──はーっはっはっはっはー!!!」

 

 突如大笑した悪魔に鬼は困惑した。

 鬼に悪魔の見ているものはわからない。

 

「よほど良い戦果でもあったか?」

 

「ふふ。そうさな、ちょっとしたイタズラが成功したよ」

 

 悪魔はその戦果に思考を回す。

 条件付けによる洗脳の顕在化は順調。

 猿叫、雷声を兼ねた「狂気の呼声」も効果有り。

 植え付けた戦闘記録の実行も中々。

 まだまだ改善の余地はあるが。

 

 受け答えの実験も成功。

 少々設定が甘かったようだが、それはこれから詰めていけば良い。

 しかしやはり受け答えは難しい。

 AIが無事なロボットが欲しいものだ。

 その中身を検分すれば、技術の飛躍が望める。

 高性能ロボットの誘拐の算段でも立てようか。

 

「しかし」

 

 鬼は悪魔の手駒を見る。

 

「話には洗脳が解けることもあるそうだが、実際あるのか?」

 

ある(・・)

 

 悪魔は断言した。

 

「忘却は記憶を破壊するものではない。忘却とは想起の阻害だ。知覚した情報から連想させないようにするのが忘却だ」

 

 魔法も魔眼もそうした仕組みだ。

 悪魔は語る。

 

「忘却は記憶の繋がりに無意味を挟み込む。たくさんな。そうすることで知覚情報がその無意味に繋がり、事実上、真っ新な状態となる」

 

「それで思い出せないわけか」

 

「そう。だが稀に、その無意味をすり抜けることがある。閃きのようなものだ。記憶そのものが無いわけではないため、偶然思い出すこともある」

 

「だが、やりようはある」

 

 言う鬼の脳裏にあるのは悪魔が使うもう一つの魔法。

 記録。幻影。

 この悪魔はムダを嫌う。

 己の義眼に刻んだ魔法が使われないことなどない。

 

「そうだ」

 

 嘲笑。

 

「思い出した記憶を繋げば良い。洗脳時の命令とな。劣等共の記憶の構造は奇しくも悪魔に近い。洗脳時の命令を行うに自然な記録を刷り込めば自ずと行う。無意識に」

 

 先の条件付けと変わらない。

 思い出した真実の記憶を鍵に、洗脳時の指令へと繋げる。

 正気に戻る記憶の選定に骨が折れるが。

 心とやらはまだまだ難しい。

 認知心理学もまだまだ途上。

 

「そう上手くいくものなのか」

 

「いくとも。オレがその手で何人殺させたと思う?」

 

「さて。それには興味が無い。だがそこまで言うのならば本当なのだろうな」

 

 悪魔は笑う。

 当時のことを思い出しているのだろう。

 事実、その瞬間は最高だった。

 感動を踏みにじる絶望。

 愛とやらの力で正気に戻るも、直後に愛する人を手掛けた戦士の顔など、もう。

 擦り切れつつある今でも鮮明に思い出せる。

 

 ああ──あれは最高だった。

 破滅には絶望こそが相応しい。

 

「残念だ。オレの見立てでは君も同類だというのに」

 

「相違無いとも。だが、私は誰でも良いわけではない」

 

「ご執心の偶像とやらか」

 

 悪魔は喉の奥で笑う。

 

「確かに、君はそうだな。オレとはその一点で異なる」

 

 鬼は。

 鬼は、悪魔と同じ世界を見ている。

 自ら以外を劣等と見る歪んだ認識。

 だが、唯一の例外が鬼にはある。

 かつて折れた■に報いるために。

 

「だからこそ迎え入れたのだろう、貴方は」

 

「少し異なる視点が欲しかったためな。それで、どうする? 点数稼ぎなら今がベストだが」

 

 急げば間に合うぞ。

 悪魔は示す。

 

「有象無象など構うものか」

 

 鬼は言い捨てて。

 

「死んだらそれまでだ」

 

 この身と同じように。

 生きているなら使うまで。

 

 おまけのような命だ。

 真面目にやるだけバカらしい。

 

 

 

 

 そうして。

 その記憶を思い出す。

 

 吹き飛ばされて。

 数件もの廃墟を突っ切った。

 

 レイラは崩れ落ちた瓦礫の下敷きだ。

 朦朧とした視界の中。

 久しく思い出せなかった記憶が蘇る。

 

 悪夢が。

 悪魔が去って。

 その後。

 

 レイラは乾いた死体の下にいた。

 流血は無い。

 既に干からびていた。

 話に聞いたミイラのよう。

 ただ乾いた温もりだけが。

 だけを。

 レイラは感じていた。

 

 瓦礫を触る。

 乾いている。

 埃っぽい。

 母みたいだ。

 手がささくれ立つ。

 

 ねえ

「ねえ」

 

 お母さん

「お母さん」

 

 起きて

「起きて」

 

 ──苦しいよ

 

 苦しいの。

 独りぼっちはイヤ。

 ──だから身を寄せた。

 

「あやめちゃん」

 

 どこ?

 どこにいるの──?

 

「素晴らしい──」

 

 どこにいるの。

 私の仇。

 敵。

 死ねない理由。

 

「ねえ」

 

 仇は。

 

「どこにいるの?」

 

 死にたくないでしょう?

 惨めに、惨たらしく。

 苦しみながら死ぬなんて。

 

 ──私はイヤ。

 

「ネ゛っ」

 

 瓦礫がどかされる。

 青空。無貌。刺青。

 ──逆さに映る人の顔。

 

 ……幼い頃。

 狩りの罠に捕まって逆さに吊られたことがある。

 自分の村のものだ。

 その衝撃で気絶して。

 苦しさから目覚めて。

 飛んで木の枝に乗って事なきを得た。

 後に死ぬ危険があると知った。

 あの苦しみは末期のものだったのだろう。

 朧気にそんな感想を抱いた。

 

 ──だから逆さに吊るした。

 

「ねえ」

 

 怪しい人。

 危ない人。

 拷問した。

 

「仇は、どこ?」

 

 腱を切った。

 骨を砕いた。

 頭を蹴った。

 何度も落とした。

 うっかり殺してしまったら見せしめにした。

 吐いたら始末して吊るして見せしめにした。

 

 付いたあだ名が「ハングドマン」。

 

「メルビレイ」

 

 罪悪感と嫌悪感から吐いた。

 だから普段は思い出さない。

 考えない。忘れた。

 思い出すのは日記を見てから。

 記憶ではなく記録として。

 目的の完遂のために思い出す。

 

 その日々は悪夢のようで。

 

「──暴虐の悪魔は、どこ?」

 

 そうして、その記憶が甦る。

 悪夢が記憶となる。

 

 生きてしまっていることを実感した。

 おまけのような命。

 真面目に生きるだけバカらしい。

 

 いつものように忘れてしまえ。

 

 









・「狐条玖剡(ナインブレイズ)
 こじょうきゅうせん。
 九尾の狐と狐火をモデルにした妖術。火属性。
 それぞれ攻撃力の半分の物理と魔法の混合ダメージを与える。
 攻撃対象最大9体。フブキのみ対象は1体。ただし9連撃。
 敵対時のクロの代名詞。攻性妖術はこれしか使わない。
 マルチロック、時間差射撃、一点集中、任意操作可能、混合ダメージと非常に厄介/便利な技。
 オーディションでは剣戟の最中にも挟んでくる。モーションの長い武器の天敵。



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