今日からとうとう学校が始まる。
お兄さんと光希さんは一緒でいられて少し羨ましいが、学校に通わせてもらうのだ。
文句は言わない。
お兄さんに『行ってらっしゃい』と言われ、私は通学路を一人歩いていた。
正直私はとても不安だった。
虐められたりしないか。
友達は出来るか。
私が通う学校は以前からいる所…つまり以前の私を知る人は当然いる。
同い年の子が家庭のことなど知るはずもない。
以前の私のイメージは、暗くて近寄りずらい、いつもぼろぼろの服を着てて汚ない、喋らないから障がい者と思われているなど…良いイメージは皆無。
小学一年生ながらに、これほどの悪いイメージを与えてしまった。
お兄さんがいないだけで、何もかもが悪く見える。
通学路を一人で歩くと、見知った道のはずなのに、知らない場所をさ迷うような感覚がする。
お兄さんはいない。
頼れる人はいない。
まだ私は、一人になることが出来ない。
本当は光希さんを探しに行った時も、一人残されて辛かった。
平気な感じを装って、内心凄く怖かった。
体から聞いたこともないほどの音が響いて、泣き崩れそうになった。
一人は…怖い。
―――――
(何組だろ?)
玄関口に張られたクラス分けの紙を読み、自分のクラスを探す。
一組から順に…一組だった。
私は人が多いのに少し慣れないので、足早に教室へ向かった。
―――――
一年の時に一緒だった人も何人かいる。
私には気付かず、友達と騒いでいる。
(いいなぁ…)
ああやって気軽に話せる人がいて。
一緒で楽しいと思える人がいて。
友達がいて。
私には凄く、羨ましかった。
数分経つと先生が来た。
あまり見ない女性の先生だった。
先生の挨拶に、教室の大半が返事をする。
「おはようございま~す♪」
『おはようございます!』
「良い返事だね~皆元気で先生嬉しいな~」
結構緩い先生のようだ。
それから何言か言っていたが、ずっと言葉の最後は伸びていた。
それからすぐに自己紹介が始まった。
出席番号順に確認されていく。
私の番が来た。
一人だけ立って名前を言うこの状態は少し恥ずかしい。
「柊谷 瞳です。好きな食べ物は野菜炒めです。よろしくお願いします。」
ここまで好きな食べ物や趣味を言っていってたので、私は食べ物にした。
初めてお兄さんに食べさせてもらったもの。
やはり好きな食べ物ならこれになる。
本当はお兄さんの料理全部だけど…さすがに言えない。
無難に皆紹介を終え、自由時間が来た。
初日だから授業もないので、始業式まで自由時間が五分程出来る。
始業式が終われば帰宅。
関係ないけど始業式ってとても眠くなる。
―――――
自分から話しかけるのは私にはハードルが高い。
だから話しかけることは出来なかったが、帰る直前に話しかけられた。
「柊谷ちゃんもう帰るの?」
「え?うん。」
「どうせなら一緒に帰らない?」
「…う、うん!あ…でも道…」
「お家どっち?」
「駅の方向だけど…」
「あれ?もしかして近いのかな!?わたしもそっちなんだ!」
偶然だが、一緒に帰ることは出来てよかった。
他の人と話すこともなく、二人で帰宅を始める。
―――――
「わたしね…ちょっと人見知りなんだ。」
「え…でも…」
「前同じクラスだった人皆友達が一緒で、話せなかったの。でも柊谷ちゃんだけ一人で、話しかけられそうで…」
「私…前のクラスの時…」
「暗かったね。でも全然違うんだもん。前は話しかけたらだめな雰囲気だったし。今は凄く話しやすいの。」
「…ありがとう。」
「どういたしまして♪」
友達が出来た。
それが嬉しい。
これからも仲良くしていけたらと思う。
―――――
「わたしの家ここなんだ。」
「……凄い偶然…お隣さん…」
私の家の隣だった。
今まで…まあ七日だが会わなかったことも凄い。
本当に凄い偶然だった。
「ほんと!?凄い偶然!休みの日でも遊べるね!」
人見知りとは思えない程ぐいぐい来る。
私にはありがたい。
隣とはいえ家は違うのだ。
私達は少しはしゃいだ後、家に入った。
「また明日ね!明日は一緒に行こ!」
「う、うん!」
初めて出来た友達は、とても明るい女の子だった。
―――――
「学校どうだった?」
「楽しかったです!」
「友達も出来たみたいだしね。声聞こえてたよ。」
どうやら聞かれてたようだ。
私は少し恥ずかしくなったが、赤くなりながらも、顔は笑顔だった。
明日からも憂鬱に終わっていくと思っていた学校が、今は楽しみになっていた。
あの子…笹原さんに感謝だ。
彼女の名前は笹原 恵ちゃんです。