お人好しの不幸な子供育成日誌   作:ジシェ

2 / 40
時間も固定にしよう…というか予約投稿にしようと思います。多分朝六時位です。


初めての娯楽

「落ち着いた?」

「…はい。」

 

一頻り泣いた彼女は、やはり少し居心地が悪いのかそわそわしている。

まぁ助けられたことを理解していても、赤の他人に親代わりになると言われて、すぐに受け入れることなど出来ないだろう。

 

「とりあえずご飯…食べよっか。」

 

比較的笑顔に言えたと思う。

優しめな声音と、本心からの笑顔。

これさえ出来れば多少信頼は受けられるだろう。

この子に必要かどうかは分からないが…とりあえず作った野菜炒めは食べてくれた。

 

「ごめんね。今は色々切らしてて…有り合わせの物しか作れないけど…」

「……ぃしい…」

「え?」

「おいしい…です…ぅ…うぅ…」

「え!?ちょ…な、泣かないで…!」

 

夕飯を食べるなり泣きだしてしまった。

僕ははっとなり、この子の生活環境を思い出した。

賭博に金を使うような親が、子供の食事に金をかけるだろうか。

おそらくだが、彼女はろくに食事も取っていない。

体裁を保つため給食がかろうじてある程度だろう。

満腹まで食事をとれるのも、初めてなのかもしれない。

 

「……これからはもっと美味しいご飯、食べさせてあげるからね。」

「ぅ…ひっく…」

 

その後も彼女は、泣きながらご飯を食べるのであった。

僕はそれを眺めながら、次の食事を考えるのだった。

 

―――――

 

「ごちそうさまでした…」

「お粗末様。」

 

食事を食べ終える頃には、涙も収まった。

終始泣きながら箸を口に運び、味わうように咀嚼する。

今の時期は春休み…つまり給食もない。

かなり飢えていたのだろう。

幸い引き取ったのは休みの二日後らしい。

毒親ながら捨てるタイミングは有難かった。

子供を捨てるのは許せないし、暴力を振るうなどもってのほかだが。

 

「今日はもう遅いし、お風呂に入って寝ようか。使ってない部屋が一部屋あるからそこで…」

「……」

 

案内しようとすると、服の端を軽く掴まれる。

 

「えっと…」

「…ごめん…なさい…」

「…ううん。大丈夫だよ。そうだなぁ…」

 

一人は不安なのだろう。

部屋まで服を掴んだまま着いてくる。

それから風呂の方にも案内したが、離してくれない。

 

「うーんと……」

「お礼にもならないけど…せめて、お背中流します!だから…一人に…しない…で…」

 

かすれ声でそう必死に言う。

子供とはいえ女の子と風呂って…大丈夫なのか。

まあ親なら普通か。

 

「いいよ。でもね、お礼とか別にいいんだよ?だって…」

 

『僕も救われているのだから』

 

「…?」

「…ふふっ何でもないよ。」

 

その後は端から見れば犯罪的な光景となるが、ほのぼのした親子の対話となった。

 

―――――

 

「そういえば結構さっきまで寝てたし、寝られるかな?何か眠くなるまでしようか?」

「あ…はい…ありがとうございます。」

「それじゃ…これでもしよっか。」

 

実を言うと休みの日にこの子がいた場所を通ったのは、趣味の買い物が原因だった。

ありきたりの趣味…つまりはゲーム。

僕の場合漫画もアニメも、二次元全般…とまではないが、全て趣味だ。

今回買ったのは64ドン◯ーコング。

古いだろう。

近所のゲームショップが取り扱うゲームの幅が広いため、オタクにはとてつもなく有難い店だ。

なんと徒歩十分、久々やりたいゲームもこの通り。

ということで暇潰しに瞳ちゃんと一緒に遊ぶのだった。

 

―――――

 

「こっちですか?!」

「そうそう…そっち行けばそろそろボスだから…」

「アルマジロですか?」

「以外に強いから気を付けてね。」

 

最初のボスまでやってしまった。

楽しく遊ぶのなども初めてなのだろう。

既に二時間程経っている。

操作が瞳ちゃんだけに、マップを知ってても時間がかかったが、初心者にしては上手い。

一回やられたが、ボスも楽々突破し、仲間を助けられて嬉しそうな顔をしている。

ゲームに感情移入してしまうのだろう。

その気持ち、かなり分かる。

しかしそこまで来て眠気がきたのか、大きくあくびをする。

二時間のプレイ、つまり既に十時程。

子供は寝る時間だ。

 

「眠い?」

「…はい…」

「じゃあ、続きはまた明日にして…今日はもう寝ようか。」

「ん…」

 

おっと目が虚ろで首が傾いている。

僕は今は使っていない親の寝室(・・・・)へ連れて行く。

瞳ちゃんをベッドに寝かし、自分の寝室へ戻ろうとした時、瞳ちゃんの言葉を思い出す。

 

『一人にしないで』

 

その言葉を思い出した僕は、幸いにも広いベッドに入る。

すると不思議なことに、丁度手を握られる。

僕は微笑み、一言囁き眠りにつく。

 

『また明日』

 

―――――

 

一日目

 

一人は不安らしいのでほとんど一緒にいた。

食事も気に入ってくれたようで、ゲームも楽しんでくれた。

学校までは七日間。

その間に少しずつ知っていきたいと思う。

とりあえずゲームは好きになってくれそうだ。

学校ではあまり話さなかったようだが、二年生に上がって友達を作ってほしいと願う。

まずは明るく過ごせる環境にしよう。

 

 




良ければ次回もお願いします。
追記:ドン○ー64の1ボスアルマジロでしたねぇ…やったの三年前だったから間違えてました。何故サイと間違えたのかな?直しておきました。別に二次だから著作権的に変えたわけではないです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。