「全然恵ちゃんが構ってくれない~!」
「……何でまた…」
昨日の今日で、豊ちゃんは家に来ていた。
一応東雲さんの電話番号を教えたし連絡もしたようだが、東雲さんもお手上げらしい。
というか口頭だといまいち分かりずらいこの子の説明では、原因の欠片さえ分からなかったそうだ。
『恵ちゃんに会って話してみたら分かるかも…』という東雲さんの言葉で会う約束もしたのに、構ってもらえないという状況に耐えられず、また来たらしい。
「どうにかならないかな…?」
『うーん…正直に言うとよく分からないんです…会ったこともない子のことを聞かれても…』
「そうだよね…」
『子供ですし、本当に誰かが好きになったとか…子供は想像力が凄いから何か妄想してたり…いじめ…とか…』
「…とにかく何か出来ることないかな?この調子だと豊ちゃん毎日来るし…しかも夜に…」
『……今更ですが育さんか瞳ちゃんが話しを聞いてみるのは…』
「正直に話してくれるかな?」
『身近な人には話し難いことかもしれませんね…』
二人で電話で相談していると、豊ちゃんが部屋に来た。
今まで三人には一緒に遊んで待ってもらっていた。
しかし時間も時間なので帰ると、挨拶にだけ来たようだ。
「ということで帰ります!色々ありがとうございます!」
「…案外直接聞いたら終わるんじゃ…」
「?何ですか?」
「…構ってもらえなくて寂しいなら、直接聞いてみたらどうかな?」
「直接…」
「もちろん本人が話したくないなら無理やりは止めた方がいいかもしれないけど…聞かれるのを待ってるのかもしれないよ?」
「おお!それは盲点でした!聞かれるのを待つなんて思い付かなかった!」
「………」
もしかしたら間違いかもしれない。
本当に悩みに悩んでいて、誰にも話たくないという状態なのかもしれない。
「でも…思い付いたこと全部やらなきゃ、分からないことの方が多いかも…」
―――――
「たっだいまー!め・ぐ・み・ちゃ~ん!何か最近悩みでもある?お姉ちゃんに話してごらん?」
「ちょっ…お姉ちゃん抱きしめないで…!」
「ほらほら~さっさと白状なさい?」
「……悩みじゃないんだ。実はね…」
―――――
今回の話しのオチ
―――――
「瞳ちゃん!遅くなったけど、誕生日おめでとう!」
「……え?」
恵ちゃんがぼーっとしていたのは、瞳ちゃんをどう祝えばいいかを、ずっと考えていたようだ。
誕生日自体二ヶ月近く前のこと。
しかしこの子は、そのことでずっと悩んでいたらしい。
入学式の後数日経ってから、瞳ちゃんの誕生日を知った恵ちゃんは、ずっとどう祝おうか考えていたらしい。
それにどうやら本人曰く、『友達記念』も兼ね揃えているようだ。
「恵ちゃん…私何も用意してない…」
「いいのいいの!勝手にやってるんだもん♪ね、瞳ちゃん…去年は話さなかったけど…今年からよろしくね!」
「…うん!」
子供ながらに記念のようなものをしてしまう恵ちゃんは、いつまでも楽しく生きられそうだ。
そんな友達に出会えてよかった。
「いや~小学生二人のほのぼの百合絡みは尊いの~♪」
「……今すぐ帰ってほしいな…」
「やっぱロリコンじゃねぇか。」
離れて話す保護者達、その場には…二人の笑い声が透き通っていた。
―――――
――日
初めて会ったお隣さんの子は、二人とも特徴的な性格をしていた。
でも二人とも、絶対にいいこだと断言出来るぐらいいいこ達だ。
豊ちゃんも恵ちゃんも、瞳ちゃんに負けないぐらい仲良しだ。
僕はこの光景をいつまでも心に留めておきたいと思った。