「行ってきます…!」
「行ってらっしゃい。」
「行ってら~」
緊張した様子で瞳ちゃんが学校へ向かう。
今日は学校の始業式、僕は光希君と家にいる。
仕事は明日から行くことにした。
光希君も昨日から少しは話してくれるようになったし、付きっきりでないといけないという程、心は疲弊していない。
流石に年が四歳以上離れた子より、感情が安定するのも早い。
でも今日は一緒に過ごすことにした。
検査入院のような感覚だ。
ということで…
「光希君は何かしたいこととかあるかな?」
瞳ちゃんにもよく聞く…というかほぼ毎日聞く言葉だ。
子供のしたいことを好きにさせる。
やって駄目なことは叱る。
あくまで僕の持論だが、子供は好きに過ごすことが大事だと思う。
叱り続けてグレる子もいれば、放っておいて暗くなる子もいる。
将来が心配だからと無理に勉強をさせたり、娯楽を禁止するなどもっての外だ。
だから僕は、なるべく子供のしたいことに、自分も付き合うようにしたい。
適度に勉強を薦め、世間一般による可不可を教える。
そうすれば、子供は好きに生きることが出来て、比較的良い子に育つ。
勿論希望的観測ではあるが、少しでも親として『強制』をしてしまったら、その子は親の言いなりになってしまう。
『好きにさせる』こと、それが一番大事だと思う。
もう一度言うが、あくまで持論だ。
さて、そんな僕の考えから出た質問への光希君の回答は…
「寝る。」
「あ…そっか…お、おやすみ…」
「おやすみ。」
…これも好きなことだろう。
―――――
「光希君…起きないな…」
あれから三時間程、起きる気配もなし。
今まで安心して寝ることが出来なかったのだろう。
その分寝貯めてるのかもしれない。
もっと好きなことをさせてあげたいのだが…
そう考えながら、僕は家事を終わらす。
時刻は十一時、そろそろ瞳ちゃんが帰るころだろう。
始業式だけなら午前中には終わる。
せめて帰るまでに起きてはほしいのだが…
「なぁ~ん」
「ヒイロ、どうしたの?お腹空いた?でももう少し後だよ。」
「なぁ~」
ヒイロは僕の足元で丸くなる。
これから昼食を作るのに、足元にいられるとさすがに邪魔だ。
僕はヒイロを抱き上げてソファに置く。
そうじゃないという顔をするが、気紛れな猫はそのまま寝てしまった。
そうこうしている内に昼食が完成した。
それから瞳ちゃんの帰りを待っていると、外から子供の声がした。
片方は瞳ちゃんの声、そしてもう片方はおそらく友達だろう。
『ほんと!?凄い偶然!休みの日でも遊べるね!』
もう一人の子は結構元気な子みたいだ。
僕にまで聞こえる声量で喋っていた。
聞けば明日一緒に学校行こうと言っている。
友達がすぐに出来てよかった。
その内家に遊びに連れて来たら、お礼を言おう。
帰って来た瞳ちゃんは凄く笑顔だった。
「学校どうだった?」
「楽しかったです!」
「友達も出来たみたいだしね。声聞こえてたよ。」
瞳ちゃんは少し顔を赤くしている。
学校が楽しくなりそうで本当によかった。
その後は昼食なので少し悪いと思いつつ、光希君を起こして昼食を食べる。
昼食を食べ終わり、やはりやるのはゲーム。
しかし今回は光希君も一緒にやってくれるそうだ。
パーティーゲームもあるからね。
結局三人で二時間くらいゲームをして過ごした。
もしかしたら子供が一番好きなことは、こうやって家族と楽しく騒げる時間なのかもしれない。
そう思う僕は、大人げなく一位を取るのだ。
もう一回と二人で言う。
僕らは更に二時間程、ゲームに費やすのだ。
これが僕達の今の日常なんだ。
―――――
――日目
始業式の一日、学校は午前で終わる。
そのために瞳ちゃんが友達を作れるか心配だったが、無事に友達と帰って来た。
これからの学校生活、一年生の時よりも楽しくあってほしいと思う。
光希君は昼過ぎまで寝ていた。
睡眠が最もな娯楽になることは悪くはないが、話す時間が減って少し悲しい。
これからは話す時間がもっと増えるよう、切に願う。
ここからは日数は分からなくなることもあるので――日目と書きます。