「落ち着いた?」
「…はい。」
一頻り泣いた彼女は、やはり少し居心地が悪いのかそわそわしている。
まぁ助けられたことを理解していても、赤の他人に親代わりになると言われて、すぐに受け入れることなど出来ないだろう。
「とりあえずご飯…食べよっか。」
比較的笑顔に言えたと思う。
優しめな声音と、本心からの笑顔。
これさえ出来れば多少信頼は受けられるだろう。
この子に必要かどうかは分からないが…とりあえず作った野菜炒めは食べてくれた。
「ごめんね。今は色々切らしてて…有り合わせの物しか作れないけど…」
「……ぃしい…」
「え?」
「おいしい…です…ぅ…うぅ…」
「え!?ちょ…な、泣かないで…!」
夕飯を食べるなり泣きだしてしまった。
僕ははっとなり、この子の生活環境を思い出した。
賭博に金を使うような親が、子供の食事に金をかけるだろうか。
おそらくだが、彼女はろくに食事も取っていない。
体裁を保つため給食がかろうじてある程度だろう。
満腹まで食事をとれるのも、初めてなのかもしれない。
「……これからはもっと美味しいご飯、食べさせてあげるからね。」
「ぅ…ひっく…」
その後も彼女は、泣きながらご飯を食べるのであった。
僕はそれを眺めながら、次の食事を考えるのだった。
―――――
「ごちそうさまでした…」
「お粗末様。」
食事を食べ終える頃には、涙も収まった。
終始泣きながら箸を口に運び、味わうように咀嚼する。
今の時期は春休み…つまり給食もない。
かなり飢えていたのだろう。
幸い引き取ったのは休みの二日後らしい。
毒親ながら捨てるタイミングは有難かった。
子供を捨てるのは許せないし、暴力を振るうなどもってのほかだが。
「今日はもう遅いし、お風呂に入って寝ようか。使ってない部屋が一部屋あるからそこで…」
「……」
案内しようとすると、服の端を軽く掴まれる。
「えっと…」
「…ごめん…なさい…」
「…ううん。大丈夫だよ。そうだなぁ…」
一人は不安なのだろう。
部屋まで服を掴んだまま着いてくる。
それから風呂の方にも案内したが、離してくれない。
「うーんと……」
「お礼にもならないけど…せめて、お背中流します!だから…一人に…しない…で…」
かすれ声でそう必死に言う。
子供とはいえ女の子と風呂って…大丈夫なのか。
まあ親なら普通か。
「いいよ。でもね、お礼とか別にいいんだよ?だって…」
『僕も救われているのだから』
「…?」
「…ふふっ何でもないよ。」
その後は端から見れば犯罪的な光景となるが、ほのぼのした親子の対話となった。
―――――
「そういえば結構さっきまで寝てたし、寝られるかな?何か眠くなるまでしようか?」
「あ…はい…ありがとうございます。」
「それじゃ…これでもしよっか。」
実を言うと休みの日にこの子がいた場所を通ったのは、趣味の買い物が原因だった。
ありきたりの趣味…つまりはゲーム。
僕の場合漫画もアニメも、二次元全般…とまではないが、全て趣味だ。
今回買ったのは64ドン◯ーコング。
古いだろう。
近所のゲームショップが取り扱うゲームの幅が広いため、オタクにはとてつもなく有難い店だ。
なんと徒歩十分、久々やりたいゲームもこの通り。
ということで暇潰しに瞳ちゃんと一緒に遊ぶのだった。
―――――
「こっちですか?!」
「そうそう…そっち行けばそろそろボスだから…」
「アルマジロですか?」
「以外に強いから気を付けてね。」
最初のボスまでやってしまった。
楽しく遊ぶのなども初めてなのだろう。
既に二時間程経っている。
操作が瞳ちゃんだけに、マップを知ってても時間がかかったが、初心者にしては上手い。
一回やられたが、ボスも楽々突破し、仲間を助けられて嬉しそうな顔をしている。
ゲームに感情移入してしまうのだろう。
その気持ち、かなり分かる。
しかしそこまで来て眠気がきたのか、大きくあくびをする。
二時間のプレイ、つまり既に十時程。
子供は寝る時間だ。
「眠い?」
「…はい…」
「じゃあ、続きはまた明日にして…今日はもう寝ようか。」
「ん…」
おっと目が虚ろで首が傾いている。
僕は今は使っていない
瞳ちゃんをベッドに寝かし、自分の寝室へ戻ろうとした時、瞳ちゃんの言葉を思い出す。
『一人にしないで』
その言葉を思い出した僕は、幸いにも広いベッドに入る。
すると不思議なことに、丁度手を握られる。
僕は微笑み、一言囁き眠りにつく。
『また明日』
―――――
一日目
一人は不安らしいのでほとんど一緒にいた。
食事も気に入ってくれたようで、ゲームも楽しんでくれた。
学校までは七日間。
その間に少しずつ知っていきたいと思う。
とりあえずゲームは好きになってくれそうだ。
学校ではあまり話さなかったようだが、二年生に上がって友達を作ってほしいと願う。
まずは明るく過ごせる環境にしよう。
良ければ次回もお願いします。
追記:ドン○ー64の1ボスアルマジロでしたねぇ…やったの三年前だったから間違えてました。何故サイと間違えたのかな?直しておきました。別に二次だから著作権的に変えたわけではないです。