「どこに行ったんだ…!」
探し始めて一時間、時刻は既に七時。
これほど長く出掛ける場所があるとも思えない。
何かに巻き込まれたか、もしケガでもしたら…
「……」
不安が大きい。
僕は彼のことを何も知らない。
だからたったこれだけのことでも心配になる。
中学生くらいの年の子なら、七時まで帰らないくらいあることだろう。
しかし心配という感情一つで、『よくあること』が、『あってはならないこと』になる。
ただただ心配であり、不安なのだ。
どうか無事でいてほしいと願いながら、僕は市街を駆ける。
―――――
「はぁ…はぁ…」
息を切らして走り続けるが、やはり彼は見つからない。
時刻は既に八時を過ぎた。
瞳ちゃんには僕の携帯の番号を教えてある。
帰って来たら連絡するようにも伝えておいた。
連絡がないということは、帰ってないということだ。
使い方が分からない…のもあるかもしれない。
とにかく探し続ける。
ひたすらに聞き込み、ひたすらに走り回る。
それしか出来ることはないのだから――
―――――
九時程になり、ようやく見かけた人がいた。
路地に何かこそこそと入って行ったと。
それが大体五分前くらいになる。
僕は急いでそこまで行き、携帯で照らしながら歩き始めた。
時間が時間のために結構暗い。
いたとして気付けるか…
『――ぁ…』
「…?」
声が聞こえた気がした。
『――ねぇか……』
確かに聞こえる。
『お前も一緒ならなぁ…』
「…猫?」
「!?」
そこにいたのは彼だった。
目の前には猫、どうやら猫と話していたようだ。
「な…な…!?」
「あー…なんか…ごめんね。」
「う…うあぁぁ!」
悶絶、彼に今一番合う言葉だろう。
どうやら心配は杞憂だったようだ。
―――――
「ぐぅ…!」
「…大丈夫だよ。猫と話すくらいするって…」
「うるせぇ!」
今まで何をしていたかを聞くと、思いの外すんなりと話してくれた。
以前からよく撫でていた猫を探していた。
その猫も捨て猫で、しかし人に慣れていたそうだ。
偶然見つけて、一緒に過ごすことが多くて、唯一の癒しだったようだ。
「だから…一緒にいたかったんだよ…」
「にゃあ。」
「…可愛いね。」
「…ん…」
そこは同意するんだ。
とにかく見つかってよかった。
後は猫をどうするか…
「ね…その子が嫌がらないなら…一緒に行く?」
「え…?」
「勿論世話は大変だし、散歩に出して帰ってこないとか…病院で少し見てもらわなきゃもいけないし、大変なことばっかりだけど…」
「いいの…?」
「いいよ。」
彼は猫を抱え、僕に付いて帰宅を始める。
猫は嫌がる様子もなく、心地良さそうに抱かれている。
瞳ちゃんに連絡をしたら、猫が来ることを喜んでいた。
あまり表には出さないようにしていたが、声が少し高揚していた。
帰りに猫の餌を買って帰る。
その時僕は、少しにやけ顔でいたことだろう。
―――――
「お帰りです!」
と同時に発されるクラッカー。
彼は唖然としている。
猫もビックリさせてしまったのは少し可哀想だった。
当然歓迎会は始める。
そのために、買い物もしてきたし、飾り付けも行った。
僕が探している間、瞳ちゃんは準備をしていた。
「どう?嬉しい?」
「……何だよこれ…」
「歓迎会。料理はこれから作るけどね…」
「……あり…がとう…」
『……』
少し泣きながら、彼は感謝の言葉を言う。
僕達は笑って顔を見合せた。
喜んでくれたようで何よりだ。
それからはパーティーを楽しみ、疲れて寝てしまった二人をベッドに寝かせ、僕は日記を書く。
―――――
六日目
彼が中々帰らないことに心配で探し回ったが、何事もなく過ごせてよかった。
彼が今まで一緒にいた猫も連れて帰ったから、家族が更に増えた。
猫はやはり可愛い。
パーティー中に彼は名前だけは教えてくれた。
ついでに猫の名前も教えてくれた。
彼の名前は
猫の名前はヒイロらしい。
偶然見かけた時に、夕焼けで赤くなった姿から付けた名前らしい。
名前を教えてくれるくらいにはなってくれてよかった。
予約投稿失敗していたので18時…過ぎてるけど急いで出しました。基本朝6時か18時のどちらかで投稿します。もし投稿されてなかったらリアル時間がなかったのでしょう。とにかく朝出さずにごめんなさい。